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玲子6~オトナのゲーム2~


「ほら、いくよ、玲子ちゃん。」そう言って慎司は、ロックアイスのひとつを口にくわえて私の肩を抱く。
しかたなく私は、自分の顔を慎司に近づける。
くちびるが、触れそう。
口を少しだけ開けて、慎司の口元の氷を、歯で噛もうと試みる。
それでも、どうしてもくちびるが触れてしまう。
何度も触れ合った後、やっとのことで氷を受け止めた。
「今度は、玲子ちゃんが北山に渡すんだ」慎司が面白そうに、覗き込む。
北山が私の肩を掴んで顔を近づける。
「早くしないと、どんどん小さくなるよ」横から慎司が焦らせる。
北山のくちびるとも触れ合いながら、なんとか渡せそうになった時、氷が口元から滑り落ちた。
「あ、」
「あ~あ」慎司も、北山も残念そうに、そして嬉しそうにため息をつく。
「残念。もう一回だね。今度は北山から」慎司が指示する。
「了解」そう言って、北山は氷を口にくわえる。
「ゆっくりね、慎重に、玲子ちゃん・・・」慎司が横から覗き込んで言う。
「玲子ちゃん、すっげぇ色っぽい顔してる・・・」

アタシもこの状況に、なんだか興奮してくる。
キスなんて、どうってことないのに、これはキスじゃない。
でも、キスしたい。じらされているような感覚・・・

北山から氷を受け取った。今度はうまくいった。
そして、私から慎司へ渡す番。
「こんないい顔、もっとよく見たいよ・・・」そう言って慎司は、私の顔をじっと見つめる。
北山も興奮した面持ちで、覗き込んでくる。

もてあそばれている。アタシが。

お願い、はやくして。
氷を噛んでいるから、うまく話せない。
「うん、今、受け取るよ・・・」慎司が顔を近づけたとき、氷から溶け出した水分が
私のくちびるの端を伝う。あ、、、
「こぼれちゃったね。舐めてあげるよ」そう言って慎司は、涎のようにこぼれ落ちた水滴の跡を伝うかのように、私のあごからくちびるまで舌でそっと舐め上げた。
「いくよ」
小さくなってゆく氷を愉しむかのように慎司は、ゆっくりと、ねっとりと、くちびるを絡ませる。

もうそれは、氷を受け止めるためではなく、アタシのくちびるを味わっていた。
何度も何度も・・・

悔しい。


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