To the last drop of her blood

NONSENSE 『B』 7



「国安公認 指定暴力団 『黒栖会』の成り立ちは戦後まで遡ります。

 マッカーサー率いるGHQが日本に来た当時、日本の治安維持と防衛のために設置された警察予備隊がありました。

 首相に直属し国内の秩序維持の為警察力を補うものとされてきたが装備・訓練は米軍に依存し事実上は再軍備の第一歩となった。

 彼らがまだ、保安隊と呼ばれる前、再戦を案じてか天皇は首相に警察予備隊を見張る役割りとしてマッカーサーには内密に監視官を置かせた。それが我ら暴力団だった。

 当時の会長は金のためなら何でもやる人だったらしいです。私は3代目の会長となります。

 会長になるために血筋は関係ない。ただ、その時代のニーズに合うかどうかなのです」

 雪奈は一呼吸をおいた。黒川が渡したコーヒーを一気に飲み再び口を開いた。

「『黒栖会』は今でも闇の仕事を行っている。

 時と場合においては国を超えることもあります。仕事は情報収集から暗殺まで・・・表向きには決して名を出さないが裏世界では名の知れている暴力団。

 幹部ともなれば近寄る人間はまずいない。規模は全国に渡り下っ端も含めると1万人は超えるかも知れませんね。

 この世界において”逃げる”ことは”死”であることは覚えておきなさい」

「は・・・はぁ」

「黒川、例の者を」

 黒川は雪奈の机の引き出しから一枚の紙と何か棒のような細長いものを持ってきた。そして龍の前にその紙を置いた。文章は全て英語で書かれていて何が記載されているのか全く分からなかった。

 こんな時ではあるが『あ~あもっと勉強しとけばよかった・・』なんて思ってる俺が惨めだ。

「こっこれは?」

雪奈はコーヒーを口にしながら横目で龍を見る。

「契約書です。この組織に貴方の身柄を登録しておきます。あーちなみにそれ
は血判ですのでそのナイフを使ってください」

 血判・・・やっぱりココは獄道。文字や言葉よりも己の流れている血を信じるか。

 黒川からナイフを受け取る。銃弾を打ち込んだガラスのような跡のデザインがナイフのキャップに掘り込んである。かと思えばナイフの柄元にはスパイダーが。

 左手親指に小さな傷を作る。徐々に血が溢れてくる。それを黒川が指示した場所に押し付ける。

「これで契約成立ですね。宜しくお願いします。貴方はたった今からこの『黒栖会』の幹部です。

 今日、紀元鈴が亡くなってしまいました。それに黒川もそう長くは警察にいられない年頃になります。貴方には黒川の年まで働いていただきます、               
            NONSENSE 『B』

                               として」
「誰が亡くなったって・・・」

「紀元鈴ですか?彼女は今朝、遺体になって見つかったそうです。私もまだ彼女の顔を見てませんが。ふふふ・・・貴方は心配しなくてもいいですよ。黒川の仕事は危険ではありますが他の2人よりも安全な方です」

 雪奈は微笑して龍を見た。


 ココは一体なんなんだ・・・
NONSENSE 『B』って・・・俺が求めていた『B』?
紀元鈴もここにいて『B』と名乗っていた・・・

 俺は今、その”仲間”になってしまったのか!?





NONSENSE 『B』 8


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