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おばはんの体育な日々
地下足袋王子杯・つるぎトレイル2010
地下足袋王子杯 / つるぎトレイルランニングレース in 那賀 2010
<日時> 平成22年5月16日(日) 晴れ
ロングクラス(53km)コース図および高低図
<結果> ゴールタイム 8時間52分07秒 81位
------------------ 大会概要(大会HPより) ---------------
徳島県那賀郡那賀町にある西日本でもトップクラスの標高を誇る剣山系の「ジロウギュウ」と日本一長い未舗装林道「剣山スーパー林道」をフィールドとした「地下足袋王子杯/つるぎトレイルランニングレースin那賀2010」を開催します。
コースはロングクラスとショートクラスの2部門を設定。ロングクラスは約53kmショートクラスは約18kmース。両コースともレース後半に標高差約1400mを一気に駆け下る、高速レース展開がお楽しみいただけます。
また今回は日本におけるトレイルランニングの第一人者である「鏑木毅」氏を特別ゲストに迎え、鏑木氏がみなさんとコミュニケーションをとりながら走ってくれます(ロングクラス)。
厳しいレースを那賀町のたくさんの人々が温かくサポートしてくれる中、ぜひこのレースにご参加いただき、自分への挑戦を楽しんでください。
ハイキングでは何回か登ったことのある剣山系で行われるはじめてのトレイルレース。もりもりさんのお誘いに二つ返事で参加することにした。自動車で連れて行ってくださるそうなので、これは行き帰り楽チンだし。
山登りは以前から好きで、トレイルランニングもその延長で好きなのだが、残念ながら得意ではない。特に下りがあまり走れない。大会HPにある「一気に駆け下る」醍醐味を味わえるかどうか、非常に疑問ではあるのだが。
参加するロングクラスは、登山道に危険部があるそうで、予定のコースが一部林道に変更され、全長53kmに延びた。トレイル不得意人間にはこれは朗報かもしれないな。剣山スーパー林道も12年前に通ったことがあり、路面は石ころだらけでクネクネ、しっかり車酔いしてしまったが、脚で走る分にはそんなにきついことはなかろう…これがすこぶる甘い考えであったことは、翌日思い知らされるのである。
※ 自宅出発からスタートまで
前日午後3時過ぎ、自宅近くの高速バス停から、神戸から来るもりもりさんの車に同乗させていただいて、いざ四国へ(ほんとは路線バスの乗客以外は利用してはいけないのですヨ)。
途中「もみじ川温泉」のレストランで夕食。田舎定食945円。多分コシアブラなど山菜の天ぷらがおいしかった。写真は撮りそこねた。きれいな川沿いのロケーションで、温泉にも一度入ってみたいと思わせる。
翌日の朝ごはんをその先のコンビニで調達した。
自動車で来場の人が予想より多かったらしく、当初開会式会場の温泉施設の駐車場が指定だったのが、少し離れた中学校に変更になっている。午前0時半からシャトルバスで会場まで送ってくれるそうだ。
その指定駐車場に着いたのはまだ明るい時間だった。グラウンドには数台の車がすでに駐車している。
寝る前に、もりもりさんアイディアの、百均腕カバー利用簡易スパッツを頂戴した。悪路走行には重宝しそうだ。
明朝は早い、というか夜中のうちに出発しないといけない。すぐに車内とテントに別れて就寝となった。
親切にグラウンドの照明を点けてくれていて結構明るく、夜になってから到着する車もあり、なかなか寝つけない。少しはまどろんだような、全然寝てないような…寝た気がまるでしないまま起きる時間になった。
空はよく晴れて、星がまたたいている。気温はさほど低くない。
レース装束に着替え、ゴール後に着替える荷物をまとめ、リュックに必要品を詰めた。
上は長袖CW-Xシャツに半袖シャツの重ね着、下はCW-Xタイツにショートパンツ、やや厚手の5本指ソックス、ニューバランスのトレランシューズに昨夜いただいた簡易スパッツ。メッシュのキャップと手袋も。
リュックには、携行を義務付けられているレインウェア上下と懐中電灯、水500mlペットボトル2本、塩キャラメルと塩バター飴数個ずつ、チョコレートバー2本、パワージェル1個、おにぎり1個、デジカメ。マラニック用リュックは小さくて、レインウェアでほとんどぱっつんぱっつん、他のものはポケットなどに分散してなんとか納めた。
朝ごはんにおにぎりを食べ、もりもりさんにチキンラーメンとコーヒーをいただく。塩分補給のため、お汁も完食した。
1時前に会場に向けてのバスは出発した。
会場「四季美谷温泉」に着き、選手受付。
フィニッシャーTシャツのバックにプリントされた高低図を見ていたら、スタッフのおねぇさんが第一関門を指差して言うことにゃ、
「【山の家奥槍戸】の関門9時50分をクリアできたらあとはなんとかなります」。
関門のことはまるで気にしていなかったので、この言葉は記憶に残らなかった。これがあんなことになるとは…このときは思いもよらなかったのである。
スタートまで時間があるので床に寝転んで休む。
駐車場に、小銭入り財布と酔い止め薬の入ったポーチを忘れてきた…、寝ていないのに頭がまだ起きていないのかな。
2時半、バスに乗ってスタート地点「ファガスの森高城」に移動する。
クネクネした国道から未舗装のスーパー林道に入り、やっぱり少し気分が悪くなった。なんとかリバースまでは至らず、約1時間で到着した。
雨はどう考えても降りそうにないのでカッパは持たずに走れればと思っていたが、レインウェアの上下とライトはスタート前に携行のチェックがあり、持たないで出走した場合入賞しても取り消すという。入賞のおそれはないだろうが、そこまで言われては持たないわけにはいかない。
防寒のためそれまで着ていたカッパを脱いで、リュックに詰めた。夜明け前でけっこう標高も高いはずだが、寒くない。
受付でもらったカロリーメイトブロックも念のため持って行くことにした。
ゴール後に受け取る荷物を預け、軽くストレッチをして、スタート地点に並ぶ。
午前4時、真っ暗な中、スタート。
★スタート~第一関門「山の家奥槍戸」 35 km
スーパー林道のゴロ石道をライトで照らして淡々と走る。アップダウンが結構ある。
林道の幅は広いし、ランナー間はすぐに開いてばらけていく。
だんだん明るくなってきて、天神丸へのトレイルに入る頃には、すっかり夜が明けた。ここでのんびり写真撮影。
明るくなって時計を見てみたら、ストップウォッチが動いていない。しかたがないので通常時間のモードに変えた(つもりだったのだが、これが違っていたようで、この後、表示時間がまるで違ったものになってしまった)。
コースの要所はスタッフの方が誘導してくださる。
トレイル途中には道案内の白いテープが木々の枝に貼ってあり、これに従って進む。
トレイルに入ると上りになり、走れないので、早足で歩く。
アケボノツツジのピンクの花がたくさん咲いているが、後から迫られるので立ち止まって写真を撮るなんてできない。水を飲むこともままならず、ひたすら上って(多分)頂上広場で小休止。ほとんどの人は休まず先に進む。
下りになると、抜かれることが多くなる。精一杯早足で歩いたり走れるところは走るのだが、抜かれる。
下り終わって、また林道をひた走る。山道で抜かれた人を抜き返せる。
しばらくいくと2回目の山道に入る。トレイルになったとたんに後から迫ってくる人が多くなる。
頂上あたりでスタッフの方の無線が「先頭が関門を通過」と言っている。私はまだこんなところなのに、すごい人がいるもんだ。
下りはゴロ石の不安定な道で、とても走れない、ので、ドンドン抜かれる。尻モチ2回もあり。
下り終わって林道に出たときはほっとした。
林道に出て時計を見ると、9時を過ぎている。確か関門が9時50分のはず、ここからどれくらいあるのかしら、かなり心配になってきた。
これまで2回のトレイルでフトモモがかなり疲れているようで、林道に入っても足の動きが悪い。林道の軽い上り坂が走れなくなっている。上りは歩き、下りは走るの繰り返しになる。
「山の家奥槍戸まで4km」の立て看板があり、このとき手元の時刻はすでに9時50分を過ぎてしまっていた。人生初の関門アウトかァ…こんなに一所懸命走っているのにアウトになるとは、トレイルの世界は恐ろしい。
右手にそびえる次郎笈。ここまできてあそこに上れないとは、悲しすぎる。
それでも関門まで出来るだけ走ろうと気持ちを切り替えて行く。
自転車でスタッフの方が通りかかり、付近のランナーに「関門ギリギリですよ」という。あら、まだアウトじゃないのね、10時50分だったっけか、走らせてくれるなら、走れるところまで走ろう。
前方に山の家らしきものが見えてきた。上り坂なので走れないが、出来るだけ早足で歩く。
第一関門「山の家奥槍戸」到着は、手元時計で10時40分。
エイドの人も普通に迎えてくれて、誰もアウトと宣言しない。次郎笈に登らせてもらえるようだ、よかった。
バナナを2本もいただき、給水をおかわりしていっぱいいただく。空になったペットボトルにドリンクをもらって入れる。バナナだけではお腹がすきそうだったので、持参のチョコレートバーを半分食べた。
しっかり休憩して次郎笈に登りかかったとき、「あと3分!」と叫んでいる声が聞こえた。
山の家奥槍戸のエイド。時計を見ているスタッフの方の足元の黄色い線が関門線。
正面の山の家の右手から、次郎笈にとりつきます。
★次郎笈~高の瀬峡ゴール 18 km
次郎笈への登山路はよく整備されている。山肌を巻いて登っていく。ふくらはぎがピリピリ攣りそうになってきたが、立ち止まって給水する余裕がない、ポケットから塩キャラメルを出して口に入れる。
この登山路に入ると、一本道なのだが、曲がり角の要所要所にスタッフの方がいてくださって、励ましてくださる。ウソでも元気そうに上らざるをえない。
しばらく行くと、目の前に今から上る次郎笈山頂が姿を現した、青空をバックにとてもいい眺め。立ち止まる勇気も余裕もなく、写真はありません。
山頂が見えてあと少しのところから、急登になる。一歩一歩が大きく、太腿が悲鳴をあげる、息も絶え絶え。HPとパンフレットの写真はここだったのだ。
たどり着いた山頂からの眺めは最高だった。
1,900m以上の高山なのに、ちっとも寒くない。
お弁当を広げるハイカーがたくさんいる。ここで休憩できたらいいのだけど、ほとんどのランナーは止まりもせずに通り過ぎるので、証拠写真を撮って給水しただけで、下りへ。
山頂のスタッフの方が、「あと14キロ」と教えてくれた。手元の時計は12時15分。まだ山を降りないといけないので、10時間制限の午後2時までにゴールは99%不可能だ。関門アウトでもゴールまでは走らせてくれるだろう、最後まで最善を尽くそう。
山頂から丸石のコルまではだいたいなだらかなトレイル、なんとか走れる。
そこから先は急坂、すでに脚が終わっているのでこけないように一歩を出すのが精一杯だ。
ここまで来ると後から抜かれることが少なくなった。
何分くらいかかったろうか、林道に出た。徳島駅行きだろうか1時半のバスを予約しているらしく、直前のランナーがここでリタイアするよう言われていた。
私には「あとは林道を下り、14キロです」と。ここから14キロだったのか。時計は1時前、もう120%無理だ。
でもゴールまで関門はないだろうから、走るしかない。ゴールタイムはなくとも、全コースを走れるだけで本望だ。
ゴロゴロ石の林道が延々と続く。惰性で足を前に出してなんとか走る。下りなのにキロ6分以上かかっている感じだ。そんな走りなのに、後から追いついて来るランナーはほとんどいない。むしろ前のランナーにぽつぽつ追いつく。レースが終わってから気がついたのだが、次郎笈のふもとの関門で切られて、私より後のコース上にランナーはほとんど走っていなかったのだ。
林道脇には多分ユキモチソウなどの野草が咲いていたが、もやは写真を撮るのに立ち止まる元気さえなく通過。
土手の草むらの中でガサゴソ音がするので振り向くと、イタチだろうか、茶色い毛皮の動物が走り去る。
お昼を過ぎて日が照っているし、標高も低くなってきたからだろう、相当暑い。エイドはもうないので、道路わきに流れる水でキャップを濡らして冷やすことぐらいしかできない。
あと何キロあるかわからないのに、無常にも時計は午後2時を過ぎた。
制限時間を過ぎても走るしかない。わずかな上りでさえ走れなくなっている。歩いたりヨチヨチ走ったり。
走れども歩けども、なかなかゴールが出てこない。もう時計はあまり見なくなったが、2時40分を過ぎたのは確実だ。
高の瀬峡が見えてきて、路面がアスファルトになった。
やっと前方に人影が見えて、ゴールに誘導してくれ、ゴールラインに到達した。
81番の着番札をくれた。ということは、関門アウトじゃないんだぁ。狐につままれたみたいだけど、素直にうれしい。
★ゴール後
スタート時に預けた荷物を受け取る。荷物置き場には数えるほどしか残っていない。
ゴール地点は、ゴールしたばかりのランナーと思しき人達が何名か横たわっているくらいで人影はまばら、トイレと更衣テントが張ってあるだけ。ゴールしたランナーは順次バスで主会場へ送られていくからだ。
トイレの水が飲用に適かどうかはわからないが、少なくとも背負っている給水よりは冷たかったので、顔を洗ったついでにペットボトルに入れて飲んだ。これでやっとレースが終わった気がした。
しばらく休んでから更衣をすませ、頭が冷えてから時計の時刻表示を見ると、午後1時20分。
へ?ということは、9時間ぐらいでゴールできてたんだ。あらま、なんてこと。
1時半発のバスに乗って主会場へ。1時間以上かかる行程だが、ほとんどい眠っていたので車酔いはしなかった。バスの車窓から土手に座っている日本猿を目撃した。あの茶色は猿だったみたい。
会場に帰りつくと、もう閉会式は終わっていた。
駐車場へのバスの時間までの間に入浴、お接待のそば汁(かな)をいただき、フィニッシャーTシャツを注文した。ステキな色と恐ろしい高低図の描かれたデザイン、レディスのサイズ展開もあるのがうれしい。
駐車場行きのバスには、なんとレースアドバイザーの鏑木さんが乗り込んでこられた。お願いしたら快くツーショット写真を撮らせてくださった、それもこんなにいい笑顔で。強いだけでなく、超いい人です、しかもいい男。
徳島市内で、また徳島ラーメンを食べて帰った。ラーメン屋に入るとき、すでに筋肉痛が始まっている。よほど激しい運動をしたのだな。
今回は肉の大盛りのにした。
※ 総括
剣山系ではじめてのトレランレース、苦しいながら完走できた。
トレランは不得意なのはわかっていたが、脚が攣ったわけでも故障したわけでもないのに、関門アウトギリギリだったのは、かなりショックだ。山の練習をほとんどしていないのだからしかたがないのだろうが、あまりのレベルの違いに愕然とした。終盤の林道はすでに脚が終わってしまって下りなのにまともに走れず、2週前の萩往還140kmの終盤よりきつかった。クロさんのブログでは、「四万十川100kmよりきつい」ということで更衣室内の意見が一致したとあったが、まさに同感である。
今後トレランをしていくのなら、山道下りの走り方を会得することと、ハイドレーションを導入することは必須であろう。
今後トレランをしていく…のだろうか。
ゴール後更衣室で一緒だった地元の女性ランナーによれば、トレランをする人達にとってこのコースはトレイルが少なくて林道ばっかりなのでおもしろくなく人気がないそうで、このコースで次回の開催があるかどうかは大いに疑問だそうだ。
1週間後送られてきた完走証と参加賞のニューハレVテープ。
ドコモたけのマスコットは、受付時にもらった参加賞です。
参加者数百名の大会なのに、それより多いのではないかと思うほどのスタッフの方々には大変お世話になりました。
同行してくれたもりもりさんには、行き帰りの運転、当日朝のチキンラーメン、財布を忘れたおばかさんにお金も貸していただいて、ほんとうにお世話になりました。
心より感謝申し上げます。
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