あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

死ぬ前に電話を!

目撃者ご一報下さい ~死ぬ前に電話を!~    【目撃者ご一報下さい】所収


郵便配達員の岡田朝夫は、配達先の人妻に興味を惹かれていた
その美貌の人妻、寺生美子宛てに毎日男から手紙が送られてきている
ある日、雨で濡れて開きかかっていた美子宛ての手紙を、岡田は盗み読みしてしまう
手紙の内容から察するに、美子と毎日手紙を送る男性は不倫関係にあることを察する
岡田は手紙を盗み読み続けた…
手紙の内容は、愛が綴られた文章から、最近では“美子の夫を殺して一緒になりたい”とエスカレートしている
程なくして、寺生家で葬儀が執り行われているのを知った岡田は、美子と手紙の男が共謀して美子の夫を殺害したのでは?と疑問を抱く

葬儀からしばらくして、岡田は寺生家へ書留を届けた
相手は、不倫相手の男である
玄関で、美子から受け取りの印鑑を押してもらった直後、後頭部に強い衝撃を受け、岡田は気を失ってしまう…

気がつくと、岡田は手足を縛られて身動きができない状態であった
目の前には、美子と見たこともない男
その男は、美子の不倫相手の男だった
岡田が美子宛の手紙を盗み読みしているのに、二人は気づいていたのだ

“美子の夫殺しの秘密を握っている自分を殺すに違いない!”
そう覚った岡田は、やりかけの仕事があるから郵便局に電話を掛けさせてくれと二人に懇願する
岡田には、親しい間柄の推理小説が好きな浜口聡という先輩がいる
“何か意味深なメッセージを言えば、不審に思って窮地を救ってくれるかもしれない”
一縷の望みでダイヤルを廻したが、あいにく浜口は外出中でおらず、岡田は別の局員に、あるメッセージを託したのだった…

電話のあと、美子と男は岡田を風呂場に閉じ込めた
ガスの匂いが岡田を襲う
30分で岡田は絶命、二人は調べておいた岡田の家へ死体を運んだ

午後8時すぎ、岡田の死体は家を訪れた浜口によって発見された
友の死に疑問を感じた浜口は、独自の調査を開始する
そして、亡くなる直前に岡田から掛かってきた電話に、犯人を知らせる重要な手がかりが隠されていたことを知る…



~感想~
物語の主人公が途中でバトンタッチするという話の流れが珍しい
話もスピーディーに展開していくので、グイグイと話の世界に惹きつけられる
ただ惜しいことに、事件の鍵となるダイイングメッセージが、今の人たちには理解できないところが悔やまれる
それは、この作品が発表されたのが昭和48年…今から30年前だからだろう
ダイイングメッセージの謎が明かされたときは、なにぶん昔のことなので『そうなんだ』ぐらいにしか思わなかったが、全体の作風は好き

という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです



◆この原作のドラマ化作品◆
ありません




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