そよ風のように☆

そよ風のように☆

君に恋した夏(19、最終面接)


『うん。』
会場が近づき、2人供が言葉少なめになってきた。

そう、いよいよ最終面接。

これで、採用の不可が決まる。

『今度は沈黙にならないようにしなきゃね。』
と望に言われた。
『そうだね。』
何度面接の練習したって、本番のドキドキには叶わない。

青山の海洋ビル8階で受付をして、待合室に案内された。

私達が来た時は、すでに20人くらいは入っていた。

待合室に名前を呼ばれたものから面接をし、終わったらそれぞれ解散らしい。

今度は集団でなく、一人ずつとなった。

最初に”安藤君”と坊主頭の人が呼ばれた。

そういえば、前回一緒に面談した人だった。

周りを見渡すと、私達と前回面談した長身の飯田君と眼鏡の上原君もいた。

名前は知らないけれど、なんとなく見たことある人もいたので
前回ほどの緊張は薄れてきた。

『浅野さん』
『はい。』

いよいよ私の番。泣いても笑っても、これで最後だと思うと妙に開き直れた。

コンコンとドアをノックすると、中から”どうぞ”と聞こえてきた。

『失礼します』と言って、中へ足を踏み入れた。

前回のように黒いテーブルに面接官がいた。

少し違うのは今回は面接官は3人に面接を受ける私は一人と言うこと。

かなりな迫力に圧倒されそうになる。

『よろしくお願いします』
やっと出た言葉は、少し声が裏返った。

『どうぞ、お座り下さい』
と胸に"葛島”と名札を付けた男が言った。

右から加藤専務、和田課長、葛島。
と和田課長と葛島との間に竹中部長と書かれた席が一つ空席になっている。

空席のまま、面接が行われた。

『名前からお願いします』
『はい。浅野凛です。』
『最近、どんな本を読まれましたか?』
『東野圭吾さんの”パラレルワールドラブストーリー”です』
葛島と書かれた男のみが質問する。

あまり会社とは関係のない質問を2,3問された。

『はい、では・・』と葛島が言いかけた頃、ドアがノックされた。
『え?』
『すいません。遅れました。』
と入ってきた長身の男の人は、スタスタと部屋に入ってきて、
『竹中部長』と書かれた所に座った。

寝坊かなと思ったんだけど、まさかね。
葛島が今の状況を話す。『俺から一つ質問していいですか?』
と加藤専務、和田課長、葛島に伺う。
3人とも頷いて、彼は質問してきた。

『バイヤー志望だったね。』
『・・・。あっ、はい。』
『好きなブランドは?』
『貴社のブランドが好きなんです。』
『他は?』
『アナスイやコーチです。』
葛島と竹中部長は、アイコンタクトをした。

『では、以上です』

そこで、私はよやく竹中部長の顔を見た。

あれ?なんか、この人・・・見たことある?

何処だっけ?
『ありがとうございました』
と部屋を後にした。外で、望を待ちながら考えていた。

竹中部長について・・・。


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: