UNFINISHED

第3話 流血



眼


 喘息発作で時間外に通院すると、真っ先にERで点滴を入れた。その時点では入院するとは思わなかったので、先生は金属の短い針を選択し、右腕に入れた。
この針は入れやすいが、長時間入れっぱなしはできないものらしい。
だから、入院することが決まると、金属針を一旦抜いて、長期的に刺しておけるプラスチックの太い針に入れ替えなければいけない。

 病室で寝ていると、しばらくしてインターンがやってきて、点滴を取り替えることになった。
 ゴムひもで腕を縛って血管を探し、針を入れた。
「あれっ?」「おかしいなー?」そう言いながら、インターンは苦笑いを浮かべている。針が血管に入らないようだ。針を刺した状態で血管を探すために、針が動くたびに激痛が走る。3回抜き刺ししたが、結局断念してしまった。
 2時間後、別の先生がやってきて、2回目で成功したのだが、それが悪夢の始まりだったとは・・・。

 点滴をしている左手を額の上に置いて寝ていたが、汗のような液体が額から流れ落ちるのを感じた。
「暑いのかなー?」
 左手を普通にベッドに降ろして寝ていたところ、シーツが濡れていることに気付いた。枕元の電気を付けてよく見てみると、あたり一面血だらけではないか。
 ナースコールを押して看護師さんを呼んだ。看護師いわく
「どうしたの?頭から血流して・・・」

 原因は点滴の針と管のジョイントがゆるんで、血が逆流していたとのことだった。
 この一件で私は病棟の有名人になってしまった。

 しかし、私が悪いわけでは・・・












→第4話


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