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★ 『 かくしごと 』 久米田康治 ( 2015
年~)
電子書籍にて、既刊
10
巻まで読了。
祝・ アニメ化!!( 2020
年 4
月~)
「下ネタ」が売りの漫画家が、男手一つで育てている小学生の一人娘に職業を知られないように四苦八苦するドタバタ生活を描いた作品。
久米田さんの作品は、初めて読んだはずなのに、何故か既視感があるなと思っていたら、途中で、 アニメ『有頂天家族』
のキャラデザを担当された方だと分かって、スッキリした。
でのストーリー説明や扉絵の雰囲気から、父娘家庭の苦労や日常を描く、子育てほのぼの漫画かと予想してたら、意外に家庭内の話よりも、漫画家の内情暴露話の割合の方が多く、「漫画家あるある」漫画としての位置付けの方が正しい。
あるあるネタってのは、一度読んだら、「へー、そーなんだ」と感心して終わり、ということもよくあるが、この作品の場合、キャラクター、ギャグセンス、作画、全てが私の好みに「どはまり」で、何度読み返しても飽きない。
実は、セール期間などにとりあえず購入した電子書籍が山積みで、マジで同じ作品を読み返してる場合ではないのだが、一時期、気分が落ちている時、こればかり繰り返し読んでいた。
何しろ( 10
巻までのところ)、一ミリも「感動ポイント」が無いところが却って良い。
落ち込んでいる時には、悲劇や不幸話を読むのも辛いが、かといって、いい人だらけの幸せハートフルストーリーも、それはそれで、真綿で首を絞められるような憂鬱な気分に追い込まれることがある。
ギャグ漫画でも、予想外にホロリとするエピソードやシビアな展開が入ることが、まま あるので油断ならないものだが、この作品には、それが殆どなかった(巻頭および巻末の書き下ろしカラーページが、若干シリアス要素を匂わせるものの、そこまでの悲劇を予感させるものではない)。
ほぼコメディ一辺倒でも飽きない理由は、ボケとツッコミが一方通行ではない人間関係と、「程よい」キャラクターの魅力だ。
「漫画家の奇行に振り回されるアシスタント」というベースはあれども、さらに上を行く「ヤバい」編集者やら、恋愛体質の女性モブらから 漫画家自身も振り回されるケースが多々あり、しかも、限度を超えた非常識さにイライラさせられたり、特定のキャラを疎ましく感じるほどの、しつこさがない。
逆に、キャラクターに感情移入し過ぎてしまうようなこともないので、本を閉じれば、スッキリ物語世界から抜け出せる。
一見、表情に乏しい作画も、独特な「間」を創り出し、「本人たちは大真面目」という可笑しさに繋がっている。
また、各話の最後に入る作者自身の後書きも、漫画家としての体験談や裏話満載で面白い。
10
巻で、アニメ化の告知と共に「 12
巻で完結」との予告が出て、若干寂しくもあるが、最後まで失速することなく楽しい作品にまとめあげて欲しいと思う。
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