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オキナワの中年
*竹本真雄『燠火』
昨年、創設から四半世紀の歴史を刻んだ、第二十五回新沖縄文学賞の受賞作は、竹本真雄の「燠火(おきび)」に決定した。作者は既に過去二回最終選考に残り、三度目にして同賞を射止めたことになる。作品は自費出版を手助けする「私」のもとに元刑事が訪れるところに始まる。刑事の自分史に描かれた事件の一つは、まさに「私」の少年時代にかかわるものであった。このミステリー仕立ての導入については選考委員もやや批判的で、三枝和子も指摘するように、このようなトリッキーな手法を用いずとも、この作品は十分な文学性を備えていると思われる。そもそも「私」とかつてのたった一人の親友「春一」との間に、この老刑事という媒介が必要だったのかどうか、疑問が残るところである。しかしこれをきっかけに始まる少年時代の回想はきわめて丹念に書き込まれており、二つの父殺しという、神話的・幻想的な出来事と、リアルな描写が見事に結合している。
一般にリアリズムと、幻想は対極的なものと考えられがちだが、決してそうではない。通常の感覚ではとらえられないような微細なものを突き詰めて描くとき、そこに幻想が出現する。例えていえば、ありふれたものを顕微鏡で見たときに感じるあの幻惑に近いものであり、これは目取真俊の作品世界を支える力でもある。
作者はかつて画家を目指していたということであり、その視覚描写には非常に優れたものがあるが、この作品においてむしろ驚かされるのは非視覚的な描写の厚みである。一人の少年の視覚のみならず、聴覚・触覚・嗅(きゅう)覚を総動員して、「私」と「春一」との過去が再現されていく。殊にこの作品の中心的なモチーフであるハブの、細部、手触り、においにまで至る全身体的な表現には圧倒的な力がある。もともと蛇という生き物は、神話的な素材であるが、そのような、この世とあの世とをつなぐ生き物と、身体的な交感を持つことにより、おそらく二人の少年は「父殺し」という、神話的特権性を獲得し得たのである。
ただしこの描写力には大城立裕が「描写の遠近法が弱い」と指摘するように、重大な弱点もある。それは作品冒頭から最後まで、緩み無く凝縮された描写が連続するということである。人間の感覚というのは不思議なもので、どのような刺激であっても、それが長く続けば、それになれてしまう。早くいえばメリハリが無くなってしまうのだ。おそらく作者は、きわめて誠実な芸術的良心に基づき、どんな場面においても、全力を尽くしているのだと思われるが、残念ながら、その姿勢が弱点となってしまった。冒頭部が重たく感じられる理由は、ミステリー的な導入だけのせいではない。作品は「私」が長年悩んでいた黒子(ほくろ)を手術で切除したというエピソードに始まり、この黒子とそれを切除した後の感覚がきわめて詳細に描かれている。この黒子は元刑事の印象に残る少年時代の「私」の特徴であったという事の伏線になっており、一応作品末尾で形を整えるためもう一度ふれられるのだが、肝心の少年時代においてはほとんど重要性を持っていないのである。それゆえこれほど丹念に描く必要があったのか、という疑問が残ってしまう。黒子の切除と「春一」の死とが、決定的な少年時代への決別を担っているとするなら、逆にこの部分は説明不足であろう。作品中、残念ながら、このような書きすぎの部分が少なくない。おそらくこの作者の描写力は、時に力を抜く、すなわちあふれ出ようとする力をコントロールする技術を獲得したときに、より完成されることであろう。
さらに描写・感覚へと過度に傾斜するありようが、この作品の可能性をやや狭めてしまったのではないか、という感を否定できない。岡本恵徳は「殺人」という重いモチーフ、またそれに対する「私」の意識が十分描かれていないことを批判している。確かに元刑事の原稿を手にしてからの不眠や、面談する時の緊張感に、「私」の心情は暗示的に描かれているが、母の不義の相手と思い殺害した男が、おそらくは実父であった、という重い現実の「私」にとっての意味が明瞭(めいりょう)ではないのである。あたかも老刑事に真相を知られることだけが、問題であるかのようにすら映る。しかし既に時効を迎えてしまったこの事件を真に裁きうるのは「私」だけなのである。「春一」の方は内面がほとんど描かれないことで、逆に圧倒的な存在感を示しているのに対し、「私」に物足りなさが残ってしまうのは、なぜか。
これは自己と他者との本質的な差異によるものだと思われる。他者は何らかの感覚を通してしか把握することができない。それゆえ感覚表現に優れるこの作品において、「春一」は十分に描き切れているのである。むしろ余計な忖度(そんたく)が行われないことで、その存在感は一層増しているといって過言ではない。これに対して自己は感覚的対象であると同時に、内省の対象でもある。が、この作品において、自己に対する内省性の部分がすっぽりと抜け落ちてしまっているのだ。確かに文学作品において、すべてを説明しつくすことなしに、読者に判断をゆだねる、という要素は時として重要である。しかしこの作品においては、「私」の倫理的問題を読者が再構成するには、あまりに材料が欠けているといわざるを得ないのである。仮にこの作品で、「私」の問題がしっかりと書き込まれていれば、どれほど分厚い作品になったのかと、惜しまれてならない。いずれも異形性を持つ二人の少年と、ハブを媒介とした身体的交感、二つの父殺し。この作品の世界はまれにみる可能性を持っていた、と考えられるからである。
この作品は「沖縄文芸年鑑一九九九年版」(沖縄タイムス社刊)に掲載されている。
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