トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2005/05/12
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カテゴリ: 音楽
六つの骸となり 塩漬けのギターケースのように 頭を並べるよりも

今聴こえる音が ぼくたちを腹一杯に することはけっしてない
六つの火花となり 硫黄のような 声を吐き続けよう 世界へ

bizarre
01 BEATITUDE (album take)
02 愛はただ乱調にある
03 春のナヌーク
04 君に青空をあげよう
05 Happy Life

07 ニットキャップマン (album take)
08 僕は負けそうだ
09 オー何テュー事ナンダロウ
10 ガールハント
11 狂犬
12 風のロボット
13 スプーン一杯のクリスマス
14 みんなはライヴァル

■ムーンライダーズ祭り、2日目で最終夜である。3日続けたら、勢いがついて、1週間でも、1ヶ月でも話し込んでしまいそうだ。でも、いけそうでいかせてもらえないのがライダーズなんである。

■ライダーズ好きの間では「ドントラ以前」「ドントラ以降」という節目がある。便宜上連帯感という言葉を使えば、それが強かった10年と、それに縛られなくなった10年。その一つの契機となったのが、ドントラリリース後の休止期に当たる。

■よって2日目に取り上げるのは、86年以降の作品という制約をつけた。そして、祭りだ。ということは、やはり20周年の年、96年に出たこのアルバムが一番、祝典的気分に沿ったものであると考える。6人のメンバーの他に、ユキヒロ、矢野顕子、細野など、彼ら縁のゲストも加えた賑やかな作品となっている。



■船を出してみた、6人で。波が高くなって難破しそうだ。でもあがくことなんかない、そんなにこの世に未練なんかないから。別に助かっても助からなくてもどっちだっていい、じゃ助けを呼ぶ代わりに、こんな曲はどうだろう。そんなあきらめと、皮肉と、開き直りとが、入り混じったこの曲のやるせなさに、なんかとても感じるわけだ。

■それにしてもこのバンドほど、メンバーの力量が高いバンドは他にあるだろうか。それぞれがソロアーティストとしても充分やっていける実力がある。(実際それぞれがソロアルバムをリリースしている)そんな6人がひとつのアルバムに向かった時、どんな経緯で曲ができあがり、レコーディングされていくのかはとても興味深い。見ていると、その時その時に一番創作モードが強い人の色が各アルバムごとに反映されている感がある。

■「以降」めきめき頭角を現したのは白井良明だろう。このアルバムでもM3,M5,M6と決定的な仕事をしている。M3はイントロのギターの音色でもう、うっとりさせられ、サビのメロディでやられてしまう佳曲。ナヌークってシロクマのことらしい。M5は慶一氏の奇妙な歌詞を際立たせるポップ感がずっと頭の中を回る、回る。当時の私の体内テーマソングだった、次の年の9月までは。M6は糸井重里の歌詞をコンペにかけて岡田作のM7に勝ちを譲ったが、捨てきれないその曲に糸井さんの詞にインスパイアされた博文氏が歌詞を加えたという複雑構造を持った速い速いブルース。実は私は本家より外伝の方が好きだったりする。

■媚びない彼らとしては珍しく、M10でかしぶちさんにタキシードを着させたり、M14でファンからの祝声を挿入したりと、後にも先にもこんなサービス精神溢れたアルバムはない。ただそうすることによって、全体的な印象は少なからず散漫になっていることも否定できないけどね。

■個人的にはこのアルバムのベストトラックはM2。この曲の魅力は後半部の意外な転調にある。まったくイントロで思い描くイメージがエンディングでこんなに裏切られるバンドも他にはない。好きも嫌いもない。私の間では、彼らの曲は水のような、ワインのような、塩のような、砂糖のような得体の知れない音楽という名のおくりものなんだ。



眼福さんのブログ のライダーズ情報は本家のページよりもずっと詳しく、そして何より愛情に溢れています。私もしょっちゅうおじゃまして、最新情報を仕入れています。 kanirulaさんのHP はちょっとした衝撃でした。あなたもパンドラの箱を開けてみませんか。そして、なんと 架空楽団 のギタリスト、黒瀬さんからのコメントも頂き、感激です。だって、ファンのマストアイテム「アンソロジー」の解説を書いていらっしゃる方ですからね。みなさんどうもありがとうございました。また不定期に続きをやってみたいと思います。(デヘ)



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Last updated  2005/05/12 11:44:15 PM
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Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…
Mr.Zoku@ Re:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) 今年出た[Deluxe Edition]は聴かれました…

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