吸血


..







あの日の夜は眠れなかった








く  ろ  マ  ン  ト







くまがめだつ。

一日ぐっすりとは眠れなかった。

睡 眠 不 足 。

最低。


これもすべてアイツのせい。

吸血鬼となのった・・男の子(同い年ぐらいの)。



「何が、あきらめないよ・・。」

独り言をポツリとこぼす。

ポンポン。

肩をたたかれた。

フイッと振り返ると・・

や ら れ た 。

頬に人差し指があたってる。


「どーっしたのさー!元気ないよー?」

「はっ、寝不足なのさ・・。」

「寝不足は、乙女の敵だよー?注意しなきゃ、ね!」

どこまで元気なのか・・

さっきから笑顔一つ崩さない。

ここが久美のいいところなんだけど。


黒いカードに書いてあったメッセージ。

危険。

危険すぎる。

あんな痴漢みたいな人にでくわすと、危ない。

絶対。



いやでも・・十字架とニンニクさえあれば・・上出来!

「大丈夫よ、ふんっだ。」



部活終了。

バスケ部は、どの部よりも終るのが遅い。

外はもう真っ暗だ。

夏だけど、八時はやっぱり暗くなるものなんだろうか。



「ふう・・帰ろっと。」

制服を着替えて、汗をぬぐう。

外では

虫の綺麗な合唱。



電灯には、気持ち悪い蛾たち。



なんか正反対。



どうでもよくなって、とことこ歩いてかえる。

明日数学のテストとか、バスケ部夏休みっていつぐらいいくんだろとか・・たわいもない考え。


くろマントが似合う、月に照らされ綺麗な顔。

牙は、そんなに目立たない。

牙をむいたときは、ギラギラ光っている。


そんな男の子=吸血鬼。



ただボーッとする。


ボーッとボーッと・・ボーッと・・・


ぐいっ。


イキナリ何かと、目を丸くした。

抱き寄せられている。

くろマント・・?


吸血鬼!


「だーっ離して、離して、離せーッ!」


油断した事に、少々いらだつ。


一瞬の隙を見て、くろマントからはなれた。

そしたカバンから、十字架を取り出す。


「来るな、来るな、来るなーっ。」

そういいながら差し出す。
だがー・・


無 反 応 。



逆に、腹を抱えて笑われている。

次は、ニンニクを投げた。


無 反 応 。



おもいっきり笑われた。


「どっ、どうなってんのよ!?」

「そんな信じてどうすんの?吸血鬼が十字架苦手とでも?」

とケラケラ笑う。


ムカッ。



「じゃ、じゃぁ何が苦手なのよ!」

「教えない。でもニンニクは古いよねー。」


とケラケラ腹を抱えて笑う。



ムカッ。



ムカッ・・。



ムカムカッ・・!!



「うぉりゃぁっー!」

おもいっきり、十字架を投げた。


ガンッ。


吸血鬼の頭に思いっきり当たる。


「はぁっ、はぁっ。」

肩で息をする、葵(まもる)。


痛いとゆう声もせず・・

ただ倒れてる。



わな?




ニンニクを次は当ててみる。



あれ・・



気絶してる?




「おっ、おーい。」


肩をゆらしてみる葵。


・・・。



なんか悪いことをしたような気がしてならない。



―――・・・・。



「はぁ・・連れて帰るか・・。」



罪悪感 吸血鬼 私 くろマント




なにかしらうまれてきた感情さえも、お人好しな葵。


おぶって帰る、くろマントの男の子は・・


暖かかった。




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