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2007.05.08
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カテゴリ: 感銘を受けた本
痛快!憲法学
小室直樹
集英社インターナショナル

「日本の議会、憲法は死んだ」という著者のことばを
借りてそのことについてなぜ死んだのかということを、
戦前、戦後で分けてまとめを。

前回の戦前の事件に引き続き今回は戦後の事件について。


戦前の帝国議会は、斎藤隆夫という議員を除名することに
よって「自殺」をした。


一人の大政治家を追放したことで、戦後のデモクラシーも
自殺を遂げた。これをもって日本の議会は死んだ。

それは誰かというと田中角栄元首相。

ロッキード裁判によって前代未聞の出来事ばかりが起き、
それによって日本国憲法も死んだという。


ところで、

議会において言論の自由が保障され、
そこで自由な議論が交わされ、そのプロセスを経て、
法律や予算が決まる。

これこそがデモクラシーの必要条件である。

この観点からみたとき、田中角栄ほどデモクラシーを体現した


演説がうまい、官僚の操縦がうまいというのは、もちろんだが、
今の議会では皆無になった議員立法のレコードホルダーである
ことが挙げられる。(今は、ほとんどが政府立法、つまり役人が
作った法案を可決するだけの存在に議員は堕落してしまった)

わずか8年で26件の法律をつくり成立させてきたとのこと。

適切な指示を与えることはできないし、バカな政治家だと思ったら
役人は動かないから、そういう意味でもここまで、官僚を
自由自在に使った政治家は田中角栄しかいない。


で、デモクラシーの死となった出来事が
田中角栄が昭和51年7月に「ロッキード事件」で逮捕されて
からの裁判。

日本人のほとんどは、この裁判でどれだけ恐るべきことが
行われたかを知らないし、それを報じた新聞やテレビはない。
「田中角栄は悪者である」という空気が日本を支配した結果、
冷静な議論はすべて封じ込められ、デモクラシーの精神は
踏みにじられてしまった。

どういうことが起きたのかというと、

ロッキード事件は全日空に導入される新型飛行機の選定に
あたって、当時の田中首相がロッキード社から当時のカネに
して5億円の賄賂を受け取ったとされた事件で、
(田中が実際に受け取ったかどうかはわからないが、
と前置きした上で)


田中に5億円の賄賂を贈ったとされるのはロッキード社の
コーチャン副社長だが、その彼が証言を拒んだ。
へたしたら、自分が起訴されるかもしれないから、当然
といえば当然だが、彼の証言がないと田中を有罪にする
決め手がない。

しかし、日本の検察は見切り発車で田中を逮捕した。
物証も証人も手元にそろっていないのに、逮捕するというのは
大変恐ろしいことである。

しかも本当に恐ろしいのはこれからで、
日本の法廷、この場合は東京地裁だが、何やかやと理屈を
つけてコーチャンが証言する代わりに起訴しない刑事免責
を認めてしまった。(今の日本では認める規定はない)

プラスコーチャンの証言にはいっさいの反対尋問が認められ
なかった。

検察、裁判所が手を組めば、誰であれ必ず有罪になってしまうだろう。

近代デモクラシーにおける刑事裁判の鉄則は、
「デュー・プロセス」、すなわち法にのっとった裁判を
行うことにある。

日本の裁判所は法の番人を自称しながら、デュー・プロセス
の鉄則を自ら破った。

これはデモクラシーの死、憲法の死といえるだろう。


事件自体は田中角栄は1審、2審ともに有罪判決を受け、
最高裁まで争ったが、判決を見ることもなく、平成5年に
亡くなって、公訴棄却(裁判そのものがなかったものとされる)
となった。

ただ、そのとき最高裁は「コーチャン証言は適法性がなかった」
旨のことを述べた。つまり最高裁もコーチャン証言が憲法違反
だということを知っていた。

戦前と同じだが、当時のマスコミや国民が「角栄憎し」の風潮で、
その「空気」が、国家権力の流れまで左右してしまった。
結局はマスコミの責任であり、ひいては国民の責任である。

日本において、議会も機能していなければ、近代裁判の理念も
無視されている。
日本のデモクラシーは完全に死に絶えてしまった。




まとめようといろいろ考えながら、何度か読んでいると、
この著者のことばはかなり過激だが、確かにその通りなのかもな
と思える。

かといって、全部をうのみにはできない。
もしかしたら、他の人の視点では、また違うのかもしれないし。
自分で考える余地は残しておかないといけない。

ただ、歴史的事実はしっかり覚えておこう。

今回もまた長くなったなあ。
次でなんとか終わらせよう。





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Last updated  2007.05.08 06:43:19
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面白かったです  
椎子☆  さん
読んでいて、映画を見ているような気分になりましたよ。で、どうなったの?みたいな。
ロッキード事件て飛行機にからむ賄賂だったんですね・・・知りませんでした。。。もー、政治経済、ニュース全般に無知でうといです(TT)だから助かりますよ。
事実なんて関係ない、でも証言をあつめ、裁判で有罪だってなればそれが事実・・。怖いですよね。
映画「LAコンフィデンシャル」見ました?かっこよくて大好きな映画なんですが、刑事たちが少年たちの家に勝手に銃を置いて犯人に仕立て上げたあげくに、死人にくちなしで殺してしまおうとするんです。
事件を隠したり、作ったりって結構あるのかなって怖くなりました。 (2007.05.09 12:12:55)

Re:面白かったです(05/08)  
TONO1977  さん
椎子☆さん
>読んでいて、映画を見ているような気分になりましたよ。で、どうなったの?みたいな。
>ロッキード事件て飛行機にからむ賄賂だったんですね・・・知りませんでした。。。もー、政治経済、ニュース全般に無知でうといです(TT)だから助かりますよ。
>事実なんて関係ない、でも証言をあつめ、裁判で有罪だってなればそれが事実・・。怖いですよね。
>映画「LAコンフィデンシャル」見ました?かっこよくて大好きな映画なんですが、刑事たちが少年たちの家に勝手に銃を置いて犯人に仕立て上げたあげくに、死人にくちなしで殺してしまおうとするんです。
>事件を隠したり、作ったりって結構あるのかなって怖くなりました。
-----
ありがとうございます。
この本は、ページ数が結構あって、
中世ヨーロッパの話やヒトラーの話など
印象的で載せたいことがもっとあったんです。
泣く泣く削りましたが・・

ちなみに「LAコンフィデンシャル」は
見ていないですね。
近いうちに見てみます。 (2007.05.10 06:49:55)

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