虚

せめて理由を


 *“愛していると云うならば”のその後



   「この、人でなしっ!!」

   「褒めてるの?知ってるよ。僕が人でなしってことぐらい。」

   「おい。なんだよ、この女。」

   「さあ?なんだろうね。」

   「まあ、とりあえず。ごめんね?」

   「・・・・・・・。」

   「あ、かたまった。」

   どうしたんだろうね?と、こいつは笑いながらそれでもさっさと

   歩き出す。

   かたまっている女をほおって。

   俺はこいつのその横に並んで歩きながら、何かを言おうかと

   思ったが。

   やめた。

   どうせ無駄だ。

   無駄なことを言わない程度には俺は賢明だ。

   だが。





   せめて理由を聞いてやれ









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