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時は1944年、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線。アメリカ軍に所属するティムは、パラシュート歩兵連隊として、フランスのノルマンディー上陸作戦に参加した。ただし、コックとして料理をすることが優先される任務だ。
第二に、戦争の悲惨さを描いている。学校では、第二次大戦は日独伊と連合国との戦いとして習う。しかし、実際には日本で生まれ育った人には、日本はアジア諸国を侵略したということは切り落とされ、アメリカと戦争をし負けたという、イメージが強い。本書はヨーロッパが舞台になっているため、主にドイツ軍と連合軍との戦いが描かれている。
特に、ユダヤ人収容所の描写では、毒ガス以外の方法での殺戮がリアルに描かれている。
また、黒人差別の問題がところどころで顔をのぞかせている。
戦争が終わり、ティムは故郷に帰ってきた。駅を降りると平和だった。僕らはこのために戦ったと思った。それなのに、この虚しさは何だ? と最後に、読者に問題を提起している。
本書は、ミステリーであるとともに戦争とは何か、を考えさせてくれる名作である。
ホーム・ぺージ『これがミステリーの名作だ』も御覧ください。
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