山南まゆの日常

山南まゆの日常

頬の傷。



 青黒い炎が燃え盛る。まるで、生き物・・いや、生き物なのだ。
 妖怪。
 これは妖怪に分類される種族なのだ。
 そのおおきな炎の前に一人の少年がたっていた。
 『ЯξΨ・・Ψχδ!!』
 呪文のような言葉を発し、指を法則的に動かしている。
 『κα!!』
 両手の手のひらを合わせ、を大きく叩いた。
パンッッ!!
 だがその時、右目の下を何かが飛んできた。
 「っつ・・!!」
 ひるんだ瞬間、おおきな青黒い炎が夜空へと逃げ去った。 
 「あっ!!てめ・・・っ!!」
 それは、遠くおおきな夜空へ、消えていた。
 「く、くそ・・っ!!」
 地に、赤黒い血が滴り落ちた・・・



 第一章  [今日一緒に帰りましょう!!]

 放課後、家にかえる者もいれば、学校に残り、部活動をしたりする者もいる。
 とある通常的な教室に、部活動の教室に行こうとする女性生徒に一人の男子生徒が話しかけた。正しくは、大声で呼び止めた。
 「ユウさん!!」
 ユウと呼ばれたその生徒は立ち止まり、振り返った。
 その容姿は、ショートの黒髪に十円玉ぐらいの灰色の瞳、薄茶色カーディガンに男子用のネクタイをした、ボーイッシュなカワイイより奇麗と言った方が正しような赤根ユウはその男子生徒に目をやった。
 「今日一緒に帰りましょう!!」
 元気溌剌な声をあげる男子生徒は、髪の毛が耳が少し隠れる位の長さで全体的に、赤茶。髪の下の辺りは奇麗にそろった黒の、珍しい地毛で、青のブレザーをボタンをしめず、だらしなく、ゆるゆるのネクタイ姿で、顔は、中の上ぐらいであり、右目の下には、一筋の傷がついている三重矢乃は希望に満ち溢れた顔をして聞いた。
 だがユウは一瞬「うざいわぁ・・」と云いそうになりくらいし、
 「嫌です。」
 と、歩き始めた。その対応に矢乃は、
 「なにゆえっ!!」
 と意表をつかれた顔をした。更にユウは、
 「バカだから。」
 母親がどキツな服装で参観日にやってきた時の息子のリアクションの様な顔をした。 
 「ストレート・・・」
 ガクリと膝をつき、ショックに落ちると、 
 「ウソウソ。部活まっててくれたらね。」
 と、ユウは歩み始めた。
 そんなユウの背中を見、矢乃は先程までの落ちこみようとは正反対にうれしそうな顔をした。


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