菜食と二人。


人それぞれ、十人十色。
でもなんで私は菜食をしているのかな?くじらは?
ちょっと考えてみよう。

いかにどんなに近い存在であっても他人を理解する、と言うのは難しい。
近しいからこそ違いを感じることもある。
菜食者には色々な「理想」や「夢」の様なモノがあって、それぞれそれに向かって行動している人達。だと思う。

くじらの場合:
野生のライオンがインパラを捕らえて食べる、そんなテレビの光景も見ることが出来ない、虫だって勿論殺さない。家畜という食べられたり働かされたりする動物を見るに耐えない、動物園も彼らにとっては苦しみ、拷問の様なモノだと悲しむ。ペットにしても何処か知らない世界から連れてこられたり、血統という名の近親相姦や人間の玩具にするための品種改良.....売買されれいく命を間違いだと思う。

それらを思い出すと辛いのであまり私達はベジタリアンであることについて話したことは無いので良く分からないけれど、見るにつけ恐らくお兄さんが仏教に興味を持ち始めたのもきっかけになっていると思う。

くじらは6年ほどveganをしていてその前の数年間、vegetarian(卵、乳製品を場合によっては食べる)だった。

彼は料理が苦手な事もあり食生活は不健康で、心配する人も居るほど。もともと偏食でどうも家族自体がかなりの偏食者だったよう。菜食を健康的、と思う人も多いと思うけれど、彼は正反対である。栄養が偏ろうが何であろうが動物製品を生活に持ち込むのは精神的に苦痛なので食べる事も、寒い冬に毛糸のセーターや革製品を身につけることも出来ないのである。古着については私もくじらも捨てられていく命というのは辛いのでそれらを買うことは良いのかもしれない...と思っているけれど。でも毛皮は無理かなぁ。

うみうしの場合:
菜食料理は最高に面白くて美味しい。

シンプルだし質素に見えるのかもしれないけれど、人を幸せにする力を持っていると思う。アレルギーの人も宗教上の理由の人もどんな人でも美味しく楽しく食べられる料理。その食卓風景はなんて温かくて美しい事だろう。
楽しい食事は笑顔を作り、笑顔は世界にバランスをもたらす。宇宙から地球を見たときに青い海と緑の大地、単純に美しいと思える惑星であって欲しい。
小川の水を飲んだり雪を食べたり、道端の野草や木の実を摘んで食べられる世界。
大量生産、過剰な命の廃棄、ゴミを作ることへの嫌悪。

くじらと違ってその日に食べるお魚、少しの生活の糧。そういう暮らしなら美しいと思う。モンゴルなんかでの動物と助け合って生きる姿をやっぱり美しいと思っている。
それでもやっぱり選択の余地がある限りは妊娠状態にさせられた上、子牛と引き離される。更にその子牛のミルクを奪おうとは思わないし、卵も同様に生まれる前の命を奪う権利はないし、無精卵を生まなくてはならない状況下における苦しみをおわせるわけにはいかないと思う。子牛や卵を産めなくなったら食肉として殺される。そんな運命を決定する権限は無いと思う。

10年くらい前からかなり動物性のモノを意識してさけるようになっていたけれど、ずっと自分はおかしいのかと思っていたから動物性のモノをとろうと努力したこともある。
7年くらい前に初めてベジタリアンに会った時は「おお!!!」と思った反面、やっぱり我が儘かもしれない...とも思った。
狂牛病のニュースで菜食動物である彼らが動物性の食事を与えられていた事、しかも共食いであることにもの凄いショックを受け、彼らの選択の余地のなさにいたたまれなくなったり、回転寿司やラーメン、牛丼、焼き肉ブームでの過剰な消費、生産、結果生まれる廃棄物...その光景に気持ちが悪くなり、我が儘だろうがなんだろうが自分には抱えきれない、と強く思ったこと...。

選択の余地のない状況に生きるというのはどんなに酷いことだろう。
悲しいことだろう。
戦時下に生きる人々もどんなにか辛いだろう。

選択肢のある世界に暮らす私達は選択するべきだと思う。
自分にされたくないことは他人にもしたくはない。
自然界での弱肉強食は仕方のないことかもしれないけれど、今、自分の居る世界は何かが違うのだ。
余りにも多くの犠牲の上に成り立っている。

菜食することで何かが出来るのかどうか本当は解らない。だけれど。
動物製品を買わないで。
無意味な動物実験をしている会社のモノを買わないで。
「はらこ」を代表としてそんな残酷なモノを平気で身につけないで。

それらの消費者が減り、少しでも目に見える結果になれば何かが変わるはず。
そう信じて。

美しい青い空と白い雲、海と森。
そんな環境が当たり前の世界になって欲しい。
戦争でそれらを奪わないで。
無意味な薬付けの巨大な農場や畑を作らないで。

きっとやっぱり我が儘で、単純で独りよがりな考えだけれど...どうか。




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