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ヒトヅマ☆娼婦36


バスローブを身に着けて部屋に戻ると、ソファにもたれて水島さんが新聞を読んでいた。
その向かい側に、知らない男の人が座っている。
「詩埜、こっちにおいで」あたしに気づくと水島さんは、新聞を畳んであたしを呼んだ。
「彼は緊縛師だ。さっきタクシーから電話して呼んだんだよ」
男の人が立って、あたしにちょこっと頭を下げた。
「緊縛師って知ってる?身体を縄で縛る人だよ。しっかり、そして美しく縛り上げるには技術と経験が要るんだ。この人はとても上手に縛るんだよ」
水島さんはそういって立ち上がり、あたしに近づく。
「詩埜を縛ってもらおうと来てもらった。痛くないから大丈夫だよ。
この人はプロだからね」
水島さんがあたしの肩を押して、ベッドに座るように促す。
あたしは水島さんにされるままに腰を下ろした。
怖い、とも、嫌だ、とも思わなかった。
ただ、しなければいけないと感じていた。
それはお金のためじゃなく、契約しているからじゃなく
水島さんの気持ちに応えられなかったことへの、お返しにあたしができること
と、あたしは捉えていた。
「じゃあ、はじめます。そこへ寝転んでください」
男の人は床に置いてあった黒いかばんを取り、ベッドの上に座った。
あたしは身体をまっすぐにして仰向けに寝た。
水島さんが、バスローブの紐をほどく。
バスローブを開かれ、腕を引き抜き、真っ裸で横たわるあたしに
「初めてかな?痛くしないよ。心配しないでね。」
男の人が静かにやさしげに話しかける。あたしは黙って頷いた。
「上半身だけにしますか?」男の人が水島さんに聞く。
「いや、足まで縛って。型は任せる」
水島さんはそう答えて、ベッドの正面にあるドレッサーの椅子をベッドに向けて置きなおし
そこに足を組んで座った。
あたしが縛られていく様子を、そこで眺めるつもりらしかった。

男の人はかばんから赤い縄を取り出して、あたしに上半身を起こすように言った。
身体にざらっとした縄が当たった。はじめての感触。
男の人はあたしに「痛くない?もうちょっと締めるからね。大丈夫?」と
時々静かに声をかけながら作業を続けていく。動きに無駄がない。
縛られて、徐々に身動きが取れなくなっていく。
両方のおっぱいを縄で挟むようにして、器用に男の人はあたしの身体を縛っていく。
上半身を縛り終わったところで、水島さんに鏡の前に立つように言われた。
初めて縛られた自分を見た。





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