2013年03月27日
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カテゴリ: 洋画 [アクション]


自由な発想に溢れた極上エンタテインメント
グリーン・デスティニー

臥虎藏龍 / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON


■ 監督 アン・リー
■ 出演者
チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー、
チャン・チェン



■INTRO■自由な表現とは■

伊丹十三 監督は、既成の映像の作り方を壊し
モノを作ることは 自由を表現 する事だと語るような作品作りをして来ました

自由を表現するやり方には 青島刑事の様な自由な人を主人公にして
官僚主義を貫くと言った様な、主人公の重要さによって 自由 を語る方法があって

未だこれが日本のドラマ映画の主流だったりします

それに対して伊丹監督は、

監督の視点 作る側の視点があって自由さが伝わればいいと
発想の自由さを常に語っていた様に感じます


一方で伊丹監督はエッセイで 『 自分は無内容な空っぽな箱 』 と称していました

物事に対して無の境地で接して 常に学ぶ事を忘れない
そんな真摯な姿勢が見えてくるような 偉大な映画人の言葉のように思います


近年、漫画・コミックが原作の ドラマ、映画が数多く制作されて来て
本来 既存の価値観を破る事が目的であると思われるこの動きですが

原作が人気作であるという利潤追求の点は置いておき

漫画原作が ドラマ映画製作者側にとって、
伸び伸びと作れる有難い機会位に思われている様な風潮にあるとしたら

学ぶ事を忘れない真摯な姿勢とはかけ離れたものになっているのでしょう


また、製作者側があらゆる手法を熟知する、勉強にかけては真摯であったとしても

それら知識を掛け合わせて化学反応を起こす
新たなモノを生み出し 人々に伝える力 に欠けているのなら

それは製作者自身が 無内容で空っぽ と言う事ではなく
ドラマ映画作品自体が 無内容で空っぽ という事になるのでしょう・・・


製作者側が、映画製作を 愉しむとしたなら、
製作そのものを愉しむのではなく

確立された映画製作の檻を破る事こそを 愉しんでもらいたいのであり
その様に 自由な表現 で制作された本作の様な映画を、

映画ファンは 待っているのだと 思うのです。


-STORY-


彼は女弟子の ユー・シューリン (ミシェール・ヨー) に伝説の名剣

“グリーン・デスティニー” を北京のティエ氏に届けるよう頼む。

ユーは届け先のティエ氏の屋敷で隣に住む貴族の娘 イェン (チャン・ツィイー) と出会う。
イェンは剣士になるのが夢だったが、家の都合で嫁ぐことが決まっているという。

二人は打ち解け合うが、その夜“グリーン・デスティニー”が何者かに盗まれてしまう。
ユーはイェンを疑うのだったが……。



-解説-

アカデミー監督として 2度のオスカーを受賞している アン・リー 監督の
初めての 娯楽カンフー映画 が本作です

映像美の面が大きく取り上げられている為、
大きく誤解を受けている作品でもある様です

日本では文芸大作という側面が大きく話題となった為か、
非常に高い評価を受けた作品ですが

再び鑑賞した時 初めて映画館で観た時の感動が全く無く
幻滅した という感想が

一部鑑賞者達で占めていた事からも分かる様に

本作を カンフーアクション映画 と考えず、 文芸感動作 と思い込んだ
日本人独特の 勤勉さが 言わせたものだと思います。


本作は、文芸大作とは程遠い、大衆小説を映画化した 自由な発想 で撮られた
単なる 娯楽作品 であり

それはアカデミー外国語映画賞の が 誤解を与えたものに他なりません



本作でアン・リー監督が目指したのは 自分が大好きだった 大衆小説の映画化 であり
香港娯楽映画のオマージュ でした

中国で大衆小説と呼ばれるものは、現在の日本に置き換えますと
漫画コミック の事を指すのだと思われます


本作が最も話題となったのは映画全般に導入されて
その後 『 マトリックス 』 のアクションシーンでも話題を集めた

アクション監督 ユエン・ウーピン による 『 ワイヤーアクション 』 の技術でしょう


フワフワ 空中を飛ぶ非現実な映像に 拒否反応 を起こす方も居られるようですが
これは武術の達人による 拳法の殺陣を堪能する作品と言うよりは

ミュージカルの舞台で ピーターパン でも観る様な
空中に浮かんだ状態での 振り付けられたダンスを愉しむ作品 だと思われます


チョウ・ユンファ 演じるムーバイと ミシェール・ヨー 演じるシューリン との
恋人同士の用に映るツーショット映像が素敵という観客の感想があるように

中国のカンフースター ジェット・リー を起用しないで
カンフー映画は始めての チョウ・ユンファ を敢えて起用したのも

アン・リー監督が、硬派な武術を撮る構想は初めから無く
エンタテインメントとしての武侠映画を目指した事が

良く分かるものと思います。


また、武術映画の精神は ミュージカルに近いものがあるファンタジー系 だと
アン・リー監督は語ります

ファンタジーは 力やロマンス、モラルに対する密やかな欲望が
想像力を掻き立てるなんでもアリな世界です

この世界を成り立たせる為には、 自由な発想 が必須で
同時に厳粛なまでの自制心がそれを支えなければ

単なる破綻した思い付きで終る事になります

本作をワイヤーアクションではなく
最新のVFX技術を使用して人間を飛行機の様に飛ばしてしまっては

すべてのスタントを 人間が演る 演劇としてのムードを持つこの映画の持ち味が
無くなってしまった事でしょう

エンタテインメント作品で 自由な発想が破綻しない為には アン・リーが持つ様な
素材と料理法を厳密に選ぶ 洗礼された バランス感覚が必要で

それによって生み出された 人間が演じる それまで見た事の無い映像の数々が
全米で口コミで話題となって、大ヒットに繋がったのだと思うのです



アン・リーは撮影中、ワイヤーアクションに吊るされて演技をする俳優たちを観て
可笑しくて何度も笑ったと言いますし

チャン・ツィイー演じるイェンが 食堂で大暴れするシーンは
ジャッキー・チェン、ジェット・リー映画で何度も登場し破壊される
香港映画ではお馴染みのセットでした

アン・リー映画にしては珍しいと言える 荒野の盗賊チャン・チェンとの
熱烈なシーンでは

オペラ的に高らかに愛を唱う西洋的な演出と
香港映画へのオマージュを交えながらの

情熱的な場面となりましたが、本人は クサイ演出 と笑っていました


アン・リーは本作で 自分がやってみたかった 大衆小説の映画化を通して
一般映画では使用する事の無い、 極端に誇張された 漫画の様な演出

伝統的な手法
を 自由に取り入れたかったのだと思います



本作で最も物議を醸したのは ラストの
飛び込みのシーンだったのではないでしょうか

ムーバイを死なせてまで得た愛への罪悪感からの
自殺では無いかという一般の解釈には

アン・リー監督はキッパリと否定しております

あのシーンは自己犠牲でも無く まして飛び込みでも無い
自由へ向かって『飛翔』する 象徴として描いたシーンとの事でした。

ワイヤーアクションでフワフワ人を飛ばせたのも、あくまで映画の中での
ファンタジーを強調したかったと考えると

ラストシーンをあのように 観た人に委ねる形にしたのも
自由な発想 で作られた本作を通して


想像力の翼を羽ばたかせて欲しいという
監督からのメッセージだったのかもしれません



とは言ったものの チョット考えれば

ここまで散々主人公達が 空を 『飛ぶ』 所を見せられて、
ラストだけ主人公が 『落ちる』 と捉えるのは

合理的に考えれば おかしい訳で

飛んだり落ちたり感じるのは 想像力 の問題と言うよりは
どちらかと言えば 性格診断 の性質が大きい様に思われるので

この様な形で鑑賞者に委ねるアン・リー監督という人は
結構 人が悪い な と感じるのは

私だけなのでしょうかw



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最終更新日  2021年06月14日 01時52分37秒
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Re:グリーン・デスティニー - 自由な発想に溢れた極上エンタテインメント(03/27)  
REALIST  さん
宗教哲学的な伊丹監督の映画への思いを感じました。
それにしても映画分析はお見事です。

桜の花は、和みますね。
そういえば、・・学生服の金ボタンは桜の花がデザイン化されていました。

おはよういございます!
Guten Morgen !
コメントありがとうございました!Danke!
今日も元気で笑顔を忘れずに!
28日応援エール!★☆ (2013年03月28日 11時31分12秒)

Re[1]:グリーン・デスティニー - 自由な発想に溢れた極上エンタテインメント(03/27)  
Voyager6434  さん
REALISTさん
>宗教哲学的な伊丹監督の映画への思いを感じました。
>それにしても映画分析はお見事です。

>桜の花は、和みますね。
>そういえば、・・学生服の金ボタンは桜の花がデザイン化されていました。

>おはよういございます!
>Guten Morgen !
>コメントありがとうございました!Danke!
>今日も元気で笑顔を忘れずに!
>28日応援エール!★☆
-----
今晩は☆ いつも有難うございます^^

嬉しいコメント感謝致します♪

最近 伊丹作品をまた観まして、再評価致しましたwww
その内 レビューを書きたいと思っております☆

こちらは桜は3分咲きといった所でしょうか
これからが楽しみです^^

それでは、明日も良い一日をお過ごしください☆

(2013年03月29日 00時06分39秒)

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