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玲子5~オトナのゲーム1~


「ここの料理、うまいんだよ」慎司は自慢げに言って、あれこれと注文する。
「今日は、玲子ちゃんに日頃お世話になっているお礼だから、好きなもの注文してよ」
慎司はドリンクメニューを差し出す。
「なにがお勧めなのかしら」
「久賀さんは、お酒なにが好きなの?」北山が聞く。
「日本酒にしようかしら。辛口が好きなんだけど」メニューを覗き込む。
「それなら春鹿は?飲みやすいよ」慎司が注文してくれた。
慎司の言うとおり、確かに料理はどれもおいしかった。
2人の弾む会話についついお酒も進んだ。

北山もかなり酔ってきたようだった。
北山がトイレに席を立った隙に、私は慎司に小声で言った。
「てっきり瀬川さんと2人かと思っちゃったわ」
「オレと2人の方がよかった?」タバコの煙を吐きながら、ニヤリと笑って慎司が言う。
「3人も悪くないけど。」
「今夜も・・・」そう言って、慎司が私の首筋に顔を近づける。
「いい匂いだよ」

「おいおい。いつもの癖か?」北山がちょうど戻ってきて、笑いながら慎司に釘をさす。
「いつもの、ってなんだよ。玲子ちゃんは、ト・ク・ベ・ツ」慎司がおどけて言う。
「ね?久賀さん、コイツはほんと、軽いから気をつけてね。セクハラされたらオレに言いなよ」
「そうね。瀬川さんは女癖悪そうだから、気をつけます」私も笑って話を合せる。
「そうかなぁ。玲子ちゃんこそ、男をたぶらかしそうだけど」慎司がいたずらっぽく見る。
「私が?」
「うん。オレ、玲子ちゃんならセクハラされても大歓迎だけどさ」
「久賀さんがそんなことするわけないだろ」北山が笑う。
「そろそろオトナのバーでも、行っときますか」慎司の提案で場所を移すことにした。

タクシーで移動した先は、看板も出ていない隠れ家的なバーだった。
薄暗い灯りの店内で案内された席は、大きなソファとテーブルのある小さな個室だった。

「玲子ちゃん、真ん中に座って。」
3人でソファに並んで座る。
「なんか、変な感じね」
「そう?いい男を両脇にはべらせて、ご気分はいかがです?女王様」
慎司が笑いながらオーダーをする。
慎司のウイスキーのボトル、グラス、氷が運ばれてくる。

かなりアルコールも入ってきてほろ酔いになった頃、慎司が提案した。
「ポッキーゲームじゃないけど、この氷でゲームしない?」
北山は笑っている。
「どんなゲームなの?」
「氷を口で運ぶんだよ。手は使っちゃダメ。じゃ、オレからね」



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