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北陸に行って来た。
4日に、3女の運転する車に乗せてもらい。北陸に着いた。
バスから降りて、実家の近くの用水の横を歩いていると、
左の坂を足を引きながらゆっくり歩く老婆を見つけた。
自分は近視なので、じっと見つめてしまった。
母の歩く姿だった。辛そうにゆっくりゆっくり歩いていた。
顔を見て、自分が「あぁ」と言うと、
母「お前か、良かった」と言った。
二人で、ゆっくりゆっくり歩いた
。
5分ほど歩くと家に着いた。
5分一緒に歩いたが、母と歩く最後かもしれない。
無性に悲しくなった。母は、デパートに
自分の好きな地元の菓子を買ってきたのだ。
家は、鍵がかかっていた。
母があけて、暗い家に入った。
母は疲れたようだ。こたつに足を入れたが、
辛そうに、横になった。左足はリンパ浮腫で、
右足の倍の太さになっている。体積では8倍だろう・・・
そして、一休みして起き上がろうとして、
尻餅付いてしまった。母は「大丈夫、大丈夫」と言う。
そのままの姿で、横になっていた。しばらくして起き上がった。
父が自転車で帰ってきた。
80歳の父はいつものボーリングに行っていた。
スコアを見せた。最初悪くて、100だった。
その後、ボールが曲がり出して150が続いた。
景品でボディシャンプーを貰ったが
、
英語風の名前で、カタカナでも理解しがたいようだった。
自分が、まあ身体洗うシャンプーだと説明した。
年寄り二人の暮らしは、ささやかな日々なのだろう。
30分ほど一休みして、夕食の準備を始めた。
重い足と痛む左腹を抱えて、立ち上がった。
台所に立つと、痛みは落ち着いた。
母は近くの冷蔵庫を開き、
お湯を沸かし、汁物を作る。
貰った刺身が多すぎて「昆布しめ」にしたのだ。
鮎の甘露煮を買ってあった。
大根と人参と油揚げを酢で合わせた「なます」、
そして、胡瓜の漬け物を出した。
茶碗は母の指示で父が出す。
自分は最初手伝おうとしたが、タイミングが合わない、
どこにあるかも知らない。
500mlの缶ビールを出して飲んだ。
父が出したコップは一つは使ってなくて汚れていた。
見直して、小さなコップにした。
その小さなコップに注いだが、 もうビールの
おいしい季節は過ぎたのだろうか?
父は苦いな~~と言うだけだった
。
自分は旅の後なので、うまかった。
料理も、長年の自分の舌にあったもので、
うまかった。食べ終わると、父が茶碗を片付け、
台所で洗っていた。自分はビールの酔いのためか、
旅の疲れか、寝てしまった。
他愛のない話をした。長女の妊娠、
次女の彼氏の父の病状、3女の結婚での新居の状況など・・・
姪の結婚の話、甥の高校生活など・・・
姪の結婚が1月にある。これに出席できるかどうか?
母は悩んでいた。多分、この調子では出席できないだろう
。
母は、そう思いながらも、しっかり生きているつもりだ。
どうなるか? 誰も分からない。
いつもの昔の話にもなった。
出てくるのは3女の話だ。8ヶ月で生まれた3女は
1700gだった。膿盆に載せられて、運ばれた
。
それを見た母は驚いた。生きるかどうか際どいので、
とにかく1日も早く名前を付けたほうがいい。
死んでも、名前があったほうがいい。
色々の手続きも、名前があったほうがいい。
女ばかりなので、次女の時に考えていた名前が残っていた。
その 中から「有子」でいいか、母に聞いた。
命が「ある」だけでいい。だから、有子だ。
それが、3人の子供の中で一番大きくなった。
そして、大学を卒業して看護師になって、
大学病院で働いている。そして結婚しようとしている
。
この話は何度しても、盛り上がる話なのだ。
21時には自分は寝た。
鼻水が出るので、抗ヒスタミン剤を飲んだら、熟睡した。
朝7時に起きて、母の作った朝飯を食べた。
ここでは、朝飯をしっかり食べないといけない。
おいしかった。
9時半の電車に乗らないといけないので、
8時半に家をでる。その前に、母のお腹を見た。
触ると 年老いた癌末期の母の左の腹の中は、
柔らかい浸潤型の癌が一杯だった。
下腹のこれまでの固い癌は大きさが変わらないが、
表面に赤く盛り上がって腫瘍が出ていた
。
こっちは想定内だったが、その上のお腹全体に広がる
柔らかい腫瘤のような抵抗は予想外だった。
さすがに、 痛いようだ。オキシコンチンが処方されていた。
最初から2錠処方され、最初の日は副作用の吐気で吐いたようだ
。
次の日は、朝飲まないでいたが、痛みがひどかったようだ。
今日は、吐き気止めプリンペランを飲んで、
オキシコンチンも飲んだ。
痛みは少し柔らいているようだ。
さすがに、自分も驚いた。そして、覚悟しないといけない。
家を出たが、さすがに母は見送れなかった。
遠くにいる長男である自分は、
あと何回母の顔を見ることができるのか?
ちょっと、情けない気持ちになった。
そばにいてやれば良かったのかもしれない~~
母は、車いすがいるかもしれないと言うが・・・
室内用か外出用? 自走式か介助式?
車重は重くて、安定したものか、軽さを追求するか?
13kgだし、超軽量は9kgだ。
いろいろ悩むところだ・・・
全体では、色々買えばいいが、個々の話になると、難しい。
母の病状のこれからも難しい。