ちょっといい女

ちょっといい女

小鳥に贈るレクイエム



先日、自宅で飼っていた小鳥が死んでしまいました。

前日に野良猫が家に入ってきて襲われたのでした。籠の中にいた小鳥は、幸い外傷は無かったのですが、その翌日、全く元気がありませんでした。

小鳥は、鳴くこともせず、ぐったりしていました。

それなのに、私の手にいつになく強くしがみついていました。

静かにしておいてやろうと思い、小鳥を離した途端、小鳥の目には涙が浮かんでいたのでした。

そして、そのまま動かなくなってしまったのです。慌てて病院へ連れていったのですが、手遅れでした。

子供に、こうなる前に、病院へ連れて行ってくれるようにと随分頼まれていたのですが、電話で容体を伝えたとき、しばらく安静にしているようにと言われたことで、安心してしまい、すぐには病院へ行かなかったのでした。

子供に、謝りました。

「あなたの言う通り、すぐ病院に連れて行けばよかった。ごめんね。」

ところが、子供は私を責めませんでした。子供も、安心して遊びに行ってしまった自分自身を責めていたのかも知れません。

木箱を買ってきて、小鳥を入れて、小鳥が好きだったおもちゃと私達からの手紙を添えて、弔ってやりました。

「私達のことを、いつまでも覚えていてね。」

という気持ちをいっぱい詰めて・・・。



沈んだ気持ちの子供を見かねて、夫が、

「また、ペットショップへ行って、鳥を買ってこよう。」

と言いましたが、子供は首を横に振りました。

「そんなんじゃない。ピーちゃんが可哀想だから。もう、鳥はいらない。」

小さな小鳥が私達に残してくれたものは、とても大きな大切なものでした。

そんな小鳥に、感謝と哀しみと懐かしさを込めて贈ります。

このレクイエム・・・。

ピーちゃん


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: