水族館 0
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長らく自宅療養を続けて参りましたが、呼吸困難のため7月1日緊急入院しました。症状が改善する信じて頑張っていましたが、治療の甲斐無く7月6日胃がん、肝転移、腹膜播種のため他界いたしました。死の二日ほど前自分の人生を総括するように「俺の人生はハッピーだった。みんなと一緒にいられて。」と申しました。ありがとうございました。(妻)
2017.07.13
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3日目今日は天草から霧島に向かいます。最初の目的地は霧島山麓丸池湧水。栗野駅のすぐ近くなので、ナビの目的地は栗野駅。高速道路を使用して昼前には着きました。駅側から湧水池に近づくと、手前に水が勢いよく流れています。池の近くでは桜が見頃で、花見客が盛り上がっていました。奥に進んでいくと、水の流れは逆向きになり、駅から遠ざかるように流れています。池の畔には水飲み場があり、湧水を飲むことが出来ます。冷やしたら美味しいのかも知れませんが、ぬるいので、あまり美味しく感じませんでした。池には7cm位の小魚が泳いでいました。ヤマメの養魚だろうかと思っていると、地元のおじさんが名前を教えてくれました。でも、良く聞き取れず、結局分からないままです。その後は一路霧島温泉郷へ。霧島に着いて最初の訪問地は丸尾滝です。ここは道路脇にあり、歩く必要がないので、年寄りに優しい滝です。そこそこのスケールもあり、ついでに寄るには良いところです。その後は霧島神宮へと向かい、少しは歩いて参拝してきました。いつもなら神社も文化財として見て、宗教的な行動はしないのが私の流儀です。でも、今回は「困った時の神頼み」精神で、しっかり賽銭も投じて、以下のように拝んできました。無理だと思いますが、出来れば病気を治してください。治すのが難しければ、元気でいられる時間を出来るだけ長くしてください。私の死後、家族が不自由なく暮らせるようにしてください。10円の賽銭では欲張りすぎたかしら。参拝が済むと、いよいよ楽しみにしていた温泉へ。今日の宿はプールのような広大な浴槽で有名なホテルです。その風呂は19:30からは女性専用となるので、出来れば食事前に入っておきたいところです。16時頃にはホテルに到着し、早速入浴。噂に違わぬ広大な浴槽で、深さもあるので立って入浴です。運転に疲れた体には、打たせ湯が芯まで効きました。広大な浴槽以外にも数多くの浴槽があり、もちろん全部制覇してきました。夕食には黒毛和牛のステーキもあり、美味しく頂きました。4日目当初の予定では市房(いちふさ)ダムの千本桜を見た後はサントリー九州熊本工場見学でした。でも、晴れているので、二日目に行き損ねた大観峰に予定を変更しました。今年はなぜだか九州南部の桜の開花が遅いので、市房ダムの桜も見頃ではないかと予想。結果は当たりでした。ダム湖を取り囲む見事な桜を堪能した後は、大観峰へ。大観峰は以前にも行ったことがありましたが、もやがかかっていて今ひとつでした。今回は晴れているので期待は膨らみます。駐車場からでも雄大な景観を楽しめますが、展望所まで登ると360度の大パノラマです。でも、肉眼で見るには問題ないけど、写真に撮るとぼやけそうなくらいのもやはありました。今日の宿は画像の阿蘇連山の一番左、根子岳を間近に見ることが出来るそうで、楽しみです。実際に行ってみると、根子岳だけでなく、高岳や中岳まで見えているのでしょうか。今回は佐賀県と鹿児島県に宿泊することが目的でしたが、それ以外に熊本県に二泊しました。もちろんこれは震災から一年の熊本復興への協力を意識してのことです。お土産も、そのほとんどを熊本県で調達しました。自己満足だって、生きていく上では大切ですからね。
2017.04.17
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年明け早々に江ノ島に行く予定だったのですが、風邪をひいてキャンセル。直前だったので、しっかりキャンセル料も取られました。月末に近づくにつれ、体調もすっかり良くなったので、また宿を予約しました。目的の一つは江ノ島からきれいな富士山を見ること。圏央道から雲ひとつ無いきれいな富士山を見て、期待は高まります。以前なら車を宿において歩くのですが、そんなスタミナは無さそうなので、橋の先の駐車場へ。エスカーなるものを使ってできるだけ楽に登ります。登り切ったところから歩くと、いろいろな花がありまして、目の保養になります。河津桜も咲いていて、印象と違って大ぶりできれいだったのでびっくり。群馬県などで今頃咲く寒桜のような小ぶりの花を予想していたのでした。せっかくなので、髪の毛が無事な証拠もかねてパチリ。脱毛しないうちに伸びすぎたので、前日に散髪に行った後です。でも、すね毛などの薄くなり方を見ても、そのうち髪の毛もなくなるのでしょうね。ニットの帽子が活躍しそうです。で、肝心の富士山ですが、カメラを使えるときはいつも曇り。他の山は見えても富士山だけ雲の陰。車に乗っているときは行きも帰りもよく見えたのになあ。というわけで、江ノ島の展望台からの画像は陸地方面のものをアップ。後で行った水族館の画像を含め、他にはろくなものが無いのだもの。体調の方は、非常に良いです。食欲もあり、食事もおいしく食べられています。宿の食事は金目鯛づくしだったのですが、かなりの量があったにもかかわらず完食しました。今度の治療は7日ですが、遅発性の副作用、軽いと良いなあ。
2017.02.01
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9月8日(木)記載残念ながら皮膚の症状は増悪してきました。主に上肢だけなのですが、痒みを伴った皮疹が目立ちます。下肢は膝のあたりに皮疹があるのと、指先に色素沈着があります。前回は休薬したら改善したので、あと一週間の辛抱ですかね。前回と同じようにロキソニンを飲み始めました。また、手指のしびれが強くなってきました。日常生活には支障はないレベルですが、麻酔科医としては致命的なレベルです。もう働かないから良いのですが、ある程度ひどくなると回復しないらしいので、気になります。
2016.09.21
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9月4日(日)記載どうやら遅発性の嘔気が来ているようです。嘔吐するほどではないのですが、何となくむかむかします。前回も胃の荒れたような感じはあったので、同じかもしれません。しゃっくりは今日も時々出ています。今日はメモリアルホールの会員になってきました。墓ももうすぐ完成するし、クレジットカードの解約も少しずつ進めています。終活は順調です。
2016.09.19
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今年から国保になったので、毎月国保税を払わなければならなくなりました。先月は現金でセブンイレブンで払ったのですが、nanacoでも払えるようです。nanacoなら、クレジットカードでチャージすればポイントが付きます。税金の支払いで、多少なりとも見返りがあることになります。問題は、5万円以上の支払いになるので、少々ややこしいこと。nanacoで一度に5万円以上支払う方法はネット上にあります。たとえばこんなサイトです。まずは準備が必要です。クレジットカードでnanacoに限度いっぱいの5万円をチャージすると、センター預かりになります。この時点ではnanacoカードには入っていません。一度セブンイレブンやヨーカドーで残高確認をする必要があります。残高確認すると、nanacoカードに5万円が入金され、センター預かりはゼロになります。もう一度クレジットカードでチャージすると、またセンター預かりは限度いっぱいの5万円となり、併せて10万円となります。(チャージは一度に29000円までなので、5万円チャージするには二回に分ける必要があります)これで支払いの準備は出来たので、早速セブンイレブンに行っても良いのですが、念のため、もう一手間かけることをおすすめします。私はここからスタッフのレジ操作をメモって持って行きました。以下がその内容です。「nanaco支払」→確定保留→残高確認→保留(解除)「nanaco支払」→客層実際にセブンイレブンに支払いに行ったところ、予想通り店員はパニックになりました。メモを見せても裏に引っ込んで5分くらい待たされ、結局は5万円以上は支払えないと言い出す始末。nanacoカードとセンター預かりの仕組みを説明し、メモ通りにやってみてくれと頼み込んで、やっとトライしてくれました。やってみればどうと言うことはなく、すんなり支払いは終わりました。もちろん他の客の居ない時を見計らって支払いましたので、他の客には迷惑をかけていません。店員は予想以上にnanacoについて何も知らないようです。同じことを試してみたい方は、くれぐれも混雑を避けてお試しください。*メモの内容を変更しました。以前はレジでは一度に3万円未満までしか移せなかったのですが、今は5万円まで移せるそうなので、残高確認の(二回)を削除しました。
2015.08.06
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ここしばらくテレビをつけると、各局とも人質のニュースで持ちきりです。もちろん人質の生命が危機に面しているのですから、ニュースバリューはあるのでしょう。でも、画像付きで大々的に報道することはテロリストの思うつぼなのではないでしょうか。 ネット上の掲示板などには場を荒らす「荒らし」という迷惑な奴らが付きものです。この手の輩に腹を立てて反論するのは、連中の思うつぼです。彼らは構って欲しくてそのような行為をしているからです。荒らしに対する最も有効な手段は黙殺です。 テロリストと荒らしとは凶暴さにおいて比べものになりませんが、本質は「かまってちゃん」です。もちろん国レベルでの(軍隊や諜報機関による)対応は必要ですが、報道に関しては口頭でさらりと流すだけにとどめ、大騒ぎすることは控えた方が賢明なのではないでしょうか。
2015.01.26
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元旦早々いやなニュースが飛び込んできました。抗生剤を投与する代わりに筋弛緩剤を投与した死亡事故が起きたのです。元々は mixi のニュースで知ったのですが、沢山のコメントがありました。リスク管理のずさんさを指摘するまっとうなコメントもありましたが、多くは当事者をなじるものでした。でも、それでは再発の防止は出来ないのですよね。 「マキシピーム」と「マスキュレート」では全然違うという意見もありましたが、やはり語感は似ています。また、見かけも画像を見ると、雰囲気がよく似ています。ここは改善の余地がありそうです。 また、院内のシステムにも問題があります。投与して死亡する可能性のある薬剤は厳重に管理し、どうしてもその薬剤が必要な場合にのみ払い出す制度とすべきです。通常は筋弛緩剤は鍵のかかる金庫で保管し、他の薬剤とは一線を画すことが常識だと思いますが、この病院の保管体制はどうだったのでしょう。 更に、患者に投与する場合、患者に取り付けたバーコードで患者の確認をし、薬剤側のバーコードで薬剤を確認し、指示通りの薬剤であるかも確認します。指示と異なっていれば自動的に警告を出します。 人間のチェックはいい加減なもので、複数のチェックをするほど他人を当てにして、自分のチェックがおろそかになります。間違いの入り込みにくいシステム、たとえ間違いが起きても被害が最小限になるようなシステムが必要です。 以下のような事故を起こした病院はどのようなシステムを採っていたのでしょうか。注意力が散漫で良いとは言いませんが、製薬会社や病院のリスク管理がしっかりしていれば防げた事故なのではないかという気がしてなりません。筋弛緩剤を誤って投与、患者死亡 大阪府立の医療機関 2015年1月1日07時11分 朝日新聞 大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)は31日、入院中の60代の男性患者に誤って筋弛緩(しかん)剤の点滴を投与し、男性が死亡したと発表した。医師から抗生物質の処方を指示された薬剤師が薬剤を取り違え、点滴前に確認した看護師2人も気づかなかったという。センターは遺族に謝罪し、府警に届けたという。 センターによると、男性患者は抗がん剤治療のために約2週間入院。発熱の症状が出たため29日、主治医が抗生物質「マキシピーム」の点滴を指示したところ、女性薬剤師が薬剤の入った棚から誤って筋弛緩剤「マスキュレート」を取り出し病棟に送った。 二つの薬剤は別の棚で保管されており、薬剤師は男性への点滴が始まった約2時間後、別の患者用に「マキシピーム」を取りだそうとして取り違えに気づいたが、男性はすでに心肺停止状態だったという。 薬剤師は院内の調査に対し、「抗生物質だと思って筋弛緩剤を出してしまった」、看護師らは「その患者の薬だと思った」と説明しているという。 吉岡敏治院長は31日会見し、「あってはならないことで患者やご家族に心からおわび申し上げます」と話した。
2015.01.01
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「たまごどんの日記」というブログで北海道がんセンターの名誉院長である西尾正道氏の捏造が話題となっています。西尾氏は筑波の気象研究所の足立光司氏の論文を根拠として、微粒子に放射性セシウムが含まれているので、それが鼻粘膜に吸着することで被曝による鼻血が出ると主張しているようです。ところが、その内容が悪質な捏造と言っても良いレベルとのこと。元の論文では、微粒子全体が1立方メートルあたり4,100万個であり、そのうち10個が放射性物質とされています。ところが西尾氏は放射性物質の数には触れず、あたかもすべての微粒子に放射性物質が含まれているかのように書いています。また、微粒子一つあたりの放射線量も、一番多い微粒子のものが平均であるかのように見せています。また、「空気中の粒子状ダストによって鼻血が増加するという報告」で引用されたBray.D氏の論文は、放射線とは全く関係なく、粒子状ダストによって鼻血が増加するという論文。つまり、放射線など無くても微粒子だけで鼻血は出るよ、という論文です。むしろ、西尾氏の主張を崩す内容なのですが、それをあたかも自説を補強しているかのように見せています。詳しくはリンク先の「たまごどんの日記」をお読みください。元の論文は英語なので、著者名もアルファベットなのですが、ここを参考に著者名を記しました。このリンク先は日本語で解説しているのですが、やはり微粒子一つあたりの放射線量で、ミスリードがあるんですよね。
2014.09.23
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想像してみよう。理玖(りく)君の最後の二年間を。残忍な殺害方法はいろいろとあるけれど、自分に置き換えてみて、これほど恐ろしい殺され方は無いように思う。死の直前「パパと呼び続けていた」 厚木の男児遺棄事件2014年6月9日18時46分 朝日デジタル 神奈川県厚木市のアパートで斎藤理玖(りく)君(当時5)の遺体が見つかった事件で、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された父親でトラック運転手の斎藤幸裕(ゆきひろ)容疑者(36)が、理玖君に十分な食事を与えていないことが発覚するのをおそれ、やせ細って死亡する可能性を認識しながら病院に連れて行けなかったと供述していることが9日、県警への取材で分かった。 県警によると、斎藤容疑者は理玖君について「2004年秋ごろに妻がアパートを出て以降、3カ月ほどで、あばら骨が浮き出るほどにやせ細っていった。このままでは死なせてしまうと思った」と話している。だが、食事を十分に与えていないことが発覚することを恐れ、病院に連れて行かなかったという。 斎藤容疑者は理玖君が死亡した時期について「06年10月ごろ」と話している。死亡する1週間前の理玖君の状態について、「自分で立ち上がることも、(食事として置いていった)パンの袋も開けることができず、か細い声で『パパ』と呼び続けていた」と説明。「家にいるのが怖くなり、帰宅してから1時間もしないうちに出た。1週間後に戻ると、冷たくなって死んでいた」と話しているという。
2014.06.18
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「ニセ医学」に騙されないためにという本が発売されます。(リンクを張ろうとしたのですが、楽天ブックスのライバル会社だったのでハネられました)著者は私も愛読している「NATROMの日記」のNATROM先生です。出版社はこともあろうに、あの、メタモル出版。怪しげな本を出すことで有名な出版社だそうな。どうしてメタモル出版から出すことになったのかはそのうちに明らかにされそうですが、メタモル出版の本を愛読するような人たちにこそ読んで欲しかったからかもしれません。怪しげな情報を批判する本の著者の一番の悩みは、一番読んで欲しい人には読んでもらえず、今更読まなくても良い人ばかりが読むと言うことですから。そうは言っても実は、我々にもこのような本は有用です。怪しげな治療法に手を出している患者の相手をするのは結構大変だからです。NATROM先生にはそういった面でのノウハウの蓄積が十分におありのようです。是非読ませていただいて、参考にさせていただきます。一つだけ残念なことに、今のところアマゾンしか取り扱いをしていないようです。楽天ポイントがたまっているので、私としては楽天ブックスで買いたいのですが。6月26日追記この本は本日発売なのですが、調べたら楽天ブックスで取り扱うようになりました。早速注文させていただきました。
2014.06.08
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身に覚えのないひとでも訴訟を起こされて被告となることはあります。私の以前の勤務先(以下A病院)の面倒見の良い腎臓内科医(以下B医師)も、そのような経験をしました。 当時のA病院は医師不足に陥っており、入院患者の透析だけで手一杯で、外来患者はよそに紹介していました。そのような外来患者の一人が原告です。理由は、悪意ある噂を流して他院を受診する機会を妨害したとのことでした。 その患者はB医師から近医を紹介され、しばらく透析を受けていました。そこで、ある特定の女性看護師に執着し、他のスタッフの関与を嫌がるようになりました。結局はその医院での診療を断られることになりましたが、透析患者が透析を受けられなければ命に関わります。B医師は親身になって他の医院にその患者を紹介しました。 ところが医療の世界は狭いものです。特に同じ透析を主な診療としている医院同士はほとんどのスタッフが知り合いです。当然その患者のことは噂になっていて、紹介された医院のスタッフの強い意向で紹介を受けないことになってしまいました。おそらくはこれをB医師のせいだと誤解したのでしょう。実際にはB医師は他の医院を探して懸命の努力をしていたのですが。 最終的にはその患者は他の伝手を頼りに透析を受けることが出来ていました。でも、腹の虫が治まらなかったのでしょう。20万円の慰謝料を請求する訴訟を起こしました。 A病院ではB医師を全面的に応援することとし、弁護士にすべてを任せ、費用は病院持ちとしました。当然原告の訴えは全面否認して争いました。 こんな裁判でも、裁判官は5万円くらいで和解に持って行こうとしてきましたが、当然拒否して全面的に争いました。もちろんB医師の勝訴となりました。とは言っても、費用は20万円以上かかりましたので、賠償請求以上に損害は被りました。 訴訟を起こす方にも費用はかかりますから、そう乱訴に至ることはないかもしれませんが、身に覚えのないことで訴訟を起こされるのは大損害ですね。 こんな古い話を思い出したのは、理解不能な訴訟が起こされたからです。その内容は以下のようなものです。若くして成功した人に対してはやっかみから冷たい態度をとりがちな私ですが、こんな事で被告になるのはさすがに気の毒です。その裁判だけならまだしも、こんなの(リンク先はmixi会員のみ閲覧可能)まで出てきましたから。 ドワンゴ会長の川上量生氏が、岡山県在住の人物から、「川上氏が使用する無線通信によって騒音や振動が発生し、健康被害を長期間に渡って受けている」として、騒音・振動の差し止めと160万円の支払いを請求されていることが分かった。川上氏は「岡山県には行ったこともなく相手の名前にも見覚えはありません」と話している。 訴状によると、原告は川上氏が使用する無線通信の「騒音」「振動」によって、慢性的な睡眠不足やめまい、意識障害、イライラの続く状態などになっているという。さらに、これらの損害の発生が「将来に渡って強く予想される」として、川上氏に対し無線通信の使用禁止や騒音・振動による浸入禁止を求めた。 第1回口頭弁論は4月15日に岡山地裁で開かれる予定となっている【事件番号 平成26年(ワ)第166号】。
2014.04.03
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昨日、朝までの大雪で、カーポートがクラッシュ。危ないかなと思いながらも、降りしきるみぞれの中を除雪する気にもなれず、放置。昼頃、がらがらドッカーンと言う大音響とともに、二台用のカーポートが中央へと崩れ落ちた。後から考えれば、車の前を除雪して車を出しておくべきだった。雪の上にみぞれが降れば重くなるのは当然なのだから、予見できたはずだ。あるいは、スコップの届く範囲だけでも屋根の雪をどけておけば良かった。こんなことを考えながら昨日はずっとくよくよしていたのですが、実際にカーポートが倒壊するまでは、実は全く楽観的だったのです。自分の家のカーポートのことより、お向かいの電話引き込み線が雪庇に巻き込まれていて、切れるんじゃないかと心配していました。カーポート倒壊の可能性も少しは考えましたが、60cmの積雪があり、車二台分の除雪は老人には少々つらいものがあります。また、カーポートの屋根の除雪をするには脚立のてっぺんに登る必要があり、転落したらどんな怪我をするかわかりません。結局、だんだん溶けて軽くなるのだから大丈夫だろうとの判断で放置しました。自分のことだから、くよくよはしても激しく責めることはありませんが、これが他人の判断で自分が不利益を被ったのなら、後知恵で責めたくなるのだろうなと思いました。対処するための労力やリスクは軽く考え、容易に予見できたはずだという思いだけが募ったりして。実際のところ、倒壊したカーポートの下敷きになっての死亡事故もあったのですが、そんなことに思いを馳せることもなかったかもしれません。こんなことを考えていたら、医療裁判のことを思い出しました。きっとこんな風にして、医療で結果が悪かったときには責められるのでしょう。
2014.02.16
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問題1おもちゃのバットとボールの値段は合計で110円でした。バットはボールより100円高いとすると、ボールの値段はいくらでしょう。解答 5円間違えた人はあまりいないと思いますが、一瞬だけバットが100円でボールが10円だと思った人は多いと思います。そこで思考停止して10円と答えた人は、詐欺などでだまされないように気をつける必要があるでしょう。問題2リンダは31歳で独身、ものをはっきり言うタイプで頭がよく、大学では哲学を専攻していた。学生時代に差別問題や社会正義に強い関心を持ち、反核デモにも参加した。そんなリンダは次の項目のいずれに当てはまりそうだろうか。確率の高いと思う順番に並べ替えてください。1)小学校の先生である。2)書店で働き、ヨガ教室に通っている。3)フェミニスト運動に積極的である。 4)精神障害に関するソーシャルワーカーである。5)女性有権者同盟の会員である。6)銀行の窓口係である。7)保険の販売員である。8)銀行の窓口係であり、フェミニスト運動にも積極的である。解答 以下の条件を満たしていれば、その他についてはあなたの考えを尊重します。 6)が8)より前にあること。8)に当てはまる人は6)にも必ず当てはまりますから、8)が6)よりも前に来ることはあり得ません。でも、間違える人は結構多いのだそうです。この問題は「リンダ問題」として有名で、ネット上では選択肢が6)と8)だけしかない単純な問題が紹介されていることが多いのですが、それでも間違える人が多いとのこと。感覚だけで判断せず、理詰めで判断すれば間違いようもないと思いますが、それがなかなか難しいのでしょうね。放射線被曝のリスクを過剰に見積もる人が多いのも、理詰めで判断するよりも感覚で判断する人が多いと考えれば理解できます。でも、きちんと説明を受けた後でもでたらめを吹聴するのはやめてほしいな。どちらの問題も「リスクにあなたは騙される」(ダン・ガードナー)を参考に、一部改変したものを使用しました。
2013.12.28
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問題1おもちゃのバットとボールの値段は合計で110円でした。バットはボールより100円高いとすると、ボールの値段はいくらでしょう。問題2リンダは31歳で独身、ものをはっきり言うタイプで頭がよく、大学では哲学を専攻していた。学生時代に差別問題や社会正義に強い関心を持ち、反核デモにも参加した。そんなリンダは次の項目のいずれに当てはまりそうだろうか。確率の高いと思う順番に並べ替えてください。1)小学校の先生である。2)書店で働き、ヨガ教室に通っている。3)フェミニスト運動に積極的である。 4)精神障害に関するソーシャルワーカーである。5)女性有権者同盟の会員である。6)銀行の窓口係である。7)保険の販売員である。8)銀行の窓口係であり、フェミニスト運動にも積極的である。解答は後日
2013.12.26
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福島県の農家は農産物を売って生活している。きちんと検査をして安全を確認して売られているにもかかわらず、放射性物質に対する不安からどうしても敬遠されやすい。不安だという人に無理に買えとは言わないが、不安を煽るような行為は慎むべきだろう。 風評によって福島県産の農作物を敬遠する行為は差別に他ならないと気づいた中学生の作文が内閣総理大臣賞を受賞した。以下はその記事。作文自体はここで読める。(pdf)全国中学生人権作文コンテスト 古川の大沼君、最優秀賞 法務省は28日付で、人権問題をテーマにした第33回全国中学生人権作文コンテストの入賞作品を発表した。最優秀の内閣総理大臣賞には大崎市の宮城県古川黎明中3年大沼逸美(いいみ)君(14)=宮城県大崎市=の「それでも僕は桃を買う」が選ばれた。 大沼君は夏休みの家族旅行中に福島県内で、福島産の桃を欲しいとせがむ子に母親が「駄目」と説き伏せる姿を見た。その出来事から、自分がかつて、中国籍であることを理由に友人から「黙れ、中国人」と差別されたことを思い出したという。 作文は、見掛けた母親が「だって福島産だよ」と言った言葉と、自分が投げ掛けられた言葉を重ね合わせて差別について考え、差別をなくすことの大切さを訴えた。 大沼君は「まさか全国で1位とは驚いた。うれしい」と喜ぶ。母子の会話から、自分も福島産のモモに偏見を持っていたことに気付いたという。「よく理解していないのに、偏見や差別はよくない。相手を知る姿勢と思いやる想像力を大切にしよう、と訴えたかった」と笑顔で語った。 人権作文コンテストには6930校から過去最多の94万1146人が応募。テーマ別では、いじめを題材とした作品が約30%と最多で、戦争・平和や障害者問題をテーマにした作文も目立った。 東北ではこのほか、横手市十文字中3年斎藤和奏(わかな)さんの「思いやりの心で支えてあげたい」が法務省人権擁護局長賞に選ばれた。2013年11月28日木曜日 河北新聞社 良く書けた作文だと思う。特に最後の方は中学生としてはとてもしっかりした考えだと思う。以下にその部分を引用する。 二十一世紀の今,日本そして世界中のあちこちで,いまだに多くの偏見や差別が残っている。生まれた地域や肌の色,病気,そして,福島原子力発電所のように事故に関係するものなど様々だ。それらの偏見や差別の根本にあるのは,何なのだろう。僕は,警戒心ではないかと思う。よく分からないから,見えないから怖く疎ましく,自分から遠ざけようとする。その気持ちが,偏見や差別を生むのだ。 では,どうすれば,私達は警戒心をもたず,この世界から,偏見や差別をなくすことができるのだろうか。その鍵は,二つあると僕は考える。一つは,他の人のことをよく知ろうとする姿勢。もう一つは,他の人の気持ちを思いやる想像力。この二つが,未知のものへの警戒心を取り去ってくれる。 偏見や差別を,この世界からなくすことは本当に難しいかもしれない。けれども,二つの国の良さを知っている僕は,相手を知ろうとする姿勢と思いやる想像力をもち,周囲の人に接していこうと思う。いつかきっと,お互いを慈しみ合う世界になることを信じて。 この作文が気に入らないと悪意ある発言をしている人たちがいる。たとえばこんなツィートとかこんな掲示板 を見ると、悪意ある発言が満載だ。 昨今の風潮を見ていると、このように意図的に差別を拡散しようとしている人も多い。福島県は人の住めるような所ではなく、福島産の農産物は毒であるということにしたい人たちや、特定の民族は全員ろくでなしということにして、ヘイトスピーチを続ける人たちが実際にいる。 そういう人たちにこの中学生の気持ちが通じることはないだろうが、知りもしないで単純に不安に思っている人たちには、まず知ることから始めて欲しいと思う。
2013.12.02
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麻酔科医の不足から、一部では、麻酔看護師制度を望む声があります。でも、日本の看護師のレベルは麻酔をまかせられるようなものなのでしょうか。こんな事故が起こるようだと、はなはだ疑問だと言わざるを得ない気がします。 まあ、半隠居の身としては、麻酔への期待が麻酔看護師制度を支持するものであれば、それでも良いのですけどね。もちろん私自身が麻酔を受ける場合には、知り合いの麻酔科医に頼みますけど。女性看護師を書類送検=喉の穴ふさぎ患者死亡—愛媛県警 2013年 9月 12日 13:02 男性患者の喉に開けた呼吸穴を誤ってふさぎ窒息死させたとして、愛媛県警松山東署は12日、業務上過失致死の疑いで県立中央病院(松山市)の女性看護師(27)を書類送検した。同署によると、「自分の行為で死なせてしまい反省している」と容疑を認めている。 送検容疑は2011年12月3日午後2時半ごろ、入院中の男性患者=当時(70)=の喉に開けた永久気管孔に通気性のない医療用テープを貼り、窒息死させた疑い。 同病院によると、男性は咽頭がんのため永久気管孔で呼吸する必要があったが、看護師は手術後の傷と勘違いした。男性は誤った処置の約2時間半後に死亡した。 [時事通信社]
2013.09.12
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妻が旅行中なのを良いことに、少々飲み過ぎた。 こういうときは、夜中に目が覚めてしまうことが多い。 案の定、2時に目が覚めてしまった。 どうせ今日はお休み。世界卓球でも見ることにした。 テレビを点けたら、数年前のビデオを放送しているようだった。 あのときの松平健太は調子が良くて、後一歩の所まで馬・琳を追い詰めたのだ。 絶好調の健太、焦る馬・琳。懐かしい。 と思ったら、記憶と展開が違う。 画面の左上を見ると、2013と書いてある。 生放送じゃないか。 最近は中国代表の座を明け渡してはいても、馬・琳は今でも世界8位。 遙かに格上を相手にして、ほぼ一方的な試合運び。最後までこんなに都合の良い展開であるはずがないと、ハラハラしながら見ていた。 ところが、最後まで強気の姿勢を貫き、健太が4-1で勝ってしまった。 もう、興奮で眠れない。休みだから良いけど。 ちなみに、健太には兄がいて、最近はこちらが日本代表になっている。 兄の名は、賢二。どうして兄が「二」で、弟が「太」なんだろう。
2013.05.17
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たとえばビルの屋上から飛び降りようとしている人がいるとしましょう。本人の意思を尊重して自由に飛び降りられるように見守るでしょうか。もちろんそんなことはしません。大騒ぎになって警察官や消防士が駆けつけ、対応に当たることになるでしょう。 消防士は飛び降りても無事に済むように保護器具の設置をするでしょうし、警察官は説得しながらも隙を突いて飛びかかり、保護しようとするでしょう。それなのに、宗教がらみで輸血を拒否して亡くなったケースが報道されています。どうして宗教が絡むと命を救ってはいけないのでしょうか。 警察官や消防士は国民の生命と財産を守るという使命を帯びています。たとえ自殺が本人の意志であるとしても、出来る限り生命の保護を優先します。 医師も患者の生命を守ることにかけては警察官や消防士に負けないだけの倫理観を有しています。それなのに、どうして医師だけは患者の意志に反して助けてはいけないのでしょうか。「エホバの証人」信者の家族が輸血拒否…死亡 読売新聞 - 2013年04月16日 青森県立中央病院(青森市)で2011年4月、宗教団体「エホバの証人」の女性信者(当時65歳)の家族が、女性の信仰上の理由で手術中の輸血を拒否し、途中で打ち切られた手術後に、女性が死亡していたことが分かった。 病院によると、女性は同月28日昼頃に体調が悪化して入院。急性硬膜下血腫と診断され、手術が必要となった。女性自身は意識不明だったため意思表示はなく、女性の息子が輸血拒否を申し出て、書面を提出したという。 手術中に出血が止まらなくなり、病院側が説得したが、息子は応じなかった。手術は打ち切られ、女性は同日夜に死亡した。 教団関係者によると、息子は信者ではなく、女性は輸血拒否の意思表示カードを作成していたという。ただ、病院側は入院時は持っていなかったとしている。 記事に書かれていることが事実だとして、関わった医師達は法的にはかなり微妙な立場にいるのではないかと危惧しています。もちろん実際に法的なトラブルになることはないでしょうが、あえて問題提起のために告発するということもあり得ます。 今回の事例では、本人の意思は確認できていないようです。たとえ息子といえども、親の生命を奪うかも知れない決定の全権を持っているわけではありません。本人の意思が確認できないままに生命を救う手段を放棄したのであれば、法的にこじれることはありそうです。 また、大出血をさせなければ死ぬことはなかったわけですから、止血が出来なかったことの原因が稚拙な技術のせいでなかったことを証明できないと、困ったことになりそうです。 実際に訴訟になることはないでしょうが、輸血を拒否したからといって大出血を容認したわけではありません。止血できなかった過誤を問うことは可能です。急性硬膜下出血の手術の際には輸血が必要なことがほとんどであれば問題ないでしょうが、実際にはそうではありません。ケースバイケースです。後からなら何とでも批判できますから、民事で訴えられたら必ず勝てるとは言えない気がします。 ものみの塔はかなり大きな宗教団体のようですから、いっそのこと、自分たちの病院を作ればいいのにと思います。私は患者の意志に関係なく、必要があれば輸血をしますので、私のいる病院には来ないでくださいね。匿名のブログで言っても仕方がないですが。
2013.04.17
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自由の国であり、科学の先進国であるはずのアメリカで、何故か進化論は評判が悪い。宗教的な動機から進化論を教えてはいけないという「反進化論法」が制定されたこともあった。 それに反対してあえて進化論を教え、裁判に持ち込もうとした人たちがいた。こうして行われたのが1925年の「スコープス裁判」である。この裁判は別名「モンキー裁判」とも言われる。 時は遷り、60年代にモンキーズというグループが結成され、人気を博すようになる。この時に反進化論的な風潮に嫌気のさしていたあるプロデューサーが、同じ「モンキー」から触発され、歌詞の中に進化論を肯定するフレーズを潜り込ませた。当時はサブリミナル効果がまだ信じられていたのである。それが1967年にヒットした「デイドリーム・ビリーバー」のさわりの部分である。 今まで生物は何度かの大絶滅をくぐり抜けてきた。絶滅の前後では全く異なった生物相が認められる。それは絶滅によって空いたニッチを埋める生物が進化するためだ。 我々人類にとって最も重要な絶滅は6500万年前の恐竜の絶滅だ。恐竜の絶滅によって、我々ほ乳類の発展が促された。また、恐竜の後継者である鳥類も多くの種を輩出することになる。「デイドリーム・ビリーバー」のさわりの部分はそれを歌っている。Cheer up, Sleepy GeneOh, what can it meanTo a daydream believerAnd a homecoming queen.元気を出して起きなさい、ねぼすけ遺伝子さんああ、遺伝子が元気に起き出したら何が起きるんだろう主流から外れてぼんやりと過ごしてきた生き物や同窓会の女王(古い生物群から派生した際だった生物)に。 要するに、大激変によって主流だった生物群は絶滅し、それまで細々と生きてきたネズミのような我々の先祖が多様化した。また、今では恐竜の子孫とは思えないほど鳥類も多様化した。このような観測事実は科学的創造論やID説ではとうてい説明できない事象である。そういうことを人気グループの勝負曲に潜り込ませたんですね。 知ってか知らずか、この曲はアメリカでも日本でもかなりヒットしました。私の考えるところ、この仕掛け人は、今では 、"Church Of Flying Spaghetti Monster" の同志だろうと思います。 ラーメン! 2013/04/01
2013.04.01
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以下のような記事を朝日新聞で読み、テレビでも見たので信じていました。水族館イワシに迫る危機 「緊張感を」マグロ軍団投入へ 【半田尚子】最近、名古屋港水族館(名古屋市港区)のマイワシがたるんでいるらしい。渦状になってえさを食べる「マイワシのトルネード」が売りの黒潮水槽なのに、群れから離れ、はぐれてしまう。穏やかな環境に慣れたマイワシに活を入れるため、28日に天敵のクロマグロ15匹を投入する。 日本近海を流れる黒潮をイメージした水槽は、高さ5メートル、幅14メートル。体長20センチほどのマイワシから、1メートル以上になるサメやマンボウまで、自然界で共存している魚が泳ぐ。 黒潮が流れる海は沖合で、マイワシが隠れられる岩陰などがない。そのため群れをつくって大きな魚から身を守る。水槽でも群れで泳いでいたが、最近、隅の方を1匹で泳ぐマイワシがいることがわかった。 なぜ緊張感のないマイワシが現れたのか。担当の小串輝さん(46)は「『どうせ自分たちは食べられない』と気づき、油断しているのではないか」と話す。 自然環境に近づけた展示をめざすものの、マイワシが次々食べられてしまっては困る。そのため、捕食する大きな魚には多めにえさを与え、マイワシを追う必要がない満腹状態にしてきた。それが、一部を「増長」させた可能性がある。 体長が3倍もあり、本来ならマイワシをえさにするカツオと、アジの切り身を奪い合う怖いもの知らずもいるという。緊張感を取り戻すのに効果が期待されているのが、高速で泳ぎ回る大きなクロマグロだ。 いまの水槽にも1メートル以上のものがいるが、2匹なので存在感は薄い。そこで、三重県南伊勢町の養殖場で育った体長60~70センチの15匹を援軍として水槽に入れることにした。 小串さんは「怖いマグロの存在で、『食べられるかも』という緊張感を持って群れを作ってほしい」と話す。■シュモクザメ失敗、マンボウは善戦 これまでマイワシに活を入れるために黒潮水槽に投入された魚は3種類。成果はおもわしくない。 両目がハンマーのような形に左右に飛び出したアカシュモクザメ(体長120センチ)は鹿児島県から来たが、水槽の低い水温が合わず死んだ。サワラ(体長50センチ)も、尾をぷりぷり振って泳ぐ姿がサメの注意をひき、かじられて死んだものがいた。 存在感で群を抜くマンボウ(体長90センチ)は、それなりに善戦している。現在5匹。大きな体でのんびり泳いでいるだけのようだが、マイワシはマンボウを避けて泳ぐ。 名古屋港水族館は、クロマグロに続き、黒潮流域に生息するバショウカジキの投入も検討している。 その後、記事は捏造であるというサイトを見つけた。当水族館の飼育係です。実は連日の報道の目的の部分「イワシに喝を入れるためにマグロ投入」はマスコミの創作です。最初に記事を見て職員はみんな驚きました。そのような話はしていなかったからです。もともとこの水槽には20尾くらいのマグロがいましたが、マグロの飼育は難しくだんだんと減ってきたので追加するというだけの話なのです。マグロの搬入はほぼ毎年行っています。これまでイワシが群れから離れることに飼育係が問題視したことはなく、ましてや危機感を抱いたことは一度もありません。そこも水族館の面白いところだと考えているからです。イワシの群れに影響は出るとは思いますが、食べられることはそうないことはわかっているのでそこに関心はあまりありません。また、イワシより搬入したマグロの方がビビりな上にサイズも「60~70cm」と小さいですので影響が出るまで数か月かかると思います。最初に朝日の記者が創作して、その記事をもとに取材陣が殺到しました。1社ずつきちんと「あの記事は創作で、イワシに喝を入れる目的はありません」と伝えて納得してもらい、その部分も撮影しましたが、編集で全部カットされていました。どの記事も嘘と本当がうまいこと混ざっているので性質が悪いです。昨日共同通信の方にも取材を受けました。その場では納得してもらえたようですが、果たしてどういう記事になるやら... いったいどちらが本当なのやら。
2013.03.31
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世の中には商売のためにことさら恐怖を煽る人たちがいます。怪しげな健康グッズを売りつける人たちなどです。こういう人たちを非難することはたやすいですが、困ってしまうのは善意の人たちです。 原発事故以来、商売にしているとは思えないのに、明らかに事実と異なるデマを言い放つ人がいて、そのデマを積極的に拡散する人たちがいます。意図的に悪意を持ってやっている人もいるでしょうが、正義感に駆られ、善意で行っている人もいるでしょう。 一方でそのようなデマに踊らされ、科学者や為政者への不信感を増大させ、合理的とは言えない行動をとった人々も少なくないのでしょう。 透視下の手術に立ち会う私は、おそらくは福島県の避難地区の近くに住む一般の人よりも放射線被曝量は多いでしょう。それでも全く心配はしていません。その程度の被曝による健康被害はほんの僅かにはあるかも知れませんが、他の因子に隠れてしまうくらい微々たるものだからです。 放射線被曝を過度に恐れ、避難した人たちをおとしめるつもりは全くありませんが、避難に伴うデメリットの方が遙かに多いだろうと思っていました。特に家族が別居した場合、「去る者は日日に疎し」となることは自明です。福島県から避難するのならまだ理解も出来ますが、東京から避難している人もいるようですから、残された夫からしたら「いい加減にしろ」と言いたくもなるでしょう。 私は男ですから、どうしても夫の立場で考えてしまいます。仕事(収入)のために残った夫の立場で考えれば、自分は妻子が危険だと思っているところに取り残され、給料だけ送ってくれればいいと思われている存在なんだと感じるでしょう。短期間なら妻子のためだと耐えられても、二年くらいが限界なんでしょうね。このような記事があります。今回は長いので全文引用はしません。続きを読みたい方はリンク先でお読みください。 このような事例を見ても、善意で放射線恐怖を煽った人たちは何にも感じないんでしょうね。「離婚」突き付けられる妻たち 震災県外避難2年、夫婦の「絆」は限界に 突然届いた離婚調停の書類、止められた仕送り…。東日本大震災から丸2年を迎えるのを前に、夫と離れ、母子で西日本に避難している県外避難者からは「離婚」を迫られる過酷な現実が、被災者支援団体が実施したアンケートから判明した。回答を寄せた182人それぞれが抱える切実な悩みは、夫婦関係、仕事、住まいなど多岐にわたる。支援者らは「避難生活が長引くにつれ、100人100様の悩みが出てきており、悩みを共有できず孤独感を感じている人もいるのでないか」と指摘する。震災後、「絆」の大切さを改めて実感した人たちがいる中で、その絆は着実に危うくなっている。(中井美樹)
2013.03.15
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日本の夜間・休日の医療は、多くは当直(宿直)医によって行われています。宿直というのは電話番や定時の巡回などの限られた業務を行い、十分な睡眠のとれる内容とされています。救急患者を広く受け入れている病院での夜間・休日の診療は、当然のことながら宿直の業務の範囲を超えています。 昼間通常の勤務を終えた医師に、通常勤務をせずに十分な睡眠をとれることが建前の当直業務を僅かな当直料で行わせ、その実態が通常業務と同様の診療行為であり、ろくに眠れず、また翌日も通常の日勤業務を行わせているとしたら、これは明らかな労基法違反です。 このような事例を法的に争えば、まともに考えれば使用者側が負けるに決まっています。それなのになぜ最高裁まで争ったのかと言えば、不法行為が日本の常識だからでしょう。 冒頭に述べたとおり、日本の救急医療は不当労働行為によって支えられています。それがいけないと言うことになれば、救急医療そのものが成り立ちません。単に、当直料ではなく時間外の給与を払えば良いというものでもありません。32時間連続勤務などということが許されて良いわけがないからです。 何はともあれ、民事とはいえ当直医に通常業務を行わせることは違法であるという最高裁判決が出ました。今までと同じことを続けていけない以上、今後の医療のあり方を社会全体で考えなければなりません。 まずは、不要不急の受診の抑制が必要だと思われますが、そのためには医療相談などのシステムの構築が必要です。でも、何か問題が起きたらすぐに責任を問うような体質が改まらない限り難しそうです。もうすぐ引退する私には、医師としては他人事ですが、患者としては他人事ではありません。どうなるのでしょう。医師当直は時間外労働…割増賃金命じた判決確定 奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が県を相手取り、夜間・休日の当直勤務に対して割増賃金を支払うよう求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日の決定で県側の上告を退けた。 当直は労働基準法上の時間外労働に当たるとして、県に計約1540万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。 同法は、時間外や休日に労働させた場合、通常より割り増しした賃金を支払うと規定。2人は2004~05年、各年100回以上の当直をこなしたが、県は「医師の当直は待機時間が多く、時間外勤務に当たらない」として、1回2万円の手当だけ支給していた。 1審・奈良地裁判決は、原告らが当直中に分娩ぶんべんの取り扱いや救急医療を行うなど、勤務時間の4分の1は通常業務に従事し、待機時間も呼び出しに応じられるよう準備していたなどとして、県には割増賃金を支払う義務があると指摘。2審・大阪高裁も支持していた。(2013年2月13日20時10分 読売新聞)
2013.02.16
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今日はなにやら人類滅亡の日らしい。本気で信じる人はほんの一握りだろうが、それでも絶望した人による事件も起きている。私としては今日の忘年会で楽しく酔っ払っているので、このまま世の中が終わっても良いかな。でも、忘年会の衣装のまま、かなり恥ずかしい人生の終わり方をする職員もいるかも知れないな。買い占め・避難・方舟チケット… マヤ暦予言、各地混乱朝日新聞デジタル 2012年12月21日【林望=北京、副島英樹=モスクワ、小坪遊】古代マヤ暦の予言で「人類滅亡の日」とされる21日、滅亡自体は今のところ起きていないが、デマで生活必需品の買い占めが起きたりした国々では、騒ぎを楽しむ人も加わって混乱が続いた。 ロウソクの買い占め騒ぎや、避難用の船やカプセルを造る人が各地に現れたりした中国では、21日は平静だったものの、デマの背後にあるとみられる宗教集団「全能神」への当局の摘発が続く。21日付の夕刊紙、法制晩報によると、拘束者は16の省や自治区で1300人を超えた。首都北京でも拘束者が出ている。 やはり買い占めなどが起きたロシアでも、プーチン大統領が20日の一斉記者会見で「世の終わり」について聞かれ、「(太陽が寿命を迎える)45億年後に全てが終わる」と述べて21日の滅亡を否定した。メドベージェフ首相も7日のテレビ討論番組で「私は世の終わりを信じない。いずれにしろ今年は」と述べた。 だが騒ぎを楽しむ市民も少なくない。中国の地元紙によると、ネット通販最大手の淘宝で「ノアの方舟(はこぶね)チケット」と称する商品は1700種類を超える。大半は友人や恋人などに贈る「ジョークグッズ」だが、過去1カ月で40万元(約500万円)を売り上げた出品者もいるという。 ロイター通信によると、キリストが埋葬された「聖地」といううわさがあるフランス南部の村ビュガラッシュには、世界最後の日の避難所になるとして生き残りを図る人を取材しようと報道陣が殺到。警察官が警備しているが、「世界の終わり酒場」を開店してもうけている村人もいるという。 英BBCなどによると、メキシコやグアテマラなどのゆかりの地では関連行事も開かれ、日本からも少なくとも20人が現地を訪れる。企画したユーラシア旅行社は「滅亡の日はあくまでお祭り的な要素としてとらえてもらっている」といい、年内に帰国する予定だ。
2012.12.21
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前回に続き、動画ニュース“Eliminating measles ? personal stories”からもう一つの事例を紹介します。事例2“Max fell ill when he was six months old. He was still a baby. He probably contracted measles at his brother’s kindergarten. He got really sick. But after one week, the symptoms disappeared and after that, he developed normally. It was all forgotten, everything was back to normal. That’s what we thought,” explained his father R?diger Sch?nbohm. Measles had however triggered a subacute sclerosing panencephalitis, or SSPE, a rare chronic, progressive and fatal neurological pathology. One case in 25,000 throughout all age groups, rising to one in 8,000 in children infected under the age of two. The first symptoms appeared 10 years after the infection. His mother, Anke Sch?nbohm a trained nurse, explained: “He has been in a persistent vegetative state since April 2006.”「マックスは月齢6ヶ月の時に病気になりました。まだほんの赤ちゃんの時のことです。おそらくはお兄ちゃんの幼稚園で麻疹をうつされたのでしょう。非常に具合が悪かったのですが、一週間後には症状もなくなり、その後は何ともありませんでした。すべては忘れられ、何もかも元通りに戻ったのです。そのときはそう思いました」父親のR?diger Sch?nbohm はそう説明しました。しかしながら、麻疹は亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の原因となるのです。それはまれで、ゆっくりと進行する致命的な神経病変です。全年齢では25,000人に一人の発症率ですが、2歳以下で感染した場合には発症率は8.000人に一人にまで跳ね上がります。最初の症状は感染の10年後に現れました。彼の母親で有能な看護師でもある Anke Sch?nbohm は次のように説明しました。「彼は2006年の4月以来植物状態にあります」。 95%以上の人が免疫を持てば、ウィルスが循環するだけの数を維持できなくなり、麻疹は根絶します。ところが、最近のヨーロッパでは麻疹の患者はかえって増えています。2010年、2011年の麻疹の発生数はヨーロッパ全体で年間30,000人以上です。これは2009年の4倍に当たるそうです。 マックスは月齢6ヶ月の時に感染しました。みんながワクチン接種をすることになっていたとしてもまだ接種する年齢ではありませんでした。でも、感染者がほとんど居ない環境であったなら、マックスも感染することはなかったでしょう。 どんなことにもリスクはありますから、ワクチンにもリスクはあります。それでも、実際に麻疹にかかるよりは安全です。そして、今の世代全員がワクチンを接種することで麻疹を根絶することが出来れば、その後に生まれた子供はワクチンを接種する必要がなくなるのです。今の子供が天然痘の種痘を必要としないように。
2012.04.07
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麻酔というのは他科の医師から見たら簡単だと思われているかも知れません。実際、いくつかの症例を無事に麻酔するだけなら難しくないと思います。でも、無事に麻酔を終えることを一生涯続けることは難しいのではないかと思っています。 麻酔というのは基本的に無事に覚醒することが当然と考えられていて、術前から全身状態が非常に悪いとか、肺塞栓症やアナフィラキシーのようなまれな併発症などを除けば、死亡すれば事件となりかねません。事件となれば、当然警察が入ってきます。全身麻酔の4歳児死亡、担当医師を書類送検へ 福岡市博多区の整形外科医院で2010年4月、同区の男児(当時4歳)が骨折したひじの手術を受ける際、全身麻酔の直後に心肺が停止し、約2か月後に死亡した問題で、福岡県警は3日、男児の容体の急変に気付くのが遅れ、適切な処置を怠ったことが原因だったとし、麻酔を担当した同院の男性医師(40歳代)を業務上過失致死容疑で福岡地検に書類送検する。 捜査関係者などによると、男児は10年4月9日、通っていた幼稚園で、鉄棒から落ちて右ひじを骨折、同院を受診した。医師は、男児の骨折部位を固定する手術のため、全身麻酔を実施。その後、男児の容体は急変し、同年6月18日、転院先の病院で多臓器不全で死亡した。 県警は、医師が、男児の全身麻酔で、呼吸を確保するチューブを挿管する際、容体を管理する機器を注視しておらず、容体の悪化に気付くのが遅れたことを重視。その後、早急に救急病院に搬送するなど適切な措置をとる注意義務を怠ったため、男児が死亡するに至ったと判断したとみられる。(2012年4月3日 読売新聞) 記事では麻酔導入時の心電図や血圧といった生体情報(バイタルサイン)のモニターを怠ったことが問題とされているように読めます。でも、私が問題にするとしたら、容態が急に悪化した原因です。もちろんモニターしていれば容態の悪化には気が付いたでしょうが、それより容態を悪化させないやり方をしていたのかどうかが問題ではないでしょうか。 子供の麻酔には大人とは違った難しさがあり、いろいろと想像することは出来ますが、想像はあくまで想像です。きちんとやっていても容態が悪化することはありますので、ここではコメントしません。でも、実際のところ、何があったのだろう。そもそも麻酔を担当したのは麻酔科医だったのだろうか。
2012.04.03
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AfSA(アフリカ麻酔科学会)によりますと、マタタビの成分であるマタタビラクトンの誘導体、マタタビメチルラクトンに強い鎮痛作用と鎮静作用のあることが分かりました。また、呼吸・循環抑制作用はほとんど無くコストも極めて安価であるため、麻酔薬として有望との声が上がっています。 マタタビメチルラクトンは液体で、静脈注射が可能です。現在の静脈麻酔はプロポフォールとレミフェンタニルとの組み合わせが主流ですが、呼吸・循環抑制作用が強く、人工呼吸や循環動態のモニターが必須です。 現在までのところマタタビメチルラクトンは動物実験の段階で、安全性についての評価は出ていません。安全性が確保されれば、発展途上国や災害の現場での麻酔に極めて有用と思われます。なおAfSAは、この薬剤は日付に注意して評価を考えるべきだと勧告しています。追伸「麻疹ワクチンは必要なんだ論2」は後日とさせていただきます。
2012.04.01
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前回のエントリの事例について、勤務先の産婦人科医に聞いてみた。記事からは分からないこともあるので、以下のような仮定での話。腹痛などの症状のない女性が妊娠の有無の確認のため受診。妊娠反応陽性で、エコー検査で子宮内妊娠が確定できない。HCG検査で子宮外妊娠の可能性も十分にあることが判明。(受診終了後)この場合でも、電話で検査結果を知らせることはしない。検査結果は受診して告げられるもので、電話で知らせる契約があるとは認識していない。知らせた方が親切であるかも知れないが、親切と法的義務は異なる。今は辞めた高齢の医師(私より若い)が中心だった頃は、一週間後に来るよう指示していた。今はさすがにもっと早く受診するように話している。以上が答えだった。うちも6700万円賠償するのだろか。
2012.02.02
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根治不能のガンに冒されたからと言って、標準医療に意味がないわけではありません。化学療法は根治的医療とは言えないかも知れませんが、延命効果はあります。また、ガンによる疼痛などの不快な症状を緩和する手段もあります。根治不能と言われたからといって、効果の怪しい代替医療に走ることはお勧めしません。 怪しい代替医療は絶望の淵にいる患者の弱さにつけ込みます。直らないのなら失うものはないという心理に陥るかも知れませんが、失うものはあります。死に至るまでの時間、その間の生活の質などは標準医療そのものによる効果で本来得られるはずのものです。それ以外にも高額の金銭を失うでしょう。ガンに効果があると称する代替医療は、たいてい高額の治療費がかかります。そんな実例を知りたければ、以下のリンク先をご覧下さい。http://transact.seesaa.net/article/240498783.htmlhttp://d.hatena.ne.jp/NATROM/20111222https://aspara.asahi.com/column/gantotomoni/entry/8T0HdyYzdp
2011.12.23
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暴言癖のある大学教授は一人ではないが、群馬大学教授で暴言癖のある人と言えば一人しか思い当たらない。火山学者の早川由起夫教授だ。今までにもネット上で暴言や戯言を繰り返し、批判もある。意図的な嘘なのかおっちょこちょいで事実誤認をしやすい人なのか分からないが、とんでもない事実認定からとんでもない方向に思考が飛んでしまって、それをそのまま垂れ流してしまう。どれだけ批判されようと、修正の利かない人なので始末が悪い。 今までもいろいろと物議を醸してきたが、私が注目しだしたのはホメオパシー関連の発言からだ。この発言だけでも大学から注意があってしかるべきだと思ったが、今度はこんな発言をしている。内容はこんな具合。ちなみに、サリンつくったオウム信者はひとりも罰せられていません。マインドコントロールされてつくったと解されて、罪を不問にされています。さて福島農家はどうでしょうか。知っていてつくったのではありませんか。自分の孫に食べさせられないものを出荷したのではありませんか。 サリンを作ったオウム信者が有罪判決を受けているのは土谷正実死刑囚の存在を見れば分かる。また、福島県の農家は被害者の立場で、加害者であるかのような発言はもちろん不適切だ。ホメオパシーのレメディーを与えられ、ビタミンK不足で亡くなった子の母親に対する態度でも同様だが、悲しみにうちひしがれる人を見ると叩かなければ気が済まない性格らしい。 さすがに大学も黙っていられなくなったのだろう。おそらくは口頭でいい加減にするよう言い聞かせては居たのだろうが、もちろんそんなことで引き下がる早川氏ではない。仕方がないので経歴に傷の付かない処分を下し、逃げ場を作ったというのが以下の記事の顛末ではないかと想像する。これで引き下がらないと、本当に懲戒処分をしなければならなくなるが、その方が世のためかな。早川由紀夫教授に群馬大学長が訓告「不適切な発言」 オルタナ 12月8日(木)12時36分配信群馬大学の高田邦昭学長は7日、ツイッター上で東京電力福島第一原発事故に関連する発言を続ける同大学教育学部の早川由紀夫教授に対して「不適切な発言をすることがないように」と訓告を行った。早川教授は東電原発事故で拡散した放射性物質の濃度をわかりやすく図示した「放射能汚染地図」を作成していることで知られるほか、ツイッター上で放射性物質による汚染の拡大などに関してさかんに言及。「福島県内でセシウムに汚染された米や牛を育てる行為は、サリンを製造したオウム信者と同じ」という趣旨の発言を繰り返し行っている。同大学広報部の担当者は8日、「早川氏の発言は福島県の農家らを傷つけるもの。繰り返し注意を行ったが、改まらないため、訓告に踏み切った」と語った。(オルタナ編集部=斉藤円華) 他にもこんな発言があります。http://twitter.com/HayakawaYukio/status/79382519203635200 http://twitter.com/HayakawaYukio/status/91252570936451072 http://twitter.com/HayakawaYukio/status/91589780575494144
2011.12.09
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私はどうしても検察審査会というものを信用できません。人間というのはどうしても結果論で考えるものです。心理学では「後付けバイアス」と言うようです。司法関係者がどれだけいろいろなバイアスに通じているのかは疑問ですが、それでもずぶの素人よりはマシだろうと思います。 日常では人が死ぬと言うことは大変なことですが、医療の現場では逆に死が日常なのです。そこで結果論で判断され、人が死んだのだから誰かの責任であるかのように思われたら堪りません。 以上はあくまで一般論で、以下で紹介する記事の事例にも当てはまると言っているわけではありません。いつものように、記事からは何も分かりませんから判断のしようもないのですが、どうやらこの事例のようですね。虫垂炎症状見逃し患者死亡 医師の不起訴「不当」…検察審議決 患者の虫垂炎の症状を見逃して死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検され、大阪地検が不起訴(嫌疑不十分)とした40歳代の男性医師について、大阪第3検察審査会が「漫然と診察し、血液検査など最低限の検査を怠った」として、不起訴不当を議決したことがわかった。 10月26日付の議決などによると、医師は2006年11月、大阪府内の病院で当時43歳の男性患者を診察。風邪と診断したが、患者は翌日死亡した。解剖の結果、死因は虫垂炎による敗血症ショックで、診察時にすでに虫垂炎を発症していたとみられることがわかった。 遺族は「診察時に腹痛を申告していた」と主張したが、地検は今年7月、カルテに腹痛の記載がないなどとして不起訴にし、遺族が同審査会に申し立てていた。(2011年11月26日 読売新聞) この記事についてはYosyan先生のブログに詳しい事情があります。遺族側の情報はこれである程度分かるのですが、刑事被告人候補の医師の言い分が分からないので、ここでは判断はしません。 この事例の是非はともかく、日常の診療を、刑事被告人にならないように気を遣いながら行うのはイヤだなあ。
2011.11.29
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うちの病院の駐車場は、車高の制限があります。全高2.1m以上の車だと天井にぶつかるおそれがあるため、入り口に「高さ制限2.1m」との表示があり、その下に黒と黄の縞で塗られたバーがかかっています。このバーに触れるような車は高さ制限を超えており、入場できないという意味なのですが、これは理解の難しいことでしょうか。「このバーに当たる車は入場できません」と表示するという手も考えられますが、あまりごちゃごちゃと詳しく書くと読んでもらえないおそれもあり、悩ましいところです。 どうしてこんな事を書くかというと、先日、「車がこすれてしまうのでバーをもう少し上げて欲しい」という投書があったからです。投書した人はバーがどうしてかかっているのか理解できてないと言うことなのでしょうか。それとも分かっていて安全域を少なくしろと言っているのでしょうか。
2011.11.24
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今までにも何度か書いたことと思いますが、日本の救急医療は「なんちゃって救急医療」です。第三次救命救急センターの看板を上げていても、夜間休日は救急専門医ではなく、各科の医師が交代で救急医療を行っているところが大半です。しかも、夜間はシフト制の夜勤ではなく、本来診療を行ってはいけないはずの宿直医が救急患者を診ているのです。 こんな状況で理想的な医療を行わなければ保険会社からも訴訟を起こされるとなれば、もう診た者負けですね。おそらく被告の香川大学は、市中病院から見たら、ずっと高度な医療をしたのだと思いますが。AIU保険、香川大を提訴 香川大病院(香川県三木町)が適切な措置を怠ったため、交通事故の被害者に重い後遺障害が残ったとして、損害保険大手のAIU保険が同大学を相手取り、被害者らに支払った自動車保険金の半額約1億7500万円の損害賠償を求める訴えを高松地裁に起こしたことがわかった。 訴状などによると、香川大病院は2003年9月、知人運転の車で事故に遭った20歳代女性の救急搬送を受け入れた。女性は入院後、首の脱臼が原因の手足のまひを発症。女性は知人に対して損害賠償訴訟を起こし、高松高裁で約2億2600万円の支払いを命じる判決が確定した。AIU保険は判決確定までの医療費などを含め3億4876万円を被害者らに支払った。 AIU保険は「搬送時にまひはなかった。香川大病院が速やかに首を固定しなかったため、脊髄損傷が広がった」と主張、2分の1の負担を求めて提訴した。 AIU保険の広報担当者は「個別の訴訟案件については答えられない」とし、香川大の担当者は「係争中で、具体的なことはコメントできない」と話した。 医療事故情報センター(名古屋市)理事長の柴田義朗弁護士は「保険会社が医療過誤を問う訴訟は珍しい。同様の訴訟が増える可能性がある」と話している。(2011年11月7日 読売新聞) 整形の専門医によると、麻痺の程度は打撃時にほぼ決まっていて、早く固定しても関係がないそうです。たとえ裁判で負けなくても、訴訟につきあうだけでも気が萎えるでしょうね。
2011.11.12
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平成21年の食中毒による死者はゼロだったのですが、今年は残念ながらそういうわけにはいきませんでした。またその原因が何とも情けないことに、食の安全よりも金儲けを優先したことでした。 他の記事では焼き肉店だけの責任のように思えましたが、以下の記事を見ると食肉販売業者も承知の上のように思えます。事実だとしたら無関係とは言えないのではないでしょうか。 また、この記事には書かれていませんが、食中毒の患者の中には1歳児も含まれているとのこと。死ななくて良かったと思いつつ、1歳児に生肉を食わせるなよ、と思いました。肉販売業者もユッケ用と認識、加熱用殺菌し納入 富山県砺波市の焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」砺波店で、生肉のユッケを食べた同県高岡市の男児(6)が腸管出血性大腸菌「O111」に感染し、死亡した集団食中毒で、東京都板橋区の食肉販売業者がユッケ用と認識しながら、加熱用の肉を殺菌消毒して卸販売していたことが1日、食肉販売業者などへの取材でわかった。 同チェーンを運営するフーズ・フォーラス社(金沢市)も加熱用と認識しており、取材に対し、「安く仕入れたかった」と説明している。 同チェーンでは4月、福井市の店舗で食事をした男児(6)も「O111」に感染し、死亡しており、富山、福井両県警は、業務上過失致死容疑の可能性もあるとみて店側などから事情を聞いている。 食肉販売業者によると、フォーラス社から商談があったのは2年前。厚生労働省の基準に沿った生食用の肉は扱っていなかったが、アルコールで殺菌し、真空パックに入れる安全対策を講じることでフォーラス社と話がまとまったという。 業者は取材に対し、「ユッケに使うことは聞いていた」としたうえで、「生食用でない肉をユッケに使うかどうかは、あくまで買った側の判断」と話している。(2011年5月2日03時30分 読売新聞)
2011.05.02
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詐欺・悪徳商法やトンデモ説に対するワクチンとしてDHMOネタをエイプリルフール用に用意したのですが、ついつい「今回の東日本大震災においてもDHMOを吸引したことで多くの人命が失われた」などと書きたくなって、不謹慎な表現になりそうなのでやめました。そうしたら、いつもお世話になっている「NATROMの日記」で、秀逸なネタを発見。楽しいだけでなく、今問題となっている放射線の害についてもわかりやすい解説になっている。また、コメント欄も、分かっていて楽しんでいる人がほとんどで素晴らしい。それが分からなくて、自分だけがネタだと知っていると思っている人も居て、ほほえましい。
2011.04.03
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何の後ろ盾もない個人が組織を相手に戦うのは大変なことです。理不尽な扱いを受けたとしても、その証拠を集めることも大変ですし、資金にも限りがあります。たいていは泣き寝入りするほか無いのですが、たとえかなわぬまでも、一矢を報いたいと戦いに臨む人はいます。一寸の虫にも五分の魂と言うわけです。個人が組織を相手に無謀とも思える訴訟を起こしたとき、私はこのような構図を浮かべていました。ついこの間までは。 腎不全のため、血液透析を必要としているある患者(患者X)が いました。患者Xはある医院(A医院)で透析を受けていましたが、特定の女性看護師に執着し、ほかの看護師の関与を拒否するようになりました。当然のことながらトラブルとなり、A医院の看護師全員が関わりを拒否するようになりました。こうしてA医院での透析ができなくなったのですが、透析を受けなければ患者Xは死んでしまいます。紹介元の病院(B病院)の腎臓専門医(医師Y)は、次の施設を探しながら、それまでの透析をB病院で続けました。そして何とか次の医院(C医院)を見つけて患者Xの透析を依頼しました。ただし、書面上はA医院からC医院への紹介です。 ところが、医療の世界は狭いもので、A医院での悪評はすぐにC医院に伝わりました。実は看護師同士で交流があったのです。悪評を知ったC医院は診療を断りました。仕方なく、医師Yはさらに次の医院を探して、結局その医院が患者Xを受け入れました。こうして患者Xは透析を続けられることとなり、命をつなぐことができました。医師Yは患者Xの命の恩人として感謝されこそすれ、恨まれる筋合いは全くないはずです。 ところが患者Xは何を勘違いしたのか、C医院で断られたのは医師Yが告げ口をしたからだと思いこみました。そこで、B病院に苦情を申し入れました。医師Yの誹謗中傷によって透析を妨害されたというわけです。同じ事を警察にも相談し、A医院から医師Yに注意するように(警察から)指導して貰った(患者X談)とのことです。 悪いことに、昨今は苦情に対してはとりあえず下手に出る風潮となっています。また、患者Xは自分のことだと分からないように医師Yに注意をするようB病院に対して求めていましたが、そんなことは不可能なので、事務方が当たり障りのない謝罪もどきの返事を出したようです。その対応に気が大きくなったのか、患者Xはなんと医師Yを被告として慰謝料請求の訴訟を起こしたのです。 当然のことながらこんな訴訟で原告に勝ち目はありません。結局は原告敗訴で結審し、過日判決が確定しました。患者Xは弁護士費用と裁判の費用でかなりの出費があったはずです。(請求は少額ですが、裁判の進め方を見ていると少額訴訟制度の利用ではなさそう) 発端は自分の不始末で、明らかに自業自得です。でも、その自覚はみじんもありません。本人は当然自分が勝つものと思っていたようです。満額は無理でも、四分の一くらいは取れると思っていた節があります。訴訟前の調停では、実際に裁判所はそれくらいの額の和解勧告を出していました。世の中は弱者とされる者には甘くできていて、患者Xも、それに期待したのでしょう。判決では証拠による事実認定に徹してくれたので、問題なく原告の請求は棄却されました。 医師Yの代理人は弁護士がつとめ、その費用はB病院が負担しました。諸経費を含む費用は慰謝料の請求額を超えていたものと思われますが、それでも不当な請求を蹴った行為は正しかったと思います。
2011.02.14
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いくら結果が悲惨であろうと、うっかりミスに刑事罰を与えることには反対(行政処分なら可)なのですが、システムで防げる事故は、やはり防いで貰いたいですね。 手術の際に、患者の取り違えや左右の取り違えというミスは何度か起きています。そのようなミスを他人事にしないで再発防止に役立てれば、被害を受けた人も少しは救われるでしょう。 今では多くの病院で患者取り違えや手術部位の間違いを防ぐ手段が講じられていると思います。うちの病院でも患者にはネームバンドを着けて貰い、手術室に入室するときには患者が自分で名乗り、受ける手術(左右を含めて)を言い、看護師が二人でネームバンドと手術申し込み票を確認することになっています。 麻酔導入前には麻酔科医が患者を確認し、手術前には術者、麻酔科医、看護師が全員で患者名と術式(左右の確認も)を確認するタイムアウト制を採用しています。それで完璧かどうかは分かりませんが、出来ることはするべきなのでしょう。 以下は一年前に起きた事故の記事です。健常な腎を摘出され、癌を残されたのですから堪りません。チェックシステムがなかったのだとしたら、医療安全に対する意識が低いと判断されても仕方がないでしょうね。現場の個人に任せていたら、必ずうっかりミスは起きますから。医師2人を書類送検 左右取り違え腎臓摘出 2011年2月7日 提供:共同通信社 栃木県警小山署は4日、腎臓がん手術の際、左右を取り違えて正常な腎臓を摘出したとして、業務上過失傷害の疑いで、小山市民病院(同県小山市)に勤めていた男性医師2人を書類送検した。2人は容疑を認めているという。 送検容疑は昨年2月10日、同病院の泌尿器科長で執刀医だった男性医師(49)と別の男性医師(40)は、小山市の男性患者(70)の手術で健康な左の腎臓を誤って摘出、損失させた疑い。 小山署によると、執刀医は手術箇所の皮膚に印を付け忘れ、もう1人の医師はコンピューター断層撮影写真の裏表を間違えて示したため、左側を摘出したという。 同病院は、男性患者は転院先で抗がん剤治療を受けており、容体は安定していると説明している。
2011.02.08
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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 癌の治療成績が以前とは比べものにならないほど上がって来ているとしても、やはり根治療法の出来ない患者は居ます。でも、抗がん剤も進歩していて、そのような患者が以前と比べてずっと長生きして居るなあと実感しています。 それでも、癌と診断され、もはや根治療法が不能と言われれば、藁にもすがりたくなるのが人情でしょう。そのような人に高額で藁を売りつけるあくどい商売がまかり通っています。このような商売は単に効果のないものを高額で売りつける詐欺と言うだけでなく、患者を有効な医療から遠ざけると言う意味でも悪質なものです。今回、それを取り上げた2010年12月28日付朝日新聞朝刊の記事の該当部分を紹介します。ホメオパシーだけじゃない 民間療法規制に壁 ◇ 「香りの水」信じて医療拒否 ◇ 効果が証明されていない民間療法は多い。国民生活センターには2001年度以降、健康食品の苦情や相談が年間1万数千件寄せられている。 昨年10月に肺がんが見つかった神戸市の女性(61)は「もって2年」と診断された。代替療法の本を書いた福岡県の開業医を受診。「抗がん剤は要らない。3カ月で治る」と、植物の香り成分を入れた水を勧められた。信じて通常の医療を一切受けなくなり、1本0・5リットルが2万円の水を毎月26万円分購入。今春、脳への転移が分かった。 闘病中の女性は「命がけだったのに許せない」と憤る。開業医は取材に「治るとか抗がん剤が要らないなどとは、言っていない」と話した。 販売会社の幹部は「顧客は全国に3万人。米国でエイズやがんへの効果も証明済み」という。 指の開き方で、病気を診断するという療法もある。助手が診断用のカードと一緒に患者の患部を触り、もう片方の手の指で輪を作る。診断者がその輪を引っ張って開けば、がんなどの病気がわかるという。がんの刺激が脳に伝わり、指が開くというのだ。 この療法をめぐり、国民生活センターには「歯科医に『肩こりの原因は金属アレルギー』と、治療済みの銀歯を抜かれ、かみ合わせが悪くなった」「『心臓が悪い』などと、高額な布団やネックレスなどを売りつけられた」といった苦情が寄せられている。 療法を広める協会創始者は「効果は証明済み。著名な医学誌に効果を示す論文が掲載された例はないと思うが、一般の医者が原理を理解できないからだ」と主張した。 我々がいくらネットで警鐘を鳴らしても世の中にはなかなか伝わりません。ホメオパシーの時にも感じましたが、やはりマスメディアの威力は絶大です。今回の朝日新聞の記事は、グッド・ジョブです。 ここで紹介したインチキ治療以外にも怪しげな免疫療法やキノコ関係などもありますが、記事では触れられていません。記事にあるような分かりやすいインチキではないからでしょうが、関連する本の広告が朝日新聞にも載ることがあることと関係があると言われるのも辛いでしょうから、こうした良質の記事を書いたのを良い機会として、関連業界と手を切ることを望みます。
2011.01.01
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前回からの続き 朝日の記事については「MRIC by 医療ガバナンス学会」発行のメールマガジンで、東京大学医科学研究所・教授の清木元治氏が以下のように反論しています。(ここに全文あり) 中程のところを引用します。 その1:前提を無視して構図を変える記事づくり記事の中では、ワクチン投与による消化管出血を重大な副作用であるとの印象を与えることを意図して、医科学研究所が提供した情報から記事に載せる事実関係の取捨選択がなされています。まず、医科学研究所は朝日新聞社からの取材に対して、「今回のような出血は末期のすい臓がんの場合にはその経過の中で自然に起こりうることであること」を繰り返し説明してきました。それと関連して、和歌山医大で以前に類似の出血について報告があったことも取材への対応のなかで述べています。これらは、今回の出血がワクチン投与とは関係なく原疾患の経過の中で起こりうる事象であることを読者が理解するためには必須の情報です。しかし、今回の記事ではまったく無視されています。この情報を提供しない限り、出血がワクチン投与による重大な副作用であると読者は誤解しますし、そのように読者に思わせることにより、「それほど重要なことを医科学研究所は他施設に伝えていない」と批判させる根拠を意図的に作っていという印象を与えざるを得ません。事実、今回の記事では「消化管出血例を他施設に伝えていなかった」ということが最も重要な争点として描かれており、厚生労働省「臨床研究に関する倫理指針」では報告義務がないかもしれないが、報告するのが研究者の良心だろうというのが朝日新聞社の主張です(16日3頁社説)。その為には、今回の出血が「通常ではありえない重大な副作用があった」という読者の誤解が不可欠であったと思われます。このことは「他施設の研究者」なる人物による「患者に知らせるべき情報だ」とのコメントによってもサポートされています。進行性すい臓がん患者の消化管出血のリスクは、本来はワクチン投与にかかわらず主治医から説明されるべきことです。取材過程で得た様々な情報から、出河編集委員にとって都合のよいコメントを選んで載せた言わざるを得ません。その2:「報告義務」と「重篤な有害事象」の根拠のない誤用単独施設の臨床試験の場合でも、予想外の異変や、治療の副作用と想定されるような事象があれば、「臨床研究に関する倫理指針」の報告義務の範囲にかかわりなく、速やかに他施設に報告すべきでしょう。しかし、日常的に原疾患の進行に伴って起こりうるような事象であり、臨床医であれば誰でもそのリスクを認知しているような情報については、その取り扱いの優先順位をよく考慮してしかるべきだと考えます。煩雑で重要度の低い情報が飛び交っていると、本来、監視すべき重要な兆候を見逃す恐れがあります。この点も出河編集委員・野呂論説委員には何度も説明しましたが、具体的な反論もないまま、報告する責務を怠ったかのような論調の記事にされてしまいました。「重篤な有害事象」とは、「薬剤が投与された方に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとであり、当該薬剤との因果関係については問わない」と国際的に定められています。また、「重篤な有害事象」には、「治療のため入院または入院期間の延長が必要となるもの」が含まれており、具体的には、風邪をひいて入院期間が延長された場合でも「重篤な有害事象」に該当します。このことも繰り返し説明しましたが、記事には敢えて書かないことにより「重篤な有害事象」という医学用語を一人歩きさせ、一般読者には「重篤な副作用」が発生したかのように思わせる意図があったと判じざるを得ません。実際に、この目論見が当たっていることは多くの人々のネットでの反応を見れば明らかです。その3:インパクトのあるキーワードの濫用本記事を朝刊のトップに持ってくるためのキーワードとして、人体実験的な医療(臨床試験)、東京大学、医科学研究所、ペプチドワクチン、消化管出血、重篤な有害事象、情報提供をしない医科研、中村祐輔教授名などはインパクトがあります。特に中村教授については当該ワクチンの開発者であり、それを製品化するオンコセラピー社との間で金銭的な私利私欲でつながっているとの想像を誘導しようとする意図が事実誤認に基づいた記事のいたるところに感じられます。中村教授はペプチドワクチン開発の全国的な中心人物の一人であり、一面に記事を出すにも十分なネームバリューであります。しかし、本件のペプチド開発者は実は別人であり、特許にも中村教授は関与していません。臨床試験に必要な品質でペプチドを作成することは非常に高価であるために、特区としてペプチド供給元となる責任者の立場です。これらの情報も、取材過程で明らかにしてきたにもかかわらず、敢えて事実誤認するのには、何か事情があるのでしょうか。その4:部分的な言葉の引用朝日新聞の取材に対する厚生労働省のコメントとして「早急に伝えるべきだ」との見解が掲載されています。しかし、「因果関係が疑われるとすれば」というよう前置きが通常はあるはずであり、それを削除して引用することにより、医科研の対応に問題があったと厚生労働省が判断したかのようミスリードを演出した可能性があります。以上のように、朝日新聞朝刊のトップ記事を書くために、医科学研究所では臨床試験の被験者に不利益をもたらす重大な事象さえ他施設に伝えることなく放置しているというストーリーを医科学研究所が提供した情報の勝手な取捨選択と勝手な事実誤認を結び付けることにより作ったと考えざるを得ません。 詳しい事情は知るよしもありませんが、どちらに説得力を感じるかと言えば、清木元治氏ですね。これは同じ医師としての身びいきではなく、当事者の話として話の内容が筋が通っているからです。 これが事実とすれば(おそらく事実でしょう)朝日の記事は捏造と言っても過言ではありません。問題は、 朝日新聞の方が影響力が遙かに大きいと言うことですね。 そのことはホメオパシーの時にも痛感しましたが。
2010.10.21
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ホメオパシーの記事では医療を否定する団体にかなりの打撃を与えてグッドジョブの朝日新聞でしたが、今回の記事はいけません。ほとんど捏造と言っても差し支えないほどです。その記事とはこれ。東大医科研でワクチン被験者出血、他の試験病院に伝えず 2010年10月15日3時1分 asahi. com 東京大学医科学研究所(東京都港区)が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験をめぐり、医科研付属病院で2008年、被験者に起きた消化管出血が「重篤な有害事象」と院内で報告されたのに、医科研が同種のペプチドを提供する他の病院に知らせていなかったことがわかった。医科研病院は消化管出血の恐れのある患者を被験者から外したが、他施設の被験者は知らされていなかった。 このペプチドは医薬品としては未承認で、医科研病院での臨床試験は主に安全性を確かめるためのものだった。こうした臨床試験では、被験者の安全や人権保護のため、予想されるリスクの十分な説明が必要だ。他施設の研究者は「患者に知らせるべき情報だ」と指摘している。 医科研ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔教授(4月から国立がん研究センター研究所長を兼任)がペプチドを開発し、臨床試験は08年4月に医科研病院の治験審査委員会の承認を受け始まった。 朝日新聞の情報公開請求に対し開示された医科研病院の審査委の議事要旨などによると、開始から約半年後、膵臓(すいぞう)がんの被験者が消化管から出血、輸血治療を受けた。医科研病院はペプチドと出血との因果関係を否定できないとして、08年12月に同種のペプチドを使う9件の臨床試験で被験者を選ぶ基準を変更、消化管の大量出血の恐れがある患者を除くことにした。被験者の同意を得るための説明文書にも消化管出血が起きたことを追加したが、しばらくして臨床試験をすべて中止した。 開示資料などによると、同種のペプチドを使う臨床試験が少なくとも11の大学病院で行われ、そのすべてに医科研病院での消化管出血は伝えられていなかった。うち六つの国公立大学病院の試験計画書で、中村教授は研究協力者や共同研究者とされていたが、医科研病院の被験者選択基準変更後に始まった複数の試験でも計画書などに消化管出血に関する記載はなかった。 厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」は「共同で臨床研究をする場合の他施設への重篤な有害事象の報告義務」を定めている。朝日新聞が今年5月下旬から中村教授と臨床試験実施時の山下直秀医科研病院長に取材を申し込んだところ、清木元治医科研所長名の文書(6月30日付と9月14日付)で「当該臨床試験は付属病院のみの単一施設で実施した臨床試験なので、指針で規定する『他の臨床研究機関と共同で臨床研究を実施する場合』には該当せず、他の臨床試験機関への報告義務を負いません」と答えた。 しかし、医科研は他施設にペプチドを提供し、中村教授が他施設の臨床試験の研究協力者などを務め、他施設から有害事象の情報を集めていた。国の先端医療開発特区では医科研はペプチドワクチン臨床試験の全体統括を担う。 厚労省は朝日新聞の取材に対し「早急に伝えるべきだ」と調査を始め、9月17日に中村教授らに事情を聴いた。医科研は翌日、消化管出血に言及した日本消化器病学会機関誌(電子版)に掲載前の論文のゲラ刷りを他施設に送った。論文は7月2日に投稿、9月25日付で掲載された。厚労省調査は今も続いている。 清木所長は論文での情報提供について「朝日新聞の取材を受けた施設から説明を求められているため、情報提供した」と東大広報室を通じて答えた。(編集委員・出河雅彦、論説委員・野呂雅之) この記事を新聞で読んだときには、多施設での共同研究で、東大病院で重大な副作用ががあったが、他の施設には知らされなかった。法的には問題ないが、倫理的には重大な問題がある。と言う印象を持ちました。出勤前にざっと読んだ印象ですが、今となってはお恥ずかしい。 藪とは言え一応医師の私がこのていたらくなのですから、このような記事を読めば、このワクチンの臨床研究に限らず、あらゆる臨床研究に参加している患者に動揺が広がるでしょう。でも、この記事はかなり歪曲されているようです。以下次号
2010.10.21
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地下深くに二ヶ月あまりも閉じこめられ、たいしたトラブルも起こさず、心身の健康にも深刻な問題もなく、無事全員が生還しました。これは奇跡と言っていいと思います。 いつも診療の場面では、ラテン系の人たちは我慢のできない性格であるとの印象を持っておりましたが、認識を改めなければなりませんね。私なら絶対に取り乱していただろうと思います。 朝のニュースで順調に救助できているとの情報を得、昼のニュースで全員無事救助の朗報を得ました。おそらくは世界中の人々が喜びを持ってこのニュースを見ていたと思います。何だか昔のアポロの月面着陸を思い出しました。 あのときも、世界中の人々がテレビに釘付けだったのですが、今では、あれは嘘だったと信じている人も多く、半信半疑の人も入れれば若い人の半分くらいは疑わしいと思っているようです。 この救出劇も、30年もすればねつ造説が出てくるのでしょうか。【チリ奇跡の救出】33人全員が生還 最後の1人は現場監督が大役果たす 7人集中治療受け、うち1人「急性肺炎」 2010.10.14 09:59産経ニュース 【サンホセ鉱山(チリ北部)=松尾理也】チリ北部のサンホセ鉱山に作業員33人が閉じ込められた落盤事故の救出作業は13日午後10時(日本時間14日午前10時)前、最後に地下に残った1人の引き上げに成功、全員の救出作業を完了した。2カ月余りにわたって地下に閉じ込められた33人の「奇跡の救出」劇は、予想以上の順調さで無事、大団円を迎えた。 12日深夜に始まった33人の救出作業は、日中に入ってさらにペースが加速。48時間程度かかるとされていた当初の見通しを大きく短縮して、丸1日足らずでの完了にこぎ着けた。 最後に救出されたのは、事故発生から生存確認までの17日間、強い指導力を発揮して限られた食料の配分などをやってのけた現場監督のルイス・ウルスアさん(54)。32人の仲間を励ました後、重圧のかかる“最後の1人”という大役を務め上げた。 マニャリク保健相が救出作業完了を前に行った会見によると、救出されたうち7人が集中治療室で治療を受け、うち1人は急性肺炎であることが明らかになった。また、重度の歯の感染症も2人にみられるという。 チリ政府は今後、精神面も含めた33人に対する手厚いケアを続行する。 ピニェラ大統領自ら陣頭指揮を執りつつ、世界的な注目を集めて開始された救出作戦は、事実上トラブルなしで任務を完了。チリの国力を国際社会に大きくアピールする結果ともなった。 無事生還したすべての人々と、 救助に関わったすべての人々にあっぱれ!
2010.10.14
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検察審査会については何度か批判をしました。 常に人の死と隣り合わせの仕事をしている身としては、素人判断で責任を追及されてはかなわないという恐怖があり、強制起訴という制度には危機感を持っていました。そしてついに、強制起訴の事例が出ました。 民主党の小沢一郎議員の事例です。(まだ無効だという反論があるので本当に起訴に至るのかは不明ですが) この件については何か書こうと思っていたのですが、なかなか考えがまとまらず、また個人的にも忙しくてしばらく放置となってしまいました。今回エントリに上げたのは考えがまとまったからではなく、まとまらないけど一言言っておこうと思ったからです。 私自身は政治にも法律にも疎いのでよく分からないのですが、 実際には以下のような事なのではないかと思っています。 善し悪しは別にして、政治には金がかかります。派閥の領袖であればなおさらです。小沢一郎氏と言えば故田中角栄氏の弟子ですから、金集めのプロです。いわば政治資金のプロなのです。もちろん市民感情からしたら許されないようなこともしていると思います。でも、法的責任を問われないような裏技、違法行為ではなく脱法行為のプロでもあると思うのです。 法的責任を問うには市民感情に反しているだけでは不足で、やはり建前として違法行為がなければならないと思います。検察が起訴を見送らざるを得なかったのは、建前上の違法行為であることの証明が困難だからでしょう。 誤解する人もいないかもしれませんが、念のために言っておきます。小沢氏を擁護するつもりは全くなく、素人に起訴の権限を与えることに反対しています。医療を受けていれば死ぬことはないと思ったり、老化では死なないと思っている人もいるという現実を見ていると、こんな制度は恐ろしくて放っておけません。 私の駄文を読むより、 Yosyan先生のエントリがよくまとまっていると思うので、そちらもお読みください。
2010.10.12
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提訴したからと言って条件反射で報道するのではなく、やっぱり世間の常識というものを示した方が良いと思います。当たり前のことですが、患者の訴えを勘案して医療というものは行われます。頭痛を訴える患者に大腸癌の検査はしません。大腸に関連した症状が無くても大腸癌を見つけて欲しければ、人間ドックや、大腸関連の健康診断を受ける必要があります。医療を受ければどんな病気でも発見できると思うのは大きな誤解です。新潟・「検査不十分で発見遅れ」 妻がん死亡の夫、病院を損賠提訴 2010年9月7日 提供:毎日新聞社 妻が大腸がんで死亡したのは、通院していた木戸病院(新潟市東区)の検査が不十分で、がんの発見が遅れたためとして、同区の男性が同病院を運営する新潟医療生活協同組合(同区、佐野誠一代表理事)を相手取り、約5300万円の慰謝料などを求めて提訴していたことが6日、分かった。 訴状によると、男性の妻はめまい、頭痛などの症状を訴えて、92年7月から同病院に通院を始めた。08年7月の血液検査で異常値が認められたが、腹部エコー検査しか行われず、09年9月に別の病院でコンピューター断層撮影(CT)検査などを受けたところ、大腸がんと全身への転移が見つかった。妻は今年7月、大腸がんのため死亡した。 男性側は「(08年7月時点で)CT検査や腫瘍(しゅよう)マーカー検査も行っていれば、早期にがんを発見、治療することができた」として、病院側が注意義務を怠ったと主張している。 新潟医療生協は「現在、顧問弁護士と対応を協議している」とコメントした。【塚本恒】
2010.09.07
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今まで日本助産師会はホメオパシーについて煮え切らない態度をとり続けていました。ホメオパスの幹部を抱えていれば当然のことではありますが、さすがに昨今の報道に重い腰を上げたのでしょう、ようやくホメオパシーと決別する覚悟が出来たようです。こんな声明が発表されました。今までさんざん批判してきましたが、今回はGJと言っておきましょう。報道関係者各位平成22年8月26日 社団法人日本助産師会会長加藤尚美「ホメオパシー」への対応について今般、日本学術会議金澤一郎会長は8月24日付けで「ホメオパシー」の治療効果は科学的に明確に否定されており医療従事者が治療に使用することは厳に慎むべき行為という談話を発表されました。日本助産師会はその内容に全面的に賛成します。 日本助産師会は、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡した事例を受け、ホメオパシーのレメディはK2シロップに代わりうるものではないと警告し、全会員に対して、科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう、8月10日に勧告を出しておりますが、一昨日出されました日本学術会議の談話を重く受けとめ、会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底いたします。 助産師は女性に寄り添い、女性の思いを受容し、援助することが使命ですが、医療現場にあり、命を預かるものとしての責務もございます。私たち助産師の言葉や行動は、女性にとって大きな影響力を持っているということも自覚しております。科学的に否定されているものを助産師が使えば、本来受けるべき通常の医療から遠ざけてしまいかねません。しかるべきタイミングで医療を受けられるようにすることは、助産師の重要な役割です。 日本助産師会としては、現段階で治療効果が明確に否定されているホメオパシーを、医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、すすめたりすることのないよう、支部を通して会員に通知するとともに、機関誌及びホームページに掲載することで、周知徹底いたします。出産をサポートし、母子の健康を守ることができるよう、会をあげて、真摯にこの問題に取り組んでまいりたいと存じます。 また、現在、分娩を取り扱う開業助産師について、ホメオパシーの使用に関する実態調査をしており、集計がまとまり次第公表いたします。 なお、妊娠、出産、子育て期にある女性やそのご家族におかれましても、助産師が助産業務においてホメオパシーを使用しないことをご理解いただきたいと存じます。助産師は、皆様にとって不利益のないよう、正確な情報の提供に努めてまいります。連絡先社団法人日本助産師会事務局岡本・市川電話03-3866-3054
2010.08.26
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最近ネタがないので、またホメオパシーがらみのことを書いてみようと思います。以前から不思議に思っていたことなので、いつかは書こうと思っていました。 純度の高い水は不純物を除去するように精製することで得られます。医療で使われる注射用水はこのような水です。まっとうな医療では、物質や物理的性状(温度など)以外のものが薬理効果を持つという考え方はないので、これで良いのです。 一方、ホメオパシーではそうはいきません。何しろ物質が無くなるほど薄めても、その物質の情報が残っていて薬理作用を及ぼすという考え方ですから、それを信ずれば情報フリーの水を得ることは非常に困難です。 通常手に入る水は、過去・現在を問わず、いろいろなものを溶かしているはずです。どれだけ精製しても、過去に溶けていた物質の情報は残っていることでしょう。物質を薄めるために使う水は、他の情報を除去した情報フリーの水でなければなりません。そうでなければ意図した効能だけを得ることは出来ないからです。 ホメオパシーで効果のあるとされるレメディーを作るとき、どのような水を使用するのか、ホメオパスの皆さんには是非訊きたいものです。まさか水道水じゃないでしょうね。
2010.07.30
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日野原先生がこんな本の推薦文を書いているらしい。内容のすべてがインチキとは限らないかも知れないが、基本的にまともな医師が推薦するような内容ではないだろう。影響力の大きな先生なのだから、自重して欲しいと思う。
2010.05.21
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誤診の「誤」の字が悪いのかも知れませんが、誤診したからと言ってミスだというわけではありません。正確な診断のための努力をする義務はありますが、結果として常に正しい診断をする事は不可能であり、そんな義務はありません。平均的な医療レベルから逸脱していたならともかく、そうでなければ不可抗力です。 「死亡は誤診が原因」がたとえ正しいとしても、それ故に原告勝訴とならないことを期待します。そんなことがまかり通れば、打率十割でないバッターは全員クビです。慶大病院訴訟 被告、反論書提出へ きょう第2回弁論 千葉地裁松戸支部 2010年5月7日 提供:毎日新聞社 医師はリスクを承知で研究を優先させたのか、それとも最善を尽くしたのか--。慶応大病院(東京都新宿区)で治療を受け、がんの一種・子宮肉腫(にくしゅ)で亡くなった女性の両親が「死亡は誤診が原因」として慶応義塾に賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が7日、地裁松戸支部で開かれる。被告の慶応大側は前回弁論で請求棄却を求めており、今回、訴えに全面的に反論する答弁書を提出する見込みだ。 県内に住む女性の両親は「早期に子宮を摘出すれば助かる見込みがあったのに、良性の偽肉腫の可能性を告げられ、結果的に誤りで手遅れとなった」と訴えている。 訴状によると、死亡した女性は03年8月、子宮のポリープで慶応大病院を受診。同大医学部助手の担当医と向井万起男准教授は切除した組織片を調べ、肉腫に見えても良性の場合があるとする海外論文を参考に「良性の偽肉腫が第1候補」と診断。ポリープを調べる経過観察を続けた。だが、女性は04年10月に大量出血。病院は開腹手術で子宮肉腫と診断したが、腹部に転移し手遅れの状態で、同12月死亡した。 向井氏は腫瘍(しゅよう)病理学の権威で同病院の病理診断部長を務め、宇宙飛行士向井千秋さんの夫としても知られる。向井氏らは女性を珍しい偽肉腫のケースとして2度、学会に報告している。 国立がんセンターがネット上に公開している「がん情報サービス」は、子宮肉腫では広く転移した手遅れの場合を除き子宮全摘出を治療法に挙げている。 女性の死後、両親らは「どう考えてもおかしい」と弁護士に相談。医学界の権威に異を唱えることに戸惑いもあったが、「娘の死を無駄にしたくない」と提訴を決意した。 取材に応じた女性の姉(36)は「妹は芯の強い子で、痛みを伴う経過観察の処置にも泣き言を言わず、医師を信じていた」と振り返る。母親(63)も「娘は自分が命を落とすとは最後まで考えず、家族も先生の言葉を信じて命の危険があるとは思わなかった」と、涙を流しながら訴えた。 一方、向井氏らは遺族にあてた文書で「当時の女性の体調で今回のような肉腫は普通発生しない」と指摘。「女性は子供を産みたいという気持ちが強かった。良性の可能性があるのに子宮を摘出するのは暴論」などと過失を否定している。【西浦久雄】 過誤かどうかを争う提訴の報道で、「妹は芯の強い子で、痛みを伴う経過観察の処置にも泣き言を言わず、医師を信じていた」と言うような、情緒的ではあるが過誤の有無の判断には全く無関係な記述をする必要が何処にあるのでしょうか。 基本的には、裁判の結果が出るまでは報道しない方が良いと思います。もとより新聞記者には過誤の有無を判断する能力はありませんし、専門家にきちんと取材する能力もありそうもないです。裁判が正しいとは限りませんが、一応裁判の結果は尊重するシステムなのですから、その結果が出てから報道することにしたらどうでしょう。ミスでない場合には、言いがかりを付けられただけで多大なコストを余儀なくされ、たとえ勝訴しても被告には何も得るものはありません。その上結論も出ないうちに原告の言い分に重きを置いた報道でさらし者にされるのでは堪りません。
2010.05.08
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事故があって、大けがをした人がいることは大変気の毒なことですが、今回は、その報道の仕方に、新聞社によって違いがあることが気になったのであげてみました。 両方を読み比べてみると、「としまえん」に対する印象がずいぶん違います。ちなみに、毎日の記事の方が後の配信。事故の原因が不確かなのであれば産経の勇み足ですし、分かっていて書かないのであれば、毎日に何か意図があると思われても仕方がないでしょうね。 「としまえん」の広告がどちらの新聞社が多いのか、と言うことなら情けないはなしですが。<としまえん>「フライングカーペット」から少年転落し負傷 5月7日16時40分配信 毎日新聞 7日午後1時25分ごろ、東京都練馬区春日町1の遊園地「としまえん」で、アトラクション「フライングカーペット」に乗っていた埼玉県所沢市の特別支援学校高等部1年の男子生徒(15)が数メートルの高さから地上に落下し、負傷した。意識はあるという。警視庁練馬署が詳しい事故の状況を調べている。 以前乗ったとき、高所恐怖症の私は二度と乗りたくないとは思いましたが、理性の方は危険とは思いませんでした。この記事を読んで、何で落ちたのだろうと思いました。「としまえん」遊具から15歳少年転落 フライングカーペット、数メートル下に 5月7日14時58分配信 産経新聞 7日午後1時45分ごろ、東京都練馬区春日町の遊園地「としまえん」で、アトラクションの「フライングカーペット」に乗っていた埼玉県所沢市の特別支援学校高等部1年の男子生徒が数メートル下に転落した。警視庁練馬署によると、生徒は頭部や胸を強く打ったが、意識はあり命に別状はないという。 同署やとしまえんのホームページによると、フライングカーペットは「空飛ぶじゅうたん」をイメージしたアトラクションで定員40人。地上12メートルの高さまで上がり、急降下する仕組みになっている。落下防止のため、アトラクションには金属製のバーが取り付けられているという。 同署の調べでは、落下した男子生徒はアトラクションが動き出した直後に立ち上がり、転落した。事故当時、アトラクションには同校の教諭や生徒の計9人が乗っていた。この日は同校の遠足で教諭15人、生徒29人の計44人が来園していた。 としまえんのフライングカーペットをめぐっては、平成4年、試運転をしていた男性作業員が遊具と床の間に挟まれて死亡する事故が起きている。 立ち上がったのが事実なら、「としまえん」に責任を問うのは気の毒ですね。
2010.05.07
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医療従事者のHIVキャリアというのはよほど衝撃的であるらしい。以下の記事を扱った「NATROMの日記」や「へてくろ日記」 のコメント欄がにぎわっています。病院の対応は不当労働行為と言われても仕方がないと思われますし、それをさせているのはHIVへの無理解と差別に無神経な風潮なんでしょうね。コメント欄にもそれが見て取れます。 でも、今回はあえてもう一つの要因を挙げておきます。少々挑戦的ですが、我が国の民度の低さです。もう忘れてしまった人も多いかも知れませんが、茨城県の東海村でJCOの臨界事故が起きたとき、水戸納豆が売れなくなるという風評被害が起きました。納豆だけでもどうかと思っていたのですが、茨城県の漁港に水揚げされた魚まで売れなくなったのを見て、この国の民度に絶望的な気持ちになったことを覚えています。 自分の頭で考えてリスクを判断するのではなく、何となくの気分次第で行動し、その結果で誰かを傷つけても気にしない。それって、子供のすることですよね。問題の記事追記いつものように記事を引用しようとしたのですが、「公序良俗に反するか猥褻な表現が含まれています」との理由ではねられてしまいました。どの部分が引っかかったのだろう。と、書いているうちにリンクも切れました。ミラーサイトに記事をアップしています。
2010.05.04
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ホメオパシーはそれ自体は本質的に無害なんですが、まともな医療の介入を阻むと悲劇的な結末を迎えることもあります。以下はそのような事例でしょう。これで訴訟に巻き込まれたのでは、産科医は浮かばれませんね。 ヤフー知恵袋にこんな相談 が載っていました。おそらくは、しばらくすればリンクが切れるでしょうから、以下にまとめてみます。 相談内容は、助産師2名と自宅出産を試みたが死産となったので、助産師と提携病院を訴えたいというもの。どのような事例かというと、以下の通り。41週3日にレメディで陣痛を起こした。でも生まれず、陣痛に耐えながら42週0日目の深夜に助産師に頭を下げ『提携病院へ連れて行って欲しい』とお願いしたところ、「貴方は私を信じてくれないのね・・・」と言われ、却下された。その後は浣腸されたり、レメディーを使ったりしたが出てこず、元々生まれなければ医療機関を受診する予定であった翌朝には胎児の心音を聴取できなくなった。救急車を呼んだが、救急隊の到着前に生まれそうになり、助産師が押し戻した。救急車で病院に搬送され、吸引分娩で胎児娩出。死産であった。 レメディーというのはホメオパシーで使われる薬のようなもの。その実態はただの砂糖玉です。治療の元になるとされる何らかの物質を極限にまで希釈し、元の物質が全く含まれなくなったただの水をしみこませた砂糖玉ですから、本当にただの砂糖玉なのです。こんなものに治療効果があるはずはありません。要するに単なるおまじないにすぎないのです。 こんなおまじないに頼って必要なな医療を受けなければ、 当然このような悲惨な結果を招くこともあるでしょう。はじめからまともな産科を受診していれば、おそらくは助かった命と思われます。生まれる前に命を奪われた赤ちゃんが気の毒です。 関わった助産師を訴えることに異存はありませんが、どうして提携病院まで訴えたいのでしょう。自分たちの不始末の尻ぬぐいをしてくれた病院に対し、感謝することはあれ、訴えるという発想をすることが理解できません。厳しいようですが、赤ちゃんの死に対し、この親は助産師と同様の責任があるのではないでしょうか。
2010.03.04
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