○・。Mooncalfの絵本。・○

○・。Mooncalfの絵本。・○

16-20



16■優しいあなた。■

孤独な私を救ってくれたのは、
現れるべくして現れたような
そんなあなた
あなたは闇しかいないこの家に
そっと灯火の花を咲かせてくれた
あなたはほこりをかぶったこのテーブルに
あたたかい食事を運んでくれた
あなたがいてくれたから
私は初めて笑うことができたのだけど、
そんなあなたはいつも寂しく笑ってる
だから私が抱きしめてあげる
だから私があたためてあげる
優しいあなたが、もう二度と傷つくことがないように

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17■秘密の時間■

起きた時 手が熱かった
私はその理由を知っている
それはあの人が手を握ったから
話したこともない
横顔しか見たことのないあの人が
私の手を取って走り出したから
私は初めて自ら話そうとしたけれど
あなたはふっとどこかへ消えてしまった
その優しい笑顔が残像として残るだけで
私はただ一人その場へ残される
それでも私の手は
消えることなく熱いまま
彼との秘密の時間の証

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18■しあわせ日和(びより)■

「いってきます」
 あなたが鞄片手に笑顔で言って
「いってらっしゃい」
 わたしも笑顔でお見送り
 ドアが閉まった後 急いでベランダに出てみれば
 やっぱり いつものように 
 あなたが笑顔で手をふってる
 わたしも笑顔で手をふって
 曲がり角で彼が見えなくなったら
 さあ 私もはじめましょうか
 白いシーツをベランダに並べて
 お日様にも挨拶しよう

 あなたがいて 
 わたしがいて
 シーツみたいに真っ白な画用紙に
 幼い頃クレヨンで描いたような晴れ空で
 お日様がでて
 笑顔があって
 今日もきっと、しあわせ日和。

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19■夜のうた。■

どうして
電車は
あとずさりせずに 目をふせずに
つっこんでいけるのかな
目の前で
大きな口をあけてる闇に
むかっていくのが
こわくないのかな
それとも それとも
あの小さな窓からもれる光は
そんな彼の精一杯のSOSなのかな。

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20■ひだまりの思い出■

いつもふたりで
寄り添っていたんだ
昼下がり
誰も知らない庭の
大きな木の木陰で
ふたりで眠った
あの幸せで
気の遠くなるような日々を
かみしめるように

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