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人体寄生虫は,高校までの生物学では,ほとんど扱われていないので,セルカリアという言葉を聞いたことのない人も多いかもしれない.しかし自然界では淡水産巻貝の寄生虫として,無視できない存在です.それにしても,たとえば高校の生物クラブなどで,「セルカリアを調べてみよう」などという試みは,されてないのでないか. 浦部美佐子「湖と川の寄生虫たち」サンライズ出版,2016.という本には,セルカリアの調べ方が説明されています.淡水貝としてカワニナを調べることが推奨されている.私もカワニナが良いと思います. 最近は犬を散歩させる人が糞の始末をしっかりするので,寄生虫も少なくなったようです.逆に,犬や動物の糞で「汚染」されているような場所とか,その水が流入しているような水路や池であれば,そこにいるカワニナがセルカリアを持っている確率は高いかもしれない. セルカリアを見つけたら,その種類を判定するには,伊藤二郎先生の「日本産セルカリア綜説」を参照すれば良いでしょう. この伊藤先生の論文や,その他「日本における寄生虫学の研究」に掲載されている論文は,目黒寄生虫館のHPで見ることができます.https://kiseichu-archives.blogspot.com/p/progress-med-parasitol-japan-j.html?fbclid=IwY2xjawFt49NleHRuA2FlbQIxMAABHQecMLmR61ay2lsw83C26M9QrvIbRpeySW5NqZd1CpLs3oZrsZh2mSwDVQ_aem_2-xnKbT80hTEvK8oQGQOXw セルカリアって何だ? という人のため,少し補足説明しておきます. 吸虫類の卵は,その吸虫に寄生されている哺乳類や鳥の便とともに外界に出ます.運良く水に落ちたら,そこで幼虫が孵化して泳ぎ出す.この幼虫は巻貝の体に侵入して発育.そこで「幼生生殖」をして増殖します(「幼生生殖」は高校生物の教科書に出ているかも). 最初1匹だった幼虫が増殖して,数千匹の「セルカリア」となって,貝から泳ぎ出します. なので巻貝(たとえばカワニナ)をたくさん調べたら,セルカリアを放出している貝を見つけることができるはずです.
October 24, 2024
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プラナリアの驚くべき再生能力は,どこから来るのだろうか? それは,プラナリアが「分裂能力のある細胞」を持っているからです.プラナリアの研究者は,こういう細胞をネオブラスト(neoblast)と呼んでいる.ネオブラストは分裂して細胞が増える.増えたぶんはプラナリアの体を作るいろいろな細胞に「分化」する. こういう性質をもつ細胞は,一般に「万能(多能)細胞」とか「幹細胞」と呼ばれていて,時々話題になります.山中先生の iPS細胞は,induced pleuripotent stem cell(誘導された多能幹細胞)という意味ですよね. ネオブラストはプラナリアのからだ全体に散在している.プラナリアを切断すると,切断面にネオブラストが集結して来て,盛んに分裂してプラナリアの身体づくりをする.これがプラナリアの再生能力の秘密です. X線を照射されると,ネオブラストは分裂能力を失う.だから体全体にX線を浴びたプラナリアには,再生能力はありません.じゃあ,体の一部だったら,どうなんだろう? というわけで,Dubois (1949) という人は,プラナリアの体の一部だけにX線を当てる実験をした.つまり,この図の斜線のところだけX線を照射した.白い部分は何かで覆って,X線が当たらないようにしたんでしょうね.結果はご覧の通り. 部分照射されたプラナリアを前後2つに切断した.前半分はネオブラストは全滅なので,再生能力はなく,死んでしまう.後半分は,切断面にはネオブラストはいないけれど,X線を浴びなかった場所にいたネオブラストたちが切断面に集まって,再生の作業を実行した.だから後半分は再生して,正常なプラナリアが復元した.
October 5, 2024
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「理科の自由研究」のテーマ.今回は,プラナリアを紹介します. 頭をチョンと切り落としても死なないで,やがて頭ができてくる.切っても切っても,どんな切りかたをしても,やがて元の形になる.ふしぎな動物プラナリアについて調べてみよう. プラナリアをさがせ. プラナリアは,きれいな水が流れていて,土や泥がたまってないコンクリートの側溝などにいる.水の中の小石をひっくり返してみると,丸くなったプラナリアがくっついている.絵筆を水にぬらして,それでプラナリアをそっと石からはがして採集する. あちこちの側溝や小川でさがしてみよう.プラナリアのいた場所,いなかった場所を記録しよう.かんたんな地図をかいて,いた場所,いなかった場所を,しるしを付けていこう. 「プラナリアはどういう所にいるか?」を説明してみよう. 飼ってみよう. 小さな容器を用意する.プラスチックのタッパーが良いかもしれない.私は「100円の店」で見つけた直径6cm,高さ4cm程度のタッパーウェアを使っている.この小ささなら,飼育しているプラナリアをそのまま実体顕微鏡で観察できる(写真). 水深は1センチぐらい.それにプラナリアを入れる.1匹だけでも,たくさん入れてもかまわない. このとき水は,「くみ置き水道水」を使う.ペットボトルに水道水を入れて,ゆるく栓をして,1日以上置いたものを使う.使ったぶんを水道水で補充しておくと翌日また使える. プラナリアを飼っている水は,毎日とりかえる.つまり水をできるだけ捨てて,新しく水を入れる.餌(えさ)をやったら水がよごれるので,その時は早めに水をかえる.水がよごれると,プラナリアは死んでしまう. とりあえず,餌は与えないことにしよう.餌がなくても大丈夫です.
October 14, 2021
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秋の星座というと,みずがめ,うお,おひつじ,... どれも地味ですね.「うお座? ああ,あのあたり.星が何も見えないあたりだよ」などという会話が成り立つほどです. ところが,その「何も見えない」はずの場所に,今は赤い巨大な星が見える.火星,ですね.ずいぶん大きい. 火星はいま,地球に大接近しているのだそうです.最も接近していたのは10月6日.https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2020/10-topics02.html 深夜12時ころ.ほとんど天頂近く,首が痛くなるほどの角度で見上げたあたりにいます.例年なら地味な秋の星空.しかし今年は賑やかです. 少し夜がふけてから,探してみてください.北東の空にカシオペア(W字型)が見えたら,そこから東へ,南へ,と視線を移して行くと,赤い大きな星が見えるのでないでしょうか. そして深夜3時頃には,火星は西のほうに移動し,頭の真上はオリオンとその周辺のきらびやかな冬の星空.そろそろ気候も冬型が多くなって,空も澄んできます.
October 24, 2020
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前回は,横書き日本語ではコンマもピリオドもじつはけっこう使われているし,コンマはお役所でも公認ないし推奨されているという話をした.しかし本なり雑誌なりの編集者が特定のフォーマットを求めていない限り,表記法は基本的に個人が自由に決められるはずだ.横書き日本語の歴史は浅い.日本語の今の段階では,1つの表記法に統一するよりも,皆それぞれに,どういう記号が使い易いかを試行錯誤してみるのが良いと思う. 日本語を横書きにするメリットの1つは,欧文表記をそのまま掲載できることだ.人名,欧文の引用,動植物の学名(ラテン語名),本のタイトル,その他いろいろな欧文を,文章の中に自然に挿入できる.これが横書きの1つのメリットだ.このメリットを活用するには,句読点はコンマとピリオドにするのが便利である. コンマはテン,ピリオドはマル,と考えがちだけれど,完全にイコールではない.コンマやピリオドには句読点としての用法のほかに,特殊な約束に基づく用法がある.たとえば動植物の学名にすぐ続けて命名者名と命名年を書くことがある.この時命名者名と命名年との間はコンマで区切るというのが国際的なルールだ.このコンマをテンで置き換えることはできない. ピリオドにも特殊な用法がある.単語(特に人名)の省略形を用いるとき,「省略しました」という印にピリオドを使う.John F. Kennedy のようなピリオドの使い方をする.このピリオドをマルで置き換えることはできない. つまり句読点としてマルやテンを採用しても,上記のような場合にはピリオドやコンマを使わざるをえない.マル,テン,ピリオド,コンマの4通りの活字が混在することになる.また上記の例以外にも,「この場合はマルにすべきか,ピリオドにすべきか?」と悩むことも多い.こういう悩みは,横書き日本語の雑誌を編集した経験のある人なら理解できるはずだ. 繰り返すけれど,マルやテンはすべてピリオドやコンマで置き換えることができる.しかしピリオドやコンマをすべてマルやテンで置き換えることはできない.いっそのこと,すべてピリオドとコンマを使うことに決めておけば,以上のような煩雑さはなくなる. それは特殊な事例である.日常の日本語表記ではマルとテンを使えば良いではないか,という意見もあるだろう.しかし国際化の時代,せっかく国際化に向けて開かれている句読点の表記法を,わざわざ内向き専用に据え置く必要があるのだろうか? しかもその理由が,「そういうルールだから」というのでは,要するに日本語の表記法について,この人は何も考えてないというしかない.
September 19, 2019
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横書き日本語の普及に伴い,句読点をどうするかについて,お役所が指針やガイドラインを出したのは,たぶんワープロの普及以後でしょう.しかし,もっと以前に,横書き日本語を採用することで,たぶん句読点について悩んだのでは? と思う分野がある.理系の学術論文だ. 古い大学の図書館に行けば,古い学術誌を見ることができる.私が調べたのは「動物学雑誌」と,「電気化学」だ. 「動物学雑誌」は36巻(1924年)まではタテ書きだ.しかし第37巻(1925年)から横書きになる.句読点はテンとマル.これが第43巻(1931年)まで続く.そして第44巻(1932年)以後はコンマとマルになっている.この雑誌は1984年以後は「Zoological Science」と名称を変えて,英語のみの雑誌となった. 「電気化学」は最初から横書きだったらしい.私が調べた範囲では,第9巻(1941年)まではコンマとマルが採用されている.そして第10巻(1942年)以後はコンマとピリオドになっている. 「動物学雑誌」はタテ書き主体でも,あまり困らなかった.しかし,やはり横書きのほうが良いということになった.それに伴ってテンを廃止し,コンマを採用した.しかしマルのほうは昔のまま維持した.と解釈できます. 「電気化学」のほうは,この分野で頻出する外国語や数式に対応するために,当初から横書きを採用し,コンマを採用.しかし1942年以後は,マルを廃止してピリオドに変えた.この変更の理由はわからないけれど,マルよりもピリオドのほうが良いという判断があったのでないでしょうか. お役所の指針に話をもどすと,今はコンマとマルが指示されている.つまり1932年以後の「動物学雑誌」や,1941年までの「電気化学」と同じ判断がされている.時代が進めば,お役所も1942年の「電気化学」と同じ判断を採用するかもしれません. 手元の横書き本を調べてみてください.テンとマルを採用しているものが多いでしょう.しかしコンマとマルになっているものも,けっこう多い.コンマとピリオドを採用しているものは少ないけれど,非常に稀な例外というわけではないし,「普通ではない」とも思えない. ある右翼系の人によると,コンマとピリオドを使うのは,「戦後WGIPに染まり,日本の伝統文化を否定する東大の左巻き系輩」だそうです.しかし,学術誌がコンマやピリオドを採用したのは戦後ではないし,採用した人たちは「戦後WGIP」とは無関係です.むしろマルとテンを「日本の伝統文化」と呼んでそれに理由もなく固執する右翼の内向き思考こそが,日本語の表記法を束縛し,ひいては日本文化の発展を妨げているのでないでしょうか.
September 8, 2019
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日本語を横書きで書くとき,私は句読点としてマルとテンではなく,ピリオドとコンマを使用している.昔からそうしているけれど,これに難クセをつける人もいなかった.ところが最近は,ピリオドやコンマの使用を批判する人が出てきた.日本人ならマルとテンを使え,という単純な理由からだ.それだけ? そう.それだけの理由だ.こういう批判をする人は右翼的な立場の人ばかりだ.それだけ日本が「右傾化」したということかもしれない. 私は自分自身の体験から,マルとテンは横書き日本語では不便であると感じて,自分なりの理由でピリオドとコンマを使っている.そのようなことを人前で言うと偉そうに聞こえるし,そっと私だけの試行として続けて来た.しかし今や「日本語だからマルとテンにしろ」などと強制される時代になったようだ. ピリオドやコンマの使用はルール違反なのか? どういうルールがあるにせよ,表現は自由のはずだ.それに,コンマとピリオドを使ったため文章の意図が伝わらなかったという経験はない.誰かに迷惑をかけた記憶もない. 本来の日本語は縦書きだった.しかし近年は横書きの日本語が増えた.横書き日本語はパソコンやスマホの普及で一気に加速した.それに伴って,本来の縦書き向き句読点のルールは見直しを迫られることになった. マルやテンをどうするか? をとにかく解決せねばならなかった人たちがいる.たとえば日本語入力のソフトを作った人たちだ.文章を縦書きでプリントアウトするとき,マルはマス目の右上に置くのが最も見た目が良い.しかし横書きの場合は,これでは使えない.横書き用のマルはマス目の左下に置くのが良い.つまり同じマルでも,横書き用と縦書き用とが必要になる.テンについても同様だ. 特にテンは,横書き文では見苦しい.テン(読点)は文章を読む時の切れ目である.縦書き文の中にあるテンは,たしかに「ここで一息ついで」という小休止の符号として説得力がある.しかし横書き文で表れるテンは,「小休止」というよりは,ダラダラと次に続くような印象の符号となる.テンよりもコンマのほうが,視覚的にずっと説得力がある. 日本のお役所が採用している句読点の基準やガイドラインでも,コンマには市民権がある.「日本語だから,ルールだから,だからマルとテンを使うべきだ」などとお役所は考えない.いろいろな議論を経て,「伝統」と「使い易さ」の間の適切な妥協点に落ち着いたのだろう.コンマの使用は推奨される.しかしマルはマルで良いではないか,というのが,この妥協点だ.(つづく)
September 4, 2019
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日本は劣化している. 特に劣化の著しいのは政権政党である自民党だ. 以下はライブドアニュースhttps://news.livedoor.com/article/detail/16754964/?fbclid=IwAR3ZwVx01-quDq3zwqHKGfXtT0zyC-nNQUi9e862vQbGOpMmdqhKpWcX37Iからの転載です.(以下転載)■立憲民主党会派・中村喜四郎元建設相(発言録) 首相が(遊説で)野党政党の名前間違いをわざわざ何カ所でもやっている。 子供じみたことで首相のやることか。野党がまとまってくることを非常に気にしており、彼らも自信満々ではないということだ。 私は40年の長い(政治活動)期間、20年は自民党にいた。国の借金が増え、社会保障の予算が伸びている時に、首相は「10年間は消費税は上げなくていい」と簡単に言う。私が知っている自民党にはこの感覚はなかった。昔の自民党は権力に対して非常に抑制的で、言っていいことと悪いことをよく考えて言っていた。品格もあったし、責任も持っていた。しかし、今の自民党には残念ながらそういうものはどんどんなくなり、物言えば唇寒しという状況だ。非常に深刻な事態だ。(10日、京都市内での支援団体との会合で)(転載おわり)
July 12, 2019
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日本はいま大変な危機に直面している.参議員選挙で与党が圧勝する勢いなのだ. だから何だ? という意見もあるだろう.国民の支持を得た政党が国政を担当する.それでこそ民主主義なんだ,と. そうだろうか? 日本の民主主義は,よく機能しているのだろうか? たとえば国会だ.あの空疎なやり取りを見て問題を感じないだろうか? 今の国会は政府の方針を承認するだけの舞台装置でしかない.立法府として機能していない.この原因は,与党が絶対多数を占めているからだ.何を議論してもしなくても,政府が出した議案は国会を通過してしまう.だから実質的な議論は行われない. 国権の最高機関たるべき議会がこの調子である.裁判所も政府に楯突くような判決を出さない.出すこともあるが,要所要所でしっかり政府の意向に従っている.つまり今の日本では三権分立が機能していない. そういう状況下での参院選だ.仮に与党が圧勝すれば,次は憲法改正だ.国民投票ではカネのあるサイド,つまり与党側が圧倒的な宣伝力で世論を牛耳ることだろう. 憲法改正おおいに結構,望むところだ,という意見もあるだろう.そう思う人は自民党の改憲案をしっかり検討してほしい. 日本の政治システムの最大の欠点は,バランスが一旦崩れ始めると,ズルズルと同じ方向に向かって暴走してしまうことだ.アクセルばかり機能して,ブレーキのない状態になってしまう. バランスを保持するための1つの仕組みが三権分立だけど,今すでに上記の通り.ブレーキの効かない状態になっている.自民党の改憲案も,政権の暴走を許容する内容になっている.現行憲法が持っているブレーキの機能が,憲法改正によって失われてしまう.つまり政権は完全な暴走状態に突入することになる. いま日本国民に求められていることは,暴走状態に入ってしまう前に何らかのブレーキをかけることだ.その最も有効な方法が選挙だ.与党の絶対多数の状態を許さないことだ. 国会の現状を改善するために,つまり民主主義をもっと機能させるために,野党に投票しましょう.
July 9, 2019
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NHKの報道がヘンだ. ずっとそう思ってきたけれど,最近やっとマスコミが取り上げ始めた. まず毎日新聞:NHKの政治報道、変だ 「安倍政権寄り」と保守系誌も批判 https://l.mainichi.jp/OFZq5zN NHKの政治報道が変である。今年に入り、論壇誌が相次いで「安倍晋三政権寄りが目に余る」などと報道姿勢にモノ申す特集を組み、NHKのOBらが古巣に抗議する事態になっているのだ。物議を醸した籾井勝人前会長が退任して2年。公共放送はどこへ向かっているのか?(以下略) そして週刊金曜日:http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002749.php 安倍晋三首相の「支持率高止まり」はNHKのおかげ――。こんな声も聞かれるほど、第2次安倍政権における定時のニュースを中心としたNHKの政権寄りの姿勢が目立つ。政権に都合の悪い情報は極力小さく扱うか無視する一方、首相の人気取りにつながるような報道がはびこる.(以下略) 朝日新聞もやっと沈黙を破って,こういう記事も:https://www.asahi.com/articles/ASM3J6K4LM3JPGJB00V.html?iref=comtop_rnavi_arank_nr01&fbclid=IwAR2taGRx_mSYvuNNT2c8WsTyMHnA-0WBCg8G8bM2geDoWUO4CMEoltPDm7I 森友学園問題が明らかになった当時、相沢さんは大阪報道部にいた。当初、NHKでは全国ニュースにならなかった。売却価格の決定過程に関する特ダネは約2カ月、放送されなかった。やっと放送されたその3時間後、「あなたの将来はないと思え」と当時の上司が電話で激怒されている姿を目の当たりにした。(以下略) NHKによる「忖度」もあるのでしょう.しかし根底には,マスコミによる批判に不寛容な安倍政権の姿勢があると考えたほうが,より自然だと思いますね.こういう報道もありました:https://hbol.jp/188771?fbclid=IwAR0HxAoWg852Qbut0tBXkdIPBxaeyFD72ChjaFzyWfpCmoAiMwTZwSvMX1g 前代未聞、極めて異例なことだ。3月14日、首相官邸前で新聞記者などメディア関係者ら600人がデモを行い、内閣官房記者会見での政府関係者による望月衣塑子記者(東京新聞)への嫌がらせに対して抗議した。 多くのメディア関係者らがデモという直接行動に出るようになった背景には、安倍政権が露骨に「報道の自由」への圧力を加えてきたことへの危機感がある。 14日の官邸前デモを主催したのは、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)。新聞、放送、出版、映画、広告等それぞれの労働組合の連合会、協議会等で構成された組織だ(以下略) いま日本のマスコミは政府に尾を振る忠犬に成り下がっている.特に犯罪的なのがNHKだ. 長くなるので,今日はこの程度にしておこう.
March 28, 2019
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谷山浩子が歌っていた「まっくら森の歌」. この「まっくら森」は,「安倍政権下の日本」に似ている.たとえば1番の歌詞は, ひかりの中で 見えないものが やみの中に うかんで見える まっくら森の やみの中では きのうはあした まっくらクライクライhttp://j-lyric.net/artist/a00202c/l015caf.html 光の中で見えなかったものは「憲法の大切さ」. 安倍政権下では「きのうはあした」.つまり日本の未来は過去とイコール. 2番以降の歌詞も,安倍政権にピタリと当てはまります. さかなはそらに ことりは水に タマゴがはねて かがみがうたう まっくら森は ふしぎなところ あさからずっと まっくらクライクライ 安倍政権下では「健全な常識」が通用しない. たとえば,首相の発言はウソばかり.これほどウソをつき続けても,マスコミは何も言わない. みみをすませば なにもきこえず とけいを見れば さかさままわり まっくら森は こころのめいろ はやいはおそい まっくらクライクライ 聞こえるのは安倍政権を賞賛する雑音ばかり.真実を知りたいと耳を澄ましても,何も聞こえない.マスコミは政権批判をタブー視し,官僚は政権に不都合な情報を隠蔽し,または証拠隠滅する. 政権が目指すのは戦前.過去の日本.時計の針は逆向けに回っている. 速いは遅い.黒いは白い.赤信号は青信号. どこにあるか みんなしってる どこにあるか だれもしらない まっくら森は うごきつづける ちかくてとおい まっくらクライクライ 安倍政権が目指すのは憲法改正. そのことは,みんな知ってるはずだけど,なぜか問題にならない. NHKの大本営発表は,安倍政権の人気取り報道ばかり.雑多な情報に国民は振り回されてしまって,「どこにあるか」を見失っている. そして「共謀罪」.これは,かの悪名高い「治安維持法」と同じです.まさかそんな大げさな,という反応が,私の身辺では多い.ありえないと思いますか? 遠いように見えて,じつは近い.それが治安維持法です.
June 2, 2017
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・・・女王さまは言いました.「よいか,ここでは,おなじ場所にとどまっておりたければ,力のかぎり走らねばならんのじゃ」 (キャロル著,脇明子訳「鏡の国のアリス」岩波少年文庫) 「赤の女王」説は,「生物にはなぜセックスがあるのか?」という大問題を扱った学説です. 生物はセックスがなくても子孫を作れます(無性生殖).ただし無性生殖では遺伝子は変りません.子は親と全く同じ遺伝子です.子が何人(何匹)生まれようと,みな同じ遺伝子をもっています.無性生殖とは親のコピーを作ることです. これに対し,有性生殖では多様な子孫が作られます.環境が変化する時は,有性生殖のほうが有利になります.しかし環境が一定であれば,無性生殖に比べ有性生殖は圧倒的に不利です. だから現存の生物の大多数が有性生殖を採用している理由は,生物の生きている環境というのは見かけほど一定ではなくて,じつは時々刻々と変化するものに違いない,と考えられます. では,その時々刻々と変化する環境とは,どういうものでしょう? さまざまな「環境」が変化するでしょう.しかし最も重要なのは病原体の存在,かもしれません. 生物と病原体の関係は,軍拡競争によく例えられます.それはしばしば,一方が生存すれば他方は滅びるという熾烈な勝負になります.負けそうになった側は,遺伝子の組成を変えます.そして勝ちに転じたら,こんどは相手の負けが混んできます.そこで相手も遺伝子の組成を変える必要がでてきます.こういう関係が続く限り,生物も病原体も,どちらも常に遺伝子組成を変える必要性に迫られているわけです. ところでこの場合,「軍拡競争」という比喩は,あまり適切でないかもしれません.ナイフで殺し合っていたのがピストルに,ピストルが大砲に,大砲が爆弾に,というような軍事技術の拡大や充実とは少し違っています.生物と病原体の競争は,むしろジャンケンに似ています.相手がグーを出している時は,こちらはパーを出せば良い.相手がチョキに切り替えたら,こちらはグーを出す.こういう競争では軍備の拡大や進歩はありません.相手の出方によってこちらも出方を変えるだけです.そこにあるのは「変化」であって,必ずしも「進歩」や「拡大」ではありません. 生物集団の遺伝子の組成が変化することを,生物学では「進化」といいます.その定義を採用すれば,生物と病原体とは生き残るために,共に「進化」し続けているわけです.進化によって生物は進歩することもありますが,ジャンケンのように同じ所をぐるぐる回っているだけの進化もあります.生物学的には「進化」とは「変化」であって,必ずしも「進歩」を意味しません. 病原体も含め,生物は他のさまざまな生物とともに生きています.こういう生物的環境は時々刻々と変化するので,生物は無性生殖で自分のコピーさえ作っておけば良いというわけにいきません.有性生殖を行なって,「全速力で進化し続ける」ことが常に要求されています.それはルイス・キャロルが「鏡の国のアリス」で描いた「赤の女王」の国とどこか似ています. 「この世にセックスが存在するのは,生物が病原体と闘わねばならないからだ」と主張する学説が,「赤の女王」説と呼ばれるのは,そういう理由からです.
April 30, 2017
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集団的自衛権を容認する,とは,米国の手先となって世界中どこにでも自衛隊を送って戦争をする,ということ.このことのデメリットについての話を続けます. 米国は世界中で最も戦争が好きな国です.第2次大戦後もほとんど途切れることなく,ずっと世界のどこかで戦争をして来た.戦争そのものが経済システムに組み込まれた,いわば戦争中毒の国です.こういう国の要請に応じて自衛隊を派遣します,と宣言するのが「集団的自衛権」です. たぶん最大の問題は,米国の戦争が必ずしも「正しい」と限らないことでしょう.ベトナム戦争は「ベトコン」つまりベトナムの共産主義者との戦いだと米国は言い続けていた.その内実はベトナム国民に対する無差別爆撃でした.米国が侵略されている訳でもないのに,わざわざベトナムに出かけて行って,ベトナムの国土を爆撃する.このような戦争に正当性があるでしょうか. ベトナム戦争を継続する米国に対し世界中から批判の声が高まり,とりわけ米国内での良識ある人々が厳しく米国政府を批判した.そして米国は結局ベトナムへの介入を放棄せざるをえなくなった.これがベトナム戦争です. 日本はベトナムに自衛隊を送りませんでした.憲法9条があるからです.もし当時の政府が「集団的自衛権」のようなへ理屈をでっち上げていたら,自衛隊はベトナムに送られ,殺し殺される殺人ゲームに参加させられたでしょう.何の恨みもないベトナム人を殺すなどという所業に直接携わらなかったのは,本当に幸運でした.仏教徒の方,特に創価学会の皆様は,このことをどう評価されますか? イラク戦争はどうでしょうか.イラクには「大量破壊兵器」がある,と当時のブッシュ米大統領が難クセをつけて始めた戦争です.大量破壊兵器は結局ありませんでした.米国はイラクのフセイン大統領を殺し,この政権を倒しました.以後このエリアは混乱を極め,今も各地で戦闘がくり広げられています.近年は「イスラム国」が勢力範囲を拡げ,日本人ジャーナリストも殺されました.すべては米国がフセイン政権を倒したことに起因している,と言っても良いでしょう. 日本政府の対応ですが,当時は小泉純一郎という馬鹿が首相をやっていました.この人が当時の中東情勢を熟考した形跡はありません.小泉氏は米国を訪問し,ブッシュ氏に求められるままに,2つ返事で自衛隊派遣をOKしました.しかし憲法9条があるので,自衛隊は派遣するけれども戦闘行為は行わない.派遣される場所は「非戦闘地域」である,などと強弁せざるをえなかったわけです.「自衛隊がいる場所だから非戦闘地域だ」という,苦し紛れの迷答弁でご自身の頭の足りなさを白日にさらした首相でした.しかし馬鹿は馬鹿なりに,最後の一線を越えることはありませんでした. この最後の一線,つまり海外で戦闘行為を行うこと,を可能にするのが今回の安保法制(戦争法案)です.露骨な憲法違反です. 米国に何かを要請されたら,日本政府はまず断れないでしょう.要請されるままに米国の走狗となって,世界各地で戦闘行為(つまり殺人)をする.米国を敵視し,嫌う国民は世界中にいます.その憎まれ役の一部を,日本国が引き受けることになります.これは日本と日本国民にとって,大きなデメリットだと私は思います.
August 9, 2015
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集団的自衛権を認めるべきか否か.なるほどゲーム論的に考えれば,憲法など無視して戦争をできる国に日本を造り変えて行くことが良さそうに見える.しかしこの「ゲーム」は複雑で,こちらの姿勢により相手の姿勢も変わり,それに応じてこちらの姿勢を変えねばならない.ゲーム論的に最も良さそうに見えた解,つまり集団的自衛権を許容して米国との軍事関係を密接にして行くという選択肢には,じつは多くの難点がある.今回の安保法制(戦争法案)が国会を通過すると,何が起きるだろうか. いろいろな事が起きます.その1つは,日本が米国の属国となること.みんなよく知っている通り,今すでに日本は米国の属国である.米国から求められるものは何でもOKせざるをえない.そうでない実例を1つでも挙げられますか? そう,米国は日本政府を意のままに操ることができる.ただし1つだけ例外がある.それが「自衛隊の海外派兵」です.これだけはできない.憲法9条があるからです.日本にとって米国がいかに親しい友人であっても,いかに厳しい上司であってもダメ.憲法とはそういうものだ.この憲法を日本に「押しつけ」たのは米国だけど,その「押しつけ」た張本人であっても,憲法の趣旨は曲げられない.日本は「独立国」というタテマエですからね. もちろん,これにも例外はある.それは日本国ご本人が「いや,憲法の趣旨を曲げても良いですよ」と言った場合です.政府が憲法の趣旨を曲げる? いや憲法とはそういうものじゃないでしょう,と米国は思うかもしれない.しかし,すべては日本人と日本政府が決めること.米国がとやかく言える問題ではない.「独立国」ですからね. というわけで,安保法制(戦争法)が通ったら,米国は喜んでこう解釈するでしょう.そうか.憲法に書いてあっても構わないんだ.日本は戦争に参加できる国なんだ,と. つまり今後は,米国の求めがあっても軍を出せない(9条があるから)という従来の言い訳が通用しなくなる.これは後戻りできない.つまり,一旦その論理が通ってしまったら,もう米国からの要請を断る理由として9条を持ち出せなくなる. 今までは,米国の属国とならないために,9条は防波堤であった.この防波堤を日本は自ら破壊してしまった.もう効かない.もう米国津波を防げない.これは「集団的自衛権」を容認した場合に生じる,大きなマイナス点だと私は思います. マイナス点はこれだけに留まらない.それはまた今度.
August 6, 2015
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前回の続きです. この表では中国が日本本土を,I. 攻撃する,またはII. 攻撃しない,という2つの可能性を比べている.前回と少し言い回しが違うけれど,さし当りそれは大きな問題ではない. これらの可能性に対し,日本側の戦略として,A. 集団的自衛権で対応,または B.個別的自衛権で対応,という2つの選択肢がある,と考える.2つの可能性と2つの対応策.大地震の場合と同じように,それぞれの組み合わせに対して予想される「利得」が数字で表わされている. この利得表に対しミニマックス原理を適用すれば,もちろん A. 集団的自衛権,がミニマックス解となる.つまり「集団的自衛権」は数学的に正しい選択肢ということになる.はい,一件落着. とは行かないのが政治の世界.では何がダメなのか.この表のどこに欠陥があるのか.そのあたりを考えてみたい. 先に進む前に,一言. 「もし中国が攻撃してきたら」ということを強調する人たちは,無意識的にこの「ミニマックス原理」のような思考をしているのでないだろうか. そういう思考は間違いである.少なくとも今の日本が直面していると言われる安全保障問題を考察するうえで,適切なモデルとは言えない.なぜならば,1.集団的自衛権を採用する,とは言い換えれば,米国の手先になって戦争をするということだ.その場合の得失はA-I の場合は 0,A-II の場合は -10 となっているけれど,その程度のものだろうか.日本が失うことになるカネ,人命,信用を,もっと検討する必要があるのでないか.2.地震と外交は違う.日本がどの戦略を採用するかによって,中国側の対応も変って来ると予想される.日本が A. 集団的自衛権 を採用すれば,中国としては防衛上,日本本土を現実的な攻撃対象とせねばならない.一方,日本が B. 個別的自衛権 の範囲に留めるならば,中国側が日本本土を攻撃する合理的根拠は薄れる. 続きはまた今度.
August 2, 2015
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「ゲームの理論」というのがある.私は学生時代に少しかじった程度の知識なので,じつは良く知らないのだけれど,とにかく説明します. たとえば地震の話. 近いうちに I. 巨大地震が来る,またはII. 巨大地震は来ない,という2つの可能性を考える.日本社会の対応としては,A. 耐震構造の強化を強く推進する,か,またはB.弱く推進する,かの2つの選択肢がある. 2つの可能性に対し2つの選択肢.合計4通りの組み合わせについて,日本社会の得る「利得」を,たとえば表のように設定する. I-A. 巨大地震が来ても,耐震構造をしっかり強化しておけば,被害は少なくて済む.これを利得0としよう. II-A.耐震強化したけれど地震は来なかった.これは耐震強化に注いだ財政と労力のぶんマイナス評価となる.利得は -10ぐらいでどうだろうか. I-B.地震が来たけれど,備えは十分でなかった.これは大きな被害が予想される.利得を -20 としておこう. II-B.地震は来なかった.たいした備えもしてなかった.これはラッキーだったということで,利得は +10 ぐらい. 数値について異論は無数にあると思うけれど,とりあえずこれで考えてみよう. まず,I. 巨大地震が来たときと II.来なかった時とで,どちらが損失が大きいか(利得が小さいか)を考える.これはI に決まっている.-20 という結果となることを,最も恐れねばならない. 次に,ではI が起きたときに,利得が最も大きい(損失が最も小さい)対処法は,というと,それはA である. 最小(ミニマム)の利得をもたらすであろう可能性に対し,こちらは最大(マクシマム)の利得を確保できる対処法を選ぶ.これをミニマックス原理というふうに呼んでいる.この表に関してはA. 耐震構造の強化を強く推進する. が,このゲームのミニマックス解ということになる. さて,こんどは地震ではなくて,I. 中国が日本本土に侵攻して来るか,またはII. それはないか,という2つの可能性について考えてみよう.このI の可能性に対して,いま提唱されている対応策が,A.集団的自衛権の容認,である.一方,II(中国は日本本土に侵攻しない)と考える人は B.個別的自衛権で対処できる,という選択肢を選ぶ傾向がある. 続きはまた今度.
August 1, 2015
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高知市と高知県が合同の図書館を造る.その1フロアが「子ども科学館」となる予定. 牧野植物園が理科教育にほとんど貢献していない現状があり,「子ども科学館」は県立レベルの最初の科学博物館として機能することが期待される.そうなるように,道を誤らないように,意見を述べて行きたいと思う. 県が発行しているパンフには疑問が多い.この館のめざすところが全く見えない.子どもを集めてゲームセンターの真似事をしていれば,それが理科教育だとでも思ているかのようだ. 高知県内の「博物館」の中には,集客だけが自己目的のようになって,客厚めのために結婚式場に場所を提供したりという実例もある.安易に考えないで欲しい.見かけではなく,内容の充実した「子ども科学館」であって欲しい. 「映像の多用」もよく言われているらしい.そもそも博物館が見せるのは映像ではなく実物でなくてはならない.映像ではなく,本物を見せることを重視して欲しい.映像重視は実物の価値を理解しない人たちの発想である.
March 24, 2015
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うんざりするけど,また政治の話.- 日本国憲法 第66条「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」 国の方針を「軍」が決めてはならない,という趣旨.かつて軍の発言力が強まったことが,日本を戦争に向かわせた大きな要因であった,という認識から設けられた規定である,と学校で教わった. 土佐高校では教えてないらしい > 中谷さん(以下転載,東京新聞のHPより)中谷氏会見 文官統制「軍部暴走の反省でない」2015年2月27日 夕刊 中谷元防衛相は二十七日午前の閣議後の会見で、現在の防衛省設置法に同省の内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官より優位を保つと解釈される「文官統制」の規定が盛り込まれた理由について戦時中の軍部暴走の反省からかと問われ「そういうふうには思わない」と述べた。 中谷氏は、理由や経緯について重ねて尋ねられると「私はその後生まれたので、当時どういう趣旨だったのかは分からない」と述べた。中谷氏は防衛大学校卒で、陸上自衛隊出身。 政府は、文官統制廃止などを盛り込んだ防衛省設置法改正案を三月上旬にも閣議決定する方針。文官統制を廃止すれば、文民統制(シビリアンコントロール)を弱体化させる恐れが指摘されている。 <文官統制> 政治が軍事より優先されるという、民主主義国家の基本原則「文民統制(シビリアンコントロール)」の一環。防衛省設置法の規定では、背広組の文官を制服組自衛官より優越した立場に置くことで、防衛省内の文民統制を補強する役割を果たしている。憲法では、首相や閣僚は文民でなければならないことを明記。国の防衛に関する事務は内閣の行政権に属し、国会が防衛出動の承認などの権限を持っている。(転載おわり)
March 23, 2015
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高知市内にクルマ道を張り巡らせる.そのために川をコンクリートで覆ってまでして道路にしてしまう.いま高知県,高知市は,そういう「町づくり」をやっている.市内の新堀川にはコアマモ群落があり,アカメやシオマネキなどの生物が棲んでいる.それも潰してしまおうという計画だ.そのため県土木部は,申し訳程度の「アセスメント」を実施した.そして,今あるコアマモ場を潰しても,同様な環境はすぐ再生(創生?)できるかのような報告書が出されている. この問題については,ブログ「浦戸湾」にも少し書いた.http://blog.livedoor.jp/uradowan/archives/51864529.html#comments このアセスの報告書に問題があることを指摘する陳情書が,「浦戸湾を守る会」からも出されている.ここでは,その陳情書を紹介する.(以下転載) 2014年9月17日高知県都市計画課課長様 新堀川界隈ネットワーク 代表世話人 XXX 浦戸湾を守る会 事務局長 YYY新堀川駐車場の一部撤去による新堀川環境変化の調査結果(詳細版)に関する陳情 標記の調査に関してはデータの統計処理がまったくなされておらず、結果の解釈において客観的な判断がなされたという保証はありません。したがって、検体の採取数ならびに採取方法を再検討するとともにデータに統計処理を施し、改めて市民にその結果を提示するべきです。以下、下記のとおりその理由を述べます「理由」 各項目の調査結果のほとんどは算術平均に基づいて評価されており、「状況がみられた」「顕著であった」「近い値がえられた」「傾向がみられた」「大差ない」などの曖昧な表現に終始しております。 複数の検体を採取したのですから当然、データの統計処理をするべきであり、その結果について「有意差があった」「有意差は認められなかった」という客観的な記述に統一する必要があります。グラフの作成においても、仮に3検体でもエラーバーを記入するのはもはや常識となっております。 本報告の眼目は、駐車場の撤去にともなって日光が射すようになり、環境が回復したことをクロロフィル量とフェオフィチン率から証明しようとしたことに要約されると思われます。ここで、駐車場下の基質の表面から微細な付着性珪藻と付着性緑藻が採取されたのならクロロフィルa、b、cと、フェオフィチンaが検出されるでしょうが、ここは光が当たらない環境であり、これらの微細藻類は繁茂できません。 また駐車場下は潮位の変化があり、海水は常時動いております。したがってクロロフィルとフェオフィチンは底泥の表面にある粒子に強く依存し、水流とともに移動している微細藻類ならびに浮遊性であるが干潮時に底泥に取り残された浮遊性の微細藻類に由来すると考えるのが自然です。すなわち、狭い調査範囲の中で、同じサンプルを小分けにして採取していただけと推察されます。 換言すれば、同一時間軸における3地点の定量値に統計的な有意差があるはずがないのです。しかも、明るい環境でフェオフィチン率が低く、藻類の活性が高いと結論しております。これは大きな誤りです。フェオフィチン率は生きているクロロフィルaの現存量と死んだクロロフィルaの瞬間的な現存量の比にすぎません。一方、光合成活性は単位時間当たりの光合成産物の産出(あるいはCO2の消費)で測定されます。もちろん、この活性(反応速度)は現存量と無関係です。このように、基本的術語の解釈に誤りがあるため、その結論もまた誤りです。 図9と図10を見ると、各地点のグラフのパターンが「見ただけで」よく似ていると「感じます」。すなわち、同一時間軸で見れば、地点間の定量値に差がないのではという疑問がデータの分析に慣れている者には当然生じます。これを「感じ」ではなく、統計処理に基づいて証明するのが科学的データ処理であり、客観的な結論を導くのに欠かせません。 以上のように、統計処理が意味のない場合を除き、各項目について統計処理を施す必要があります。 また、多様性指数も類似度指数もさまざまであり、何を使ったのかを明示する必要がありますし、その数値にいかなる意味があるかを簡単に紹介する必要があります。類似度指数は何に基づき算出されたか不明ですが、現在ではノンパラメトリック法による検定も行われているのはご存知と思います。光条件にこだわっておりますが、瞬間の照度ではなく、日射量を頻繁に測定しないと環境の変化に言及するには無理があります。 なぜ横堀公園前の干潟の環境要因を分析しなかったかという大きな疑問が残りますが、これを含めて調査方法と検体数を決定し、データ処理を完璧にこなしてから改めて市民に結果を提示すべきです。(転載おわり)
October 27, 2014
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スコットランドは,とりあえず独立しないことになった.もし独立したら,たぶん北アイルランドにも微妙に影響する. Make Ulster British. アルスター(北アイルランド)を英国風に改造しよう. 北アイルランドを率いるプロテスタント勢力は昔(たぶん今も)そう主張していた.アイルランド的なもの(たとえばカソリック)を排除し,英国的(スコットランド的?)なものを奨励しよう? 北アイルランドのプロテスタントはスコットランドの影響が大きい.彼らは戦闘的でカソリックに対し容赦がない.それを今の英国政府が抑えているのが現状. スコットランドが独立したら,この抑えがなくなる.つまりプロテスタントはカソリックに対し,やりたい放題となる恐れがある.するとIRAが活発化する.アイルランド共和国の政府も黙っていられないでしょう. というのが私の予想でした.独立しなくて良かった.補足. 北アイルランドのプロテスタントで、日本で最もよく知られている人はC. S. ルイス(「ナルニア国ものがたり」の著者)でしょう.この人がどれほど戦闘的(狂信的)かは,この本の端々から伺い知ることができます.
September 20, 2014
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いや,感動しました. そのまま転載します.私の言葉を付け加えたら,文章の格調高さを損なってしまう.http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2014/09/post-08e2.html(以下転載)2014年9月13日 (土)朝日新聞「誤報」事件 秘密保護法の生け贄朝日新聞の「誤報」に対するバッシングは、戦後、言論機関(朝日新聞がそう呼ぶに値するかどうかは別として)に対するものとして、かつて例をみない特異な事件に発展した。沖縄密約を暴いた西山太一記者は女性スキャンダルにすり替えられた人格破壊によって記者生命を絶たれた。戦後初めての本格的な政権交代を成し遂げた小沢一郎は、事実無根の金銭スキャンダルによる人格破壊によって政治生命を絶たれた(ように見える)。朝日新聞「誤報」事件も、人格破壊の域に達した。そして、朝日新聞は、西山氏や小沢氏と異なり、人格破壊に屈して、頭を垂れた。朝日新聞「誤報」事件は、確実に後世の歴史に残る。「誤報」としてではなく、「暗黒の言論統制」の時代の幕開けとして、だ。とりあえず何が対象にされたのかを確認しておくことに意味があるだろう。「慰安婦」の「拉致」に関する吉田清治証言に関する「誤報」は、「軍」に対するものだ。福島第一原発事故に関する吉田調書の「誤報」は、原発に対するもので「テロ」関連で軍事に通ずる。吉田調書に関する誤報は、「命令違反」と「撤退」に関係する。所員が、吉田所長の意図に反して福島第二原発へ移動したことを「命令違反」とするのか否か、それが「撤退」であったのか「待避」であったのか、いずれも表現の問題であり、価値評価に関わる問題だ。事実関係の詰めに甘さがあったとしても、報道の現場では常に起こりうる問題だろう。何より、これを問題にするのであれば、小沢一郎の金銭スキャンダルに関する執拗な報道は、「誤報」を超えて「捏造」だったと謝罪しなければならない。TPPについて未だに農業・畜産業の関税の問題として報道し続けているメディアは全て誤報の山を築いている。ウクライナ政権を正統政権として報道し続けているのも国民を欺く大誤報だ(革命政権であると主張するのであれば別だが、そのような評価は見たこともない)。吉田清治証言に関わる「誤報」は30年、短く見ても20年前のものだ。そうした遙か過去にさかのぼる報道も猛烈な批判の対象になる。報道回数において朝日新聞が抜きん出ていたとしても、当時の国内メディアは大半が吉田証言を事実として報道していた。吉田清治証言を除外しても、韓国の軍「慰安婦」を「強制連行」と呼ぶか、これも価値評価の問題だ。物理的な強制力を使えば「拉致(略取)」である。仕事の内容を秘匿し、偽って連れ去れば「誘拐」である。いずれも立派な刑法犯だ。自分の娘が、仕事の内容を偽った勧誘によって外国に渡らされ、性的労働に従事させられたことを想像すればわかるだろう。この「誘拐」を「強制連行」と呼ぶか否か、これもまた価値評価の問題だ。現に「誘拐」を「強制連行」と評価した裁判例も存在する。その程度の問題であり、20年以上も過去のことであっても、ある日突然、猛烈なバッシングに晒されることを今回の事件は露わにした。どこかでGOサインが出されれば、どのメディアが狙い打ちにされるかわからないことを言論に関わる全てのメディアに知らしめた。なぜそうした「誤報」が起きたのか。根本的な原因は、情報が「秘密」だからだ。吉田調書はそれ自体が「秘密」である。吉田清治証言に関わる「誤報」がまかり通ってしまったのは、戦前の軍部全体が秘密情報の山で、多くの歴史的な証拠資料がすでに廃棄されているからだろう。とくに吉田調書問題を見ればわかりやすいだろうが、「秘密」とされなければ、「誤報」も起こらなかったのだ。一連の聴取結果が、国民共有の財産として公開とされ、教訓をくみ取るべく活発な議論がなされれば、このような問題は起きなかったし、議論の対象や内容も自ずから違ったものとなったはずだ。吉田調書について、朝日新聞自身が裏付け取材が不十分であったとしている。そもそも「秘密情報」について、裏付け取材を十分に行うなどということが可能なのか。十分な裏付け資料がなければ報道してはならないとすれば、今後、「秘密情報」に関わる報道はできなくなる。事実上、「秘密情報」に関わる報道は存在しなくなるだろう。12月には秘密保護法が施行される。政府は、取材、報道の自由を侵害しないというが、今回の事件で、報道のハードルは一挙に上がった。十分な裏付け取材もなく、報道すれば、即、刑事処分が待っている。誤報の後の対応が重要だ等という話では断じてない。そして、「秘密」について、十分な裏付け取材を行うのは不可能だ。朝日新聞は、全言論界に、秘密保護法の威力を見せつけるための、生け贄とされたのだ。メディアは、益々、政府公認情報しか流さなくなる。われわれは、そうした時代に入る。それを覚悟して朝日新聞「誤報」騒動を見る必要がある。--------------------------朝日新聞に対しては、いい気味だという思いもある。朝日新聞は、執拗に弁護士増員を主張し、これに反対する弁護士・弁護士会に対して、バッシングを行い、今の弁護士窮乏化政策を導いた張本人だ。経済基盤を失った弁護士は、権力に対する批判勢力とはなり得ない。弁護士がまともであれば、おそらく、朝日新聞バッシングに対しては、強い異議が出されただろう。日弁連会長の抗議声明も出たかもしれない。しかし、世論の勢いに負ける今の日弁連から、そんなものは出ない。「日弁連は秘密保護法に反対」している、にも拘わらず、だ。小沢一郎に対する朝日新聞のバッシングも異様であった。バッシングに積極的に加担した朝日新聞が生け贄にされた。ナチスの暴圧を対岸の火事と見過ごした、どこかの牧師の述懐が、現実となっている。「茶色の朝」が訪れようとしている。(転載おわり)
September 15, 2014
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楽天のブログは気に入っていたのだけれど,最近は使いづらい.その1つの理由は「トラックバック」を受け付けなくなったことだ.このため他のブロガーとの交流が限定されるようになった.さらに,ある人によると,コメントの書き込みもできなかったとのこと.これらの欠点を認識しつつ,それなりに使って行こうと思う.という訳で,今回はブログ「へなちょこ自然保護」の記事を転載します.(以下転載) 48%である.平成26年の東京都知事選挙で舛添要一氏が獲得した票数は,平成24年の都知事選で猪瀬直樹氏が獲得した票数の48%である.都全体の総得票数の話ではない.東京23区の,どの区においても,H26舛添/H24猪瀬 の得票数の比率は48%に極めて近い数字になる.23区以外の市や町については,もっと散らばりが大きくなるらしい.しかし,これほど均一な結果が,はたして偶然に得られるものだろうか,と孫崎亨氏は言っている.YouTubeで4本全部聴いたら30分ほどかかるけれど,聴く価値のある内容です.https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%AD%AB%E5%B4%8E+%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E9%81%B8%E6%8C%99 選挙の開票結果が操作されている? 最近の日本,特に3.11以後の日本では,巨大な力をもった人や組織が平然と嘘をつく.「権威」あるいは「信頼」といったものが消失している.これほど嘘が蔓延している現状を見れば,選挙を管理する人々や機械が嘘をつかないとは,とても断定できない.国民ができるのは投票まで.以後の票の扱いはブラックボックスである.中を覗くこともできないし,「第3者によるチェック」などもない.開票結果の正しさを保証するものは存在しない. 当局が発表する開票結果は,間接民主主義の基礎である.事実をそのまま伝えてもらわねば,社会制度そのものが偽物になってしまう.タテマエは民主主義だが内実は独裁政治,というような社会になる可能性もある. * * * 開票とは,票を仕分けして数えるという基本操作だ.獲得票数は,いわばモノサシで読み取る「長さ」や,温度計が示す「温度」のようなものだ.しかし,そういう基本データですら,当局の発表を鵜呑みにできないのが昨今の日本だ.データの一部を隠蔽したり改変するのも当り前というご時世である. モノサシや温度計それ自体が,正しくない数値を示す場合もあるだろう.実際,開票結果が明らかに間違い,という事例もある.http://ameblo.jp/gnkx29/entry-11572999713.html(以下転載)2013/08/29 NHK21時のニュース 七月に行われた参議院選挙の開票結果で、香川県高松市の投票所では 比例代表選出の参議院議員の衛藤晟一氏の得票率が0票だった。 全国で20万票獲得した衛藤氏の得票数が「0」というのは考えられず 高松市の自民党支持団体も「衛藤氏に投票した」と証言。衛藤議員は「0票はありえない」と憤ってる。(転載おわり) この一件では,選挙管理委員会は,衛藤氏は当選したんだから良いではないか.開票をやり直しても結果が変る訳じゃないし,やり直し開票には労力や経費がかかりすぎるので,再検討はしない,という趣旨のことを言って,それで一件落着. 開票をやり直さない理由はコストや労力という,およそ信じられないことがまかり通っている.選挙という重要なイベントが,これほど軽視されて良い訳がない. 間接民主主義は,開票結果からすべてが始まる.基本中の基本である.衛藤氏の事例は,その基本が信用できないことを示している.事は深刻である.間違いの原因は何だったのかを徹底解明する作業が必要である.また長期的には,選挙の開票結果が正しいかどうかを判定できるように,開票の仕組みを見直す必要がある. * * * 都知事選の結果に話をもどす.舛添氏の得票数は猪瀬氏の48%である.どの地区でもそうで,こういう一致は偶然には起こりえないだろう.これほど重大な問題についても,マスコミは沈黙している. もちろん,今やすっかり平壌放送の日本版に成り下がったNHKなどに期待してはいけない.さいわい各候補の地区別得票数は,東京都選挙管理委員会のホームページに出ている.まず孫崎氏の指摘を検証するところから始めればよい.そして,なぜそういう結果になったのかを,もっと全国的に大規模に議論し合う必要がある. 国民投票法なるものが今国会で成立する見通しだという.そしてファシスト安倍晋三は,悲願であった憲法改正を実現しようと目論んでいる.その重大なステップである投票と開票の仕組みが,上記のような惨状である.事の重大さを国民は広く認識せねばならない. (転載おわり)
May 8, 2014
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きょうは雑談です.STAP細胞について. すでに分化した細胞を,細い管を通してから酸で処理する.生き残った細胞の一部は変化する.そして,分裂増殖して様々な細胞に分化する能力,つまり多能性 (pluripotency)を獲得する.これが小保方博士の言うSTAP(stimulus-triggered acquisition of pluripotency)という現象だ.そういう現象が本当にあるのかどうかが,いま問題になっている. STAP細胞の論文は1月29日の「ネイチャー」に載った.このニュースが,割烹着で実験をする小保方博士の映像とともに流れ,日本中が沸き立った.どちらかと言うと科学に縁遠い人の間で好評だったように思う.試練(ストレス)を生き延びて「万能」細胞に変身するという物語は,さながら人生訓のようでもあった. *********** ところで,「多能性の獲得」は,細胞の「癌(がん)化」と似ている.以下は私の想像であって,あまり根拠のない話であるが,少しお付き合い下さい. 胚発生,つまり受精卵が細胞分裂を繰り返して次第に動物個体が形づくられる過程において,細胞は組織器官ごとに各々違う特徴をもつようになる.これが細胞の「分化」で,分化に伴って細胞分裂の能力は抑制〜制御され,ないし失われる.細胞の分裂では染色体つまり遺伝子は,ふつうは子細胞に均等に分配されるので,分化した細胞も元の受精卵と同じ遺伝子1組を持っている(例外はある). で,「多能性の獲得」とは,分化した細胞を元の未分化な状態に戻すこと(脱分化)であり,それに伴って(たぶん)細胞分裂の能力も回復する.一方,細胞の「癌化」とは,分化していた細胞が分裂能力を獲得(回復)し,その細胞分裂を生物体が制御できなくなった状態である.癌細胞への変化(分裂能力の回復)は,その細胞の脱文化を伴う,と想像できる. 細胞が「癌化」する仕組みは2通りあるらしい.1つは,遺伝子が変化したときだ.たとえば癌ウイルスは,自身を宿主細胞の遺伝子に組み込むことで増殖したり,その細胞を癌化させる.放射線や活性酸素は遺伝子に作用して,その遺伝子を変化させることで細胞を癌化させる. もう1つは,遺伝子の変化を伴わない癌化である.遠い昔,日本の研究者がウサギの耳にコールタールを塗り続けて癌を作ったのは有名な話だ.もう過去の理論だと思っていたけれど,先日とある病院で大腸癌について解説しているポスターを見た.それによると大腸癌は,繊維質の少ない食物などで大腸壁の炎症が長引くことで発生するらしい. 細胞の性質が遺伝子によって決まっているとき,その性質は geneticな(遺伝的な)もの,という言い方をすることがある.一方,遺伝子でない要因によって決まる性質を「epigenetic」なものと呼ぶ.癌化の要因には geneticなものと,epigeneticなものがあると言える.いっぽう細胞の「分化」は通常は遺伝子の変化を伴わないので,基本的にはepigeneticな変化である. 「万能」細胞に話を戻すと,山中先生のiPS細胞は,細胞に遺伝子を導入して geneticな変化を起こし,それによって万能性(正確には,多能性)を獲得させたものだ.これに対しSTAP細胞は(もし実際に作れるのなら),epigeneticな変化だけで細胞が万能性を獲得(回復)したことになる.コールタールや慢性の炎症が細胞を癌化させられるのであれば,細胞を悪条件下に置くことで起る何らかの epigeneticな変化が,その細胞を脱分化させ,多能性を獲得させることも可能ではないだろうか.ただし,ヤマカンであるが,小保方博士の方法は,あまりに簡単すぎる気がする.逆に言えば,もし本当であれば,じつにエレガントな,極めて良い方法だと言える. とある病院の待合室で,そのようなことを考えた.蛇足. 山中教授のiPS細胞は induced pluripotent stem cell で,頭文字だけ並べると i. P. s. c. 最後の「cell」を日本語にすると「細胞」だから,そこだけ日本語にしてi.p.s.細胞,ないし「iPS細胞」と呼ばれる.小保方博士のほうは stimulus-triggered acquisition of pluripotency cell と言ったら英語として変な表現になってしまう.だからs.t.a.p.細胞という言い方は,厳密には正しくない.「s.t.a.p.」という現象,その現象を利用して作った幹細胞,というような言い方をすべきである. ひつこいけど,もう一度書いておこう. 「STAP細胞」という表現は,厳密には間違い.正しくは「STAP現象」と言うべきです.
April 19, 2014
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小保方博士の論文騒動に関し,すでに発表された論文の「取り下げ」は「不思議な行為」だと前回書いた.間違いが判明したら素直に「取り下げ」るのが社会常識であるが,この常識は科学論文には当てはまらない.このことについて少し書いてみたい. 科学上の発見には,重要な事実を誰が発見したのかをめぐり,深刻なトラブルが起こることがある.その1つの典型例が生物の「新種」の発見である.たとえば生物の1新種が,2人の学者によって相次いで発表されたとする.両者が同一種であることが判明したら,2人のどちらが提唱する学名を採用すべきか,という問題が生じる.これを解決する1つの原則が「先取権」(priority)である.つまり,より先に発表された学名が採用される. この原則が成り立つためには,新種を発表した日付けが明確でなくてはならない.従って分類学には,1つの暗黙のルールがある.すなわち,1つの新種の発表は1回しか行ってはならない,というルールだ.ある新種を学会で発表し,次に学術誌Aで発表し,さらに学術誌Bでも発表したら,発表の日付けが3つできてしまう.どれが本当の「発表」なのかによって,競争相手よりも早かったか遅かったかの判定が違ってくる,という可能性が生じる.こういうトラブルを避けるため,新種発表は1種につき1回きりにしようというルールだ.違反しても罰則のようなものはないが,分類学の基本ルールを知らない半人前という評価は免れないだろう. これと関連して,「学名の訂正はできない」というルールもあって,これは命名規約にも書かれている.学名を訂正したら,最初の発表と訂正論文とのどちらが本当の「新種発表」なのかで,トラブルの原因になりうるからである.遠い昔のこと,「ペルーの木」は熱病に効くとして,その利用を熱心に推進したチンチョン伯爵夫人(Countess Chinchon)という人がいた.その木は現在はキナノキと呼ばれる.言うまでもなくマラリアの特効薬キニーネの原料である.キナノキの学名はCinchona officianalis である.チンチョン伯爵夫人を顕彰する趣旨の命名であったが,命名者のリンネはつづりを間違えてしまった.明らかな間違いであるから訂正すれば良さそうなものだけど,それは規約上できない. 何と不合理な,と思う人が多いだろう.生物学者の中でも分類学者は,特に頭の固い,融通のきかない人種だと思われている.しかし,「固さ」には理由がある.すべては先取権の原則を有効にするため,トラブルを避けるためのルールである.間違いに気付いたら訂正すれば良い,などという融通を「きかさない」ことが肝要なのだ.大学で生物学を学んだ人であっても,こういう原則を知る人は少数である.しかし新種を発表したことのある人には常識だ. 別の角度から考えてみよう. 科学の専門誌において,「正誤表」というものを,私は見たことがない.仮に正誤表があったとしたら,どういう事が起こるだろうか.専門誌を読む人は,全体を読むわけではない.自分の研究と関係する特定の論文(Aとしよう)を読むだけだ.その箇所をコピーしたりダウンロードして読む.そして必要なら自分が書く論文(Bとしよう)に引用する. その引用元の論文Aに間違いが見つかったとする.そして編集者が,雑誌の次の号に正誤表を掲載したとする.この正誤表は,よほど大規模に宣伝しない限り,論文を引用した人は気付かないだろう.仮に気付いたとしたらどうなるか? この人はひょっとしたら,自分が書く論文Bの主要な骨組みに,その間違い論文を組み入れているかもしれない.ところが元の論文Aは正誤表によって「間違い」であったと宣言された.では,この人はどうすれば良いのだろう.論文Bをまだ執筆中なら何とかなる.すでに印刷されていたら,今度はこの人が「正誤表」を出すのだろうか? 小保方論文は理研の偉い先生方によって「取り下げ」られた.ことは正誤表どころの騒ぎではない.起こりうる連鎖反応の大きさ,この行為が他の研究者に与える混乱は,あまりに大きい. であるから,すでに発表してしまったものを,取り下げるようなことをしてはいけない.わざわざ著者が取り下げなくても,間違いがあればそれは,やがて衆人の知ることとなる.科学とはそういうものである. 間違いに気付けば率直に訂正すれば良いという常識は,科学論文に関しては通用しない.そのような事をお気軽にされたら,科学そのものが成り立たなくなってしまう.大切なことは間違いを発表してしまわないよう,出版に至るまでのプロセスで著者自身が,著者全員が,最善を尽くすことである. いまマスコミが喧伝しているような「管理の強化」だとか「研究機関としてのチェック機能」などは論外.この人たちはどこまで的外れな議論を重ねるのだろう.
April 6, 2014
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「STAP細胞」として有名になった論文に問題があった,と報道されている.著者らは論文を「取り下げる」のだという.事ここに至って,ちょいと「やり過ぎ」ではないかという印象を強く持った. ネイチャー論文の1つの問題点は,掲載されている写真が3年前の博士論文(小保方,2011)に使われている写真と酷似していること,朝日新聞(3月13日)によると,博士論文は「動物の体内から万能性のある幹細胞を見つけだす内容」であって,「STAP細胞に関する論文ではない」.ただし,この記事が問題にしているのは別件(下記)であって,写真には触れてない. 無理を承知であえて小保方博士の肩をもつならば,同じ写真を何度も使うことは,あまり勧められたことではないけれど,それほど悪いこととも思えない.異なる脈絡で再使用されたのなら,なおさら問題は少ない.あまり勧められない理由は,画像の「著作権」の問題が起こりうるからだ.今回の場合それは起こりえない.写真について問題にすべきは,写真の再使用の可否ではなく,ネイチャー論文中の写真の説明文に嘘が含まれているかどうか,という点だ.嘘が含まれているのなら弁明の余地はない. これとは別の写真,すなわち電気泳動の写真に明らかなコピペの痕跡があることも指摘されている.これはルール違反である.弁護すべきでないと思うけれど,ネイチャーは審査が非常に厳しい雑誌である.想像であるが小保方博士は,業績を上げたい周囲からの圧力で,少し背伸びをさせられたのではないだろうか. 上記の記事(朝日新聞)は,これらの写真について書かれたものではない.記事がやり玉にあげているのは写真ではなく本文のほうだ. 博士論文の,研究の背景を説明する部分が,米国NIHの文章(ネット上の文章)とほぼ同じなのに,引用元は書かれてない.と記事は述べている.これのどこが問題なのか私には理解できない.研究の背景なんて,誰が書いても同じような内容になる.文学作品ではなくて科学論文である.一言一句まったく同じで何がいけないのか. そもそも日本人が英語論文を書く場合,英語圏の著者の文章を模倣することは,いわば当然の作業である.日本人オリジナルの変な英語表現を使うよりは,むしろ模倣する方が良い.それは引用ではなく模倣であるから,引用元などは書かない.それに博士論文とは要するに学生が書いたものであって,世界に広く公表流布させることは意図されてない.審査をする側も,英文の一部がどこかからのコピペであるという理由で博士号を拒否したりなどは考えられない. 博士論文の「参考文献リスト」も,他の研究者の論文の一部とほぼ一致していた,と上記の記事は述べている.これも言いがかりに近い.テーマが似ていれば,同じような文献を引用するだろうし,文献リストの一部も当然一致する,その箇所をコピペして何の問題があるだろうか. 朝日新聞の記事については以上です.このほかネイチャーの論文では,実験方法の記述に,他の人の書いたものや小保方さん自身が過去に書いたもの,と酷似している箇所があるとか言われているらしい.実験方法なんて,何度書いても同じような文章になります.それに英語の堪能な人の著述から一部を借用するなどは,日本人の研究者は普通に実践しているのでないだろうか. STAP細胞の作製方法について理化学研究所が発表した内容が,ネイチャーに書かれている方法と違う,という「問題点」も指摘されているらしい.これも特に不思議と思わない.実験の手技は日々変化するし,その時々で本人が最良と思っているやり方も変わる.料理のレシピを書くような作業である.以前書いたものと微妙に違っていたとして何の問題があるだろうか. 科学論文を評価するものは,時の流れである.こういう大きなテーマであれば,世界中で追試実験が行われるだろう.半年もすれば,良かれ悪かれ評価はほぼ定まるのでないか.科学とはそういうものであり,論文の欠陥を言い立てるような雑事は,真の評価とは全く関係ない. 著者たちは論文を「取り下げる」のだという.これも不思議な行為だ.科学論文というものは一度発表されたら,もう「取り下げる」ことは不可能だ.間違いが見つかったからと言っていちいち取り下げられたら,科学そのものが成り立たなくなる.科学はそれ自身の論理に従って動き発展する.今回のようにマスコミの喧伝や政治的配慮によって左右されるようなことの方がむしろ,あってはならない事のように思う. この問題.まだ少し掘り下げる必要を感じる.それは大学法人化を含む小泉改革の「成果」である.これについては別の機会に書いてみたい.
March 16, 2014
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朝日新聞に連載中の「どうする秘密法」.今日は堀江貴文さんのコメントを紹介します.(以下転載)どうする秘密法厳罰化 時代に逆行する 元IT会社長 堀江貴文朝日新聞,2013年12月31日 2001年の9・11同時多発テロ以降,米国は過剰に防衛していますね.その米国に言われたんで,「やりまっせ」ということで作ったんじゃないですか.政治体制の違う中国と向き合う中で,日本は米国に追随するしかないと考えたのでしょう.おつきあいですよ. だから,国民のために罰則を強化して秘密を守るっていうけど,だれが得するかがさっぱりわからない.問題なのは厳罰化ですよ.この法律だけでなく,日本社会が刑罰を重くする方向で動いてますね.当局が恣意的に運用すれば,犯罪は減るどころかかえって増えてしまう.厳罰化の流れを変えないと,社会はよくなりません. もっとも,罰則が強化されても,(米政府の極秘の情報収集活動を暴露した米中央情報局元職員の)スノーデン氏みたいな人たちが出てきてリークをすると思う.国家は昔みたいに情報統制はできない.やるやつは今でも覚悟を決め,くだらない世の中の空気を変えてやるくらいの思想でやっているわけでしょう. しかも,グローバル化が進んで,ソーシャルメディアも発達した.なのに,国の秘密を守らないと厳罰にするぞと脅すような法律を作るのは,明らかに時代に逆行している.国家は市民のためにつくられたのに,秘密法は国家と市民の間に新たな対立を持ち込むようなものです.そうじゃなくて,いまは国民国家をどうすんの,みたいな議論に踏み込むときでしょ.(転載おわり) さすが堀江さんは時代を見る目があります.「厳罰化」という,いま日本の司法が落ち込みつつある泥沼に着目.その時代錯誤ぶりを,きっちり指摘しています.
January 2, 2014
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朝日新聞に連載中の「どうする秘密法」.今日は永田和宏さんのご意見を紹介します.(以下転載)どうする秘密法知ることは国民の「義務」歌人・科学者 永田和宏朝日新聞12月28日 特定秘密保護法の問題では国民の「知る権利」の侵害が強調されますが,私は「知る権利」以上に「知る義務」と捉えることが大事だと思っています.政府や官僚がやっていることを知っておくことは国民一人一人の「義務」.それを怠ると国が変な方向に行き,気がつけば戦争ということにもなりかねません. 権利は放棄できますが,義務は放棄できない.でも,秘密法なんて自分には関係がないと思っている人が多いのではないでしょうか.そこにつけこむように,安倍政権は反対世論が盛り上がらないうちに強行採決した. 私は細胞生物学者です.自然の秘密を探り出し,世に明らかにするのが科学者の仕事ですが,それができなくなる可能性さえある.米国でウイルスに関する研究がテロに利用される可能性があると,一時,発表を差し止められました.反対に,原爆開発のように,国家が秘密裏に科学を利用することもできてしまう.科学に国の規制が及ぶのは,非常に怖いことなのです. 私が選者を務める朝日歌壇にいま危機感を持った歌がたくさん寄せられて心強く思っています.<王様は裸なんだと叫ぶことできない時代がやってくるんだ 喜島成幸>.だれもが自分の思いを表現できるのが短歌ですが,かつて短歌は戦争翼賛に利用されたという苦い歴史を持っています.それを忘れず,声を上げ続けていきたい.関心が薄れるのが一番怖く,危険です.(転載おわり)
December 29, 2013
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特定秘密保護法に関し朝日新聞に連載されている記事の1つが「どうする秘密法」.その1つを紹介します.12月25日の記事で,映画監督の阪本順治さんのコメントです.(以下転載)どうする秘密法強引さ,国民の怒りに火映画監督 阪本順治さん朝日新聞 12月25日 故金大中・元韓国大統領が1973年に東京都内のホテルで拉致された事件に,自衛隊の秘密組織が関与していた・・・ こんな仮説に基づいた映画「KT」を2002年に発表しました. 非公開の資料を集め,秘密を知る人物に接触して話を聞きました.政治決着で捜査が打ち切られ,闇に葬られた事件の真相にフィクションの形で迫ったのです.あの時は撮影前から自宅周辺に何者かが張り込み,プロデューサーには「脚本を見せてほしい」と電話がありました.「権力者の触れられたくない所に触れている」と実感しました. 埋もれた事実に光を当てて表に引きずり出し,フィルムに焼き付ける.それが僕らの仕事です.でも,これからは法の裁きを恐れて関係者が口を閉ざし,機密がテーマの作品は生み出されなくなる.僕自身も逮捕されてしまうかもしれません. 国が政策を決める際は過去の歴史的事実から学ぶことが必要です.もし権力の過ちが「秘密」になれば,検証すらできなくなります.特定秘密保護法は廃止し,ゼロから国民主体で議論するべきです. 与党は国会で採決の強行を繰り返しました.逆説的ですが,良かったと思っています.強引な手法で多くの国民の心に怒りの火がともりました.国民は今後,集団的自衛権の行使容認や憲法改正へ政府・与党が暴走するのを許さない.僕らは与党を退場させる権利も持っているのです.(転載おわり)
December 26, 2013
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「除染」は万能ではない.「除染」の手法が適用困難な場所,たとえば山林は,中途半端に除染するよりも,むしろ豊かな自然を復活させて,その自浄能力に頼ったほうが良い.そういう趣旨の議論をしています. その立場から,今日は「除染の限界」という記事の一部をご紹介します.本ブログに 2012年2月8日に掲載したものですが,趣旨に影響のない範囲で少し手を加えました.(以下転載) 放射能汚染の元凶は,空から降ってきた放射性の微粒子である.その微粒子,つまり放射性降下物が,地表や建物や立木の表面に降り積もっている.これらを除去すること,つまり「除染」作業によって,環境の放射能を減らすことができる.しかし,「除染」には限界もある.土の表面をはぎ取って放射性の層を除去した場合,はぎ取った土をどう処理するのかという問題が1つ. もう1つは,山林をどのように「除染」するのかという問題.林床の落ち葉を取り除いたら,かなりの放射能が除去される,などという研究もあるらしい.これは,にわかに賛成しがたい案である. 森林の落ち葉や土の中に,どれほど多くの生物がいるかを,みんな知っているだろうか? 知らないのなら自分で確かめてみれば良い.用意するものは軍手.これは落ち葉や土を両手でかき集めるのに使う.そして目の粗い「ふるい」と,ふるった土を受け止めるための白いバット. 落ち葉や土をふるってバットに落ちてきたものを観察する,それだけの作業である.1つかみの土や落ち葉の中にも,たくさんの生物がいることがわかると思う.この方法で観察できるのは,目に見える大きさの生物(動物)だけである.土や落ち葉の中には,目に見えない微小生物,線虫類,菌類,バクテリアもいる.自然が「生きている」とは,そういうことだ.その生きている自然を「除染する」などと,事もなげに言わないで欲しい. 除染をめぐる議論の中で,あまり指摘されてないことは,上記のような土壌生物の存在である.降り積もった放射性降下物はミミズやその他の土壌生物の働きで,土の中やエリアの外に拡散して行く. もっと大きな循環に目をやると,植物体は土から物質(放射性物質を含む)を吸い上げる.植物体の一部は動物に食べられて,遠くに運ばれる.最初は放射性降下物にまみれていた木の葉も,やがて地表に落ちる.落ち葉はやがて土となる.そして落ち葉や土は上記の通り,生命活動に満ちみちたミクロワールドの舞台となる. それが自然界の営みである.ところが多くの人は,降り積もったものは人が手を加えない限りずっとその状態でいるかのようなイメージで考えているように見える.都市部ではそうかもしれない.しかし自然が息づく山林では,まるで違う. 放射能汚染に対処するには,人間にとって最良の方法は,「死の町」を離れることだ.「除染」してでも住み続けたい人は,そうすれば良い.しかし「除染」作業は学校や住居,道路,町の中の公園など,人が日常的に利用する場所でやって欲しい.山林を「除染」することは不可能だし,やってはいけない事だと思う.(転載おわり)
December 22, 2013
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豊かな自然がある時には,ない時に比べ「除染」が早く進行するのではないか,と私は空想している.「生物学的除染」のアイデアは,その空想の産物である.このアイデアをもう少し説明するために,過去の記事を再掲載する. まず2012年2月7日の記事「放射能は土中に拡散する」より.記事の主要部分を転載する.ミミズが住めない土地では地表が汚染されたら,除染しない限り汚染は地表に留まるけれど,ミミズが住んでいれば土は混ぜ合わされて,汚染は地中に拡散する,という趣旨である.(以下転載) 地表に降り注ぎ,土に付着した放射性物質は,土中深くしみ込むことはないだろうか? 土は人が耕さない限り上下が混ざり合うことはない,と一般にイメージされているかもしれないが,それは違う.なぜなら土の中には生物が住んでいる.そういう生物の活動が活発であれば(つまり「自然」が生きていて,豊かに息づいていれば),土は常に「耕されて」いる状態にある. かの進化論の元祖チャールズ・ダーウィンは,ミミズの働きに注目した.ミミズは土を食べる.そして糞として土を排泄する.この働きが土を「耕す」.表層の土と深部の土は,こういう土壌動物の作用で常に混ぜ合わされている. 歴史はなぜ「発掘」されるのだろうか.どうして過去の遺跡は土の中に埋もれているのだろうか.それはミミズの働きなのだ,というふうにダーウィンは考えた. クソミミズという名のミミズがいます.芝生などで地面に小さな穴があいていて,その穴の周囲に乾いた土が盛り上がっているようなら,それは多分クソミミズの穴です.このミミズの働きは明快です.土を食べる.そして地表に糞をする.結果として土を下から上にいつも運んでいることになります.ミミズが食べない成分(たとえば遺跡)は年数を経るごとに土中に沈み込んで行きます. 放射能を含む土も,ずっと地表にあるだろうとは考えにくい.土壌生物の働きで土は自然に耕され,混ぜ合わされるので,放射能もあちこちに散らばります.そして全体としての平均的な結果は,最初は地表にあった放射性の土は,放射性の「層」として,次第に地下に沈み込んで行くだろう,と考えられる.(転載おわり) 以下は雑談. 遠い昔,高知市で「生コン事件」というのがあった.汚染水を川に流し続ける製紙工場の排水パイプに,ある人が生コンクリートを詰めた.乱暴な方法であったが,この事件をきっかけに製紙工場は操業を停止し,川の汚染は止まった.http://blog.livedoor.jp/uradowan/archives/2009-06.html しかし汚染源がなくなっても,すでに汚染された川は元に戻らない.川底の泥を除去して捨てる作業も何度か実施されている.しかし,生コン事件から40年を経た今も,川は完全に浄化されたとは言い難い状態である. おおかたの賛同を得られないと思うけれど,私は川の自然をもっと復活させるべきだと考えている.豊かな自然がそこにあれば,川の汚染は意外な早さで除去されるのではないか,と空想している.
December 19, 2013
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福島の話をしよう. 「除染」には限界がある.このことが,どれほど認識されているだろうか.これに関し少し提案がある.にわかに賛同できない人が多いかもしれないが,よく考えて欲しい. 除染とは物の表面を拭き取る,はぎ取る,チリやホコリを集める,などの作業だ.町の中や家の周囲をそのように除染することはできる.しかし山林を「除染」しようとしたら,どうだろう.落葉や腐葉土を集めて捨てたり,森林の木々を切り倒したり,そういう作業になるだろうか.究極の「除染」は山を丸裸にしてコンクリートで覆ってしまう,ということになりそうだ. こういう「除染」の考え方は,物理屋や技術屋の発想である.それとは違う観点,生物屋からの提案が,もっと考慮されても良いのでないか.つまり自然界の事象,食物連鎖とか生物の移動を利用して,放射能汚染を希釈拡散させようという発想だ.同じ趣旨の論説を過去にも書いた(註).(註) このページ上端近くの黄色い帯の中にある文字「新着記事一覧を見る」をクリックすれば,過去記事のリストが出ます.その中で2012年2月の記事「除染の限界」とか,その前後の記事を参照してください. 「除染」を突き詰めれば徹底的な自然破壊に行き着く.そういう作業は不可能だし,可能だとしてもやってはいけない.むしろ考え方を180度変えて,自然を回復させよう,というのが私の提案だ.森林の腐葉土をはぎ取るのが,従来の「除染」の考え方.私はその逆,森林の木々や落葉や腐葉土をそのまま放置することを勧める.豊かな自然が息づいていれば,やがて放射能は希釈拡散される.これを「生物学的除染」とでも呼ぼうか.「除染」は放射能をかき集めて封じ込めようとするのに対し,生物学的除染は放射能を拡散希釈させようという発想だ. 生物学的除染について注意すべき点がいくつかある.まず放射能は消失するわけではない.汚染は希釈されて世界中に広がって行くだけである.だから新しい汚染が次々と起こると,生物学的除染では対応できなくなる.汚染源をまず絶って,つまり原発を永久停止させて,その上で,すでに汚染されている山林にどう対処するかという話をしているのだ. 汚染を拡散させてはダメではないか,と私も思う.つい先日も,イタリア北部で放射性イノシシが見つかって,これはチェルノブイリの影響だと言われている.しかし,福島の山林を「除染」するのは不可能に近い.お役所はタテマエばかり,かけ声ばかりで,現実に除染は進んでないと聞く.不可能なことに金や労力を注ぎ込んで,除染された暁には云々と不可能な希望を持つよりも,できない事はできないと認識して,別の道を探した方が良い. 注意すべき第2の点.除染をしないのだから,人はその山林に入ってはいけない.山の動物や山草を食べてもいけない.人は放射能には勝てない.家や集落とその周囲等を除染するだけでは住めないというのであれば,その土地を離れるのが最良の方法である.その場合,別の土地で別の生活をせねばならないのだから,もちろん政府が適切に支援すべきでしょう. 注意すべき第3の点.生物学的除染は,その実効が証明されている訳ではない.どれほどの期間この入山禁止を継続せねばならないのかは全く未知である.事故後ほぼ30年を経たチェルノブイリの現状を調べれば,良いヒントが得られるのでないだろうか.特に,自然が十分に回復した場所での線量データを知りたいところだ. 福島は事故発生からすでに3年近くの年月が経過したけれど,まだ全然終わっていない.政府は実効のある救済策を何一つ講じてないばかりか,事もあろうに原発再稼働を進めている.将来起こり得る健康被害については,原発との「因果関係はない」と強弁するだろうことは誰もが予測できる. 福島は安倍首相の眼中にはない.政府は何もやってくれない.私たちは「除染」やら「食べて応援」などの言葉に踊らされるのでなく,具体的な解決策について,もっと議論を深めるべきでしょう.
December 16, 2013
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「ひみつのアッコちゃん」の替え歌,「ひみつの安倍ちゃん」.全文を転載します.出典は,http://www.himituho.com/2013/12/06/%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%A7%E6%AD%8C%E3%81%8A%E3%81%86-%E3%81%B2%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%80%8D%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93-%E6%9B%BF%E3%81%88%E6%AD%8C/です. 元歌のほうは自分で探してください. と言いつつ,たとえば,http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=38302とかをご参照ください.(以下転載) 《ひみつの安倍ちゃん》 野党を抱き込み 高飛車で がーんとゴリ押し それはなあにそれは ゾンビ ゾンビが復活 ツンツツン死んでなかった 戦前に後戻り ツンツツンそれはなあに それは ひみつ ひみつ ひみつ ひみつの安倍ちゃん役人から一般人まで あみかける 脅しの法律 それはなあにそれは 監視 監視の中から エッヘヘ暗黒の時代が やってくる エッヘヘそれはなあに それは ひみつ ひみつ ひみつ ひみつの安倍ちゃん科学者 弁護士 キャスターと みんな反対 それはなあにそれは 治安 治安維持法よりひどいよ ツンツツン国会の 破壊がはじまった ツンツツンそれはなあに それは ひみつ ひみつ ひみつ ひみつの安倍ちゃん共謀 煽動 教唆とか なんでも逮捕さ それはなあにそれは公安 公安のさばる ブーブブー疑心暗鬼の 世の中よ ブーブブーそれはなあに それは ひみつ ひみつ ひみつ ひみつの安倍ちゃん国民主権 平和主義 わすれちゃいけない それはなあにそれは 情報 情報公開 ドンドドン死んではいけない民主主義 ドンドドンそれはなあに それは 廃案 廃案 廃案 さよなら 安倍ちゃん(転載おわり)
December 11, 2013
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そのまま転載します.ソースは,山崎淑子の「生き抜く」ジャーナル:http://enzai.9-11.jp/?p=15772です.【貼付転載開始】from 藤原節男(原子力公益通報ドンキホーテ)件名:バーナムの森は動いた。 秘密保護法強行採決は安倍政権の終わりの始まりだ! 頭書の件、海渡雄一弁護士から「秘密保護法廃案への今後の活動提起」がありました。 みなさん、#シェア #拡散 ください。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~バーナムの森は動いた秘密保護法強行採決は安倍政権の終わりの始まりだ! 秘密保護法を廃案へ!実行委員会 海渡 雄一1 参議院で法案採決される:参議院本会議で、法案が可決されました。 採決結果は、投票総数212、賛成130、反対82でした。賛成したのは自民党と公明党。反対したのは、民主、共産、社民、生活、糸数議員、山本議員などでした。みんなの党は欠席しましたが、一部議員は出席して反対しました(川田さんと寺田さんと真山さん)。維新の会は欠席しました。 市民の8割が慎重審議を望んでいる中で、日比谷野音に1万5千人が集まり、全国で抗議集会が続き、数万人の市民が国会を取り巻き、秘密保護法絶対廃案を叫び続ける中での、法案可決です。 「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」という文書が12月5日午前11時45分に福島みずほ議員の強い要求によって、ようやく開示されました。これは、法案の策定段階おそらく公明党との修正協議の前の段階の法案について内閣官房が作成したものと考えられ、合計92頁に及ぶ大部なものです。法案の逐条解説を公開して審議していれば、法案の問題点はもっと深く審議でき、浮かび上がったはずです。作成名義は、内閣官房の作成とされています。さらに、内閣と各省庁の間で、この法案の策定の段階で、多くの意見交換が行われていたことが昨晩わかりました。今のところ人事院と文書のやりとりだけが、公表されています。他の省庁は、各官庁の了解が取れないという理由で、今も不開示となっています。 このような重要な文書をこれまで秘密にしていたことは、国会軽視として決して許されることではありません。すくなくとも、このような重要文書について、きちんと国会での審議の時間を確保するべきことは民主主義政治の元での国会運営として、当然のことでした。 委員会採決は、最後は、全く言葉も聞き取れない、議事録もないような状態での採決であり、手続的にも違法無効です。 2 根本的欠陥法案である: この法案には根本的な欠陥があります。何が秘密に指定されるかが限定されず、政府の違法行為を秘密に指定してはならないことも明記されていません。公務員だけでなく、ジャーナリスト・市民も独立教唆・共謀の段階から処罰されます。政府の違法行為を暴いた内部告発者やジャーナリスト、市民活動家を守る仕組みが含まれていません。権威ある国際原則であるツワネ原則にことごとく反しているばかりでなく、ふたりの国連特別報告者とピレー人権高等弁務官からも重大な懸念が表明されています。私たちはこの秘密保護法案の内容も手続も絶対に認めることはできません。3 法案廃止の活動を始めよう: これからの闘いの方向性について、提起したいと思います。12月6日のデモ、集会、闘いの力で、これからの政府の暴走を止めましょう。 成立した法案は同じ手続で廃止することができます。私たちは、明日から、この法律の廃止を求める活動を直ちに始めようではありませんか。次の国会には、採決に賛成しなかった多くの政党と共同して、秘密法の廃止法案を提案するための活動を始めましょう。 4 弾圧に備えよう: もうひとつ、大切なことを提起します。この法律は、憲法21条、自由権規約19条で保障された表現の自由を侵害する違憲立法です。この法律が自由権規約19条に違反することは、国連の見解なのです。我々には国際社会が味方してくれています。裁判官も私たちの反対運動を見ていることでしょう。そして、心の内では応援してくれている裁判官も少なくないはずです。 秘密法違反の被告人は違憲な法律によって起訴されたのですから、絶対無罪としなければなりません。これは、弁護士の仕事ですが、政府があくまで、この法案を施行しようとするなら、第一号の秘密法違反事件の被告人を弁護するために、1000人の弁護士を組織し、あらかじめ大弁護団を結成しておきたい思います。 5 新しい闘いのはじまり:法案の成立は、私たちの一つの敗北であることは確かです。しかし、今日一日の私たちの行動は、政府、国会に私たちの秘密法廃案、安倍政権NOの怒りをぶつけ、一人一人の市民に秘密法反対の意思を確認する機会となったことと思います。 まず、私たちは、これだけの多数の市民の反対を押し切って秘密法を成立させた政府与党の暴挙を心にしっかりと刻みつけなければなりません。マクベスのバーナムの森は動いたのです。これから、政権崩壊の日が近いことにおびえなければならないのは、勝ち誇ったような顔をしている安倍首相とその取り巻きたちです。 私たちは、この法律が廃止されるまで、決してあきらめません。明日から、秘密法のある社会を拒否し、その実質化を食い止めるため、新たな闘いを始めましょう。 以下は、参議院本会議、採決結果詳報。今後の秘密保護法廃止運動の基礎資料です。参議院議員定数 242人 投票総数 212賛成 自民党 110 反対欠席4 公明党 20 全員 合計 130反対 自民党 1 二之湯智 民主 58 みんなの党 3 川田龍平 寺田典城 真山勇一 共産党 11 社民党 3 新党改革 1 平野達男 生活の党 2 無所属 3 糸数慶子 興石東(副議長) 山本太郎 合計 82欠席および不投票 自民党 3 赤池誠章 有村治子(病気)森まさこ(担当大臣) 維新の会 9 全員 みんなの党 15 上記3名を除く 新党改革 2 荒井広幸 浜田和幸 無所属 1 山崎正昭 (議長) 藤原 節男:【PR】秘密保護法の保護対象は「集団的自衛権の行使」に関する最高機密、核爆弾情報(核爆弾設計、製造、実験データ、核ミサイル搭載原子力潜水艦配備など)、すなわち、日本核武装への道程。もう一つは、国民に知られると困る証拠情報。#秘密保護法 は #情報隠し法 #証拠隠滅法:情報がなければ知識は生まれない。秘密保護法は情報を隠し、日本国民の考える力をうばってしまう。https://t.co/MPi7ClOER4http://t.co/jJanrXZqNF#特定秘密保護法案に反対する学者の会:賛同署名活動中。http://t.co/PAVjWim5XX#経産省前テントひろば へも #フォロー #いいね #書き込み ください。https://www.facebook.com/tentohiroba?fref=tshttp://tentohiroba.tumblr.com/栗原彬(くりはら・あきら)立教大名誉教授(政治社会学)は「全ての情報を統制したナチスドイツの全権委任法に当たる」と指摘。http://www.47news.jp/47topics/e/248050.php在ベルリンジャーナリスト・梶村太一郎さんの反核覚え書き:http://tkajimura.blogspot.jp/2013/11/blog-post_3488.html=-=-=-=-=-=-=(以下略)【貼付転載終了】
December 8, 2013
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朝日新聞の「異議あり,特定秘密保護法案」.本日ご紹介するのは昨日(12月5日)の記事.語り手は蓮池透さん.ご存じの通り,北朝鮮による拉致被害を被った家族のお1人です. 情報の大切さ,正確な情報を知って,その上での意見交換の重要性,といったことが指摘されています.(以下転載)==================================異議あり,特定秘密保護法案隣国との歴史封印するな拉致被害者家族 蓮池透さん朝日新聞 2013年12月5日 拉致被害者の家族には政府機関から丁寧な状況説明がある,と思う人がいるかもしれませんが,実際は違います.捜査上や外交上の秘密を理由に,詳しい説明は家族でも受けられませんでした. 知りたいことがたくさんあります.2002年9月の小泉純一郎首相の電撃訪朝はどう実現したのか.被害者8人の「死亡」を北朝鮮の言うがままに受け入れてまで,なぜ日朝平壌宣言への署名を急いだのか.家族として知る権利があるし,隣国との歴史の一幕を正確に記録する意味でも説明が必要だと思います. 特定秘密保護法は,こうした情報を永遠に封印してしまうかもしれない.強い危惧を覚えます.一番心配するのは報道の萎縮です.政府から情報が得られない中で,新聞やテレビの報道は,家族にとって時に希望をつなぐ唯一無二の情報だったからです. 日本社会そのものにも重大な影響をもたらすと思います.拉致問題の発覚は,結果的に「北朝鮮たたき」の世論形成にもつながりました.今ではマスコミですら,北朝鮮との交渉や対話を主張しにくい状況になっている.異論を言いにくい「萎縮社会」の芽はすでにあるのです. 拉致問題に取り組むには,人権問題に加え,国際情勢や,日本と朝鮮半島の歴史を幅広く理解し,意見を出し合うことが重要だと考えるようになりました.法案は逆に,社会を1つの意見に誘導する危険をはらんでいると思います.==================================(転載おわり) 太平洋戦争では,日本国民は英語を勉強することを禁じられたそうです.英語は敵の言葉,「敵性言語」だから,という実につまらない理由からです.敵の言葉であるからこそ,大いに勉強して情報を得る方が,国民にとってメリットが大きいだろうと思うのですが,日本政府の意図は別のところにあったのでしょう. 日本国民が日本語以外の情報にアクセスすることを困難にして,日本政府に好都合な情報しか流さない.こうして国民に情報を与えない.本当は負け続けているのに,マスコミは「勝った,勝った」の報道ばかり.「日本は負けているんだ」などと家庭内で口走ったら,それがバレたら警察にしょっ引かれる. 今回の,「特別秘密保護法」は,そういうことを可能にする法律です.国民に情報を与えない,真実を口にした国民は逮捕する.そういう暗黒の日本を作るつもりですか.自民党の議員さん,公明党の議員さん.どうお考えですか?
December 6, 2013
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朝日新聞に連載中の「異議あり,特定秘密保護法案」.今日はニューヨークタイムズ東京支局のM.ファクラーさんの意見を紹介します.(以下転載)===========================異議あり,特定秘密保護法案「他国の間違い 学ぶべき」NYタイムズ東京支局長 マーティン・ファクラーさん朝日新聞2013年12月4日 特別秘密保護法案は,世界の言論とは反対の方向に進んでいると懸念しています. 米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員による暴露は,秘密主義が米国家安全保障局(NSA)に電話やメールの傍受を許してきたことを示しました.秘密は大きな権力を与えます.米国では国内の反発から,秘密を少なくし,監督を強めるよう見直しています.日本は他国の間違いを繰り返すのでなく,そこから学ぶべきです.「米国の要求」というのも,官僚の言い訳のように聞こえます. この法案は,秘密を決める官僚に大きな裁量と権限を与えます.尖閣諸島をめぐる中国との問題もあり,日本が防衛を真剣に考え,その一部に適切な情報管理があるということは理解します.ただ,法案は度を超しています.国会の役割もあまり見えません.米国では軍事政策には上下院が大きな役割を持ちます.それでも,テロや戦争が官僚組織に力を与える口実となり,秘密主義の下でほとんどチェックも受けませんでした. 日本の法案は,秘密の定義があいまいで広すぎ.チェックもありません.議会がチェックをするか,米国の情報保全監察局のような官僚組織から独立した第三者機関が必要ではないでしょうか.米国でもNSAに「過剰な自由」を許すなど多くの問題がありました.何のチェックもなければもっと危険です.各省庁が隠したい情報を秘密にするのは大問題です.===========================(転載おわり) 心に残った指摘を,もう一度書いておこう.- 秘密は大きな権力を与える.- 必要性は理解するが,法案は度を超している.- 国会の役割もあまり見えない.- 秘密の定義があいまいで広すぎる.- チェックする仕組みもない.
December 4, 2013
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「洗脳」という言葉から連想するのは,同じことを繰り返しインプットすること.国民は同じことを何度も聞かされるうちに,ウソをウソと認識できなくなる. しかし最近の「洗脳」は少し違う.重要な情報を国民に与えない,流さない.その代り,重要でない情報を,さも重要であるかのように流す.国民は,流されなかった情報は重要でないと錯覚する.これもまた「洗脳」の1つの形なのだろう. そういう「洗脳」ないし「イメージ作り」に大きく貢献しているのがテレビである.どのチャンネルを見ても芸能人の話,グルメの話など.つまらないネタで出演者が笑い転げて終始する.「汚染された情報空間」とでも言えば良いだろうか.テレビが提供するのは,ごく少数の例外はあるが,概してそういう汚染情報ばかりだ.「テレビを見ないようにしよう」という運動でも起こせば,その人は日本国民をこの情報汚染から救出することになるかもしれない. ごく最近まで,新聞もまた同じようなものだった.つまらない記事しかない,読むに値しないものだった.しかし先日,11月26日の衆院「強行採決」以後,大きく姿勢を変えた新聞もある.そう,「特定秘密保護法」の話だ.11月27日には,各紙こぞって強行採決を批判し,この法案の問題点を指摘した. また朝日新聞は少し前から,第1面の片隅を使って,「異議あり,特定秘密保護法案」という連載を始めている.わずか600字程度の小さなコラムであるが,なかなか読み応えがある.11月21日(木) 作家・落合恵子さん11月23日(土) 神戸女学院大名誉教授・内田樹さん11月24日(日) 東京大名誉教授 樋口陽一さん11月25日(月) 元「噂の真相」編集長 岡留安則さん11月26日(火) 俳優・菅原文太さん11月28日(木) ノーベル物理学賞 益川敏英さん「『科学の精神』に逆行」11月29日(金) 漫画家 小林よしのりさん「マッチョの道 重い代償」11月30日(土) 前中国大使 丹羽宇一郎さん「官僚体質で秘密は増殖」12月 1日(日) 作曲家 服部公一さん「子どもに疑心暗鬼の未来」12月 2日(月) タレント 春香クリスティーンさん「表現あいまい,なぜ急ぐの」etc. etc. いずれも朝日新聞のホームページでは前半しか読めない.ここでは小林よしのりさんの記事(11月29日)を紹介する.後半は手入力した.記事の中で小林さんは,国民が正しい情報を得ることの重要性を指摘している.たしかに,たとえば東京電力による情報隠蔽や虚偽報告が,その後の原発事故処理をいかに混乱させて来たことか.そういう実例を思い浮かべながら拝読した.(以下転載)=============================朝日新聞2013年11月29日異議あり,特定秘密保護法案「マッチョの道,重い代償」漫画家 小林よしのりさん 特定秘密保護法案は、安倍晋三首相のマッチョイズムの表れだ。中国や韓国が反日を強める中、軍事・経済的に強い国を目指す姿勢を示せば、国民はついてくると思っている。でも、それは長く政権にしがみつくための演技にもみえる。本当に「この国のため」と考えているのか。 保守派は「日本はスパイ天国だから秘密保護法が必要だ」と言う。しかし、3年前に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突の映像を海上保安官が流出させた時、「よくやった」と喜んだでしょ。わしも喜びましたよ。公務員への罰則が強化されれば、あんなこともなくなる。「保守だから賛成」なんて言ってる場合じゃない。 社会問題を発信するわしにとって情報は命綱だ.イラク戦争では,大量破壊兵器がないと確信し,反対した.情報を得るために官僚に接触することもある.その時,特定秘密に触れれば,わしも逮捕されるんですか.言論陣やジャーナリストが萎縮して,権力のウソを暴けなくなれば民主主義は成り立ちませんよ. わしは国民も信じられない.国家の行く末を自分で判断するつもりなら,正しい情報が必要だ.なのに「一市民には関係ない」という政府の言い分を多くが信じている. 戦前の治安維持法は共産主義運動の規制が目的だったのに,無関係の人間が捕まって拷問を受けた.「戦前みたいにはならない」.みんな,タカをくくっていないか.=============================(転載おわり)
December 2, 2013
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特定秘密保護法.この悪法が国会を通過しようとしている.日本から言論の自由が消えるという,この戦後最大の「民主主義の危機」がいま眼前にある. しかしテレビが伝えるのは猪瀬知事,中国の防空識別圏,江戸の町工場が作った深海探査機,などのニュースばかり.いま日本国民が考えるべき最大の問題であるべき「特定秘密保護法」は,どの局もみごとに無視.今やテレビは完全に政府の宣伝係.ぶざまな堕落ぶりをさらけ出している. その中で全国各地の地方新聞は,秘密保護法の危険を指摘する論説を,それぞれに執筆している.強行採決で法案が衆院を通過したのが11月26日.その翌日の記事には,目を見張らさるものも少なくない.ここでは「高知新聞」の特別評論を紹介します.ネットで見つからないので,新聞記事を見ながら手入力しました. * * *(特別評論)国民主権脅かす法高知新聞編集局長 中平雅彦2013年11月27日 高知新聞 より良い社会を築くために,どこをどう変えていけばいいのか.その実現を誰に托すのか.議会制民主主義の社会でその判断を下すのは,言うまでもなく主権者である国民だ.国民がその判断を的確に行うには,この社会で何が起きているのか,この先どこに向かおうとしているのか,十分に知る必要がある.それが国民の「知る権利」だ.国民の知る権利なくして国民主権は成り立たない. 権力者は権力を維持するために情報を独占し,時に操作,隠蔽しようとする.旧憲法下で言論の自由を封じられ,権力監視の機能を失った報道機関は軍事国家の宣伝係と化し,国民を戦争に導いてしまった.われわれ報道に携わる者が,国民の知る権利への奉仕と権力監視を使命と掲げるのは,忌まわしい歴史への悔恨があるからだ. 今,国民の知る権利が脅かされている.安倍政権が今国会での成立をもくろむ特定秘密保護法案が衆院を通過した.法案の危険性は繰り返し報じてきたが,重ねて主張する.一部野党との修正では悪法の本質は何ら変わらない. 法案の第1条(目的)は,安全保障上,特に秘匿する必要があるものを特定秘密に指定し,国および国民の安全に資する,とある.しかし,防衛機密に関してはすでに自衛隊法があり,日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法があり,日米地位協定に伴う刑事特別法があり,5〜10年以下の懲役刑の罰則がある.この上,なぜ新しい法律が必要なのか. 法案は特定秘密の対象を防衛だけでなく外交,スパイ活動防止,テロ活動防止の分野に広げた.条文の随所に盛り込まれている「その他」の文言を拡大解釈すれば,特定秘密が際限なく増える恐れがある.しかも特定秘密を指定するのは警察を含む行政機関の長であり,われわれが選挙で選んだ国会議員で構成する立法府(国会)より官僚が上位に立つことになる. 既存法と異なり,処罰対象は秘密を漏らした公務員に限らない.公務員の家族や一般市民も処罰対象となりかねない.何が特定秘密なのかも分からないのに,権力側が漏えいの共謀,教唆,扇動と判断すれば罰することができるからだ. 取材・報道には配慮規定を設けたというが,公権力を監視する取材・報道は,そもそも公権力に「配慮」される性質のものではない.真実を知ろうとする市民の言動が処罰対象になりかねない法の下で,メディアだけがお上の「配慮」を甘受することは,国民の知る権利への奉仕を使命とする報道機関が国民を裏切ることを意味する. アメリカの要請によって動きだしたこの法案は,自衛隊と米軍の共同軍事行動を意味する集団的自衛権の行使容認と一体不可分のものだ.戦争の序章は軍靴が聞こえる前から始まる.厳罰によって言論を封じ込める秘密社会,監視社会,警察国家がどんな道をたどったか.歴史が教えている.
November 30, 2013
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秘密保護法案.調べれば調べるほどトンデモな法律案であることがわかる.こんな法律ができたら日本は転落崩壊してしまう. 「田中龍作ジャーナル」の記事http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008267を転載します.(以下転載)(パラグラフの切れ目に改行を付加しました)【秘密保護法】 えっ! 廃止された機関が秘密指定する? 自己増殖する行政 山本太郎議員が「特定秘密保護法案」に関する質問主意書を政府に出していたが、昨日(22日)、回答が届いた。 山本議員の質問は10項目から成る。そのうち「特定秘密の指定権者の役職名を明らかにされたい」という質問に対する回答を見て唖然とした。 具体名をあげた機関名は53に上る。原子力規制委員会もしっかり含まれている。 中には4分野(「外交」「防衛」「特定有害活動=スパイなど」「テロ」)とどんな関係があるのか、全く理解不能な機関の長が数多く存在する。首を 傾げ過ぎてネンザするくらいだ。「中心市街地活性化本部長」「都市再生本部長」「郵政民営化推進本部長」…両手の指では足りないくらいだ。入札情報を秘密 指定して談合でもするつもりなのだろうか? 警戒しなければならないのは、53機関にとどまらない、ということだ。本法案第2条第4号及び第5号の政令で定める機関、(そして)その機関ごとに政令で定める機関も含まれるのだ。行政機関が自己増殖するということである。 官僚たちが天下り機関を作った時には、その機関の長が特定秘密を指定できるのである。秘密保護法が施行されたら、天下りをチェックすることさえできなくなるだろう。もちろん天下り機関の不正を暴くこともご法度となる。 呆れたのは、すでに廃止されている機関も含まれていることだ。「社会保障制度改革国民会議」である。この機関は今年8月21日をもって廃止されている。あるはずのない会議体に権限を持たせようというのだろうか。 いい加減なくせに自分たちの利権を守ることには なりふり構わない のが官僚だ。そんな彼らが条文を書いた「特定秘密保護法案」は欠陥だらけで強権的だ。見事に民主主義のシステムを破壊している。(転載おわり) 言論の自由がなくなるとか民主主義の否定だとか,そういう月並みな言葉ではとても表現しきれない,稀代の悪法である.1人でも多くの日本国民が目覚め,意思表示をすることを願う.
November 23, 2013
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日本列島にある巨大な大断層として,フォッサ・マグナと共によく知られているのが中央構造線.天竜川から櫛田川,紀の川を経て,四国の吉野川へ,そして四国から西に延びる細長い半島(佐田岬半島)へと続く. 吉野川から佐田岬へ.この地形を見ただけで,断層の大きさがわかる.それに,火山こそないものの,道後温泉(松山市)の存在は,この断層がまだ生きていることを示唆している.大地震の震源となり得る地形ではないか,と推論するのは容易である. 産業の少ない四国にあって,四国電力への就職は,理系少年たちの1つの目標であったかもしれない.中央構造線についても,私などよりずっと知っている職員も多いのでないだろうか. そういう会社が原発を設置した.よりによって,この中央構造線上にである.私には理解できない行為である. その原発(伊方(いかた)原発)は2012年1月以後,定期検査のため送電を停止している.この原発の再稼働に反対する集会が開催される.その案内である.(以下転載) 原発再稼働に反対して、先日、九州では1万人が集まりました。 四国でも、伊方原発再稼働に反対して、12月1日、松山で1万人集会があります。高知からもバスを出して参加します。 高知、安芸、四万十、嶺北、土佐市、大正などから出発します。第2部に間に合うような時間で出ます。ひとり往復、3000円です。ご参加ください。***********12月1日の「NO NUKES えひめ」1万人集会第1部 10:00~・ミサオ・レッドウルフ[音楽]嶋本慶・藤田祐幸[音楽]松浦優・木村俊雄[音楽]三宅洋平・三宅洋平&山本太郎休憩(15分)第2部 12:30~・鎌田慧・亀山ののこ[音楽]松浦優・広瀬隆・秋山豊寛・吉川元・笠井亮[音楽]三宅洋平・山本太郎・斉間淳子(伊方原発間近の地域より:八幡浜・原発から子どもを守る女の会)14:30~16:00サウンド・デモ***********(転載おわり)
November 16, 2013
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福島県は,なぜ住民にヨウ素剤を配布しなかったのか? 朝日新聞の記事「プロメテウスの罠」から,経緯を追ってみよう. 福島県立医大では,職員やその家族,福島県の住民にも,ヨウ素剤を配付しようという動きが強まっていた.しかし,それを止めた要因が2つあった.1つは国立(独立法人)放射線医学総合研究所(放医研)から「ヨウ素剤を使うな」という指示があったこと.もう1つは,福島県立医大から請われて福島入りした山下俊一氏が,ヨウ素剤の使用に反対したこと. 放医研からの指示は2011年3月14日に出されている.国や県の指示がない状態で飲ませるな,という趣旨だった.実際に国や県は指示を出さず,それでも飲ませた自治体は「勝手に飲ませた」と批判された.今年(2013年)6月の取材に対し放医研の明石真言氏は「いま思えば,飲ませればよかった」と言っている.「あのころは自衛隊へのヨウ素剤服用指示や,傷病者の受け入れなど対応すべきことが多くて...」(「プロメテウスの罠」2013.11.10の記事). 耳を疑うような理由だ.現場が自発的に動こうとしているのを差し止めた.その理由が,自分は忙しかったから? 「今から思えば」ヨウ素剤を飲ませれば良かった??? そして山下氏だ.福島入りした当日の講演で山下氏は,ヨウ素剤は不要であると述べた.福島の汚染状況はヨウ素剤を必要とするほどひどくないし,住民が放射性ヨウ素を取り込む確率も低い.そのうえヨウ素剤の服用マニュアルには適切でない箇所がある. この講演が3月18日.それでも現場の医師や薬剤師は,住民にヨウ素剤を飲ませる方法を検討していた.たとえば子供にはジュースに溶かして飲ませる等々.しかし3月19日,山下氏はこれにストップをかけた.このときの理由は,(1) 原子力安全委員会のマニュアルから逸脱する(つまり国や県からの指示がないので飲ませてはいけない),(2) 服用量を誤る危険があり,また副作用が出た場合に対応困難,(3) 飲み物と混ぜた場合に効果があるか不明,というものだった(「プロメテウスの罠」11月8日の記事). 放射能汚染はさほどひどくない.飲ませるほどの必要性はない.前日にはそう言っていた(上記).一夜明ければ,この主張が消えて,代りに (1) つまり「お上に従え」論が登場.(2) は前日と同じ趣旨でしょう(マニュアルの不適切).(3)は付け足し,こじつけ. 「プロメテウスの罠」11月9日の記事では,記者は山下氏に質問をくり返している.「福島に入ったときは情報がなかったんです」云々,と山下氏.いろいろ言っているけれど,支離滅裂と言ってよい.これ以上ここに書くのもスペースの無駄というもの. 私の意見も書いておこう. 「国や県から指示がないのに実施してはいけない」だとか,「副作用が出たらどうする?」だとかは,それなりに正しい判断である.もし山下氏が一介の役人であれば,である.役人は指示されないことを勝手にしてはいけないだろうし,あとで責任をとらされるような事はしないものだ.しかし人々が山下氏に求めたのは,そういう姿勢だったのだろうか? お役所の日常業務の話ではない.状況は非常時.そのために遠路はるばる招聘された専門家だ.最初は専門家らしい意見を述べた(ヨウ素剤不要論)が,翌日には一介のお役人並みのご意見に退化した.こういう当たり障りのない判断で通用するのなら専門家は不要だ.下世話な話だけれど,山下氏がこの役職で手にする報酬は,その程度の額なのだろうか. 常識的な役人業務ではなく,専門家の専門家たるゆえんを示して欲しかったと思う.
November 13, 2013
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甲状腺ホルモン,などというものは遠い昔に高校生物で習った記憶はあるが,はるか忘却のかなたである.チロキシンとかトリヨード何とかだとか,とにかくヨウ素を含む化合物だ.こういうホルモンとか,ひょっとしてその前駆物質とかが甲状腺に貯えられていて,必要に応じてホルモンとして分泌されるのだろう.もしヨウ素が放射性なら,この貯えられている間ずっと,周囲の細胞は放射線を浴びることになる.その結果として甲状腺癌ができることもあるだろう. 原発事故などで,人が放射性ヨウ素を体内に取り込んでしまう可能性があるとき,放射性でないヨウ素を摂取することで,甲状腺癌の予防ができるとも考えられているらしい.いわゆる「ヨウ素剤」だ.朝日新聞に連載中の「プロメテウスの罠」は,なぜ福島県がヨウ素剤を住民に配布しなかったのか,その意思決定のプロセスを追求している(11月8,9,10日の記事). ヨウ素剤は効果があるのだろうか.素人なりに少し考えてみた. 人の口から取り込まれたヨウ素は,放射性であれ非放射性であれ,消化器で吸収され,血流に乗って体内を循環する.その一部が甲状腺にキャッチされて貯えられる.というふうに考えてみよう.ヨウ素が放射性であれば,甲状腺にキャッチされてから,ホルモンとして分泌消費されるまでの間,甲状腺は被曝し続ける.しかし事前にヨウ素剤(非放射性)を飲んでおけば,血流中のヨウ素はほとんどが非放射性のはずで,いざ放射性ヨウ素が入って来たとしても,甲状腺にキャッチされるヨウ素の大部分は非放射性だろう. と考えられるけれど,それは血液中に非放射性ヨウ素が十分に多量にあれば,の話だ.もし血液がヨウ素を多く保持しない性質であれば,話は少し違ってくる.その場合は,ヨウ素剤のヨウ素は甲状腺にキャッチされたもの以外はすぐ尿などで排出される.すると放射性ヨウ素が血流に入って来たとき,非放射性のヨウ素で「薄める」ことができない. 別の言い方をすると,血液は甲状腺が取り込むヨウ素の供給源(プール)である.甲状腺が放射能を取り込むのを防ぐうえでヨウ素剤が効果をもつかどうかは,このプールの大きさに依存する.プールが小さければ,ヨウ素剤の効果も限られたものになる.プールの大きさを実際に調べた研究が多分あると思うけれど,私はこの分野は全く素人なので,知りません. 以上はヨウ素剤の「予防効果」についての議論だ.甲状腺がすでに放射性ヨウ素を取り込んでいる場合,ヨウ素剤がそれを追い出す効果をもつかどうかは別の要因,たとえば甲状腺ホルモンの分泌の頻度などで決まる,と思うけれど,長くなるので省略.私の「机上の空論」もここまでにします. さて, 「プロメテウスの罠」によると,ヨウ素剤の配布をやめさせたのは山下俊一さんらしい.山下さんは長崎大学から福島県に来て,福島県立医大(でしたか?)の学長になった.日本甲状腺学会の理事でもある.正真正銘のプロフェッショナルだ.上記の私の空論程度のことは百も承知のはず. だから山下さんは,なぜヨウ素剤の使用に反対したのか,という質問に対し,「ヨウ素剤は効果がない.それは理論からも経験からも言えることだ」と,きっぱり答える,だろうと私は思っていた.ところが,「プロメテウスの罠」によると,山下さんは全く違う理由を挙げた. 話はもう少し続く.本日はここまで.
November 12, 2013
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山下俊一さん.あなたは福島県民に対し大きな罪を犯している,と私は思います. ブログ「秋葉龍一のねごと」http://akiba1.blogspot.jp/2013/11/blog-post_9.htmlから転載します.ブログにメッセージを書き込もうとしたのですが,入力の方法がわからず断念しました.(以下転載)2013年11月9日土曜日山下俊一「放射性物質があんな広範囲に広がっているとは思わなかった」しかし、それにしても、こんな人物が、福島200万県民の健康と命に関して重大な影響を与えていたなんて……。いまとなっては取り返しがつかないのだが、よくもこんないいかげんな根拠で、住民の安定ヨウ素剤の服用を否定したものだ。山下のヨウ素剤をめぐる発言を見てみよう。2011年3月18日、福島県立医大の講演でヨウ素剤不要を説く。ところがである。「福島に入ったときは情報がなかったんです。情報といえば福島県立医大で測定していた空間線量のデータぐらいで……。3月22日にスピーディの結果を見て、ありゃーと」と述べるのだ。よくも「情報がないのに」ヨウ素剤は不要と言えたものだ。また、広範囲に広がる高線量を知って「ありゃー」だと。なにが「ありゃー」だ。で情報がないのになぜ「不要」としたのかについて、こう述べている。「日本の原発はフィルターがついていると思っていた。放射性物質があんな広範囲に広がっているとは思わなかった」この発言、にわかに信じられない。フィルターって、爆発すればフィルターもへったくれもないだろ。それと「あんなに広範囲に」って、山下は誰よりもチェルノブイリ事故の実態を知っていたはずだから、なにを見え透いたことを言ってるんだろ。以上は現在、朝日新聞に連載の「プロメテウスの罠」を参考にしたものだけど、この取材を担当した麻田真衣は、かなり突っ込んだ、いい仕事をしている。敬意を払います。同じ朝日にも、またその他のメディアにも、いろんな人がいるものです。(参考資料・引用『朝日新聞』朝刊、「プロメテウスの罠」「医師、前線へ22」「聞く度に話変わった」2013年11月9日)
November 10, 2013
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ひさびさの日記.今日はクルマの話です. 自動操縦のクルマが脚光を浴びているらしい.人が運転しなくても,クルマが自分で「運転」してくれる.障害物を感知して停止したり,障害物を避けて進んだりしてくれる. NHK「クローズアップ現代」がこの話題を取り上げていた.聞くともなく聞いていたら,高速道路でカーブを曲がるときは,ハンドルやブレーキの操作が重要だと言っている.「えっ?」と思って画面を見た. ドイツの自動車メーカーの話だったと思うから,ドイツ語でしゃべっていたのだろうか.それが日本語に翻訳されてテレビから聞こえて来た.「ハンドルやブレーキなど」という趣旨だったのだろうか.私にはこの「など」が聞こえなかった. 高速でカーブを曲がるとき,ハンドルやブレーキとともに重要なのがアクセルの操作だ.あまりに常識的なことだと思うけれど,知らない人は本当に知らない.クルマへの依存度は高いけれどクルマ自体には関心がなくて,知識もない,という人のために,少し解説をしようと思う.「ハンドルやブレーキ」だけでは何故ダメなのか.なぜアクセル操作が重要なのか? アクセルを踏むとクルマは速度を上げる.この状態を「加速傾向」と呼ぶことにしよう.そういう語があるかどうかは知らない.私の造語である. で,逆にアクセルを緩めるとクルマは減速する.この状態を「減速傾向」と呼ぶことにする.ブレーキを踏んでも同じこと. 加速傾向: アクセルを踏んで,クルマが加速ぎみの状態. 減速傾向: アクセルを緩める,またはブレーキを踏んで,クルマが減速ぎみの状態. 加速傾向のときは,車重は前輪よりも後輪に大きくかかる.つまり前輪が浮きぎみになる.そのぶんハンドルがききにくい.しかしクルマの安定性は高まる. 減速傾向のときは,車重は前輪に大きくかかる.従ってハンドルがきき易い.一方,クルマの姿勢は不安定になる. 障害物のない広い場所で試してみると良い.ハンドルを一定の角度に保ってクルマを走らせたら,クルマは正円を描いて走行する,だろうか? 答えは「ノー」である.クルマの走行はアクセルの踏み具合に影響される.ハンドルの角度が一定でも,アクセルを踏んだ状態だと,クルマは曲がりにくい.アクセルを緩めると,クルマはスッと曲がる.この効果がどれほど大きいかは,自分で実験してみると良い.ただしクルマを何かにぶつけても私は責任をとりません. 急カーブ,たとえば90度の左カーブを曲がるとき何が起きるか? 西向きに進んでいたクルマが,最終的には南向きに姿勢を変える.このときクルマは西向きの,つまりクルマにとって右向きの,慣性力を受ける.この慣性力はクルマがカーブを曲がりきろうとするとき,つまりカーブの最後のほうで,最大となる.車体は大きく右に傾き,横転の危険もある.ここはクルマを「加速傾向」にして切り抜けるべき場面だろう. カーブの入り口付近では「減速傾向」にして,ハンドルがきき易くする.カーブの出口付近では「加速傾向」にして,車体の安定を確保する.これが教科書的なカーブの処理法だ.これはブレーキではなく,大半はアクセル操作で処理する. 高速でカーブを曲がるとき,「ハンドルやブレーキ」だけで処理するのは難しい.そういう基本的なことを,あのドイツ人(?)技術者は理解しているのだろうか? それともNHKの誤訳? 何につけ「最先端」や「最新」の好きなNHKだけど,ずいぶんお粗末な最先端だ,という印象をもってしまった.
October 24, 2013
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「へなちょこ自然保護」からの転載です. 自民党の改正憲法案は,日本を戦争のできる国にするだけではない.他にも多くの問題点がある.その1つは,人権の扱いが軽いこと.自民党案の随所にそれが見られる.http://satlaws.web.fc2.com/0140.htmlが,とりあえず次の3点を指摘しておこう.1. まず前文.現在の憲法は「日本国民は〜」で始まる.自民党案は「日本国は〜」となっている.国民より先に「国」がある.主人公であるべき「国民」は「国」よりも後に置かれている.2. 基本的人権は,人が生まれながらに持っているもの,持つべきもの,というのが現憲法.それが自民党案では,人権は国が保証してくれるものになっている(たとえば第19条).しかも「権利には義務が伴う」と明言している(第12条).まず国があり,国籍があり,国民の義務があり,そのうえで「人権」が与えられるという仕組み. 私は逆だと思う.人は国籍以前に人であり,国籍とは無関係に人権が保証されねばならない.「権利には義務が伴う」など,どこかの校長先生の訓辞のような文面は,それだけで恥ずかしい.これが私たちの憲法です,などと自慢できるものでなくなってしまう.3. 現憲法の「公共の福祉」が,自民党案では「公益及び公の秩序」に変っている. - 「公共の福祉」の「公」は「人々」のこと. - 「公益」や「公の秩序」の「公」は「国」のこと. 字づらは似ているが,意味は全く違う. 基本的人権を制限できる唯一の根拠が,現憲法では「公共の福祉」(人々の幸福).自民党案では「公益及び公の秩序」(国の都合). 国の都合によって個人の権利を制限できる.この「公益及び公の秩序」には,上限がありません.いくらでも拡大解釈が可能である.日本国軍の海外派兵や徴兵制と同様,この場合も「歯止め」がない.越えてはならぬ上限が明記されていない. 話は少し飛躍する. 警察検察の横暴が最近特に目につく.容疑者に自白を強要し,調書を作りさえすれば有罪にできると考えているらしい.その調書さえも偽物であった実例も散見される.「調書偽造」でグーグル検索してみればよろしい. 戦時中は,あらゆる卑劣な手段で「自白」に導き,それを根拠に犯罪者に仕立て上げて処罰した.こうして政府への批判を抑制し戦争を遂行した.戦後の法体系は,こういう歴史を強く反省したうえに再出発したのでなかったか? 私は高校の社会科で「自白は証拠にならない」と教わりました.いま日本の法律を牛耳るプロフェッショナルたちは,この原則を忘れているように見える. つい先日も国連の拷問禁止委員会で,「日本の司法制度は自白に頼りすぎだ.中世のようだ」と言われ,日本の大使が「シャラップ」と叫んだらしい.礼儀もヘッタクレもない.こういう人が「大使」とは,同国人として恥ずかしい. とにかく,これほどまでに日本の制度は,世界基準からハズれている.そういう現状がある. しかも「秘密保全法」や「マイナンバー法」など,トンデモな法律が次々と国会にかけられ,通過している.従来は小さな違反であったものを「厳罰化」することになったという類のニュースは,もう聞き飽きた.これら全ての変化が,警察検察の権力の拡大膨張という大きな流れを作っている.このうえ憲法まで改正したら,どのような国になるか想像できるだろうか? 警察の権限ばかりが強い警察国家.それが本当に我々の目指すべきものだろうか.国の方針に対し批判を許さないような強い強制力は,もちろん徴兵制の執行にも好都合である.まさに「戦前への回帰」そのものである.
July 18, 2013
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「へなちょこ自然保護」からの転載です.- 過去の過ちまで美化するつもりはないが,自分の国の伝統や文化,生まれた家族に誇りを持ち,教育することのどこがおかしいというのか.と平沢勝栄議員(自民党)は言ったそうだ.自民党の改正憲法草案の作成に携わった者として,その立場からの発言だ. 「どこがおかしいか」はさておき... 「過ち」と平沢氏は言った.それは誰の,どういう過ちなのだろう.平沢氏たちが練り上げた改正憲法案は,その「過ち」を踏まえたものだろうか? というわけで,やっぱり憲法の話をします. 自民党の憲法案で,特に問題だと思うことがある.その1つは,日本を「戦争のできる国」にしようという意図がありありと見えること.想像するに,安倍晋三氏にすれば,日本の今の憲法は敗戦でアメリカから押し付けられたもの.軍隊をもたない,戦争をしない,などというトンデモナイ内容である.これを改正して日本を戦争のできる,普通の国にする.それが安倍氏の悲願「戦後レジームからの脱却」である. 安倍氏は「アーミテージ・レポート」(2012年版)のことを,まさか知らない訳ではないでしょう.米国CSIS(戦略国際問題研究所)が,今後の日本はこうあるべきだ,と「提言」をしている.たとえば,原発を再稼働すべきである.TPPに参加すべきである.憲法を改正して,戦争のできる国になるべきである.そのように「提言」されている. つまり安倍さんの政策は,何のことはない,「アーミテージ・レポート」が要求していることを,そのまま実行しているだけ.安倍さんの眼は日本国民を見ていない.アメリカの意向に唯々諾々と従うのみ.これが彼の言う「戦後レジームからの脱却」の正体です.「押し付けられたものだからダメ」などは大ウソ.押し付けがダメというのなら,まず「アーミテージ・レポート」を拒否すべきでしょう. 戦争をできる国になったら日本軍がまず送られるのはペルシャ湾方面かもしれない.それも「アーミテージ・レポート」に書かれています.行ってどうするか? なすべき様々な作業の中にはもちろん「戦闘行為」も含まれる.すべて「アーミテージ・レポート」のご託宣通り. で,いつ行きますか? じゃなかった.誰が行きますか? そう,自衛隊あらため日本国軍ですね.行き先はペルシャ湾.尖閣諸島で中国と一戦交えたいと思っている人もいるかもしれないけれど,それは国の存亡をかけることになりかねない.いくら安倍さんでも,それくらいは判っているのでは. また話がそれてしまった. 自衛隊員が行くんですよね.人を殺しに.ひょっとして殺されるかもしれない所に.国土防衛とは関係なさそうな場所に.何のための戦いかもよくわからない戦争に. 「行け」と言われたら,君は行きますか? いや,俺はいいんだ.税金を払ってるから.そのカネで自衛隊員が行けば良い,と考えてませんか? アベノミクスが話題です.円や株価が上った下ったと,かしましいこと.安部さんの目的は選挙.それまでは国民受けの良い政策を打ち出す.それがアベノミクス.選挙までメッキがはがれなければ,それで良し. 円や株価の変動は,安部さんにすれば,どうでも良い話です.もちろん日本を好景気に導くことができれば最良だけど,失敗しても何の問題もない.ちまたに失業者があふれる世の中になったら,自衛隊に入りたい人も増えるでしょう.そういう人が戦争に行けば良い.あ,君は行かないんだよね.税金払ってるから. ひとたび「戦争ができる」国になったら,軍の規模は拡大します.それを税金でまかなうのは大変なこと.日本国は借金まみれ.政府は貧乏なんです.愛国心あふれる人がボランティアで軍に入ってくれるかな? いやいや,もっと良い方法がある.言わずと知れた徴兵制.これです.これが最も安上がりな方法. それはないでしょう.徴兵制なんて,あまりに非現実的.笑われてしまいそうですね. で,徴兵制にはしない,と,どこかに書いてありますか.憲法改正案の条文をよく読んでください.「徴兵制にしない」と断言することを,注意深く回避しているのが読み取れませんか? 過去の「過ち」とは,どういう過ちだったのか.それは「歯止め」がなかったことです.越えてはならぬ一線,ここまでは許容できるが,それ以上はしない,という一線が明記されてない.だから軍は拡大を続け,どこまでも戦争にのめり込んで行った.それが過去の過ち.そう思いませんか.平沢さん? 追記(2013年7月17日). 自衛隊が国防軍になったあかつきには,戦争に行くのを拒否する兵士は死刑になるそうです.自民党の石破幹事長がテレビでそう言ったらしい.恐ろしい,と私は思います.
July 17, 2013
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「へなちょこ自然保護」からの転載です.キーワードは「米国化」 日本の米国化.それが安倍政権のめざす日本だ. たとえば農業.生産性が低いのだという.日本の農家は努力が足りないらしい.「国際社会」では「生き残りをかけた」競争が行われているのだと,国営洗脳放送が毎日ことあるごとに言っている. テレビを見てはいけません.これほど繰り返しインプットされたら,よほど自分をしっかり持っている人でも洗脳されてしまう.大規模な自然破壊を前提とした米国の農業と,自然との対話を基調とする日本農業とでは,そもそもの成り立ちが違う.しかし洗脳されてしまった人は米国式の農業を日本でも始めようとするでしょうね. たとえば医療制度.日本が誇る国民皆保険はどうなるだろうか? この制度の有難みは,自分や家族が大病を患ったとき実感される. 日本がTPPに参加したら,行き着く先は米国の医療制度.うっかり病気もケガもできない.治療費の払えない貧乏人は死ぬしか選択肢がない.絶対に受け入れてはならない制度です.ここまで言ってまだピンと来ない人は,映画「シッコ」でも見てください. 医療制度だけではありません.マスコミは小さなことのように報道しているけれど,TPPは日本の社会を根底から破壊し,米国化を押し進める爆破装置です. 話をもとへ. たとえば子供の英語教育.日本語がまだ身につかない幼児の年齢から英語を教えるのだという.この国は狂っている.日本人を育てたいのなら,まず日本語をしっかり習得させるべきでしょう.優先順位を間違えてはいけない.外国語の習得は,もっと後にすれば良い.それではダメですか? それとも日本政府は,英語は「外国語」であってはならないと考えているのだろうか? 英語は国により地方により多種多様な言語だ.しかしテレビから聞こえて来るのはアメリカ英語ばかり.これも異常. たとえばマスコミ.そういえば国営放送が昔やっていた「おはよう世界のトップニュース」とかいう番組が最近見当たらない(*).たしか米国だけでなく,英国,フランス,ドイツ,ロシア,アラビアなどのニュース番組も放映していたはず.「どうなってんだ?」とチャンネルをいじったら,民放で米国のニュース番組を流していた.米国の天気予報までやっている.あきれてしまいました. 世界には多様な国々があるのに,テレビから流れて来るのは大本営発表と米国のニュースばかり.何度も言いますが,本当にこの国は狂っている. (*)NHK様が外国ニュースを取捨選択して教えてくれる World Wave とかいう番組はあります.NHKというフィルターを通過した検閲済み情報だけが国民に与えられる仕組みです. たとえば憲法改正.いまの憲法は米国に「押しつけ」られたものだ.押しつけでない「自主憲法の制定」は自民党の党是である.そこで,まず平和ボケの憲法を書き換える.すると日本は「戦争のできる国」になる. そして中国と戦争をする.というのは冗談だけど(冗談だけにして欲しいけど),それは最悪の,しかし全くあり得ないわけでもないシナリオ. もっと現実的なシナリオもある.日本が「戦争のできる国」になったら,いま最も喜ぶのは米国でしょう.小泉内閣はイラク戦争に自衛隊を送ったけれど,日本国憲法の制限下でできることは限られていた.憲法を改正すれば,その制限がなくなる.堂々と日本軍を戦争に狩り出すことができる.安倍首相が,しきりに「集団的自衛権」を強調するのは,そういう理由からでしょう. 米国に対し,そこまで奉仕する.何と卑屈な姿勢ではありませんか.「押しつけ」られた憲法だから「自主憲法を制定」したいなどは大ウソ.どこが「自主」ですか.ただひたすら米国にひれ伏し,貢(みつ)ぎたいだけの売国政策です. 世界で最も好戦的な国.巨大な軍事費と優れた科学力を背景に,いつも世界のどこかで戦争をしている国.それが米国だ.その戦争に日本軍を使ってください,というのが「集団的自衛権」に込められた安倍首相のメッセージ.「戦争のできない国」だった日本は,「戦争が日常である国」に変貌する.これも日本の米国化だ. この調子だと,いずれ日本軍は米軍の指揮下に置かれる可能性もある.すると日本兵士は指令,つまり「耳からの」アメリカ英語を理解できねばならない.なるほど日本人には子供のときから英語教育を施したいわけだ. そして,もちろん社会システムが似ていればいるほど,この「日米同盟」(つまり日本が米国の手先になって戦争をすること)はうまく事が運ぶ.日本を「米国化」することには,そういうメリット?もある. かつて小泉内閣は日本を変えて,「米国化」に向けて大きく舵をきった.たとえば派遣労働が普及し,勤労者の権利は大きく制限されることになった.かつては「一億総中流」と揶揄された,あきれるほどの平等性が,日本人の活力の源泉だった.今では人々は管理と競争と,「頑張れ」というかけ声で働かされている. 貧富の差が拡大し,「勝ち組」「負け組」という言葉が流行した.民営化が押し進められ,それを監視するのが役人の仕事になった.定年後の役人の「天下り」先も増えた.小泉内閣の施策により,地獄にたたき落とされた日本国民は多い.大企業や既得権者に甘く,庶民には厳しい「改革」であった. そう.小泉改革により日本という国は,著しく米国的になった.いま安倍首相は,小泉氏と全く同じ路線をなぞっている.その行き着く先は日本のさらなる「米国化」以外にありえない. Make Japan American(日本を米国ふうに改造せよ)だ. 安倍首相は「ナショナリスト」ではない.ひたすら米国に愛嬌をふりまくだけの人だ.この国を米国に売る似而非ナショナリスト.この男の正体が,君には見えているだろうか?
July 13, 2013
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「プロジェクト99%」という運動を見つけたので,勝手に紹介します.http://project99.jp/ TPPのこと,原発のこと,増税のこと,などを扱っています. 憲法のことも扱っています. チラシがきれいで,わかりやすい.許可を得て,いろいろな場面で配布すれば良いのでないかと思います.TPPについてのチラシ:http://project99.jp/?p=5490憲法についてのチラシ:http://project99.jp/?p=5085 党派にこだわらず,「プロジェクト99%」のような運動を、各地でどんどん盛り上げて行きたいものです.
July 9, 2013
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行事案内です.記. 市民討論会・明日への行動に向けて「きけんがいっぱい安倍政権 ~ 原発再稼働 憲法改悪 TPP参加 在日米軍 アベノミクス」日時:6月29日(土)午後6時~8時45分場所:県民文化ホール4F・第6多目的室(高知市本町4‐3‐30)参加費:カンパ主催:たちあがる市民グループ@高知午後6時~7時 講師のはなし・岡田健一郎 「いま、憲法『改正』を考える」・明神応経 「平和への新り 行動に」7時15分~8時30分 小グループに分かれて討論会8時30分~8時45分 全体会 安倍政権は、私たち市民の生活には何の関心もなく、ただひたすら大企業の利益優先とアメリカ隷属の政策を出し続けています。 安倍首相の悲願は憲法改悪です。7月の参議院選挙で自民党が圧勝すれば、国民は諸々の自由を奪われ、国家の都合のいいように支配されていくでしょう。 秋には「秘密保全法」を成立させようとしています。 政権の「太鼓持ちマスコミ」の情報に踊らされることなく、自らの意思をもって、次の行動へつなげていかなくてはならないと思います。 市民討論会にぜひ、ご参加下さい。
June 25, 2013
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きょうは軽自動車について書いてみます. 軽自動車の歴史は,「スバル360」という車種を抜きに語れない.当時の法律は軽自動車を,排気量 360cc未満,4人乗りまで,と定めていた.クルマのサイズの上限も決められていた.技術的な根拠も何もない,おそらく文系人間が適当に数字を割り振っただけの法的基準であった.この小さなサイズに大人4人が乗って,しかも小さなエンジン.当時の技術では,およそ実現不可能と思われた. この不可能に挑戦したのが,もと中島飛行機の技術者たちだった.大戦中は陸軍のお気に入りとして,数多の名機を製造して来た中島飛行機は,戦後GHQにより小さな町工場に解体された.その町工場が5つ,6つ,と集まって,軽自動車の生産に挑戦した.こうして昔の仲間たちが再び心をひとつにして造ったのが,かの名車「スバル360」だ. すばる(昴)は牡牛座にある.オリオン座の「三ツ星」を右上に延長して行くと赤い星がある.これが牡牛座のアルデバラン.その右上にある黄色い「星」がプレアデス散開星団,日本語名を「すばる」という.じつは1つの星ではなく,小さな星が集まって大きな光になっている.小さな町工場が寄り集まって完成させた名車にふさわしいネーミングだった. クルマの設計には,かのポルシェ博士の著作が役立ったらしい.実際,スバル360はフォルクスワーゲンと似ている.リヤエンジン,後輪駆動,トーションバーを使った四輪独立懸架方式など.いずれも軽量廉価な国民車を求めたヒトラーの要望に応えたポルシェ博士の設計思想だ.そして本家フォルクスワーゲンが「かぶと虫」と呼ばれていたのに対し,スバル360は後日「てんとう虫」と呼ばれるようになる.スバル360は昭和33年3月という,記憶しやすい日付で発売された. 最初に規格があった.その規格に合うようにクルマが作られた.一定の制限下で,それに適合するものを作る.制限内で実現できる最良のものを,ギリギリまで煎じ詰めて作る.そういう場面で日本の技術者は高い能力を発揮する.そういう意味でスバル360は,ある意味とても日本的なクルマである. スバルの技術者が目指したもう1つの目標がある.それは360ccという排気量にちなんで,クルマの売価を36万円にまで引き下げることだ.これは実現しなかったけれど,それまでにない廉価な価格設定になった.多分よく売れたのでないだろうか.こうしてスバル360と,それに続く軽自動車の系譜は,国民に自動車を普及させるのに大いに役立った. そういう輝かしい歴史がある.それが日本の軽自動車だ.日本がTPPに参加したら,軽自動車の税制優遇は「非関税障壁」と非難され,いずれ消滅するかもしれない.それはTPPがもたらす他の問題,たとえば国民皆保険の医療制度が消えることに比べれば,もとより小さな問題である.しかし軽自動車は,できれば消えて欲しくない規格であり,一種の日本文化だと私は思っている.
June 22, 2013
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安倍首相が本当にやりたい事は憲法改正だ.そのためには参院選で大勝利すること. だから安倍首相は政権の発足以後,参院選に向けたあらゆるプロパガンダ,人気取り政策を施行して来た.アベノミクスをまるで長期的な展望をもって実行しているかのように言っているけれど,それは真実でない.参院選までメッキがはがれなければ良いだけの人気取り政策である. 原発再稼働に向けて日本が採用しようとしている安全基準は「世界一」だ,とNHK「クローズアップ現代」が持ち上げていた.この女性キャスターは誰かに弱味でもにぎられているのだろうか? 人はダメになるものだと,つくづく思う.今やジャーナリストの反面教師のような顔をしている. 自民党の議員があれほど反対していたTPPは? (1) 日本農業への影響, (2) 「食の安全」が米国基準になってしまうこと,そして (3) 日本国民の健康を守って来た「国民皆保険」の制度が実効を失うこと.その他さまざまな変化が国民生活を直撃する.正真正銘の売国政策である.これほど過酷な変化が予想されるのに,日本の大マスコミは小さな,本質でない報道しかしていない. 政府が本当に取り組むべきは「国民の生活」を守ること.日本を暮らしやすい国に作りあげて行くことでなければならない.本来なら政府は,いま憲法改正を議論できるような,余裕のある状態ではない筈だ.安倍晋三がいま憲法改正を話題にしたい理由は,自民党が議席の多数を占める可能性が高いからでしかない.そういう「政治」しか頭にない,スケールの小さな政治屋.それが安倍晋三. 以上,前置きがたいへん長くなってしまったけれど,自民党の改憲案は本当に危険です. 「明日の自由を守る若手弁護士の会」http://www.asuno-jiyuu.com/という団体が,「不条理劇カイケンゴ」というパンフを出している.動画もある(約6分).http://www.youtube.com/watch?v=V7EcIEdNZ4A このパンフや動画が,自民党の改憲案の問題点をすべて網羅しているわけではない.たとえば「天皇を国家元首にする」などという時代錯誤な条文には触れてない.いま日本国民は,これらの流れについて本当に,真剣に考えるべき時である.野党は大同団結をすべき時である.時は今.日本に健全な民主主義が存在することを見せて欲しい.
June 20, 2013
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