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2015年04月25日
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2006年5月の席開きに伺ってから、年頭の茶事・口切の茶事・真の茶事・五事式の茶事・暁の茶事などを勉強させていただいた、京都C先生の自在軒。さらによりよく改装中とのことで、建仁寺四つ頭茶会の翌日、正午の茶事でお招きいただきました。

枝垂れ葉桜のかかる冠木門をくぐり、玄関から寄付きへ。 身支度をして待合に入ると、薄明かりの中に一幅が見えました。

まことに不思議な絵です。 一人の男が穴の中で地上から垂れ下がっている蔓につかまっています。男は口をあけて花から滴る蜜を受けて至福の面持ち。 しかし蔦の根元には黒白の鼠が歯を立てていますし、穴の底には龍が、壁からは恐ろしげな蛇が何匹も顔を出しています。 地上には大きな象が鼻を振り上げて走り回っている・・・。 どこにも逃げ場のない人間があじわう一瞬の・・・。 仏画とのことですが、恐ろしくも意味深い一幅でした。 以前にこの話は伺っていたので、なるほどと思いましたが、初めて目にしたら怖いかも。

香煎をいただいて腰掛待合へ。 周りは車の通る道路なのに、蔦の絡まる塀を隔てればなんと静かな空間なのでしょう。 踏み石の間の苔の色、周りの木々の若葉が露地を彩っています。 やがて蹲に水の音、ややあって枝折戸が開き迎えつけです。

蹲を使い、本席ににじりいると、そこは逆勝手向切りの中板入り四畳半、伏せ窯がかかっていました。 床は、「張公飲酒李公酔ちょうこうさけをのめばりこうよう」、離れていても信頼し合う仲の良い友、ということでしょうか。 客となった私たち四人、そういう関係でいたいものです。

本席のこのお軸、清巌宗渭和尚の一筆でした。 三代宗旦の参禅の師であり、あの有名な逸話の主です。 その話とは・・・、

清巌和尚が約束の日に宗旦を訪れたところ、宗旦は留守。伝言で「明日おいでください」とのこと。 清巌和尚はわきの壁に“懈怠比丘不期明日”と記して帰ったそうです。 帰宅した宗旦はそれを見て“今日今日といひてその日をくらしぬるあすのいのちは兎にも角にも”と詠んだという話。 宗旦の庵名が今日庵となった由来と言われています。 
“明日明日と思う心のあだ桜夜半に嵐の吹かぬものかは”というのは、子供の頃、怠ける私が母によく言われた言葉ですが、こういう意味でしょうか。


C先生、最近茶事では、“前茶”とおっしゃって、初炭に続いて濃茶をなさいます。 このあと(隣の立礼席に移って)懐石、中立ちのあと(後炭)薄茶です。 こうすると、前席のピリッとした空気の中で濃茶をいただくことができ、のちの懐石・薄茶は打ち解けた雰囲気で安心して楽しめます。 とても良いやり方だと思いました。
すでに2千回を超え、生涯3千回の茶事を目指す先生ならではの、自由自在なお茶でした。

自在軒の改装は今が中間点とか。 2階の8畳・4畳半の稽古場の水屋は、使いやすくコンパクトに収納された道具がずらり、こんな水屋ならどなたもお茶が大好きになること請け合いです。
今回改築のメインは、“一客一亭二畳の茶室”とか。これはまだこれからなので、完成したらまた来てくださいとのこと、楽しみにしていましょう。






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Last updated  2015年04月29日 10時49分19秒
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koto@ Re:第4回花月合宿(06/30) はじめまして。花月百騎を検索していまし…
緑の海 @ Re[1]:杉村楚人冠邸の椿(03/14) ていけんさんへ ぼちぼち書いております。…
ていけん@ Re:杉村楚人冠邸の椿(03/14) 久し振りにお邪魔しました。 先月からだっ…
ていけん@ Re:北海道・恵庭岳登山(10/11) 再開ばんざい!!! 今夜から涼しくなるそ…
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