妖精のいたずら

妖精のいたずら

つれづれ草・・・第十三章・・・



久しぶりに見る息子の姿・・。 (でかくなったなあ・・・)
そんな感動を覚えながらも『女性には優しくしてあげなくてはいけない』と言われていなかったのか?」息子の腕を取りながら倒れている彼女を見ていた。
「うるせ~! 今は関係ないだろが!お袋の事どうするんだ? それに、また酒で誤魔化そうとしているのか?」
「いいから少し冷静になれ・・・。」そう言いながら彼女を助け起こそうとした。 それよりも早く立ち上がると息子に向かって「おとなしくしなさい!」
『バシッ』思いっきり息子を叩いたではないか。
叩かれた息子は呆然としているし、俺もただ唖然と見ているしかないほどの早技だ。
「もう、何ですかあなたは? それにどうしてこんなことするんですか?」
「すまない。 これは俺の息子なんだ。」
「え? さっき『親父』って言ってたの・・・  それにお袋の事って騒いでたの・・・」
「ああ、みんな俺のことだ」 「それに母親は小夜子だ」
「・・・・・そんな・・・あの人が奥さんだったなんて・・・」
(あ~あ無言で出て行ってしまったよ。またなだめるのか?めんどくせーな)
社長に合図をしながら息子を連れて外にいくと、あいつがボンヤリとしていやがる。今は無視するしかないと思いそのまま通り過ぎようとしたら
「なんでだまっていたんですか?」「なんでいってくれなかったんですか?」
「別にあえて言う事でもないだろう? こんな事」
「そうですけど・・・言って欲しかったです。」
「時期が来たらいうつもりだったし、あいつが言わないのに俺が言うのもおかしなものだからな」
「「パートナーとしたら知っておきたいじゃないですか」
「お前も少し冷静になったくれや。 今はそれどころじゃないんでね」
何か言いかけるのを今度こそ無視して息子と共に車に乗り込んだ。
まだ何かいいたそうな彼女の顔がミラーに映っていた。
涙が溜まっていたように思ったのは気のせいだったろうか?
「また女に手を出したのか? いい加減にしなよ」
「馬鹿いうな! そんなことはしていないし、そんな気も起きない!」
「へっ!どうだかな?」「ずっとそうやってお袋を困らせていたくせに」
「今までずっとまっていたんだぞ! 迎えに来てくれること」
「いい加減なこというな! とっくに忘れられていると思っていたがね」
「そこがあんたのドジなとこなのさ」「いつもあんたの話をするときは嬉しそうに話していたし、いつかまた『みんなで暮らしたいね』っていってたんだぞ!」 「それをあんたは気づいてやれないなんて・・・」
「ほんと、馬鹿な親父だ」
「うるせー!」「お前にまで言われたくない!」
「何偉そうなこと言ってんだ! いつも何かあるとお酒に逃げてるような男がえばることじゃないだろが!」
「・・・・」何も言い返せなかった。 まったくその通りだからー。
それにしてもこいつもここまで一人前のことを言う歳になっていたとは・・。
それより『小夜子』が・・・・。
いつになく外の熱さを感じているのは気のせいだろうか・・・。





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