虚

馬鹿も休み休みに



*“何を今更”のその後




    「どこに行ってたんだ?」

    「何。僕がどこで何をしてたか知りたくて堪らないほど、

     僕のことを愛してでも?」

    「それは一種のいじめか?」

    「ああ、そんなに驚かなくても。かわいい人だ。」

    「頼むから日本語をしゃべれ。頼むから。」

    「反復しなくても君の頼みは断らないよ。“友達”じゃないか。」

    「言いたくないなら、はじめから言いたくないと言え。」

    「何が?さっきから言ってるじゃないか。君の願いなら、

     僕は何をするのも惜しまないよ。」

    「・・・・・・だと思った。」

    「うん。そうして仲良しのフリをして、いざとなったらその時には

     おいしく食べてあげるよ。」

    「・・・・・・・・・・。」

    「ん?何。“冗談”だよ。・・・・・それが君の願いならば。」

    「もう一回、聞くぞ。」

    「どうぞ?」

    「“どこに行ってたんだ?”」

    「天国。」

    「・・・・・・・・・・・。」










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