友達が作ったお話（゜▽゜ﾐﾃ!
フレディは薩摩藩の藩士でした。彼の家は代々続く武士の家でしたから、フレディは立派な役職に就くことができました。
フレディは日々懸命に稽古に励み、仲間と語り合う普通の青年でしたが、ある望みを持っておりました。
それはこの国を変えること。
日本に黒船がやって来てから、この国は大騒ぎになっていました。
幕府は外国の力を恐れ、開国しようとしていました。
しかし、フレディにはどうしてもそれが正しい道だとは思えませんでした。
フレディには幕府がやることがいちいち間違っているように見え、フレディはだんだん幕府が信用できなくなっていったのでした。
「幕府は信用できない。ぼくたちが動いて、この国を変えるしかない！」
フレディはこう決意したのでした。
フレディは同じ考えをもった仲間たちといつも国の将来について語り合っていました。
フレディは仲間と話している時間が大好きでした。
しかし、ふとフレディは思ったのです。このままでは国を変えることはできない。
何か行動を起こさないと・・。
仲間にそう相談すると、みんなも同意してくれました。
そこでみんなと話し合い、「まずは天皇を国の中心におかなければ」と思ったフレディは、仲間とともに京都に行くことにしました。
京都についたフレディたちは、京都には自分たちと同じ考えをもつ者が大勢いることを知り、うれしく思いました。
しかし、それと同時にフレディは自分たちの考えが甘かったことを知りました。
他の者たちは、自分が京都でやろうとしているこがしっかり分かっているのに対し、フレディは京都にいれば何かできることがあるかも知れない、と思っただけです。
しかも、京都では最近浪士組ができたらしく、フレディのような倒幕派の者のあやしい動きがないか監視しているので、下手に動けません。
フレディはさっそく行きづまってしまったのです。
それからは毎日何もできず無益に過ぎてゆくだけのように思われました。
しかし、ここで終わりではなかったのです。フレディには出会いが待っていたのです。
そして、フレディが出会った男こそがリョーマだったのです。
フレディの毎日は、リョーマと出会って大きく変わりました。
フレディと仲間達は、リョーマのおかげでやれることを見つけ、ようやく国を変えるために動き出せたのでした。
ある日、フレディたちは「会わせたい人がいる」とリョーマに呼び出されました。
指定された場所に行くと、リョーマの横にはもう一人の男がいました。
それがダニエルでした。
ダニエルは長州藩の藩士でした。
フレディは長州藩にはあまり良い印象を持っていなかったので、少しためらっていましたが、リョーマをまじえて一緒に話すうちに、フレディはだんだんダニエルの人柄に惹かれていきました。
ダニエルは物知りで、いろいろなことを知っていました。
外国のことを、ダニエルはいろいろと教えてくれました。
ダニエルの話はとても面白く、フレディは夢中になって聞きました。
そしてフレディたちは、ダニエルのもとに足繁く通うようになるのです。
フレディとダニエルは、すぐに親友になりました。
二人は一緒にたくさんのことをやりました。
暇になった時は、これからの時代について語り合いました。
その時は、何もかもが順調だったのです。
事件はすぐに起きました。
その日フレディはは、仲間たちがダニエルと一緒に、久しぶりにリョーマに会おうと、リョーマがいるはずの宿に向かっていました。
フレディは久しぶりにリョーマに会えると、気がはやっていましたから、宿の人から聞いた部屋を何の疑いもなく開けました。
そこには、血濡れになったリョーマが倒れていました。
部屋中がリョーマの血で真っ赤に染まっていました。
リョーマは体中斬られて、傷だらけで、もうすでに息はありませんでした。
「リョーマ！？どうして・・。そんな、リョーマが死ぬなんて！！どうしてリョーマが死ななくちゃいけないんだ！！」
「リョーマはきっと暗殺されたんだ。リョーマのことを快く思わない奴らもいるからな」ダニエルは悔しそうに答えました。
「そんな・・リョーマは恨まれるような人じゃないよ？」
「リョーマがやっていたことが問題なんだ。リョーマは新しい国をつくるために働いていた。その働きをよく思わないやつらがやったんだよ。」
「でも・・・・！」
「もういいじゃないか。リョーマを埋めてあげなくちゃ。しっかりお墓を作ってあげよう。」
フレディとダニエルはリョーマのお墓を作り、リョーマのくようをしました。フレディの仲間達は、皆リョーマの死を悲しみました。
しかしフレディは、とてもくやしく思いました。
リョーマを殺したやつが見つかったら、すぐにでも復讐するつもりでした。
リョーマの無念を思うと、じっとしてはいられないのでした。
しかしリョーマを殺した者は見つからず、フレディは歯がゆい日々を過ごすのでした。
そんな時、またしても事件が起こるのでした。
長州藩が外国に戦争をしかけたのでした。
薩摩藩も、すぐにでも外国と戦争をする用意でした。
ダニエルはその戦争に参加することになったのです。
フレディはずっと迷っていました。
フレディも戦争に参加しなければいけないのですが、フレディはリョーマの事件をまだひきずっていたのです。
フレディはまだリョーマの仇をうつことを考えていました。
フレディはダニエルに、胸の内を話してみることにしました。
ダニエルはいったい何を考えているのか、知りたかったのです。
ダニエルは言いました。
「君の気持ちもわかるよ。君はリョーマが大好きだったからね。もちろん僕もリョーマが好きだった。リョーマの仇をうつことも考えたよ。でもリョーマはこの国が変わることを望んでいたんだよ。きっとリョーマは僕らが自分の仇をうつために立ちどまることを望んではいないと思うんだ。リョーマが望んだことを、僕らがかなえるほうが、リョーマは喜ぶと思うよ。」
フレディは、ダニエルの言葉でようやく、心を決めたのでした。
フレディとその仲間達、そしてダニエルは外国と戦うことを決意しました。
戦争を、想像以上に厳しいものでした。
武士の魂である刀などは、外国の大砲の前ではなんの役にも立たないのでした。
外国はとても強く、すぐに藩は苦戦をしいられました。
フレディの仲間も、次々と死んでいきました。
一人、また一人と仲間がいなくなっていきました。
胸の痛みを感じる間もなく、死体は増えていくのです。
フレディは仲間の死体に駆け寄ることもできず、戦いを続けるのでした。
フレディはすぐにこの戦いが無謀な戦いであることを知りました。
しかしフレディはそれを認めたくはなかったのです。
フレディは自分達が勝つという幻想を捨てきれずにいたのです。
ある日の夜、フレディはダニエルと話をしました。
戦争を始めてからずっとダニエルと話をしていません。
「ねぇダニエル、君はこの戦争がどうなると思う？」
「そうだね、僕はきっと、僕らが負けると思うな」
「気のせいじゃないのかい。僕らは負けないよ。きっと勝ってみせるさ。」
「いや、勝てない。君も気づいているんじゃないのかい。僕らはみんなこの戦いで死ぬんだよ。」
「それじゃあ僕らは死ぬために戦っているみたいじゃないか！それに・・僕たちは死ぬの？」
「そうだよ」
「いやだ！僕らは死にたくない。きっと勝って生き残るよ。どうしてそんなことを言うの？」
「敵は強いからさ。見ただろう、仲間達が死んでゆくところを。敵は簡単に僕たちを殺せるんだよ。」
「・・・・。やっぱり、僕たちは死ぬために戦っているんだ」
「それは違うよ、フレディ。僕たちは国のため、国の将来のために戦っているんだ。結果はどうなろうと、僕たちが国を変えたいと思って戦っていることに変わりはない。僕らの気持ちに変わりはないよ。それにね、フレディ。僕たちの死にはもう一つの意味がある。」
「何？」
「僕らの後に生まれた藩士たちを守ることさ。彼らはこうして無駄死にをしていた馬鹿な先輩達をみて、少なくとも外国にこんな風に無謀な戦いを仕掛けることはしなくなるだろうよ。そうやって、僕らも先に死んでいった仲間達も、役にたっていくんだよ。こうして、命は繋がり続けるんだ。僕らが死んでいっても、命は終わらない。命は永遠なんだ。」
次の日、ダニエルは死にました。
撃たれたダニエルは、ゆっくり、静かに倒れていきました。
微笑みながら、ダニエルは死んでいきました。
フレディはたった一人、取り残されてしまいました。
フレディはいろいろな人と出会い過ごしたこれまでの出来事を思い出していました。
故郷の藩の仲間達と語り合ったこと。
京都での生活。リョーマとの出会い。
そしてダニエルと出会ってからの楽しかったとき・・・・。
フレディはとうとう撃たれてしまいました。
フレディはじわじわと広がっていく自分の血を見ながら、ゆっくり倒れていきました。
不思議と、傷は痛くありませんでした。
遠のいてゆく意識の中で、フレディはダニエルの言葉を思い出し、少しほっとしました。
「命は永遠なんだよ」
彼はまったく知る由もないのですが、それから時代は大きく動いてゆきました。
幕府は倒れ、天皇を中心とした新しい仕組みが生まれました。
彼らが望んだ新しい時代、新しい国ができたのです。
もうすぐ春が来そうな気配です。
－ＥＮＤ－
この物語はフィクションです。
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