南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

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●ヒッタイトの足跡を訪ねる旅―第2回


《ヒッタイトの足跡を訪ねる旅―第2回》 ~2003年9月の旅の記録

 ―それは、和解の旅でもあった―

その年の初めに起こった家族関係のもつれから、母を除き、最も信頼する3番目の兄をも含む家族全員に、夫は一方的に絶縁を言い渡していた。
一切電話すら受けたくないと、自宅、携帯の電話番号ともに変更するほどであったのだ。

しかし8月になって、3番目の兄の22歳になる娘の婚約式の招待状が届いたことを告げると、夫はそろそろ雪解けの時期とみたのか、あるいはまた、姪の人生の美しき門出を叔父の欠席によって踏みにじるようなことになるのを慮ってか、「行かなくちゃいけないだろうね」と、そうつぶやいた。

3番目の兄を、夫はことのほか慕っていた。
7人兄弟の真ん中に生まれた夫は、家族の誰からも省みられなかった、誰も自分に何か優しいことをしてくれようとはしなかったという子供時代のことをしばしば語ってくれた。
そんな暮らしのなかで3番目の兄が買い与えてくれた1本のズボンの話は、夫の口から繰り返し聞かされた。「あれほど嬉しいことはなかった。その夜は、ズボンを抱くようにして眠った」と。
家族の中で、夫のことを少しでも気にかけてくれようとしたのが、この3番目の兄だったのだ。
夫は、若いカップルのために、そしてなにより、これまで最も慕ってきた兄に一番役立つようにと、現金のお祝いを用意した。

そうして、辛くもこの旅が実現することになった。

* * * * * * * * * *


しかしながら、この旅の記録はリアルタイムで残すことができなかった。
旅の後にすぐ子供たちの新学期の準備が控えており、私の頭の中はあっというまに雑事に占領されてしまったからだ。
今となっては、残念このうえない。
流れる車窓の風景を見つめつつ、古(いにしえ)の土地を踏みしめながら感じ考えたことどもも、今となっては遠い記憶の彼方にしか探すことはできない。

今回の旅の記録は、したがって、写真にガイドブックからの抄訳を添付することでお茶を濁したいと思う。
むしろこちらの方が、大方の人には歓迎されるかもしれないが。


以後掲載予定:
【1】ムワタリ王のレリーフ(スィルケリ)
  【2】カラタシュ野外博物館
【3】イェセメック野外博物館





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