そよ風のように☆

そよ風のように☆

君に恋した夏(9、それぞれの思い)



美華曰く、最近オープンした店で予約なしでは来れない、お洒落な店。

ちゃんとした格好で来てねって言われたので、今日はグレーのスーツできた。

PM6:30。

俺は近くの駐車場にスポーツカーを入れる。

美華と新宿で待ち合わせまでは30分はあった。

近くの喫茶店で時間を潰すことにし、時間5分前には待ち合わせにいた。

PM7:10.

ようやく美華が来る。

そのまま、レストランへ直行。


5分ほど歩くと、そのレストランはビルの最上階にあった。

エスカレーターで15階まで、着いた先ではスーツ来た男たちが待っていた。

「予約した澤谷です」

いつになく着飾った美華が話した。

その男は、「澤谷様ですね。お待ちしてました。」

俺達を席まで案内してくれた。

それにしても・・・、今日の美華は鎖骨が見えるくらいの襟元が開いた真っ赤なドレス。
ゴールドのピンヒールにお揃いの色の小さめなBAGで普段より数段色っぽい。


思わず勘違いしてしまいそうな俺だった。

それをしってか知らずか切り出したのは美華。

「今日ね、珍しいでしょ。こんな格好。
実はね、出版社の創立記念日やらでパーティあってね。」

一番気になっていた言葉を吐く。

「へえ~。孫にも衣装だな」

「誰がよ」と、ぷうと頬を膨らます。

わざと、怒らせるようなことを言ってしまう。
「嘘、嘘。似合ってるよ」

「嘘くさ~い」と睨む美華。

そんな美華もかわいく思える。
話題を代えることにした。

「ところで、ここ予約なしで入れないんだろう?」
「そうなんだけどね!偶然にもキャンセルが出たらしくって、ついてたわ。」
目をキラキラ輝かせて美華は言った。

美華セレクトのカクテルが運ばれてきて、乾杯をする。


2,3料理が運ばれてきて、俺達は上品な料理に舌鼓した。

最後にデザートが運ばれてきた。

「今日、竹中に会ったよ」
今まで幸せそうに食べていた美華の顔が強張る。
「え?どうして?」
明らかに動揺した様子を浮かばせた。

「仕事の関係で近くを通ったからさ」
それには何の反応も見せなかった。

「あいつ、まだ彼女の事・・・」

俺の言葉を遮って、「知ってるよ。ずっと忘れられないんだよね、きっと。」

それ以上はお互い口を聞けなかった。

さすがに今日は、「大丈夫。一人で帰る。」といった美華。
俺も美華を送る気にはなれなかった。

俺はこうなる事を分かっていながら何故美華に言ったんだろうか?

あいつが前に進まない限り、俺達は進歩出来ないのだろうか?



俺はクールな顔でクールに接するアイツが嫌いだ。


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