自然の狩人

自然の狩人

{『真理子』21



状態、疲れやすく気だるい、生理も暫らく無い

恐れていることが、で「もしかしたら?」

身に覚えがある事。 誰にも相談など出来ない薬局の前で

何度か立ち止まった、店の外からお客がいると店に入るのを

止めた、お客が居ないのを確かめて、勇気を出して店に

入り妊娠検査薬を購入した。

トイレで調べると,はつきりと表示された。妊娠している

彼にはすぐには、告げる事が出来ない

「あぁー」と小さく呟く、いいや深刻な重大事だ

新しい生命が宿った等と喜んでなどいられないの状況だーー


ー真理子の母は夫からの二度目の電話が入つていた。夫は

『とりあえず、支払いの為のお金が900万円いる』と」

『急いで工面して欲しい、会社も倒産する、運転資金も何とか

しなければならない、それよりも早く支払いを済ませないと』

『専務は酷い男だ、株と競馬で借金を作っていたんだ』

『姿をくらまして、何処にもいない、住民票も移していない

から、何処に雲隠れしたかも、わからない』

『取り合えず,会社の口座に一日でも早くお金を入れてくれ』

『すまない、お前に迷惑をかけて』それだけ言うと

電話は切られた。900万円の大金など直に工面など出来ない

直に銀行に連絡を取り 融資担当に繋げてもらった

担保があれば直にお金を出せる事に まだ支払いの残っている

自宅の土地を担保した。登記書類を持参して

会社の口座に送金が可能になつた。

夫に連絡しようと携帯を鳴らしても,夫は携帯に出ることは

なかつた。お店も開店休業状態 夫の給料も入らない

明日からの生活は「どうしょう」。。

今月はどうにかするにしても。。来月からは

真理子と母は同時に難問を抱え込んだ、真理子は

到底母の心配事を(異性の交際で起こるであろう)無視し

尚且つ 母親を疎ましくさえ思っていたのだから

母親にこの事を報告出来るはずもないのだ

真理子は父親の会社で持ち逃げなど起きているなど、これまた

母から聞かされていないのだから

普通に生活が成り立つて、日常の中に嬉しさや喜びが生まれ

目標にした事が成就する事が幸福だとすれば

真理子の家庭は今、まつたくの逆の方向へと進んで

いるのだろう?そう、幸福の反対、不幸へと

幸福も不幸も他者が判断を下したり相対的に比較する事ではないのだろう

当事者が感じ自覚作用があるもの 苦悩とは心も身体も

悩みに拘束されてしまう状態、悩みに支配されてしまう事かも

知れなくて 社会のシステムの末端の細胞のような核。 家族が

自分達の意思とは関係なく今崩壊しつつあるであろうか

真理子は数日間、悩み抜いた意を決して母親に話そうと

相手の彼には、産婦人科の検診で結果が出てから話をしょうと
母親にどのように切り出せば良いのだろう、普通に切り出せる会話を選んだ

母は毎日家にいるようだ、仕事をやめてしまつたのだろうか?

何も聞く事が出来ない 話かければ良いだけなのに

そんな簡単な事が出来ない

夕刻母が台所の流しに立つ後ろから 勇気を出して

声を真理子はかけた。「母さん。ねえ、母さん」

「真理子生理が止まったの」

「妊娠してしまつたかも」母親の手が止まった

「えーっ」と振向きざまに声を発して、手に包丁を持つたまま

母親は「どうして」と」叫ぶように言つた。

「うん。検査薬使って見たんだょ」そう言うと、もう真理子は

話を続ける事が出来なかった,心の中で母からの罵声を覚悟

しながら

手に持つた包丁をまな板に置くと放心したように、力なく

「お相手の彼は知っているのかい?」「もう話してあるんだろう」 「何んて言つてるんだい」

「彼の両親は?」「どうしろと言つてるんだい?」

力なく矢継ぎ早に真理子に尋ねて来た

真理子は感じていた、この数日の間を含めて

社会人として、社会に出て働いていない、両親に扶養されて

いる身はいざ難問を抱え込むと弱くて無力な事を

親と対等いいや反発していても いざと言う時は親に助けを

求めなくては、ならなくなるんだと

真理子の母は思うのだった

最大の危機に又新たな 難題を押し付けられ

頼りの父は行方を眩まして、しまつている 会社の方の

支払いは済んいるが 真理子が学生同士で交際をしている

事は父親も知るところだが 

これから先一人で どれをどのように対処していいのか

混乱するばかりであった

母は真理子に「真理子取り合えず産科の検診を」受けようね」

「それから、どうするか考えようね彼にもその結果話して、そうご両親の耳にも入れて置かないと」

母親の言葉に 真理子は涙が溢れ出ていた

「真理子、母さんは、お前の行動を許していないのよ」

「でも今更,怒っても 何もならないから」

「もう仕方のない子なんだから」

真理子は、小さく「ごめん」と言うしかなかつた

母親が流し台に振り向くと 真理子は黙って

台所を後にした 2階の部屋に入ると母親に話せた安堵と

何故かこれから先の不安、いいやもつと違う自責の涙が

再び流れ出た
真理子は絶望していた、検診の結果を彼に告げた

彼は『ほんと?』と言と黙り込んでしまつた。

真理子の不安は的中していた、決して喜ばれる事はないと

彼からの次の言葉を待った 気まずそうに「産むの?」

「無理だよね」「まだ結婚していないし」 「両親には報せたくないんだ」

「もう受験始まるし」「わかつて欲しいんだ」

予期していた言葉が彼の口をついて出てくる黙って聞いて

いる真理子自身が今現実に起きている事が夢のよう

好きだった彼の子が身体に入った。それは現実なのに

勿論もろ手を上げて喜んで欲しいなんて望まない

だが、彼(渡辺)の言葉の響きは、優しさやいたわりを

感ずる事が出来ない、そう言つてしまえば逃げ腰

抱きしめて優しく囁く彼の以前の姿からは、ほど遠く

感じられた 彼がどんなに優しそうに言葉を続けようと

真理子のお腹に宿った小さな命は生まれて来る事を阻まれ

てしまつたのだ 彼に一類の希望と望みを託した真理子に

彼の態度と言葉は非情でもあつた

目の前の景色が消えて、身体の力が抜けていく

この時から、この瞬間から 愛(と言えるかどうか?)

いいや、好きだつた彼がただの他人のように

真理子の意識の中から、立体の像が溶け出すように

抜け出て行くようだった、

涙も出ない、「男と女の関係」「好きになる」

「身体を求め合う」そして。。。。

漠然と真理子の脳裏を掠めていつた

「さようなら」も言はずに真理子は彼のもとから

去った、

彼と学校帰りに逢っていた、公園で一人夕刻まで

ベンチに腰を下ろして 最初彼を見つけて

好きになつた頃からを思い起して 呟く

(みんな自分がいけないんだ、だつて始めに好きになつたのは

私なんだから、そうそして自宅の部屋に呼んだのも私だし

彼を責めても、今となつては、なんにもならない。)

そんな風に真理子は自分に言い聞かせるのだつた

そして決めた、可哀想だけど産まない,産まない事に

しょうと、そう決意した







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