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パープライトです。少なくともこの名前で流通していることが多い石です。パープライトは和名は紫鉱または紫石。パープライトの名前もラテン語の「紫」に由来するそうですから、どこからとっても「紫の石!」メタリックな紫と形容されますが、ぴかぴか鏡面光沢のメタリック紫ではなくて、紫色の金属をいったん粉にして固めたような、金属光沢と言えばそうだけれど、ちょっと粉っぽいような、スエードのような、柔らかい感じの輝きです。この石の存在はかなり前から知っていたのですが、手に入れたのは最近。これを機会に調べようとしたら、いろいろあれこれ意外でした。まず意外その一。パープライトとして売られていたのに、パープライトじゃないかもしれない。「少なくともパープライトの名前で流通していることが多い」と、回りくどく書いたのはそのせいです。パープライトという鉱物はあるにはあるんですが、含まれている鉄とマンガンのうち、マンガンよりも鉄の方が多くなると、パープライトではなくてヘテロサイト(ヘテロス石)という鉱物になってしまうらしいんですね。しかも見た目で区別が付かない。しかし、ご丁寧にナミビアのUsakosで採れるものはヘテロサイトだ……と説明しているサイトが複数あり、ヘテロサイトの可能性が大。意外その2「パープライト」でまずは検索してみたら……なんじゃこりゃあ!出てくるのはことごとくパワーストーンサイトなんですが!パープライトの意味、意味、意味……や、それに文句を言う分けじゃないんですが、この石は、紫色だけれどちょっと地味~で、だから原石を買おうとしても欲しいときには見つからない、そういう石だと思っていたのに、いつのまにビーズでこんなに出回るようになったんだ!?意外!個人的に言わせてもらうと~、パープライトって割れた断面の紫光沢はきれいですけど、ビーズとして磨いてしまうと、よりいっそう地味~な感じだと思うんですが。これは私の思いこみでしょうか?地味でも深い紫色なので、使い方によってはいい味を出すかもしれませんが。ビーズのパープライトを見、ショップでも実物を見ていくつか疑問。これ……本当にパープライトなんだろうか。上で述べたように鉄の方が多いからパープライトと言うよりヘテロサイトで……という、そういう話ではなくて、もしかしてこれ、スティッヒタイトだったりしないだろうか。スティッヒタイトは、アトランティサイトの紫色の部分。今回のパープライト(またはヘテロサイト)の産地のナミビアの隣国、南アフリカでも産出します。なぜそんなことを考えるかというと、ビーズになっている「パープライト」は、私が心配するとおり、かなり地味~な感じの紫色で、しかも鈍い緑色の部分が混じっているものも見かけるのです。中には「パープライトには緑のもあり……」という説明が。パープライトに緑色の変種があったかなあ……?調べようと検索するとパワーストーンサイトの山で難航。紫鉱とかPurpuriteなどの和名や綴りも動員して調べても緑の変種の話は見つけられず。で……これがスティッヒタイトなら、サーペンティンが変成作用を受けてできる鉱物なので、サーペンティン、つまり緑の部分が一緒になっていることもありえる……かも。こちらもスティッヒタイトとサーペンティンが混ざって出るので有名なのはタスマニア産の「アトランティサイト」で、南アフリカ産のスティッヒタイトは単独で標本になっているものしか見かけないので、そこをつつかれると困るんですが、とにかく、スティッヒタイトの方が緑の部分が混じっていても納得できそうなのです。どちらも渋い紫の石なので、似ているし。さらに「ラベンダライト」という名前で売られていたタンブルが、渋い紫といい、さらに渋い緑の混ざり具合といい、ビーズの「パープライト」にそっくり。検索すると、色合いのラベンダーのライトカラーばかりがヒットして、これも調べるのに困るんですが、どうやらパープライトの商品名であるもよう。なぜ、パープライトじゃだめなんでしょうね。色合いはラベンダーと言うより、まんま「パープル」なのに。パープライトがヘテロサイトで、ところによっては商品名がラベンダライトで、もしかしたらスティッヒタイト。ややこしすぎ。念のために申し上げると、「パープライト」のビーズには、緑色の混じっていないものももちろんあって、こちらは紫の質感がなるほどパープライト(ヘテロサイト)かもと言う感じ。最近、ビーズとして流通し始めたばかりのようなので、いろいろどこかで混乱してるんじゃないかなあ……と、密かに思っています。あ、パープライトそのものが別の鉱物が酸化してできた二次鉱物なので、緑の部分は酸化していない元の鉱物とか、別の鉱物の混ざったものという可能性ももちろんあります。
2008/09/07
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ワイルド系水晶好きをやっていると、全体的な色味がやや地味め。で、水晶意外の石たちが、色味を補ってくれているわけですが、その中でも色の鮮やかさにかけては、かなりの上位にランキングされるんじゃないかと思うのがこの石。コバルトカルサイトです。産地はもちろんモロッコ。ピンクと言われてイメージする色味よりは断然派手。ホットピンク、いやむしろマゼンタ。小さめですが、遠目にもばっちり目立つ色合いです。コバルトカルサイト1号が半透明タイプだったので、今回の2号の色鮮やかさがいっそう目立ちます。6月の新宿ショーの最終日、モロッコの超個性派ジオード類と一緒に500円でゲット♪特にピンクの石が好き! といっているわけではないのですが、いいじゃありませんか、この色。ところで、コバルトカルサイトを検索していて気になったことがあります。「ピンク・コバルトカルサイト」の表記をあちこちで見かけるんですが……、コバルトカルサイト=ピンク色じゃなかったでしたっけ?コバルトカルサイトがすなわちピンク色ならば、わざわざ「ピンク」とつけなくてもいいような気がするんですが。なんだか「紫・アメジスト」と言っているような感じに思えます。それから、もう一つ……。もしかしたらこの石、カルサイトじゃなくてドロマイトだったりしないでしょうか。いろいろ検索していると、色も形の感じもそっくりでドロマイトが出るんですよねえ。カルサイト(方解石)。化学組成はCaCO3。ドロマイト(苦灰石)。化学組成はCaM(CO3)2ついでにもう一つスファエロコバルタイト菱コバルト鉱。化学組成はCoCO3これらは互いに見た目がよく似ていて、よく間違われるんだそうですが、よく見ると化学組成も似ています。まあ、カルサイトじゃなくてドロマイトであっても、持ってないのでうれしいんですが、なるべく正確なところを知っておきたいです。ちなみにジュディ・ホール氏の本にはコバルトカルサイト(輝コバルト鉱)の記述がありますが、もちろんコバルトカルサイトは輝コバルト鉱ではありません。たぶん似ている鉱物という意味で言っているんだと思うんですが、『コバルトカルサイト(輝コバルト鉱)』の書き方では、誤解してしまいますよねえ……。しかし、輝コバルト鉱はコバルトカルサイトとは似てもにつかない鉱物、似ているのは菱コバルト鉱なのです。
2008/08/28
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新宿ショー最終日の撃沈石の一つです。すでに紹介したモロッコ産カルセドニーの仲間石。仲間と言うからにはこれもカルセドニーです。泡が群れているようなもこもこ具合は、いかにもカルセドニー。オレンジのようなピンクのような色合いが、ひどく生き物めいて見える、ブキミすれすれのおもしろさ。それだけなら手を出さなかったのですが、この石はこのもこもこの上を薄皮一枚、透明な層が覆っていて、その透明層が、カルセドニーと水晶のぎりぎりラインでわずかに結晶の形をしているらしく、シルクというかサテンというか、微妙な輝きを見せるのです。キモかわいいとかそう言う言葉は使いたくありませんが、これは、あえて「ブキミきれい」……といいたい。このとき見つけたカルセドニー達は、どれもこれもブキミできれいで超個性派ぞろい。そばには小さな水晶がぎっしり結晶したきらきらのミニジオードもあったのですが、この個性の前には迫力不足。こっち(カルセドニー)の方を先に見てしまったら、キラキラジオードの方は目に入りませんでした。私は、石については意味やパワーではなく、その石の表情・個性、石から(自分が)得るイメージの広がりを重視します。そんな私にとって、このカルセドニー達は、ど真ん中強烈ヒット。中にはジオード状になっているものもあり、それなどはもう、それだけで一つの世界。すてきすぎ。
2008/06/29
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新宿ショー戦利品です……去年の。自他共に認める「水晶好き」ですが、「珍しい」「変」「なんだかいい」「きれい」をキーワードに、水晶以外の鉱物にも手を出します。フローライトやガーネット、アクアマリンやトルマリンなど、わかりやすい石が多いですが、見た目重視で選んでいると、「???」という石に出くわします。今回の石は、ローズ石の上に水晶が結晶した薔薇氷石を買ったのと同じ店で、同じ時に手に入れた物。「ローズ石!? きれ~い! はじめて見る!(でも高~い!)」と、仲間の石好きさんたちと大興奮、わいわいと品定めをし、それぞれこれぞと言う石を手に取った後に見つけました。「おや、これは?」巨大鱗のような半透明の結晶をを縦にならべ、その中に別の赤い鉱物が染みこんでいるような。ちょっとあやしげで不思議な雰囲気の石です。「外側はカルサイト……かな?」ローズ石選びですっかり舞い上がっていたために、お祭り気分でこの石もチョイス。お店の人(外国の方)に身振り手振りで「この石は何?」と聞いてみました。すると、お店のおじさんは、「◎△※◆○□※▽*!」「へ?」「◎△※◆○□※▽*!」……わ、わかりません。何度聞いてもごもごもごっ。失礼ですが、なんだか「酔っぱらった名前」に聞こえるんですが。あ、店の方が酔っぱらってるようだと言うのではなく、石の名前の発音が酔っぱらってるような感じで「◎△※◆○□※▽*!」。同じ店で黄色いフローライトに小さくて真っ赤な水晶がちりばめられた石を買われた石好きさんがいらっしゃるのですが、この方も「この赤いのは何?」と聞いて、返ってきた「ブラ~ックォ~」の答えに、思わず頭の上に?マーク。何度かやりとりして「もしかしてブラッド・クォーツ!?」やっと判明。(血水晶の名前がぴったりなキラキラ真っ赤な水晶でした)このように目の前の石を見つつ名前を聞いて、石の正体に心当たりがあれば「もしかしてコレ!?」とひらめくこともできますが、それもわからないとなるとお手上げです。「コレも買います。でもラベル書いてくれますか」(……と身振りで)お願いして、手書きでラベルを付けていただきました。以前、外国の方に書いていただいたら、なんというか「アルファベットの草書」状態で、「地名の最初はBか?」と判読するのに2,3年かかったことがありますが、今回は大丈夫(笑)。読めます。読めます……が、わからない。「CALSITE/COBALTOLOTARMAYRITE」最初の予想通り、外側の半透明白の部分はカルサイトで間違いないようす。中の赤い部分が「COBALTOLOTARMAYRITE」なんでしょう。早速検索、こいつは何だ。結果「cobaltlotarmayerite に一致する情報は見つかりませんでした。」書いていただいたラベルと見比べましたが、私の打ち間違いではありません。「つ、綴りが違う……?」全く未知の石。しかもこんなに長い名前。どこか一個文字が抜けているのか多いのか間違っているのか……!?そんなのわかるはずがありません。石イベントの折に持っていって、くわしい石屋さんに見ていただきました。石を見分けるのはただでさえ大変なのに、内包物となるとその困難さは倍増。「うーん、何だろう……タルメサイトじゃないかなあ?」調べてみると、タルメサイトはモロッコで出ているようす。しかもコバルトが入ったものもあるようです。これか?でも、コバルト入りのタルメサイトは「ピンク」だというのですが、これは赤。綴りも「Talmessite」ですから、全く違う。間違うにしてもここまで違ってしまうとは考えにくい。こんなわけで、すっかり「謎の酔っぱらい石」として定着していたのですが……この度、新宿ショーでお会いした石好きさんから耳寄り情報をいただきました。「加藤の鉱物・化石コレクション」様に、とてもよく似た綴りの石が出ているというのです。早速検証。綴りが間違っているのは確定なので、英語表示にして「Cobalto」を頼りに探してみます。……これかなあ?Cobaltlotharmeyerite綴りを比べてみます。こちら↓がラベルの。Cobaltlotarmayerite似ている。二つ目のtのあとのhがなくて、mのあとのeがaになっているだけです。これなら誤字脱字の範囲に収まるでしょう。で、Cobaltlotharmeyeriteって何だ?日本語表記すると……コバルトロタールマイアー石……長ッ!もうひとつコバルトロザマイローライトの表記もありましたが、検索してヒットしてくる日本語サイトはこれくらい。少ない……。拝見したのはこちらのページですが、その説明をお借りすると、「赤褐色球状の鉱物」で、「紅色のベータローゼ石(Roselite-beta)などと共に産出」するのだそうです。標本の産地は、「Aghbar Mine,Aghbar,Bou Azzer District,Tazenakht,Ouarzazate Province,Morocco」とあり、私がもらった手書きラベルが「Aghabar Morocco」ですから、これも同じ。やはりこれ?……で、どんな石なのでしょう……謎はまだ続くのでした。
2008/06/20
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新宿ショーの最終日、「石好きの祭典」が終わろうとする雰囲気に心が騒ぎ、「さ、最後だし……」と、ついつい手を伸ばしてしまった石のひとつをご紹介。(ひとつ、ということは……)昨年も同じような石に目を留めた記憶があります。そのときはたしか、大きすぎて「この部分だけだったらいいのに」と、パスしたはずでした。それが、今回はまさに「その部分だけ」のお手頃サイズ。「あっ」しかも、これぞショーの醍醐味ワンコイン価格。「ああっ」か、買うしかないっ!……撃沈。当たり前のことですが、ミネラルショーではいろいろな石が売られています。見たことも聞いたこともないような石、ネットショップの画像や、本でしか見たことがない石。同じ種類の石でも、「え?」と目を疑う個性的な姿をしていたり。おなじみの種類で個性派の石は、「見つけた!」という喜びが大きい石でもあります。形、色、独特の表情が持つ魅力を、この場で「自分が」見つけたのだという満足感。たくさん並んでいる同じ種類の兄弟石の中から「これだ」と手に取る、興奮の一瞬。最終日に撃沈した石も、おなじみの種類の個性派石でした。モロッコ産のカルセドニーのジオードです。ジオードというのは漢字で書けば「晶洞」。地中にすきまがあってそこが熱水などで満たされていると、そこにはさまざまな鉱物が結晶します。すきまは空間なので、結晶の形がきれいに残ります。今回の石の場合は、カルセドニーが結晶したものです。半透明の、つららのようにも、ぷるぷると柔らかな質感にも見えるのがカルセドニーです。実際地中に埋まっていたときにはどの方向だったのかはわかりません。半透明の繊細な形は、まるで生き物のよう。「あ、妖精が作った形」と、思わずそんなイメージが浮かんでしまいました。大きさは差し渡しで5センチほど。マクロ撮影で迫ってみたら、ちょっぴりデンドライトも確認できるではありませんか。今にもぽきんと折れてしまいそうで、怖いことこの上ありませんが、この何とも言えない美しさにノックアウトされました。ふと見ると、周りには超個性派のジオードがころりころり。かくしてこの石は仲間を引き連れ、我が家にやってきたのです。追記:画像に入れた文字が「Calcedon」になっていますが、誤植ではありません。かったお店がドイツのお店だったので、たぶん、ドイツ語綴り?Chalcedonyに直しても良かったのですが、産地の綴りがどうなるかわからなかったので、あえてそのままにしました。
2008/06/11
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タンザニア産の石です。グリーン・クォーツということで売られていました。天然の水晶(石英)で透明緑というのはありません。それは、鉄やアルミニウムが水晶の成分である二酸化珪素の一部と置き換わり、そのことによって電子の状態が変化して、特定の光を吸収する仕組みを作る……という、アメジストやシトリン、スモーキー・クォーツの色の仕組みとは違って、緑水晶は、緑の鉱物が内包されることによる色だからです。緑色の内包物で、水晶全体が緑に見える鉱物と言えば、まずは緑泥。続いてクロム雲母、あるいは雲母が緑泥化したものだというセラドナイト。緑泥は、アクアマリン色から黒に見えるものまでさまざまな色合いがありますが、写真の石のような緑は見かけません。クロム雲母(またはセラドナイト)入りと言われる水晶も若草色系緑が多いように思います。ちょっと珍しい緑かも……と思って買って、手に取ってみてちょっと疑問。これは、水晶(石英)なのでしょうか?水晶(石英)でなくて長石のような全く別の石、というのではなくて、石英質ではあるようなのですが、水晶(石英)とは思えません。理由は肌合い。写真の石は、結晶面を持たない塊状です。石英でも塊状の石はあり得ます。……が、割れた破断面はもっとなめらか。比べてみます。こちらが石英。(オーロ・ヴェルディ。メタモルフォーゼスを変色させたもの)こちらが今回の写真の表面。……ざらざらです。内包物によるいろなのだから、内包物のためにザラザラしてしまう可能性はありますが、一番上の写真くらい光が透けるならば、ここまでザラザラしないと思います。これはむしろ、クォーツァイトっぽい。これは、「アベンチュリン」ビーズですが、全くキラキラしていないので、むしろグリーン・クォーツァイト。石英が風化して細かな砂状になったものが地殻変動による熱や圧力を受けて固まったつぶつぶ構造の石。さざれに磨かれていても、微妙に表面がザラザラです。丸玉などのようにきっちり磨けば、石英と区別が付かないくらいなめらかになりますが、軽く磨いた程度では、もともとのつぶつぶ構造のために、若干なめらかさに欠けるものがあるようなのです。よって、個人的には石英というより、クォーツァイト。で、なぜこれが「グリーン・クォーツ」と呼ばれていたか……想像ですが、現地でそのように呼んでいたのでしょうね。アベンチュリンも少し前までは「グリーン・クォーツ」とかクロム雲母が内包された水晶(石英)と説明されていましたし、ジラソルも見た目がオパール(乳白色光を帯びた)っぽいというので、海外では「オパール・クォーツ」と呼ばれていて、某バイブルではこともあろうに「オパール」の項目に入れられていたりします。クォーツアイトがクォーツと見なされていた時代があったのか、鉱物としての厳密な区分けとは別に、石英っぽいからまとめてクォーツというそういう分け方なのか。日本でも名前がいろいろあやしいですが、海外サイトでもそういう例を見かけることがあります。
2008/04/15
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インファナイトです。インフィニットストーンとも呼ばれます。「~ナイト」と、それっぽい名前が付いていても、鉱物名ではなくて、ヒーリング関係のトレード・ネームです。誰が呼んだか「ヒーラーの石」「鉱物界のペニシリン」でもあるのだそうですが、見た目は立派に「石ころ」。こちらの翡翠にもそっくりですが、庭の砂利の中に紛れ込んでいても、多分気が付きません。その正体は……サーペンティンとクリソタイル。つまり蛇紋石と白石綿がまざったもの。写真の石は、翡翠に似たうっすらグリーンですが、もっと色が濃いものもあり、それらはこちらのアトランティサイトにも似た感じ。アトランティサイトはサーペンティンとスティッヒタイトの組み合わせなので、なるほどサーペンティン。個人的にサーペンティンが好きなので、「鉱物界のペニシリン」といわれるよりも、「南アフリカ産サーペンティン」といわれた方が、わくわくします。「見かけに反して、けっこうパワーを感じる石だよ」という意見も聞きましたが、それでも見かけはやっぱり「普通に石ころ」。そういえば、サーペンティン(蛇紋石)とクリソタイル(白石綿)の組み合わせといえばこちらの「シルバー・アイ」と呼ばれていた石もそうなんですが、こっちはヒーラーとか、ペニシリンと呼ばれているようではありません。
2008/03/29
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ブッドゥ・ストーンと呼ばれる緑の石があります。とりあえず、写真の左側の斑点模様の石が、「ブッドゥ・ストーン」の名前で売られていました。なんでも「成功を維持する」「友情・愛情を得る」「記憶力が良くなる」という、至れり尽くせりの効能書きがくっついていました。個人的に「記憶力が良くなる」ご利益はぜひともお願いしたいかも(笑)。まあ、買った店の説明書きではこうでしたが、別のところ(海外サイト)では一点、アレルギーに良いとか全く別の説明がくっついていたので、どれを信じるかは見る人次第、というところでしょう。それよりも問題は、「ブッドゥ・ストーン」ってなにもの? ……ということです。もちろん、ブッドゥ・ストーンの名前は、鉱物名ではなく、商品名ではありますが、それにしてもちょっと謎に思えてきた石なのです。以前に調べたときには、つづりが「Budd Stone」であり、その名前は発見者らしき「Billy Budd」にちなみ、シリカとサーペンティンに、フックサイトによる緑が加わったような石……だという情報が出てきました。ところが、今回ちょっと思い立ってもう一度同じように調べてみたら、その情報が出てこない! 「Billy Budd」氏はどこへ行った!?あれ~? と首を傾げつつ、しつこく調べていたら、日本語サイトからさらなる謎が浮上してきました。まず、読み方。ブッドゥ・ストーンだと思っていたら、そのほかにもバド・ストーン、バズ・ストーン、バッド・ストーンのバリエーションあり。綴りを見るに、どれも「あり得るかも」と思えます。次に石の鉱物的な説明を見ると。「アフリカ翡翠」「トランスバール翡翠」のフォルスネームを持つ、南アフリカ産の緑の石であることは共通していますが、それ以外がいろいろです。私が最初に調べた時は「シリカにサーペンティン+フックサイト」でしたが、その他に「クロム白雲母を局部的に含むチャート(珪岩)」(参考にさせていただいたのはこちらとか、「クローライト(緑泥石)成分がたくさん入って緑色になったカルセドニー」(オークションなのでそのうちリンク切れしますが、こちら)と言う説明が。アフリカ翡翠のフォルスネームというのは、アフリカ産で、半透明緑で、無理すれば翡翠に見えなくもないから、全然別の石だけど翡翠と呼んじゃえ!……という、要するに「商品名」のようなもの。ところで、ふつうアフリカ翡翠と呼ばれるのは、ハイドログロッシュラーという、塊状のガーネットの一種であるとされています。ところが、実際はもっと複雑だったようなのです。翡翠(注:ジェダイトとネフライトがある)は実はいろいろな色があるのですが、一般的には緑の石というイメージがあり、そのために緑のアベンチュリン(またはグリーン・クォーツァイト)がインド翡翠と呼ばれ、黄緑系のサーペンティンが「ニュー・ジェイド」と呼ばれます。先に挙げたハイドログロッシュラーというガーネットの一種は南アフリカ産で、半透明緑の石。そのためにアフリカ翡翠(アフリカンジェイド)というフォルス・ネームが付けられたわけですが、南アフリカ(またはアフリカ南部)からはその他にも緑の石が産出し、それらもアフリカ翡翠と呼ばれてしまっている場合があるようなのです。つまり、翡翠とは縁もゆかりもない別の石を、緑だと言うだけで翡翠と呼び、しかも複数の種類の石をアフリカで産出するというだけでひっくるめて「アフリカ翡翠」にしてしまう。そのなかのひとつがブッドゥ・ストーンなわけですが、これはこれで名前の読み方(現地の発音)も不明なら、どんな成分で成り立っているのかも諸説あり……という、何重にも訳がわからない石だったのです。いったいこいつはなにものだ。「クローライトたっぷりのカルセドニー」……その説明がされているところの石を見ると、「うん、そうかもしれない」という見かけです。だけども、今回のせた写真(左側)とは、見るからに似ていません。右側の方がまだしも似ています。「フックサイトを含むチャート(珪岩)」えーと、私の理解ではチャートと珪岩は別物で……チャートは堆積岩の一種。珪酸が主成分でとても硬い石。珪岩は時々名前が出てくるクォーツァイト。風化して細かくなった石英の砂が堆積し、地殻変動などで熱や圧力が加わった変成岩の一種……だと覚えています。石英というのは二酸化珪素なので、どちらにしても珪酸を含むつぶつぶ構造の石……といえるかもしれませんが。珪酸系つぶつぶ石で緑……というと、私としてはあまり色むらがない緑の石を考えます。つぶつぶ構造であるがゆえに、クラックも少なく、色合いもむらにならないのだと考えるからです。たとえば、こういう石。そのような視点で見ると、一番上の緑の石は、その説明に合致するようには思えません。どちらの石もクォーツァイトやそれに似た石とは思えない色むらがあるからです。だんだん怖くなってきました。ただでさえブッドゥ・ストーンは正体がつかみにくい石なのに、ひょっとしたらブッドゥ・ストーンと呼ばれる石以外の石まで、ブッドゥ・ストーンと呼ばれているんじゃないだろうか。ところで、ハイドログロッシュラーとブッドゥ・ストーン以外に、アフリカ翡翠と呼ばれる緑の石がもう一つあります。バーダイトという石です。ほぼフックサイトからなる緑の粘土っぽい石で、翡翠っぽいとはお世辞にも言えないように思うのですが、緑の石です。どうも、いろいろ混ざっているところで産出するらしく、最初はもっと幅広くバーダイトと呼ばれていたのが、のちに成分がほぼフックサイトで粘土っぽい部分をバーダイトと呼ぶようになったようです。「粘土っぽい」。……なんだか、一番上の写真の左側の石は、その説明がぴったり来るような……。実際の手触りは、粘土っぽくはないのでバーダイトそのものではないと思いますが、混ざっていたりしないだろうか。想像するに、サーペンティンや珪酸やフックサイトや、いろいろなものがいろいろな状態で混ざっている緑の地層があって、そのある部分をブッドゥ・ストーンと呼び、別の部分がバーダイトと呼ばれている。そんなことになっていて、タンブルはたいていあまり質が良くない部分が使われるので、どちらもが入り交じり、よりブッドゥ・ストーンよりのものも、そうでないものも全部まとめて、ブッドゥ・ストーンとして売られてしまった。そういうおおざっぱな事態は、大いにあり得そうです。いったいどのように読むべきかもわからず、どのような石を指して「Budd Stone」と呼んでいるかも定かではなく、売られていた石が本当に「Budd Stone」なのかも確かめるすべがない。それなのに堂々と効能書きが付けられて、それを信じて(そういう効能がある石だと思って)買っていく。……それでよいのでしょうか。
2008/03/14
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淡い水色が美しいアクアマリン。実は、けっこう緑がかったものもあって、宝飾品等(一部のビーズでも)では緑っぽさを取るために加熱処理されたりしているそうです。一つだけ石を見せられてこれは加熱か否かと言われたら、わかりませんが、ビーズなどで何連もいろんな種類のものがあれば、「加熱っぽい」色がわかるような……。もちろん、加熱しなくてもきれいな水色のアクアマリンもあります。そして、「え、これも?」と言いたくなるような色のものも。モザンビーク産のアクアマリンです。透明度はほとんどありませんが、かなり、濃い色。写真に撮ったら、意外にキレイに写って化けました。この色の濃いアクアマリン、写真の石のようなものだけでなく、カットできる品質の石も採れたそうです。深く美しい青に対して着けられた名前が、「サンタマリア・アフリカーナ」。聖マリアのアクアマリン!きれいな名前~と、言っていたら、そのネーミングの由来には続きがありました。サンタマリアの名前をいただくアクアマリンは、もともと20世紀前半にブラジルのサンタマリア地方で見つかった、深い青が魅力のアクアマリンに対して付けられました。発見された地方にちなんで『アクアマリン・サンタマリア』と名付けられたのです。貴重なアクアマリンとしてもてはやされましたが、20世紀半ばに鉱山が閉山。その後、1970年代にアフリカのモザンビークの鉱山で新たに同じような深みのある青いアクアマリンが発見され、『アクアマリン・サンタマリア・アフリカーナ』と名付けられました。詳しい鉱山名がわからないので、想像ですが、写真のアクアマリンも、もしかして。ただ、やはり同じくこのモザンビークの鉱山も掘り尽くされ、大きな原石はほとんど出なくなってしまったとか……。アクアマリンと言えば、淡い水色のイメージが強いですが、さすが自然のやることはでかい。深い青の石もあるのですね。さて、実はさらに続きがあります。ブラジルに仕入れに行っておられる石屋さんとの話でサンタマリア・アクアマリンの話が出たんですが、石屋さん曰く「地元の人はサンタマリアとは言わないよ。その石(深い青のアクアマリン)が出た鉱山は、地元では「アルマジロ鉱山」と呼んでるよ」もちろん、アルマジロ鉱山ではなくて、ポルトガル語でアルマジロですけども。ブラジルでは、星の数ほども鉱山……というか採掘地があって、有名なものもあれば、地元の人が自分たちの中だけで「あそこの鉱山」と区別するためだけにつけられた名前も多いのです。私たちは「鉱山まで知りたい!」と言いますが、小さな鉱山の名前まで明らかにしようとするのはなかなかどうして大変なのだそうです。中にはちょっと文字で書けないような名前もあったりするとか……。
2008/03/06
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アメジストを加熱すると、シトリンになる。これは石好きさんにはおなじみの話。この加熱して作られた黄色い水晶を「シトリン」と言ってしまっていいものか、個人的にはちょっと迷っています。では代わりに何というかというと、ぴったりな言い方がないので、結局「……シトリン?」ということになってしまいます。それでも人工的に色を変えてしまったものだから……というためらいがあるので、「焼きシトリン」とか「加熱シトリン」と言ってみます。ところで、すべてのアメジストが加熱するときれいなシトリンになるわけではありません。茶色っぽくなったり、単に色が薄くなってしまうだけのものもあるようです。そのほか、まれに(淡い)緑色になるものもあります。加熱によって緑色になるアメジストは、ブラジルのモンテ・ズーマ鉱山のものが有名で、「プラシオライト」と呼ばれています。最近では「グリーン・アメジスト」と呼ばれる淡いグリーンの水晶もありますが、これは、(ガラスでなければ)やはりある種のアメジストを放射線&加熱処理したものだそうです。加熱処理だけで緑になるものをプラシオライトと呼び、放射線+加熱処理のものはプラシオライトとは呼べません。そのためにグリーン・アメジスト……緑の紫水晶という変な名前で呼んでいるようですが、厳密には「グリーン・アメジスト」もダメなようです。http://www.gaaj-zenhokyo.co.jp/researchroom/kanbetu/2006/2006_05-01.htmlさて……ここからおもしろくなります。アメジストに熱が加わると、黄色くなる。たまに緑になるのもある。アメジストとシトリンが同居した(紫+黄)、アメトリンというのがある。では、紫+緑は?あるんですねえ……。写真では色がきれいに見えないのですが、渋めのウグイス・グリーンの中に紫がちょっぴり混ざっているという感じです。(肉眼では、もう少し緑が見えます)「グリーン・アメジスト」と表示されたタンブルの中から探しました。アメジスト+シトリンだからアメトリン。では、これは……。正式な名称ではないですが、パワーストーン系の名前で「アメグリーン」というちょっとビミョーな名前があるようです。アメグリーンの産地はアフリカ(南アフリカ)。写真の石の産地はわかりませんが、見た目そっくりなので、アフリカの可能性ありとしておきます。世のシトリンと同じく、人工加熱の可能性もありですが、いくつかの理由で天然で緑の可能性もありだと思っています。一つは色。ビーズの「グリーン・アメジスト」と比べるとこの石の色はずいぶん渋い「ウグイス色」。安価できれいな黄色の石は意外に少ないので、アメジスト加熱のシトリンにもそれなりに需要があるそうですが、緑の石はいろいろあります。処理して色を変えたとしても、宝石としての水晶はやはり安価な部類にはいると思うので、どうせ処理するならきれいに変色するものを選ぶでしょう。手間をかけて渋い色では、ちょっと割に合わないのでは。もうひとつは、写真の石です。紫色が混じっています。他の石は緑だけでしたが、紫色入りの石が混じっていました。もし、加工されていたとしたら、間違いなく変色させるためにしっかり加熱されるのではないでしょうか。だとしたら、紫が残るとは思えません。そしてもうひとつ。ブラジル産、未処理とわかっている石でやはり紫と緑の混じった石があります。「これをちゃんと加熱するときれいな緑になるはずだよ」と言われましたが、地熱によって自然に加熱された状態のその色は、やはり渋めのグリーン。色合いは、似ています。これらのことから、今回の写真のこの石も、「絶対未加工」とは言えませんが、天然の色である可能性も十分あるのでは……と思っています。
2008/03/01
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アメジストです。産地はちょっと珍しくアフリカは南部のモザンビーク。そろばん型に見えますが、写真では裏側にあたる部分がごっそり破断面で、普通の水晶の錐面だけ、という感じ。ウルグアイ産のアメジストのように、つくつくした感じのアメジストだったのか、メキシコ・ベラクルス産のように柱面があったのかは定かではありません。直径1.5センチ弱。小さいです。以前、どこでどういうシチュエーションだったのかは忘れたのですが、「ラベンダーアメジストは透明感がなくて(低くて)質が低い水晶だ」というような意見を目にしました。このほかにも、「スーパーセブンは不純物入りの質が低い水晶にヒーラーがたいそうな名前を付けたから高く売れている」「パワーストーンなんてただのいしころじゃないか」……という意見を時折耳にします。これらの意見は、ある意味正しく、そして同時に間違っていると思います。確かに宝飾品としてのアメジストは、従来、薄すぎず濃すぎず、豊かに深い紫色がよしとされてきました。その伝統的な基準で測れば、明らかに淡い色合いのアメジストはそれだけで「質が低い」かもしれません。しかし。写真のアメジストは、表面こそガザガザしていますが、仮にこれを磨けば、たぶんほとんどクラックもミストもなく、かなりの透明感が期待できるラベンダー色です。よって、写真の石を見る限り、「ラベンダーアメジストは透明感がない(低い)」という点には異議あり。透明感のあるのもあります。一方で「一般的な天然石ビーズ」の範囲ではミストなどで透明感のないものが多く、単に色が淡いアメジストとしか言えないようなものがほとんどです。また、宝飾品の分野ではブラジル産出する透明度の高い、淡いアメジストが現代的なデザインのジュエリーに加工されて人気だと聞きます。(人気なので、なかなかビーズにはならないらしい)このように「ラベンダーアメジストは透明感がなくて(低くて)質が低い水晶だ」という意見一つにしても、原石を含めるのか、ビーズに限るのか、宝飾品もありなのかによって、正しくも聞こえるし、それは違うだろうと言うことにもなるわけです。逆に言えば、ごく一般的な天然石ビーズに対して、ジュエリーの基準を持ち込んだり、イメージもともに楽しむパワーストーンやクリスタルヒーリングにおける石に対して、イメージは関係ない鉱物や宝石の基準で一方的に決めつけるのも、おかしな話です。また、そういった「畑違いの基準による判断」を鵜呑みにするのも、やはりちょっと違うと思いませんか?私は原石派なので、どうしても原石の場合を頭に置いてしゃべってしまいますが、もしかしたら相手はビーズ派さんかもしれません。同じ石の名称、用語を使っていても、人それぞれのスタンスによって、好みだけでなく価値を計る基準も、いろいろ違う。自分はどこに基準を置いているのか?聞いた意見は、十分の基準に照らしてズレがあるのか、ないのか?そんなことも気を付ける必要があるし、いったい自分は、どこに基準を置いているのだろう……と意外にわかっていなかったり。実は、石はいろいろ複雑だ。気を付けよう……と自戒を込めて。
2008/02/28
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コンゴ産のスモーキー・シトリンです。2006年にも一つ登場しています。このとき、キャンドルクォーツ状のシトリンを手に入れたいものだ……と言っていたのですが、めでたくその後入手しました。それが、この石です。面は平らにカットされていますが、期待通りのキャンドル状♪一つ目のコンゴ・シトリンもシトリンと言われて思い浮かべる「黄色」ではなくて、茶色味を帯びた色合いでしたが、二つ目のコンゴ・シトリンはもっと逞しい色。たぶん「これってシトリン? スモーキーじゃなくて?」と思われる方もいらっしゃるはず。シトリンとスモーキーの色合いは、グラデーション状につながっていて、どこまでがスモーキーでどこからがシトリンなのか、これぞという境目はありません。今回の石にしても、「これはスモーキー」と判断する人もいると思います。私は、実物を見て、かなりスモーキーだと思うけれど、確かにシトリンのニュアンスがあると思えること、同じ産地で、同じような形(キャンドル状)で、はっきりとシトリンの色合いの石が産出していることから、この石に感じる黄色っぽいニュアンスはシトリンの要素だろう……と判断して、「コンゴ・シトリン」と……もっと正確には「コンゴ産スモーキー・シトリン」だと判断しています。同じ産地で迷わずシトリンと言えるものが出ている……というの良いとして、「シトリンのニュアンス」とは。これは、言葉にするとかなり曖昧になってしまうのですが、個人的には、「茶色」というにはややきつい(強い)「黄色」と「赤」の色味だと考えています。スモーキーと言えば茶色なんだから、黄色いも赤いもあり得るだろうと言われればそうなんですが、たとえば、アルプス・スモーキーやヒマラヤのパキスタンやネパール(ガウリシャンカール)など、シトリンをほとんど見かけない産地のスモーキークォーツ、特にほぼクリアかと思えるほど淡い色味がある産地のものと見比べていくと、やはり違うと思うのです。濃い色味のままで考えると「茶色じゃないか」となってしまいますが、その色をもっと淡く淡く、透明に近いほどに薄めて考えたとしたら……それは「茶色」が薄くなった色なのか、金色にも見える色なのか、そんな感じの違いです。そして、赤。赤みの強いスモーキーというのも、スモーキー・シトリンであると思っています。というのも、シトリンには赤みの強い「マディラ・シトリン」と呼ばれるものがあるからです。さらに赤みの強いものは、「シトリン・フォーゴ」(炎色のシトリン)と呼ばれるのだとか。天然石検定の本には、この手の赤いシトリンは加熱によるものだと書かれていましたが、未加工の石を仕入れ、加熱などの加工がされていれば必ず教えてくださる石屋さんがかなり赤いシトリンを持っていたことがあるので、もしかしたら、天然で赤いシトリンもあるんじゃないかと期待中。(※加熱による赤いシトリンと言っても、すべてのものが赤くなるのではなく、特定の産地のものが赤くなるのだと思います。また、加熱前の色がアメジストとは限らないかも)……と、このようなわけで、KURO的には、シトリンの色合いに「赤」も含まれます。
2008/02/20
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マラウィ産のブルー・カルセドニーです。これよりも緑がかった「シーブルー・カルセドニー」が美しいけれど染めであるのに対し、ブルー・カルセドニーは天然の色合いなのだそうです。しかも、この青が何によって発色しているのかは不明とか。この色合いの青い色は、ブルーレース・アゲートでもおなじみです。ブルーレースの方はビーズやブレスレットでも見かけるおなじみの石ですが、ブルーカルセドニーの方は、ブルーレースほど出回っている量は多くない……少なくともはっきりと「青」とわかるものは、意外に少ないと思います。それに伴って、値段の方もブルーレースに比べるとやや高め。なぜ少ないのかと考えて、写真のような「原石」を見て納得。さて、写真の石ですが、淡い、秋の高い青空色をした、ブルーカルセドニーの原石です。カルセドニーやアゲートは、岩のすきまに顕微鏡サイズの石英の粒が沈殿して固まってできるのだそうです。写真の石では、やや黄色っぽく色づいているところが、カルセドニーの表面です。よく見るとざらざら、もこもこしたところが見えています。逆に外側の方が、岩のすきまに接していた部分。カルセドニーやアゲートは、すきまの岩の表面に微細な石英の粒がくっつき、中心に向かって徐々に層を厚くしてできていくのです。このとき成分に変化がなければだいたいが同じような色合いになって、カルセドニーと呼ばれますが、成長していく間に鉄などの不純物が増えたり減ったりすると、それによって石英の粒の色が変わり、それが層をなして沈殿し、縞模様のあるアゲートとなります。そのために、アゲートをスライスにしたものでは、年輪のように縞模様が現れます。時々、途中から縞模様が同心円上ではなくて水平になっていたりするのですが、これがなぜなのか、よくわかりません。話は戻ってブルー・カルセドニーです。このようにカルセドニーは、容器で固めたゼリーのように、一度に塊でできるのではなくて、小さな石英の粒が徐々に沈殿してできていきます。カルセドニーであるためには、徐々に層が厚くなっていく間、石英の粒が青くなる条件が継続していなければなりません。成分が変わったり、不純物が混じったらアゲートになってしまいます。つまり、ブルーレース・アゲートは、ブルーレースで不純物が混じってしまったもの。もちろん、ブルーレースはブルーレースで美しく、縞模様を「レース」と表現するネーミングは秀逸。ただ、鉱物としてそのでき方を考えると、不純物入りと言うことになってしまいます。写真とは別の原石を見たことがあるのですが、その石では、母岩に近い方には不純物が混じって「ブルーレース」になっていて、ブルー・カルセドニーといえるのは、中心部分だけでした。そのような石を見て、なるほどブルーの部分だけを取り出すのは、思ったよりも難しいのだと納得した次第。今回の写真の石のように、真ん中までが埋まっていない石では、ブルーの層が薄く、ビーズなどは難しいでしょう。真ん中までが結晶で埋め尽くされていても、カルセドニーとして削り出せるのは、不純物入りの周辺部分より少な苦なってしまうのは確実です。色合いの美しさを選べば、さらに条件は厳しいです。このことが、ブルー・カルセドニーとブルーレース・アゲートの流通量の差なのかなと思いました。ブルーレース~ブルーカルセドニーの状態がよくわかり、かつ母岩付きの石が、欲しいかも……。
2007/11/30
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タンブルです。売っていたときの名前は、「アフリカン・ソーダライト」。しかし、確かに濃い青い石ではあるものの、普通見かけるソーダライトとは模様も違うし、パイライトらしき金属光沢の鉱物も混じっています。こんなパイライトは見かけたことがないぞ。もしかして、「インド翡翠」のように、ソーダライトに似た(似てないけど)石に付けられたフォルス・ネームだったりして……などと考えていました。でも、フォルス・ネームを付けられるのは、まねされた石の方が高価で、その名前を付けることで、売る方が得をすると考えられる場合でしょう。ソーダライトが、それほど高価な石とも思えません。そう思っていたところで、ある石を見つけました。ネットショップで、すでに売れてしまった石でしたが、掲載されていた写真(ぶっかき風原石)が、どうやら写真のタンブルと同じ仲間のように見えました。濃い青と白と赤茶色が混じり、金属光沢の石も混じっているようです。説明では、ナミビア産で、ソーダライトと石英が混じった石だとのことでした。ナミビアならばアフリカです。石英と混じっているとはいえ、ソーダライトも含まれていて、色合いから言えば主成分と言えそうですから、アフリカン・ソーダライトといってもおかしくはない。そういうことか!と、ちょっとすっきりしたところで気になったのが、名前です。ネットで見かけた(たぶん)同じ種類の石は、スウォロー・ストーンと書かれていました。ネットの説明では、綴りまで書かれていなかったので、「スウォロー」についてもちょっと調べてみました。推測ですがつづりは「swirl」ではないかと思います。意味は「(水・空気・煙などが) 渦を巻く」。写真のタンブルでは小さくてわかりませんが、大きめの原石では、青、白、赤茶色の混ざり具合が、なるほど流れて渦を巻く流水のようです。ついでに、ビーズも見つけました。
2007/11/16
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ナミビア産のインクルージョンいっぱいアメシストです。差し渡しで1センチちょっとのかけら状ですが、一部錐面が残っていて、そこから想像すると、柱面が発達していない、ころんとしたDT(両錐)の結晶であるようです。この石最大の見所は、内包物。特に放射状に広がるように内包された針状の鉱物です。実はこの石、最初「ルチル入りアメジスト」として売られていました。ところが、ルチルとされていた針状の鉱物は、ルチルではなくてゲーサイトであるらしいのです。買ったのと同じお店が、後で訂正した……という話を聞いたのですが、そのときは、「え? ルチルじゃないの? ゲーサイト? ふーん……」と、単に内包物の名前がかわった程度にしか理解できなくて、そのまま放置してしまいました。そのため、「確かゲーサイトに修正されたはず」という記憶のみなのが悔しいところ。今思えば、どうしてそれがわかったのか、どこで見分けるのか……というようなところまで、つっこんでおけばよかった!一端ルチル入りで出てしまったためでしょうか、検索すると、同じ産地でたぶん同じ感じの結晶だろうと思う石に、「ルチル入り」「針鉄鉱入り」の二通りの説明が見つかります。さて……ルチルか、ゲーサイトか。石好き心だけは旺盛な素人の目で見分けるとしたら。結論から言ってしまうと「ルチルではない」という情報が頭にあるせいかもしれませんが、今の私には、あんまりルチルっぽく見えません。ルチルだよ、と目の前に出されても、「え? ルチル?」とまずは疑問符を付けるでしょう……たぶん。どうしてルチルに見えないのか、というと説明に困ります。一番の理由は「なんとなく」。これでは言ったところで納得してもらえないでしょう。もうちょっと理由を探してみると……。◆針状結晶の表面に金属光沢がない。金属光沢。というか「銀色光沢」。私は、ルチルかどうかを見分ける手がかりの一つにこの光沢を挙げます。目で見えている色に関係なく……黒っぽく見えようと赤っぽく見えようと、茶色に見えていようと……どこかの角度で、針の一本一本が光を反射して銀色に輝く。細い細いルチルだろうと、この特徴があるように思います。(はっきりとした金ルチル、渋い金色である緑ルチルはちょっと判別しづらいですが)写真の石は、いろんな角度から見てもこの光沢が確認できません◆先端がぼさぼさぎみ?個人的に考えるルチルの結晶の特徴その2は、針状の結晶の太さが根本から先端まで一定にみえるということ。そしてその先端は、途中でとぎれていたとしたら、はさみで切ったように潔く、ぷつっととぎれている。絹糸のように細いものでは、なかなか確認できませんが、小さいとはいえ、写真の石に内包されている程度の太さがあれば、その特徴は十分確認できるはず。しかし、写真の石の針状結晶は、ルチルにしては短くて、先端が何となくぼさぼさぎみ。全体的にルチルらしいシャープさに欠けているように思われます。◆太さが違う、色が違う?写真のように放射状に内包されている場合、ルチルであれば針状結晶の太さがほぼ一定の場合が多いような気がします。また写真の石は太いものとやや細いものでは色が違って見えますが、ルチルであればそのようなことはないのでは……。密集具合によって、根本と先端の色合いが異なって見えることはあっても、一本一本で色が異なるという印象はありません。◆色が一緒?しかしながら、この針状結晶は、透かすと赤く透けます。ゲーサイトも赤く透けるし、ルチルも赤。ところが……見るからにルチルに見えない、放射状結晶以外の、散らばって内包されている黒いものも、実は同じように赤く透けて見えているところがあります。その色合いは、素人判断ながら、針状結晶と同じ赤に見えます。深紅というより、オレンジ~茶色がかった赤。これは……放射状の針状結晶と、周りの黒いものが同じということでしょうか。説明に困ると言いながら、列記すると理由があるじゃないか!……とまあ、こんな理由で「ルチルには見えないんだけど」と素人判断。これがルチルがゲーサイトか、はっきりした結果をお持ちのかた、情報お待ちしております。
2007/10/30
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バライトです。和名は重晶石。こんなにはかなげな色で光に透ける石なのに、和名の通りにずっしり重い鉱物です。バライトは、色も、結晶の形も種類豊富で、バライトだけをコレクションする人もいるそうですが、我が家のバライトは、たぶんこれ一つ。たぶんというのは同じ石に対して、バライトとアポフィライトの2つの説がある石があるからです。色と形がきれいというのは、石好きに対しては高ポイントですが、モース硬度が3~3.5と、カルサイト並みに柔らかいのはちょっと残念。水晶やカルサイト、フローライトほどには見かける機会もないので、そういう点で我が家では少数派になってしまうようです。さて、私がこのバライトを買ったのは、一にも二にも「青くてきれいだったから」。どっちかというとバライトだからというより青くてきれいな石だから買っちゃった、というのが真相です。この青の色の原因は、銅。産地はコンゴ。コンゴで、銅。コンゴといえばマラカイトの産地。マラカイトは銅の鉱物。なるほど、なるほど。単純なことですが、銅をキーワードにちゃんと産地とつながったので、思わず納得、感心。最後に。バライトの綴りは「Barite]で覚えていたのですが、調べていたら「Baryte」もあるようです。
2007/10/26
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南アフリカからは、ユニークな水晶が産出します。その一つがこれ。その名も、フェアリー・クォーツと呼ばれています。海外サイトでは、ホワイト・フェアリー、フェアリー・フィンガーと呼んでいる場合もあるようです。その形状を簡単に説明するならば、「結晶の柱面に小さな結晶がくっついている」とでもいいましょうか。ところがこの説明だと、同じく南アフリカ産のスピリット・クォーツ(カクタス・クォーツ)やマダガスカル産のキャンドル・クォーツも同じ説明に含まれてしまいます。水晶に付けられたイメージ的な名前は、「これこれこういう形のものを○○クォーツと言う」……と、形の規定についてかっちり書いてくださるところは少なく、たいていは簡単な説明か、写真を載せて終わり、となります。ところが、同じものが二つないのが天然石の世界。「これは○○クォーツといっていいの? それとも△△クォーツ?」……と迷う場合も多々あります。特に私は、パワーはわからないので、名前は、その水晶の形状を表す記号のようなもの。さらに、鉱物ショップやミネラルショーで、「○○クォーツ」とラベルが付けられていないところから探して(安く)買うのが好きなので、「これは○○クォーツ、それとも△△クォーツ?」という疑問はしょっちゅうです。パワーが関係ないのなら、名前にもこだわらなければいいと言われたこともありますが、「鉱物好き」ではなくて「水晶中心の石好き」である私としては、手元にある石が全部「水晶」「クォーツ」では味気ない。産地名を付けたところで「ネパール産水晶」だけでもいくつあることやら。一生懸命イメージ的な名前を使ってみても、別館サイトの「My Stones」の目次のような有様。自分自身でさえ、後で見ると「これどれだっけ」の世界です。そんな具合なので、せめて「こいつの名前はどっち」という疑問だけでもなんとかしたい。そこで、暇に任せて検索し、だいたいの傾向はこうだろう、ということで「○○クォーツとは、これこれこういう形の石」と自己ルールを作っています。そんな自己ルールで解説すると、こうなります。◆キャンドル・クォーツ先端に大きな錐面があり、柱面に小さな結晶がくっつくが、その小結晶は、メインの結晶とほぼ同じ方向を向く。多くはマダガスカル産、ブラジル産、ロシア産。◆スピリット・クォーツ(カクタス・クォーツ)先端に大きな錐面があり、柱面に小さな結晶がくっつくが、その小結晶は、メインの結晶に対して垂直。小結晶の柱面はあまり発達しない。多くはアメジスト。色味がなく、ほぼ白いものもある褐鉄鉱に天然コーティングされて黄色く見えるものもある。南アフリカ産。そして今回のフェアリー・クォーツはこうなります。◆フェアリー・クォーツ(ホワイト・フェアリー、フェアリー・フィンガー)スピリット・クォーツの一種という位置づけが多いようだが、形は細く長いレーザー・タイプ。色は、白~ベージュ。先端にメインの錐面があり、柱面に小さな結晶メインの結晶に対して垂直にくっつくが、レーザー・タイプの結晶であるため、先端の錐面は小さめ。柱面に付着する小結晶も、きわめて小さく、グラニュー糖のような感じ。一番の違いは、根本の破断面を見ると、内部は透明度がある結晶で、ざらざらの小結晶の部分は、不透明な層として被さっており、二次的に結晶したのではないかと思われる。南アフリカ産。このように自己ルールを決めておくと、かなり便利。お店の表示には惑わされにくくなります。お店の表示を頭から疑うわけではありませんが、たとえば「エレスチャル」の場合、お店によっては同じ産地のそれっぽい水晶をロットで仕入れ、すべてを「エレスチャル」として売ることがあります。しかし、エレスチャルは「ごつごつ複雑な形状の結晶」だと思うので、同じロットでも「これはエレスチャル」「これは違う」というものがあるはずです。そのため、私は「このロットの中でエレスチャルはこれ」と自分で判断して買います。それならば、納得できます。仮に「エレスチャル」のロットの中で「非エレスチャル」なものを選ぶなら、それにはそれなりの理由がありますし、その石を「エレスチャル」と呼ばないか、「エレスチャルとして売られていたけれど違う」あるいは「ほんのり部分的にエレスチャル風味」として扱います。お店で「エレスチャル」という名称を使うなら、明らかに違うものくらいははじいて欲しいですけど、その手間が価格に反映されて、むやみに高価になってしまうのは困ります。そんなこんなで、私は自己ルールを作り、それに従ってラベルなし水晶を探す道を選びました。楽しいです♪
2007/10/17
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今度は、本当のスギライト。うわー、色が似てる。『高貴な紫色』『世界三大ヒーリングストーン』……そんなきらびやかな名前が『紫芋にそっくり石』では、一気に庶民感アップ。ついでにヘルシー感もアップ?こちらでも書きましたが、スギライトの和名は、日本人の名前にちなんで「杉石」。最初に見つかったのは、ウグイス色っぽい緑色。おいしそうな紫芋色……もとい、高貴な(?)ロイヤル・パープルの石ではありませんでした。南アフリカのスギライトは、マンガンを含むことで紫色になっています。鉱山の坑道崩落事故で見つかったそうですが、こんな紫色の石……というか岩がいきなり現れたら、びっくりするでしょうねえ……。さて、タイトルのラヴライトは、紫のスギライトの別名です。日本で見つかった、紫ではないスギライトが、IMA(国際鉱物学連合)によって認定される前に、ラヴライトの名前で売られていたのだそうです。どうやら、ラベンダーを語源に持つらしいラヴライトは、当然、紫色の石だからこそ、付けられた名前です。しかし、最初に発見され、新種の鉱物として認められた日本の杉石は、うぐいす色。「ラヴライトはスギライトの別名です」といってしまうと、ちょっぴり誤解が生じそうです。改めて。ラヴライトは「紫色の」スギライトの別名です。そういうことになりませんか?ちょっとこだわってみました。
2007/10/04
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南アフリカ産のロードクロサイトです。ビーズでは手を出したことがないロードクロサイトですが、結晶は別。意外にあります。だって、ピンクの結晶がかわいくて。ピンクはかわいい。でもビーズは……というのは、多分にロードクロサイトビーズが人気で「かわいい~」とか「恋愛の石」とか言いまくられているからです。要するにあまのじゃく的に視野の外に追いやってます。先日もビーズ屋に行ったら、店員さんが別のお客に「インカローズが人気なんですよ~。一日に何本も売れていくくらいで。恋愛の石としては最強なんだそうですよ」……という具合なので、私一人くらいちやほやしなくていいでしょう。ところでインカローズと言えば、ロードクロサイトの別名です。ロードクロサイトと言うより、インカローズの方がピンクでバラ色な感じがしますが、写真の石には用いないことにします。なぜなら産地が南アフリカ。南アフリカの石にインカ(ペルー)はないでしょう。インカローズという名前は、ペルー・あるいはアルゼンチンの古い鉱山で採れたロードクロサイトに用いる名前であるという説も聞いたことがあります。さて、南アフリカ産のロードクロサイトは、不透明ピンク。ちくちくもこもこと結晶しています。さしわたし2.5センチくらいの小さい石です。普段はビーズで見かけることが多いのであまり気にしませんが、ロードクロサイトの結晶は、犬牙状だったり、菱形だったり、意外に個性豊か。そういうところが実は魅力。それがきれいなピンクならいうことなし。
2007/07/31
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砂漠つながりで、今日はこの石。砂漠のバラです。我が家のファースト・砂漠のバラは、なんと、中国産の青いヤツ。で、2番目にやっとスタンダードな茶色いバラがやってきました。産地としては有名なモロッコ。砂漠のバラは、ジプサム(石膏)のものと、バーライト(重晶石)のものがあり、モロッコ産のこのバラは、ジプサム・タイプのようです。ジプサムは、地下水や川、オアシスなど、水が関係するところで、水が蒸発する時に溶けていたジプサムが析出し、成長したものだそうです。表面がざらざらしているのは、砂が付着しているからだと思われます。植物バラは、つややかな緑の葉の上に、華やかな色の花を咲かせますが、砂漠のバラは砂漠の色を写して、砂のの下に咲くというわけです。なぜ、バラを思わせるこのような形になるのかは、わかっていないのだとか……。砂漠の花は、メキシコやアメリカなど各地で産出しますが、それぞれに、育った砂漠の色をしています。パワーストーン的意味合いでは、不要な縁を切るとか言われていますが、誰が、どんな理由で、この石にそんな意味をくっつけたのでしょう。時には略して「縁切りの石」と言われていて、トホホです。海外サイトでは、幸運の石、人生における突然の出来事の際に持ち主を支えてくれる石だと言われているのをみかけましたが、どうせくっついているなら、そういう意味の方がいいなあ……。余談ですが、「わがままに効く石」という説明を付けられた石を見たことがあります。店頭だったにも関わらず、「誰だよ、こんな意味を付けたのは!」と文句を言いそうになりました。なぜ、どうして、こんな意味、というのも切ないですが、その意味を理由に石が選ばれていくのはもっと切ない。石の楽しみ方は人それぞれで、他人が口を出す筋合いではありませんが、それでもやはり……私個人としては、どうにもこうにも切なすぎます。この砂漠のバラも、水とは縁のない砂漠の中で、その場所にかつて水があったことを物語る石なのですね。砂漠の色をまとい、かつての水の記憶をとどめる石。砂の中で作られた、繊細な花びら。石の意味にとらわれすぎると、この石が持つそんな物語も、形の美しさも、目に入ってこないと思うのです。意味もいいけれど、石が持っているその石だけの表情も見て欲しい。石の写真を撮るようになってから、石の意味よりも、石の表情に心奪われるようになりました。鉱物としての石が好きだからではなくて、カメラを通して見る石の表情や造形が、とても不思議で美しかったからです。こんな美しい形が、砂漠の砂の中で作られるんですよ!?そこに「縁切り」」だのと、変な意味を持ち込みますか。声を大にして言いたい。
2007/07/10
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この石は何でしょう?産地はサハラ砂漠(リビア砂漠とも言われます)。発見されたのは、1997年。ぐにゃぐにゃした、隕石のようにも見える形。見かけよりも重いずっしり感。見るからにしぶ~い変な石。しかし、名前は気合いたっぷり「プロフェシー・ストーン」というそうです。直訳すれば「予言石」。発見者が、瞑想に用いたところ、未来につながるイメージにつながったとか、上のチャクラを開いてソウル・スター(?)へのリンクが形成されたとか、マヤン・エイジの最終章にある人類が精神的に成長するのに重要な石だとか、なんだかすごそうな理由でプロフェシー・ストーンと名付けられたのだとか。しかし。わたしにとって、この石は「水」のイメージなのです。砂漠の石に水。これには理由があります。最初にこの石はサハラ砂漠で見つかったと書きました。さらに、成分はマンガンと水酸化鉄……ゲーサイトであり、沈殿してできた形だと言うことでした砂漠で生まれた酸化鉄の塊。このキーワードは、もう一つの石に結びつきます。シャーマン・ストーン(モキ・マーブル)です。モキ・マーブルは、砂岩の周りにヘマタイトがくっついた丸い石で、ナバホ砂漠が石化したあと、地下を水が流れ、砂漠の岩の中から酸化鉄をはぎとり、それがあつまったものだと考えられています。さらに、同じように酸化鉄がころころ丸くなったもの(ブルーベリーと呼ばれています)が火星で見つかり、このことが火星に水があった証拠ではないかと考えられているのだそうです。これは、プロフェシーストーンにも通じるものではないでしょうか。プロフェシー・ストーンの形成過程は、どこにも説明されていませんでしたが、モキ・マーブルや火星の「ブルーベリー」と同じように、今は水の気配のない大地に、かつては水があったことを物語るもののように思われてなりません。私にとっては、瞑想だとか、ソウル・スターだとか、マヤだとかそういうなんだかわからないものよりも、確かにそうであったのではないかと思われる水の幻想の方が、心を動かします。
2007/07/09
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終わってしまえばあっという間……だった新宿ショー。その中で、局地的に、詳しく言えば私の周辺の石好きさんの間で大いに盛り上がった石があります。売り方が地味なのか(石は地味ではなかったと思う)、小振りな石ばかりだったせいなのか、人にあふれた会場の中で、比較的平穏だったお店なのですが、私たちは、入れ替わり立ち替わり、顔見知りの石好きさんを捕まえてはその店に舞い戻ったので、お店の人は、「お、また人を連れてきたぞ」と言っていたとかいないとか。このように私を含めた一部石好きさんの心をわしづかみにした石はこちら。ローズ石です。正確には、ローズ石(ローゼライト)の上を、水晶のドゥルージーが覆ったもの。ローズ石、まさしく深いバラ色の石にふさわしいこの名前は、「薔薇」ではなくベルリン大学の鉱物学教授ガスターブ・ローズ氏にちなんで名付けられたそうです。でも、どう見てもバラ色のローズ石ですよねえ!この石を見てしまうと、ロードクロサイトやロードナイトなどは、「まだまだだねえ」と言いたくなります。ローズクォーツに至っては、アフガニスタン産のローズクォーツを除いて、ピンククォーツに解明しなさいと言いたい気分。まさしくバラ色。しかしながら、ローズ石単体ではモース硬度は3.5、劈開は完全。つまり、傷つきやすく割れやすいという、佳人薄命な石なのです。でも、このように水晶に覆われていれば、心配ご無用。水晶のきらきらが加わって、ますます華麗な雰囲気になりました。実物は、3センチ四方ほどの小さい石ですが、ローズ石そのものがあまり大きい結晶を見かけないので、仕方がありません。この際、写真で拡大して、たっぷり楽しむことにします。このバラ色の正体は、コバルト。同じ山地からはやはりピンク色が美しいコバルト・カルサイトが産出します。しかし、不思議なことが一つ。コバルトと言えばコバルト・ブルーというように、青を連想します。実際シベリアン・ブルーの名前で知られるロシア産の人工青水晶はコバルトによって輝くような青に発色しますし、スピネルではコバルトによって青く発色したブルー・スピネルがあるようです。しかし、こちらは美しいバラ色。片や青、片やバラ色。不思議です……。さてこのローズ石、ちょっとした成分の変化や結晶の形によって似たような石が数々あるようです。とてもとても見分けることなどできそうにないので、ここはお店の人のラベルを信じて「ローズ石」と言うことにしておきたいと思います。こんな石が何の前触れもなく出てくるのですから、石業界は目が離せません。この石が、今後どんどん産出して出回るか、この一時だけで終わってしまうのか……それも謎に包まれています。
2007/06/08
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久しぶりにモロッコ産、フローライトです。モロッコは、フローライトの産地でもありますが、中国産ほどにあちこちでどどっと大量に見かける訳ではなく、フランス産のブルーやピンクのように、がんばって買っちゃおう!……というほど少ないわけでもありません。アメリカ、イリノイのフローライトのように、閉山したわけでもないようです。それでも黄色や、薄いピンク、青など、美しい色合いのものが多いのに、結晶の形がいまいちだったりで、なんというか、帯に短したすきに長し。選り好みし出すと、なかなか手を出さない産地になってしまっています。写真のフローライトは母岩に一辺1センチちょっとのキューブ状の結晶がくっついたもの。色合いは淡く、ほんのり色味を感じる程度の紫。表面はマットな感じです。ところが、ぐっと視線を下げて横から見ると、マットではなくて内部が見える面があり、まるで水槽の中をのぞくように結晶内部を見ることができるのです。酸化鉄のせいか、赤みを帯びた母岩に対して、フローライトの内部は白くてさわやか。そこにもう一つの世界が広がっているようです。こんなふうに中身を楽しむフローライトは、実は意外に少ないのではないでしょうか。
2007/04/18
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アフリカはガボン産のロードクロサイトです。ガボン産ロードクロサイトは、こちらで一度紹介していますが、もちろん今回は別の石。ガボンはアフリカ中部、コンゴのお隣の国です。最初にガボン産のロードクロサイトを見たときは、「ほんとにロードクロサイト?」と目を疑いましたが、こうして似たような石をいくつも目にしたと言うことは、ガボンのロードクロサイトは、こういう種類なのでしょう。少なくとも、こういう一見ロードクロサイトには見えないような石を産出する鉱脈があるということです。ロードクロサイトといえばピンク色。「かわいい~」「きれい~」「恋愛の石!」……と、世の女性を虜にする、押しも押されぬピンク色の石。……のはずが、このガボン産ではピンクというより、赤。赤と言うより茶色。赤みがかったこの色は……やっぱりヅケマグロ色というのがぴったりです。形は最初に紹介したガボン1号と同じ、長さ3ミリ程度の犬牙状結晶で、色合いもあいまって、ロードクロサイトにしてはかなりワイルドな風情です。この石を見て「恋愛の石よね~」……とは、なかなか言えるものではありますまい。このように、原石の個性豊かな姿に惚れ込んで追いかけ回していると、自然と石の名前だけで意味やパワーを振り分けるパワーストーンの考え方とはそぐわなくなってしまうのです。一般的な色形からははずれている「例外」かもしれないけれど、この形、この色は確かにこうして実在する。そのうえ、自分では石のパワーがわからないとなれば、どうしたって目の前の石を、わかる方法で追いかけたくなるではありませんか。たとえば、ロードクロサイトの化学組成はMnCO3、カルサイトはCaCO3。マンガンとカルサイトが入れ替わっただけの、よく似た組成をしているのだから、なるほど結晶の形も似ているわけだ、と思ったり、アフリカからはマンガンを含んで紫色になったスギライト(純粋なスギライトはウグイス色)がでるのだから、同じマンガンに関係するロードクロサイトも何か関係があるのだろうかとか。鉱物だ、化学組成だと聞くと、いかにも難しくて頭が固そうですけれど、調べてみると結構おもしろくなってきます。
2007/04/16
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ごめんなさい。今日はのっけから謝っておかなくてはならないかも。勘のいい方は、タイトルで予想がついてしまわれるでしょう。ペタライトです。和名は葉長石。ペタル石とも呼ばれます。長石と名前が付いていても、長石の仲間ではありません。見かけが長石に似ているので、はじめは長石と間違われていたものの、よく調べてみたら違っていたということです。このあたりのくだりは、ロードナイト(バラ輝石)と同じですね。和名は、成分や種類の名前を盛り込んだ、よく言えば合理的でわかりやすいものがありますが、こういう場合には誤解の元になってしまいそうです。さて、私は、学生時代、ちょっと陶芸をしてました。陶芸と言えば土、そして表面にかける釉薬。釉薬は、最近では合成したものもありますが、元はと言えば石や灰に鉱物を砕いたものを混ぜて作るものです。そのため、材料には長石とか酸化鉄とか、石好き分野でも耳にするような名前が出てくることがあります。たとえば、長石。石好きさんにとって長石と言えばムーンストーン、あるいはラブラドライト、アマゾナイトだって長石です。しかし、陶芸で長石と聞くと、抹茶茶碗などで見かける志野釉のあのぽってりと軟らかい厚みのある質感が頭に浮かびます。酸化鉄、と言われれば頭の中では弁柄だったり。土に鉄が加われば訳と赤くなったり、灰色になったり。鉄釉ともなれば、その割合によってつややかな黒や飴色など変幻自在。ではペタライトは?陶芸の分野でペタライトと言えば、まず頭に浮かぶのが土鍋。ペタライトには加熱によって土が膨張するのを抑える効果があり、その働きによって火に強い、かたく焼き締まった土鍋ができるんだそうです。ペタライト……。なにやらハイパワーな石といわれていますが、私の頭には、土鍋ストーンとして、インプリンティングされております……。
2007/03/06
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以前にも1回登場した、クォンタム・クアトロ・シリカです。産地はナミビア。スモーキー・クォーツにクリソコラ、シャッタカイト、ダイオプテーズ、マラカイト……といういずれも銅系の青~緑の鉱物が内包されているといいます。時には、アホーアイトが内包されているとする説明も見かけますが、これについては定かではありません。一つ目のクォンタム・クアトロシリカ、を買ったときは、珍しいみたいだけど、何だかパッとしない石、というかんじだったのですが、第2弾のこの石でイメージ一新。すごくきれい!大きさは一つ目に比べるとかなり小さなタンブルですが、その分色のきれいなところを選りすぐり、という感じです。1つ目と2つ・3つ目の中間くらいの色合いのビーズがあったら、ちょっと使ってみたいところです。サーペンティンから始まった緑の石が気になる症候群が、ここのところの温かさに釣られて、彩度を増してきたのでしょうか。こういう石とか、水色と青、緑がきれいに縞模様になっているクリソコラの磨きものが気になります。これら気になる水色~青~緑の色合いの元は銅。そういえば、ドゥルージー・クリソコラを取りあげたとき、ジェムシリカとも言われるどうルージー・クリソコラには女神の力があるとされており、同じく銅の鉱物であるマラカイトにもウラルで女神のイメージが重ねられている。果たして女神のイメージは、この色によるものなのか、「銅」という成分によるものなのか……なんてことを考えたことがあります。そのときは、さて……というかんじで終わってしまいましたが、面白い本を見つけました。いわゆるパワーストーン本なのですが、なんと、石の成分に対してもパワーの解説を行っているのです。たとえば水晶(SiO2)の成分である珪素(Si)は地球の地殻に珪素が多くあることから「大地と繋がる」というような力、酸素(O)は、そのまんま酸素と「酸化」のイメージから、心身に意活力を与えるとか、集中力、増幅力と言う力があるのだというのです。合わせてSiO2(水晶)だと、「大地とつながり活力を与える」と言うことになるわけで、なるほどオールマイティなパワーストーン水晶にぴったり。で、銅はというと「成長」や「安眠」「勇気」「積極性」……うむむ。女神とは……やや微妙。命を育む母神として「成長」……、子供を守る母のイメージで「安眠」……く、苦しい。ところで、こういう考え方は新たなアプローチで面白いし、個人的には好きですけれど、まず石についての意味ありきで、それに対してこじつけているようでもありますね。
2007/03/05
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ワイルド水晶好きさんには、たぶん有名な産地……オレンジリバー産のスモーキーです。オレンジリバーは、アフリカ南部、南アフリカとナミビアの国境沿いを流れる川で、その周辺で産出する水晶を「オレンジリバー水晶」と呼んでいることがあります。地図で言うと、こんな感じですね。オレンジリバー産、またはオレンジリバー水晶といってもタイプはさまざまで、エレスチャルのようなものがあったり、色の濃いアメシストがあったり、中にはもしかして赤いペンキを塗ったんじゃ……? と、つい疑いたくなるようなヘマタイトの鮮やかな赤に彩られた水晶や、それがファントムになったものがあります。全体的には「土がついたまま」とでも言いたいような、プリミティブで大らかな水晶が多いので、ワイルド水晶好きさんにはたまりません。その例に漏れず、私もオレンジリバー水晶大好きで、いくつか持っているんですけど、どれも小さなものばかり。どうも我が家ではマダガスカル産にちょっと後れをとっているような……どうしてなんだろう、面白い水晶が多いのに。さて、今回の水晶は、やはり小さなオレンジリバー産水晶です。2006年に新たに発見されたそうな、透明感と照りに優れたスモーキーです。スモーキークォーツは、水晶(石英)としてはありふれたもので、僅かに色づいているものも含めるならば、産出量は無色透明な水晶に匹敵するか、もしくは多いのではないかと思われます。しかし、水晶として(つまり、結晶の形を残していて)形が美しく、透明度や輝きに優れたもの……、内包物や共生鉱物ぬきで、エレスチャルのようなものを省き、純粋に原石状態で観賞に堪えるスモーキーとなると、意外にその産地は限られているかもしれません。美しいスモーキーとして名高いのはアルプス産。産出量が多いだめに美しいものも出てくる、ブラジル産。そのほかとなると、私が知っている限りでは、ロシア、ウラル山脈のプイバ、パキスタン北部。話には聞くけれど、実際にきれいな原石を見ていないのがマダガスカル。もうちょっと規定をゆるめるならば、アメリカのコロラド、オーストラリア、カザフスタン、マラウィ。中国は、ガーネット付と言うことで有名ですし、ネパールのガウリシャンカールは、表面がいまいち美しくない。インドは、アメシストと混じったり、内包物の美しさで知られています。もちろん、ひとつひとつの石を見ていけば、他の産地でも美しいスモーキーがあるでしょうが、まとまって品質の良いものが出る所となると……。意外にこれが難しい。そこにこの度、オレンジリバー産が加わったわけです。この産地と、ナミビアなどでは、これまでにもエレスチャル状のスモーキーが出ていましたが、今回の産出はスタンダードなスモーキー。しかも照り良し透明度良しの美人石です。どれくらいの量が算出し、これからも安定して出回ってくれるのかどうかはちょっとはっきりしませんが、ツヤツヤきれいだったので、ついひとつ……。スピリチュアルな分野では、やれグラウンディングだ、第1チャクラだと、ちょっぴり地味で「縁の下の力持ち」的な扱いのスモーキーですが、透明度と照りに恵まれたスモーキーは、本当に美しい!その色合いにもかかわらず「光の石」とでもいいたい感じなのです。
2007/01/10
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ボツワナ・アゲートです。ルースのつもりで買ったものではないのですが、この形ではルースということになるんでしょうか。真実ボツワナでこういうアゲートが採れるのか、このようなデリケートな色合いで縞模様のアゲートを慣習的にボツワナ・アゲートと呼ぶのか、ちょっとわかりません。このようなみかけのものは、ビーズでもルースでもボツワナ・アゲートと呼ばれているので、ボツワナ産だろうと思うのですが、このアゲートの他にボツワナ産の石が思い浮かばないので「なぜ、この石だけ?」とちょっと不思議に思っています。とにもかくにも、ボツワナ・アゲートというのは、淡めの茶色~ベージュ、ピンクベージュの色合いで、繊細な縞模様が入っているアゲートを指しています。そういえば、ビーズやルースは見かけますが、手頃な大きさの原石はあまり見かけないかも……。そんなわけで、原石派石好きたる私としては、ちょっと距離がある石で、これまではボツワナ・アゲート=繊細な縞模様石というイメージだったのですが、この度マクロレンズで大アップにしてみて、改めて発見。アゲートの成り立ちを考えれば、当たり前といえば当たり前なのですが、この模様は「立体構造」なのです。写真の石は、不透明な層と半透明の層が規則正しく繰り返されているために、その立体具合がよくわかります。まるで筒状に巻いた紙のよう……。母岩である石のすきまを年輪のように層を作って埋めていった様子が思い浮かびます。でも、アゲートには年輪模様のものもあり、途中から水平模様に変わっていたりと、謎な模様も多々。どうやってこんな模様ができたのか、想像するのも楽しいです。
2006/12/01
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ブラジル産の淡く輝くシトリンに続いて、ずっしり重量感のある色合いの「アフリカン・シトリン」をひとつ。コンゴ産のシトリンです。茶色がかっているというのとも、渋みのある色合いというのともちょっと違う、こっくりと深く力強いアースカラー。もっと色合いが淡く透明感のあるタイプも見られますが、コンゴ産のシトリンというと、写真のような力強い色合いが頭に浮かびます。写真の石は、私の初・天然シトリン。繰り返しになりますが、天然シトリンは案外少ない、もしかしたら熱処理の可能性もあるかもしれないと言われる中で、この産地のものはナチュラルな色合いであると言われているようです。この石ではあまり現われていませんが、みごとなキャンドル状になっているのもあって、いつか手に入れたいものだと願っています。シトリンはその色合いから、金運に良いとか太陽の光のイメージだとか言われますが、コンゴのシトリンについては、金運よりも陽光よりも、「大地」のイメージ。太陽の光だというのならば、アフリカの大地を染め上げる、壮大な夕暮れの燃え上がる金色でしょう。コンゴ産のシトリンは、別名を「クンダリーニ・クォーツ」と言われるそうです。少なくとも、海外サイトでは、コンゴ産のシトリンをクンダリーニ・クォーツと紹介しています。クンダリーニ(Kundarini)とは、インドのサンスクリット語で「とぐろを巻くもの」という意味の言葉です。ヨガの分野において、脊髄の底部に宿り、第1チャクラから第7(または第8)チャクラにむけて螺旋を描きながら上昇する大地のパワー、生命の根源的な力であるといいます。インドにおけるヨガの世界のイメージが、なぜアフリカの水晶に重なるのかは謎ですが、この水晶に大地の力を見る発想には賛成です。時にヘマタイトであると思われる赤茶けた土っぽい汚れが付いていたりしても、そんなことなどお構いなしに、悠然と大地の威厳をまとう深い金色の水晶……。キャンドル状の堂々たる姿の石を、いつか手に入れたいものだと思っています。
2006/11/26
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こういうのもルースと言うのでしょうか。単にスライスして磨いただけなんでしょうか。ものはカルセドニー(またはアゲート)。ピザのひとかけらのような形をしていて、一辺はわずかに1センチちょっと。産地はちょっと珍しいイラクです。「えっ、イラク? 珍しい」……と、まずは産地に目を惹かれたことを白状してしまいますが、同じくらい惹きつけられたのがその色。蜂蜜色……というよりも、もっと明るい「金色」。同じ籠にあった石は、蜂蜜色の濃淡……茶色から写真のような「金色」までのバリエーションでした。人工的な色合いではなく、また、その色のばらつき具合を見ても、染めではない……と思います。わずか数ミリの厚さなのに、光に透かせばアゲート、いやカルセドニーらしいもこもこ模様。これは、水晶で言えばファントムのようなもので、石の表面がでこぼこしているわけではありません。アゲートで、ナチュラルな透明感のある金色(黄色)は、あまり見たことがないように思うのですが……。ともあれ、小さな石なので、なくさないように気をつけなければ。
2006/11/21
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ナミビアはブランドバーグ産のアメシストです。ナミビア産のアメシストといえばスタイリッシュな長柱状……というイメージがあるのですけど、この石は、ちょっぴりエレスチャル(骸晶)風味のころんとした結晶がいくつかくっついた形。しかし、鮮やかな色合いと照りは、なるほどブランドバーグ。一番外側が透明になっているらしく、そこが全体的な輝きと透明感を一層パワーアップしているようです。輝きに縁取られていながら、深みと透明感のあるその色合いは、何ものにも代え難い美しさですが、写真に撮る場合は、カメラマンの腕を厳しく問う色でもあります。光によっては、青っぽくなったり、赤っぽくなったり。色の補正を間違うと、時には緑っぽく(!?)なったり。撮影時に黒い背景を使うか、明るい背景を使うかも思案のしどころです。明るい背景は、表面近くの透明度をはっきり伝えてくれますが、深みのある紫色だけに石の方が暗く沈み込んでしまいます。ツヤツヤぴかぴかの照りを写すのは黒背景ですが、今度は透明感があだになって、背景の黒を透かしてしまう……。美人石であるだけに、ブランドバーグ水晶のお気に召す写真を撮るのはいつも以上に難しいです。ふう。
2006/10/20
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モロッコ産のイエロー・フローライトです。フローライトであこがれの色と言えば、ブルー、そしてピンク。それに次いで比較的レアな色といえば、黄色かもしれません。スペインやフランス、モロッコ、イリノイ(アメリカ)など、各地で黄色いフローライトは産出しているのに、緑や紫に比べると確かに少ない色です。そしてひときわ鮮やかな色でもあります。イエロー・フローライトはフランス産のものがすでに登場していますが、今回はモロッコ。色合いは、フランス産に比べて、ちょっとレモンイエローです。モロッコ産らしく、表面に小さな水晶もくっついています。このモロッコ産、フランス産と立て続けにイエロー・フローライトを手にする機会に恵まれたので、以後はあまり注目していなかったのですが、考えてみるとやはり黄色は少ないかもしれません。さて、このモロッコ産の魅は、さわやかな色合いと水晶のおまけだけではありません。表面に光を反射させると……まるで、何かの設計図のような模様。すべてが黄金の光に包まれたエルドラドの地図。……そんなイメージがふくらみます。
2006/10/15
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ナミビアはブランドバーグ産の水晶です。ブランドバーグ産の水晶は、けっこう有名になってしまって、「ブランドバーグ産の、長柱状で透明感が高くて、エッジがぴしっとしたスモーキーまたはアメシスト」がひとこと「ブランドバーグ水晶」で通じるようになりました。(もしかして、私の周囲だけでしょうか?)上に挙げたような条件を備えた水晶は、「ブランドバーグ」と呼ばれますが、その中でレピドクロサイトが派手に入った水晶は、「ハーレクイン水晶」とか「ファイア・クォーツ」と呼ばれることがあります。写真の水晶は、「ハーレクイン水晶」という表示で売られていました。個人的には、マダガスカル産のレピドクロサイト入り水晶のように、たっぷりとレピドクロサイトが内包されたものをファイア・クォーツ、今回の写真のように、やや少なめでレピドクロサイトの結晶ひとつひとつがはっきりと見えるものをハーレクインと呼びたいです。さて「ハーレクイン」という名前で連想するのが、「ハーレクイン・ロマンス」。ハッピーエンドが特徴の海外ロマンス小説です。実は、インコなどの羽根色の名前として「ハーレクイン」というのがあり、これは「まだら」の意味であると聞いていました。そのため、水晶の「ハーレクイン」も「まだら水晶」の意味であろうと思っていたのですが、頭に浮かぶのは「ハーレクイン・ロマンス」。読んだことはないのですけれど、この「ロマンス」のおかげで、なにやら水晶まで「ロマンス」なイメージを帯びてきそうな気配です。「ロマンス」が「まだら」ってどういうこと?不思議になって「harlequin」を辞書で調べてみてびっくり。確かに「まだら」という意味もあったのですが、むしろ主たる意味は「道化者」だったのです。フランス語で言えば「アルルカン」、トランプのジョーカーなどで時々描かれている、赤と黒のダイヤ柄のタイツを身につけた道化師を思い浮かべて頂ければ合っているかと思います。むしろ「まだら」の意味は、この道化師の服の模様からきているようです。つまり水晶の「ハーレクイン」は、「ロマンス」ではなく「道化師の服のようなまだら模様のハデハデ水晶」だというわけです。個人的にファイア・クォーツと区別した、「内包されたレピドクロサイトのひとつひとつがはっきり見える」という条件は、偶然にも的を射ていたと言えます。では……「ハーレクイン・ロマンス」のハーレクインは?もしかして「道化師・ロマンス」、本人(主人公)は必死でも、端から見たら笑えるロマンス……という、実はスパイスのきいたネーミングなのでしょうか。ますます気になって調べてみたら、「ハーレクイン」は、出版社の名前でした。しかもこの「ハーレクイン社」、今でこそロマンス中心の会社ですが、当初は幅広いジャンルを出版していたのだそうです。それなら、ハーレクイン(道化者)でも、まあ……いいか。……というわけで、ハーレクイン水晶は、ちっともロマンスではなかったのでした。
2006/10/11
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モロッコ産のヘマタイトです。ぶどう状結晶とか、肝臓状結晶とかいわれます。なんというか、ヘマタイトらしいガンメタル色の泡がぶくぶく集まったものが、そのまま固まった……という感じの、ちょっと石とは思えないようななめらかでいて生き物めいた石です。本当は、もうちょっとぼこぼこ面積が大きい石が欲しかったのですが、予算の都合でコンパクトサイズに(笑)。しかし、ちゃんとぼこぼこした形状とその断面が見えます。ボルネオ産 ヘマタイトナゲットの時にも言いましたが、黒い輝き、鉄らしい重量感、この手ざわりと重さがたまりません。ところで、この形状、この色の結晶でヘマタイトではなくゲーサイトである場合もあると聞きました。ヘマタイト(赤鉄鉱)も、ゲーサイト(針鉄鉱)は、成分と結晶形が若干違うものの、どちらも酸化鉄の鉱物です。写真の石は、見るからにまっ黒というか、黄色みがかったところのない、シルバー・グレーなので、ヘマタイトであろうとは思っているのですが。この黒い輝きと存在感を映したくて、あえて選んだのが黒バック。メタリックな輝きの反射のみで形を浮かび上がらせてみました。結晶の断面も同時に映すことができた、お気に入りの一枚です。
2006/08/29
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パワーストーンとしてもおなじみの石に「タイガー・アイ」があります。その青黒バージョンがホーク・アイ。これらの石は、クロシドライト(青石綿)に石英が染みこんだ「クロシドライト・クォーツ」であるとされています。青石綿というだけあって、クロシドライトの元々の色合いは青(青黒)。つまり、ホーク・アイと呼ばれている石の色合いです。一緒に含まれていた鉄が酸化すると黄色~茶色のタイガー・アイになり、さらに人工的に加熱すると赤くなり、「レッドタイガー・アイ」とか「ブルズ・アイ」と呼ばれています。逆に脱色してクリーム色やグレーになっているものもあり、グレー・タイガー・アイと呼ばれたりしています。さらに脱色したものを緑やピンクに染めたものもあるようです。本来、石英は結晶しているので染料では染まりませんが、タイガー・アイの場合は中に繊維状のクロシドライトがぎっしり入っているのでそこに染料が染みこんで染めることができるようです。タイガー・アイとホーク・アイが混じったものを「混虎目石」、ホーク・アイからタイガー・アイに変化する途中(酸化する途中)の灰緑色のものを「ウルフ・アイ」と言うそうですが、この用法は聞いたことがありません。タイガー・アイのタイガー・アイたる所以はこのクロシドライト。繊維状のクロシドライトが一定方向に並んでぎっしり内包されているために、底に光が反射して、キャッツ・アイ効果にも似た、太い光の筋が現れて、色合いとその光が「虎の目のようだ」というのでその名がつきました。青石綿の並びとぎっしり具合がキモなので、石英の分量が多くなってきれいな光が現れなくなると価値も下がり、「タイガー・クォーツ」と呼ばれたりします。パキスタンの青水晶も、実はクロシドライトの内包による青なので、たまたま青く見えているために青水晶になりましたが、これも「タイガー・クォーツ」の一種と言えます。さて、タイガー・アイの主な産地は南アフリカ。この南アフリカのお隣、ナミビアではちょっと変わったクロシドライト・クォーツが出ます。ピーターサイトです。ピーター・サイトは一口で言ってしまえば、タイガー・アイとホーク・アイが混じってかき混ぜられたような石。別名をテンペスト(嵐)・ストーンと言うそうです。ピーターサイトの名前は、1962年にこの石を発見したSid Pietersにちなみます。写真の石は東急ハンズ(笑)で買ったタンブルで、比較的石綿繊維が平行に並んでいますが、もっと大きな石では、まるでモザイクのようにあっち向きこっち向きに混ざりあってある種の抽象画のような美しい模様を作り出しています。これは、地球の地殻変動によってバラバラにされたり押しつぶされたりしたためだそうです。さらに、1993年には中国でも発見され、1997年から流通するようになりました。中国産ピーターサイトはナミビア産がクロシドライトを含むのに対し、マグネシウムリッチな角閃石を含み、色合いも金~赤みを帯びた部分が多いもののナミビア産ピーターサイトによく似ています。個人的には、ピーターサイトは青(青黒)が中心で、複雑な光を浮かべたものがいい……と思っているのですが、こんなのも買っちゃいました。長径4センチほどの薄いカボション(?)です。確かに青もあるのですが、金色も混じり、さらには赤まで。(実物はもっと渋い色合いです)確かナミビアだと言われていたのですけれど、どうでしょう?また、「クロシドライト・クォーツ」と書きましたが、「クロシドライト・アゲート」と紹介しているところもありました。「クォーツ説」が多いのですが、この赤い部分を見ていると、「アゲート」説にも納得してしまいそうです。
2006/07/22
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11月10日に続いてリビアン・グラス第2弾。北アフリカのリビア砂漠で見つかることからリビアン・グラス、またはリビアン・ガラス、リビアン・ゴールド・テクタイトリビアン・デザート・グラスの名前があります。リビアン・グラスとしては、こちらの色合い、形の方がスタンダードです。満月の光をゼリーにして、スプーンでひとすくいしたら、こんな感じになるんじゃないでしょうか。ぽつんと乗った星くずのトッピングは、クリストバライトだと聞きました。モルダバイトと同じく隕石の衝突によって地球上の岩石が溶けて飛び散り固まったものであるという説が有力で、機嫌は約3300万年前とも2800万年前とも言われています。黒に近い褐色や緑など、濃いめの色合いが多いテクタイトの中ではひときわ目を惹く明るい色合いとなめらかな質感が特徴です。要は天然ガラスなので、水晶よりもモース硬度が低いです。とんがったところなどは欠けやすいので、取り扱いにはご注意を。新宿ショーでは、モルダバイトと並んで大量に量り売りされていました。それも一つのブースだけでなく2~3か所のブースで、けっこう山積み状態。質はともかくこれだけ採集され、流通するということは、もともと存在している量が多いということでしょうか。……ということは、遙か昔、モルダバイトやリビアングラス形成のもととなった隕石が地球に衝突した際の衝撃はいかばかりだったでしょう。これらのテクタイトは天然ガラスですから、どう少なく見積もっても、会場で見かけた分の溶けたガラスの雨が降り注いだということで……うわあ。どろどろのものが降り注いだのではなく、空中で固まったものということになりそうですが、それでも想像すると……。
2006/06/11
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狂喜乱舞のミネラルショーも終わってしまいました。目玉がないよ、人が多すぎだよ、要チェックのお店が来ていないよと愚痴をたれつつも、終わってみればいつもの如くの戦利品。ミネラルショーという場所には、お財布を軽くする魔物が棲んでいるに違いありません。でも、人混みに負けず、時にお昼を食べることさえ忘れてゲットした石達を前にすると、思わず顔がにやけます。昨日の天気予報では、天気が思わしくないかと思っていたのですが、予想に反していい天気♪ ここぞとばかり写真を撮りまくりました。カメラを向けてレンズ越しに石と向かい合うと、新たな発見をする石もあり、予想通り撮影しにくい石もあり……という感じで、ミネラルショーの会場で、興奮状態で見ていたのとは違った表情が見えてきます。新宿ショー戦利品のトップを飾るのは、この石。アルジェリア産のアメシストです。モロッコ産の鉱物や化石を出品されているドイツ人の方のブースでゲット。新しく見つかった水晶だそうで、サハラ砂漠で水晶が見つかったのは初めてなのだそうです。一緒に並んでいた石たちは、ほとんどが単結晶。多くても二つ三つの結晶がくっついている程度で、大きなクラスターは見かけませんでした。また、結晶の根本は割れているのではなく、母岩からきれいに剥がれたような感じになっています。おそらく、砂のようなもろい母岩に結晶したのではないかと思います。この石の特徴は、なんといってもこの色。形の整った透明な結晶の中に、色鮮やかなアメシストファントムが浮かんでいます。非常にきれいな紫色なので、この石がおいてあるコーナーは、ぱっと華やかに見えるほど。両錐(DT)の結晶では、両端にアメシストファントムが入っています。さらに、よーく見ると赤いゲーサイトも入っています。おお、美しい!アメシストファントムはアメシストファントムなのですが、クリアな水晶にはっきりとしたアメシストファントムがはいっているものを、「パープル・フレーム・クリスタル(Purple Flame Crystal)」と呼ぶという用法を海外サイトで見つけました。意味はさておき、ちょっとカッコイイので使ってみました。私の場合は、カメラを向けることは、視界の中から石だけを切り取り、石と一対一で向かい合うことだと思っています。そうやって見ていくと、先に挙げたように、石が育った母岩の様子が見えてきたり、鮮やかなファントムが、実は何層にも重なっている様子が見えてきたり、肉眼ではなかなか見えないゲーサイトが、炎の火の粉のように見えてきたりします。整った結晶であるということは、ゆっくりじっくり成長してきた可能性があるわけで、ゆっくり成長していく間に環境が変り、色が変わったり、何層にも重なったファントムをが作られてきたのでしょうか。そんなことを考えながら見ていると、水晶が育ってきた大地の揺らぎが、感じられるような気がします。
2006/06/07
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ザンビア産のアメシストです。ちょうど一年前の新宿ショーでの戦利品です。大きさは2センチちょっと。例によって超拡大しています。根本が白くて、先端にいくにしたがって色が濃くなるアメシストは見かけますが、根本が紫で先端が白、しかもこんなにきっぱり色が分かれている石は、はじめてみました。コーンの上に山盛られたソフトクリームのようで、ちょっぴりキュート。写真では、白い層とアメシストの境界まで写って、びっくりしました。私は、ウルグアイ産のような色の濃いアメシストの上に、白い層が結晶した色変わり水晶を分離したものかと思ったのですが、お店の人は、単結晶状になったアメシストの上に白い層が結晶した、つまり、一種のセプターだと言います。ルーペで見てみても、何とも言えません。分離結晶であれば、白い層の側面にも分離した折りの剥離痕があるはずですが、それがなく、かといって、アメシストの部分は分離単晶のようで、単独で結晶したようには見えません。この石のクラスターが出てくれれば、一発でわかるんですけど……。いつも、「お買い得コーナー」を作って下さり、「ゼンブ、センエン(全部、千円)」と、片言の日本語で呼び込みをしているおじさんのお店に、今年も行かねば。
2006/05/28
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昨日の雑記に、コメントをいただきました。ジェムシリカと似たナミビア産の石を買ったが、それにはアホー石が入っているらしい。アホー石入り水晶は、南アフリカの、メッシーナでしか出ないと聞くが、さて……というお話です。ジェムシリカと似たような石でナミビア産というと、最近、どうやら人気(らしい)この石であると思われます。ヒーリング分野における名前を「クォンタム・クアトロ・シリカ」といいます。エンジェル・ストーンと呼ぶこともあるようです。海外サイトではミレニアム・ストーンという名前も見かけました。(エンジェル・ストーンやミレニアム・ストーンは、似たようなパワーがあるとされる一群の石に付けられたグループ名かもしれません)確かに、水晶(スモーキー・クォーツ)に銅系の青や緑の鉱物が何種類も混ざった石です。だけど、アホー石なんてはいっていたかなあ?別館サイトの用語集番外編の「この石って何?」のコーナーにメモとして載せておいたはずだけど……と、確認してみると、私がメモしたのは「クリソコラ、シャッタカイト、ダイオプテーズ、マラカイト」。ひょっとして間違えたかと再度検索すると、今度はアホー石が入っているという情報が。……というか、サイトによって挙げられている石が違うんですねえ……。リストアップすれば、最初に挙げた4つプラスアホー石。まあ、いずれも銅の二次鉱物で、青、水色、緑の似通った色合い。私にはどれがどれやら見分ける自信はありません。念のため、画像検索から海外サイトを見てみるとやはりサイトによって挙げられる石は若干違うものの、私が見た限りではアホー石は挙げられていませんでした。考えられるのは、(1)日本サイトの情報の間違い(2)アホー石入りもあるの2つ。実物を見ても区別が付かないので、なんともしようがありませんが、一つのサイトで発信された情報が、まるで伝言ゲームのように形を変えながら広がっていくのは良くあることです。情報発信には複数の情報源からの裏付けをとるようにしたいものです。もちろん、間違いではなく希にアホー石入りもあるのだということも考えられます。何といってもナミビアはメッシーナ鉱山を擁する南アフリカ共和国のおとなり。鉱脈が続いていて、アホー石メインのインクルージョンはなくても、混ざったものが出るってことかも!……と意気込んで調べてみたら、メッシーナとナミビアはだいぶん離れていました。クォンタム・クアトロ・シリカがナミビアのどこで採れるのかはわかりませんが、とにかく離れています。しかし、シャッタカイトとカルセドニー、シャッタカイトとダイオプテースの組み合わせがナミビアのMesopotamiaというところから、シャッタカイトとマラカイトの組み合わせがコンゴから、シャッタカイトとアホーアイトの組み合わせがアリゾナから出ていました。問題は、それに水晶が染みこんで硬くなっているかどうかなのです。個人的には、アホー石入りがあってもおかしくはないけれど、クォンタム・クアトロ・シリカにはアホー石が入っているものがありますと言ってしまえるほど多くはないのではと思います。正直、アホー石入り水晶はレアなものであって欲しいと思う気持ちと、どこかで新たにたくさん発見されて、手頃な石になってくれないかなあ……という気持ちがせめぎ合っています。
2006/04/29
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2005年の新宿ショーの最後の伏兵……アフリカはマラウィの青黒水晶です。リーベック閃石(リーベッカイト)が針状に内包されているせいで、一見黒、しかし光に透かすとふか~い青に見えるのです。知り合いの石好きさんに見せていただいて以来、探していたのです。池袋ショーで、メテオラだなんだと散財した後に見つけて、撃沈されました。探していたけれど、あるとは思っていなかった……。最初に見せていただいたものは、リーベック閃石がもっと細く、まるでベルベットのような質感でしたが、これははっきりと針状で、光によっては黒から灰色っぽく見えます。慎重に光を選んで、やっと青く写すことができたので、お披露目です。この青い色の原因であるリーベック閃石は、実は石好きさんなら必ず眼にしたことがあるであろう石にも含まれています。この青黒い色合いに、見覚えがありませんか?それは……ホークアイなんです。ブルー・タイガーアイと呼ばれていることもありますね。タイガー・アイのグループは、クロシドライトという、繊維状の鉱物に石英が染みこんだものです。繊維が一方方向にぎっしり入っているために、あの独特の光の動きが生まれます。そして、クロシドライトとは、リーベック閃石が繊維状になったもののことなのです。ホークアイには、クロシドライトがそのままの色で入っているために青く、タイガーアイは、酸化しているために黄色~茶色になっています。(レッド・タイガーアイは、加熱してさらに酸化させてあるので赤いのだそうです)パキスタンの青水晶やアフガニスタンの青水晶も、クロシドライトによる青だと言われています。ホーク・アイよりも、ずっと石英の割合が多いというわけです。そして、写真の石はクロシドライトのように繊維状ではなく、針状なので、リーベック閃石ということになります。ところで、今まで「アエリナイト」のインクルージョンによる青だと言われていたスペインのマラガの青水晶に、「マグネシウム・リーベック閃石」のインクルージョン説が出てきました。ちょっと、色味が違うような気がするんですけど……。
2006/02/21
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やっぱり、地味な石も(笑)タンザニア産の川流れ水晶です。おまけ石です。ミネラルショーで、顔見知りの石屋さんで買い物をしたら、「タンザニア産だよ、あげるよ」と品物と一緒に袋に入れられ、我が家にやってきました。直径は1.5センチほど。ちょうどビー玉くらいですが、まん丸ではなく、丸餅のように平べったいです。川流れ水晶とは、読んで字の如く、露頭していた石英が自然に川に落ち、どんぶらこ、どんぶらこと(……ちょっと違う?)転がりながら流れ下っていくうちに、角が削れて丸くなった水晶(石英)のこと。パワストでおなじみのタンブルは、タンブリング・ドラムという機械に石を入れて、ごりごりごりごり回して丸くしたものだそうですが、川流れ水晶は、いわば天然のタンブルストーンというわけです。つやつやの機械製タンブルストーンに比べて、天然タンブルストーンの表面はつや消し。表面はサラサラした感じで、意外に手ざわりがいいです。ブラジル産では、アメシストやローズクォーツの川流れ水晶があって、内部が見えるように、一面が磨かれていることが多いようです。一般に、原石よりもポリッシュ、ポリッシュよりもカット……と、人が手を加えた形の方が、パワーがマイルドになるのだということですが、この場合はどうなんでしょう?確かに「角が取れて丸くなって」いますが、それは、自然の力によるもの。結晶の形の水晶とは異なり、水の流れや、水の中の生き物や、四季の移り変わりなど、自然のリズムを刻み込まれて流れてきた……と言えそうです。(河原の石はすべてそうですけれど)こんな半透明の小石がころころしている河原を、歩いてみたいものです。
2006/02/13
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たまには華やかな石も。モロッコ産のコバルト・カルサイトです。私は、カルサイトに対して、「生命」のイメージを持っています。その理由はいくつかあります。くわしくはこちらに書きましたが、カルサイトあるいは、カルサイトを成分とする石灰岩は、太古の地球の大気に満ちていた二酸化炭素が、カルシウムなどと結びついてできたもの。二酸化炭素がカルサイトなどに固定されることで大気中の二酸化炭素が減り、地球に生命が誕生する環境が整った……と考えられていることが一つ。もうひとつは、カルサイトの結晶の多様さです。まるで、環境に合わせて自らを変え、その勢力範囲を広げてきた生命のように、カルサイトも実にさまざまな形をとります。その多様さは水晶を軽くしのぎ、カルサイトという同じ石であるとは思えないほど。さらに、水晶よりもずっと軟らかくて、みずみずしい感じを受ける結晶が多いことも、理由の一つに数えられます。さて、コバルト・カルサイトは、多様なカルサイトの中でも華やかな色合いの石です。この石を知った最初のころは、母岩に薄くへばりついたような標本しか見たことがなかったのですが、ミネラルショーで、はっきりと結晶の形をしたものを見つけ、「カルサイトは軟らかいし……」などとぶつくさ言っていた自分を忘れて買ってしまいました。ホクホクと買い込んだ写真の石は、長いところで4センチほどと小ぶり。結晶も、真ん中に近いあたりにダメージがあります。しかし、もっときれいな石をさしおいて、私の好みにヒットしたポイントがあります。なんと、ヘマタイトとも思われる赤いファントム入り♪右側の拡大画像だと、ちゃんと見える……かな?ローズクォーツのピンクよりは、若干紫がかったようなピンク色の中に赤いファントムが封じ込められている様子は、花びらか、あるいは、イソギンチャクなどの海の生き物のよう。軟らかくて、繊細で、あたたかみがあって、やはり生命のイメージがふさわしい石なのです。ところで、ちょっと気になる話があります。コバルトカルサイトとして売られている物の中には、カルサイトではなく、ドロマイト(苦灰石)であるものがあるというのです。ドロマイトは、カルサイトに似た鉱物ですが、成分にマグネシウムを含みます。もしかして、最初のころにみた、母岩に薄くへばりついていたタイプは、ドロマイトだったりして……。
2006/02/12
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スギライトです。親指の爪くらいの小ささなので、タンブルというよりチップ、という感じでしょうか。以前に一度紹介していますが、丸玉やビーズでは、一見黒?……と思ってしまうくらい色が濃かったり、青っぽい色が混じっていたりします。青っぽい部分が多いスギライトが、ブルー・スギライトとして売られていましたが、青い部分はリクトライト(正式にはリヒテライト)です。ところが、このスギライトチップは、大きさこそちいさいものの、色合いはかなり鮮やか。ピンクがかった紫というか、すみれ色というか、なかなか美しい色合いです。まるで透けそう……と思って透かしてみたら、やっぱり透ける!スギライトは、ほとんどが塊状で産出しますが、まれに小さな結晶も出るのだそうです。もちろん、写真の石は、結晶ではありません。結晶の実物は、見たこともありません。どうやらこの石、カルセドニーが混じっているらしいのです。絵の具のチューブから出したばかりでは、黒っぽかったのが、水に溶いたら鮮やかな色になった……というところでしょうか。均一な色合いで透けているのではなく、微妙な濃淡がある様子は、夜明けに輝く雲が空にかかっているよう。「暁の色」そう言い表してみたくなります。
2006/01/24
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石屋さんで、思いがけない石に一目惚れしてしまったり、何故か惹かれて目を離せなくなった石があると、「石に呼ばれた気がする」……なんて言うことがありますね。ところが、私は石に笑いかけられちゃいました。そりゃもう、とびっきりの笑顔で。すてきな石を見つけちゃった!……というのじゃないですよ。いや、すてきな石であることには、間違いがないのですが、本当に笑顔なんです。プレナイトです。和名の葡萄石という名前の通りのマスカット・グリーンのまんまる。表面はつや消しですが、そこに笑顔が浮かんでいるのです。こんな笑顔を見せられては、もう、お迎えしないわけにはいきません。「名前をつけたくなるよね」と、石屋さんにいわれて、答えました。「ニコちゃんにします」それ以外、ありえません。あだ名、即決です。お約束で目を入れてみました。さて、この石、エピドートの上に結晶しているらしく、後ろ姿もキュートです♪
2005/12/14
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エチオピアのアメシストです。同じ産地のアメシストが、すでに雑記に登場していますが、同じ時に買ったのではなくて、同じお店で2回目に入荷したときに買ったものです。ちょうどそのときに居合わせた知り合いの石好きさんには、「一つ持っているのに、どうして?」と不思議な顔をされてしまいました。確かに、同じ産地のアメシストで、しかもそれぞれ同時に入荷した石の中から、色が濃く照りの良いのを選んでいるので、色合いも似ています。どちらかがクラスターならばまだしも、双方単結晶です。どこかに「変」なところがあるわけではありません。実は、「その産地らしさ」に惹かれてしまったのです。ふだん、産地のスタンダード・タイプよりもどこかに「変」なところがある石を選ぶ私には、ちょっと珍しいことです。もっとも、エチオピアのアメシストはあまりみかけないので、「特徴」と言い切っていいものかどうか、ちょっと心配ですが、私が、この産地、つまりエチオピアのTgray州 Nekemte(もしかしたらNekemteではなくてMekeleかもしれません)のアメシストの特徴と思っているのは●やや赤みを帯びた紫色●根本までしっかり色づいているそして、2つ目の石に求めた第3の特徴●内部の網目のようなミスト(霧状のインクルージョン)水晶は、根本のあたりが白くなっているものが多く、その白い部分は霧状のインクルージョンとなってさまざまな表情を作っていますが、私が見たエチオピアのアメシストは、このミストが筋状になって、いく筋もゆらめくように立ち上り、網目状に見えたのです。ミストはたくさんの水晶に見られますが、一つの産地の石ほとんどに同じ表情が見られるというのは、案外少ないように思います。ネパールのアンナ・プルナ水晶も、内部のミストに特徴があると思いましたが、それ以外では思い当たりません。「このミストの表情をもっと見たい」……というわけで、ちょっとのっぽなこの石を買ってしまったのです。絶妙な濃さの紫の中にゆらめく、幻想的なミスト。がんばって写してみたのですが、いかがでしょう?
2005/12/09
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いつのまにやら12月。クリスマス・カラーのシーズンです。そこで、トップの画像をちょっと変更。「石だけサイト」なりにクリスマスっぽい石……ということで、先日紹介したモロッコのレッドクォーツにしてみました。雑記の写真の反対側はこんな感じなのです。赤と白と緑(ついでにちょっぴり青)で、クリスマスっぽくないでしょうか。さて、今日の雑記はトップの画像にあわせてモロッコ産水晶。タイトル通りのこんな石。直径2センチほどの……見れば見るほどコンペイトウ。カルサイトではと疑いましたが、手ざわりと重さ加減はやはり水晶。おそらく褐鉄鉱かなにかの鉄の作用で黄色くなっているものと思われます。不思議なのは、どこにも母岩と接触していた跡がないこと。全面コンペイトウのような突起で覆われています。……ということは、ハーキマーダイヤモンドのように、やわらかい母岩の中で成長したのでしょうか。まん丸というよりは、ちょっと上下に押しつぶされ、突起の分布もまんべんなく放射状になっているのではなく、やや上下2層に分かれているようでもあります。我が家には3つのモロッコ水晶がいますが、どれもかなり個性的。フローライトやアズライト、あるいは化石の方が有名で、影に隠れてしまうモロッコ水晶は、実は、かなりのねらい目かも……と考えています。
2005/12/05
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今日は、ちょっと早めの石雑記です。水晶です。かけらじゃなくて、ちゃんと結晶の形をしています。産地は、ちょっとレアなタンザニア。何と言いましょうか、切れ味の悪い刃物で無理矢理面取りをした……と言い表すのがぴったり来るような水晶です。もちろん、水晶を刃物で面取り出来るはずもありませんが、結晶の角の部分がぎざぎざ、でこぼこに面取りされているような感じなのです。もちろん、欠けているわけではありません。こんな風に結晶してしまったらしいのです。腐食されたのか……とも考えてみたのですが、腐食されたのなら、錐面の平らなところに、▽が出てもいいはずだし、出ていなくても錐面にもなんらかの影響が出るはずだと思うのですが、そんな様子はありません。いろいろな方に聞いてみたら、ボリビアで産出するアメトリンの結晶に似ている…とのこと。アメトリンは、ご存じのように、一つの結晶の中にシトリンとアメシストが混じっているものですが、これはシトリンとアメシストの貫入双晶、つまり、見た目は一つの結晶に見えていますが、実は二つの結晶が互いに食い込むように混ざり合って一つに結晶しているというものらしいのです。貫入双晶には右水晶と右水晶のように、同じ向きの水晶がまざったドフィーネ式双晶と、右と左、違う向きの結晶が混ざり合ったブラジル式双晶があります。(※水晶は、酸素と珪素がらせんを描くように結晶します。「向き」というのは、結晶のらせんが右回転か左回転かということです。ただし、右水晶の場合は結晶は左回転というように、名前とは逆だそうです)アメトリンの場合は、ブラジル式双晶だそうです。なかなか原石の状態で見かけることがないので、ぴんと来ませんが、たしかにアメトリンの原石は結晶面がはっきりしていなくて、写真の石のようにごつごつ、ガビガビしています。写真のタンザニア水晶がブラジル式双晶かどうかはわかりませんが、実は二つの結晶である水晶のつなぎ目が、何らかの理由でちょっとずれて、それが角の部分に現れて、こんな風に「面取り」になってしまったのではないかという話もお聞きしました。ところで、「面取り」ではないタンザニア水晶も見たことがあるのですが、錐面や柱面に、成長の痕跡ではなさそうな斜めにこすれたような線を持つ水晶がありました。もしかしたら、産地として水晶が結晶するときにほかにはない力が加わっているのかもしれません。
2005/11/30
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私のまわりでは、「噛めば噛むほど味が出る石だよね」……というような会話が交わされるときがあります。不思議なもので、店頭やショーで「これ!」と選んで買った石でも、買ったことで満足してしまって、写真を撮る以外は箱の中でお休みになりがちな石があったり、逆に心わしづかみと言うほどでもなかったのに、何故か箱にしまわずに手の届くところにしばらく置いていたりする石があります。もちろん、「噛めば噛むほど味が出る」とは、後者の石に対して使う言葉です。今日の石は、そんな「味」がある石。モロッコ産の、鉄でコーティングされ、アズライトやマラカイトがくっついた水晶です。なぜ、ことさらに「味」かといえば、実はこの石、「2番目」なのです。……というのも、ショーも終盤、例によって散財してしまい、いくらなんでも財布の紐を締めないと……と思っているときに見つけてしまい、「こ、この色いいかも~!」と惚れ込んだ石は、ちょっとばかり値段が高く、ほどよい値段だったこっちの石を買ったのでした。この石も気に入っていたことは気に入っていたのですが、選んだときの心境は、どっちかというと「妥協」に近いものがありました。しかし。今となっては、こっちの石の方が「当たりかも」という気分。鉄でコーティングされた、つまり、全面鉄さび色なのですが、光に透かせばごらんの通りのすばらしい赤。それがアズライトの青とマラカイトの緑、そして一部赤の上をコーティングした白に引き立てられてやたらときれいなのです。(光に透かさなければ、渋い鉄さび色ですが)買いそびれた石の方は、もっと茶色~オレンジ色だったので、光に透かしても、こんな色には見えないはず。形もクラスターだったので、光に透かすことができたかどうかもあやしいものです。それにしてもこの赤。赤といえば、それも鉄系の赤となると、わけもなくわくわく興奮した気分になるのですが、この石に関しては、「静謐な赤」という相反するイメージを抱きます。燃える炎の赤というよりは、熾火の赤。白くなっている部分が灰のようで、空気の流れによって息づくように明るくなったり暗くなったりゆらめく赤。木が炎をあげて燃え、燃え尽きる寸前の輝き。実は形が繊細で、アズライトやマラカイトなど、扱い注意のもろい鉱物がくっついているので、手近なところに置いておくことができない石なのですが、選んだときの「ま、こっちでいいか」という気持ちが嘘のように、何度見ても飽きない、イメージが広がる石なのです。追加。ラベルには「Near Alnif」とありますが、「Near Alnif」という地名ではなく、Alnif村の近く、という意味かもしれません。Alnifは、モロッコの南東部にあり、三葉虫の化石で知られているようです。
2005/11/16
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リビアングラスです。モルダバイトと同じテクタイトの仲間です。ご存じ、テクタイトは、隕石が地球に衝突した際、その膨大なエネルギーによって溶けて飛び知った地球の石や土などが、空中で冷えてガラス状に固まったものだと言われています。以前は、宇宙からきたガラス(ガラス質の隕石)だとか言われていましたが、最近では、さすがにそういう紹介をするところもない…………かと思っていたら、一つ二つそういうサイトを見かけました。逆にちょっとびっくりです。書籍であれば、古い本はいつの間にか書店から姿を消してしまいますし、最後の奥付を見れば、いつ描かれた本かわかりますが、インターネットの世界では、古い情報と新しい情報が混在しているので、ちょっと注意が必要です。なぜ、テクタイトが宇宙から来たものではないとわかったかというと、隕石は、その成分が地球にはないものだったり、あったとしても、その組み合わせや状態が地球では見られないものであることから、地球のものではない→宇宙から来たものとわかるのに対し、テクタイトはガラス、つまり地球に多く見られる珪素が主成分であることから、地球の石や土が溶けて固まったものであるとされているそうです。さて、今回のネタであるリビアングラスは、黒(濃い褐色)がほとんどのテクタイトの中にあって、ひときわ目立つ淡い黄色をしているテクタイトです。その名の通り、エジプトからリビアにかけて広がるリビア砂漠で発見されました。最近では、ミネラルショーなどでよく見かけます。テクタイトや、モルダバイトがテクタイト特有の穴がぼこぼこ空いたようなテクスチャをしているのに対し、リビアングラスは比較的なめらかなのが特徴です。写真のリビアングラスは、まるで「満月の雫」とても言いたいような浅い金色のリビアングラスの中ではひときわ色黒。ベースは淡い金色なのかも知れませんが、やや脂っぽい黒い筋が走り、全体的にも黒が混ざって渋いカーキ色にも見えています。そんな中に気泡が散らばって輝くさまは、ちょっと神秘的。どこかで、この黒い部分こそが、隕石由来の成分であると読んだのですが、資料が見つかりません……。
2005/11/10
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今日の主役も小さな石です。大きさは2センチほど。産地はちょっと珍しいエチオピア。ころりんとした、おにぎりのようなフォルムがかわいいアメシストです。私が石に興味を持ち始めた頃は、アメシストといえば、ブラジル産やウルグアイ産の、柱面がほとんどない、つくつくした結晶でした。「アメシストは、不純物として混ざり込んだ鉄(イオン)によって、柱面が発達しない」と言われていて、そうか、そうなんだと思っていました。ところが。へんてこりんな水晶をおいかけ、マイナーな産地の水晶を多く目にするようになってみると、どうやら、「アメシスト=短柱状」という図式は、一般的なものではないように思われてきました。「伝説」とまで言われた色合いのウラル。色が淡く、ちょっと幻想的な雰囲気のヨーロッパ。同じく淡い色合いながら、日本の雨塚の紫水晶ガレロ、ベラクルスと有名なアメシストの産地を抱え、そのほかにも個性的なアメシストを産出するメキシコ。シトリンがまざったアメトリンを産出するボリビア。クリアやスモーキーの混ざり込みや、インクルージョンが楽しい、インドのエレスチャル。色の濃さ、鮮やかさ、輝きで人気急上昇のブランドバーグ(ナミビア)。形も色も個性的なマダガスカルからは、最近、レーザー・タイプのアメシストが出たようです。持っている産地も、まだ持っていない産地のものもあわせて思い浮かべてみると、アメシストは決して短柱状の結晶が多いわけではないのです。むしろ、短い柱状で、あれほどまでに色が濃く鮮やかな、ブラジルやウルグアイのアメシストの方が個性的であり、この産地ならではの特徴だと考えるべきでしょう。さて、私が手にしたエチオピアのアメシストの特徴はと言えば、決して濃くはないのに、しっかり色づいていることと、若干赤みが強いこと……でしょうか。エチオピアのアメシストが入荷したというので行ってみたお店に並んで下のは、ブラジルやウルグアイの水晶よりはずっと色合いが薄く、日本産のアメシストよりは濃い、中間色の淡め……といいたいような色合いで、ややミルキーな感じに濁り、網目のようなミスト(霧状のインクルージョン)が印象的な石たちでした。その中から選んだこの石は、色合いは一番濃く、濁りはほとんどなく、照りも良いものです。一緒に並んでいた兄弟石たちのなかでは、ちょっと毛色が変わっていると言えるかもしれません。しかし、普通の色石ならば、白く見えてしまう根本の方までちゃんと色味を感じる色づき具合、そして、同じく雷の淡さのアメシストに比べて、心なし赤みが強く感じる色合い……といった特徴は、ちゃんと持っています。鋭いエッジと、あでやかで輝くような色合いのブランドバーグ・アメシスト魅力的ですが、大らかな形と柔らかな色合いの、アフリカン・アメシスト達も同じくらい魅力的です。
2005/11/06
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