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2007.01.25
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カテゴリ: 医療
ブログのタイトル通りに格好良く斬れれば良いのですが、まあ無理でしょう。
追々文章もこなれてくることを期待して、まず始めてみます。

同じ事項の記事を2つ提示します。
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
【2007年1月24日】
北海道・旭川医大病院の医療過誤:薬剤過剰投与の医師を書類送検

 旭川医大付属病院(石川睦男院長)で05年4月、薬剤を過剰投与された上川管内の男性患者(当時80歳)が死亡した医療過誤で、旭川東署は22日付で男性医師(40)を業務上過失致死の疑いで旭川地検に書類送検した。

 調べでは、医師は同22日、血液の凝固を止める薬剤を本来の量の4・2倍、誤って投与し、細菌が血中に入る中毒症を起こさせ、敗血症で死亡させた疑い。【渡部宏人】

毎日の記事の方があっさりしています。
あっさりしすぎの上に、何がなんだか判りません。
判るのは、80歳の男性が、血液の凝固を止める薬剤を本来の量の4・2倍投与されたこと。
その後敗血症を起こしたらしいこと、です。
何をどれだけ投与したのか判りませんし、その後どのような経過をたどったのかも判りません。
誤投与だけでは「細菌が血中に入る中毒症」(そもそも意味不明)が起きることもありません。

「悪い医者が書類送検された」と言う印象だけが残る記事ですね。

記事:共同通信社
提供:共同通信社
【2007年1月24日】
 北海道警旭川東署は23日までに、手術後の入院患者に血液凝固抑制剤を誤って過剰に投与し死亡させたとして業務上過失致死容疑で、旭川医大病院(石川睦男(いしかわ・むつお)病院長)の男性医師(40)を書類送検した。

 2005年5月に発覚した当時、病院側は「過剰投与と死亡との因果関係ははっきりしない」としていたが、同署はカルテなどから因果関係があると判断した。

 調べでは、医師は05年4月22日、旭川市内の男性入院患者=当時(80)=に血液凝固抑制剤を誤って過剰に投与し、23日朝、肺の大量出血による急性呼吸不全などで死亡させた疑い。

 旭川医大病院の報告書などによると、患者は腎臓結石などで入院して手術を受け、血液が凝固する危険な状態だった。医師は、薬剤の投与を監視する院内システムで警告が出ていたのに無視し、適正量の5.4倍を投与した。思い込みで単純な計算ミスをしたのが原因としていた。また医師は過剰投与したことを遺族に説明しなかったため、遺族から解剖を断られたという。

こちらはもう少し詳しく、腎臓結石の手術の後だったこと、血液凝固抑制剤を誤って過剰に投与した翌日に肺から大量に出血したことが示されています。
ただし、なぜ血液凝固抑制剤が必要だったのか判りません。
また、両記事の数字には不一致があります。
ミスの根幹に関わる数字が、どうして異なってしまうのか不思議です。

両記事から類推すると、80歳の男性が腎臓結石の手術を受け、術後に何らかの理由により血液凝固抑制剤を投与された。
その際、投与量を間違われ、5倍前後の量を投与された後、肺から大量に出血し、その後敗血症を併発して亡くなった、ということでしょうか。

その予想が正しいとすれば、医師のミスは否定できませんが、だからといって刑事罰を与えることにはbambooは反対です。
「ミスは許されない」と言っても、ミスは起こります。
そのため、「ミスは許されない」ような仕事にはミスをしても重大事にならないフェイルセイフ機構を採用することが、医療以外では一般的です。
けれども、医療費を限界以下にまで削る政策により、医療ではそのような体制をとれません。

せめて、行政処分で済ませるべきだと考えます。

実際にどのような状況だったのかを、もう少し詳しく考えてみましょう。
周術期(手術の前後)には、下肢で出来た血栓が飛んで肺血栓を起こしやすくなるため、微量の血液凝固抑制剤を投与することがあります。
この場合、本当に微量ですから、5倍程度の量を投与しても、死に至ることは考えにくいでしょう。
それでも肺に大量に出血したのであれば、何らかの基礎疾患が肺にあったのでしょう。


その場合には肺血栓予防よりも大量の血液凝固抑制剤を投与しますから、5倍投与すれば問題が起きる可能性は高くなります。

いずれにしても、報道内容の情報が少ないので、想像するしかありません。
記者達は、自分の記事の内容を理解出来るのでしょうか。

特に毎日新聞の渡部宏人記者、何を書いているのか、判ってる?





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Last updated  2007.01.25 11:40:48
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