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2007.06.03
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カテゴリ: 医療
勝てば良い? そうじゃないんだ 理解して


 何が原因かによっても異なるだろうが、髄膜脳炎の予後は良くない。死亡する可能性も少なくないし、助かったとしても後遺症の残る可能性が高い。そのような背景を考えると、たとえ病院に責任があろうとも、5300万円の支払いを命じた一審判決には首をかしげたくなる。 
原告側が逆転敗訴 「病院側に過失なし」 川崎医科大






 ◇高裁岡山支部・控訴審判決

 98年7月、髄膜脳炎で川崎医科大付属病院(倉敷市)に入院していた女性(当時25歳)が死亡したのは、カテーテル挿入で肺出血を生じた際、適切な処置を怠ったことなどが原因として、女性の両親が病院と担当医師を相手取って9000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、広島高裁岡山支部であった。

 安原浩裁判長(小川正明裁判長代読)は「肺出血による気道閉塞(へいそく)が死因の可能性は高いが、カテーテル挿入が原因とは断定できない。病院側に過失は認められない」として、被告側に約5300万円の支払いを命じた一審判決を取り消し、原告の請求を棄却した。

 判決によると、女性は髄膜脳炎の治療中にカテーテル挿入を受けた後、無呼吸状態になり、人工呼吸器を装着した。右気管支からの出血が確認されたが、止血できず死亡した。原告側はカテーテル挿入のミスで肺出血が起こり、気道閉塞を起こして死亡したと主張。被告側はカテーテル挿入と肺出血、死因との関係は不明として争っていた。

 訴訟は00年に提起され、05年に岡山地裁倉敷支部で原告一部勝訴の判決が出たが、双方が控訴していた。逆転敗訴を受けて、被告側代理人の弁護士は「思いがけない判決で驚いている」と話し、女性の父は「信じられない判決だ」と肩を落とした。同病院の角田司院長は「当院の主張が全面的に認められた。これからも医療機関としての使命を果たせるように努めていきたい」と話した。【石戸諭】



 記事からは詳細が全く分からないので、 あくまで仮定の話として 、カテーテル挿入時に肺を損傷したのだとしよう。このカテーテルというのは、鎖骨下から鎖骨下静脈を穿刺して、心臓の手前の中心静脈に入れるCVカテーテルだろう。CVカテーテル挿入時の事故は結構ある。たいていは大事にならずに済んでいるが、患者の病態によって、または傷つけ方によって、致命的になることはあるだろう。これはそのような手技なのだ。まして、挿入時に患者が動いたりすれば、予想外に傷つけることは大いにあり得る。髄膜脳炎の患者がどのような状態だったのか分からないが、突然動いたりする可能性はあるだろう。

 CVカテーテルは、食べられない患者の栄養補給や、血管が細すぎて点滴の出来ない患者の血管確保には欠かせない手技だが、危険性がゼロだというわけではない。その他の医療行為でも同様だが、必要性と危険性を秤にかけて、必要性が勝ると考えた時、その医療行為を選択するのだ。うまくいったときには特別な報酬はなく、結果が悪かったときだけ罰を与えられるのだとしたら、リスクのある医療行為は出来ない。「カテーテル挿入が原因とは断定できない」ではなく、カテーテルの挿入が原因であっても、受忍すべきリスクとして医療側の無責を認定して欲しいと思う。 
ミラーサイト





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Last updated  2007.06.03 14:43:46
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