あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

恐怖の賀状

殺意のまつり ~恐怖の賀状~    【殺意のまつり】所収


1月中旬、証券マンである笠原洋一は、休日出勤した証券会社で電話の応対に出ていた
相手は上顧客である白川夫人である

笠原は、白川夫人とは証券マンと客という間柄を越えて肉体関係を持っていた
笠原には恋人がいたが、3年前に夫を亡くした白川夫人とは大人の付き合いをしていた
すべては順調にいっているようにみえたが、先月末に白川夫人が証券会社に怒鳴り込んできた
夫人が指定した株の売買を笠原は無視し、700万円の損をさせたからである
そんな事もあり、しばらく2人は連絡を取っていなかった…

今日の夫人からの突然の電話に、何事かと笠原が応対すると、今テレビで年賀ハガキの抽選をしていて、笠原が出した年賀ハガキで切手シートが当たったので、これも何かの縁と、再び株の売買を始めたいというものだった

それから数日後、笠原は株の取引の件で、同僚の林とともに白川夫人の家へと出向いた
約束の時間に伺っても留守で、2人は時間を潰してから再び訪問したが応答はない
庭に廻って家の中の様子を覗くと、首にベルトを巻きつけられた状態で倒れている夫人を発見したのであった

夫人は外出着姿で殺されていて、コートのポケットには抽選に当選した年賀ハガキと、受け取ってきた切手シートが入っていた
警察の調べで、株の売買で揉めていた証券マンの笠原以外に、夫人に恨みを抱くような者はなかったが、疑わしき笠原にはアリバイがあった…



~感想~
容疑者は捜査線上に1人しか浮かび上がらないので、犯人探しというより、いかにして犯人が犯行を犯したのか、アリバイ崩しに重点が置かれている
アリバイのキーポイントである年賀状の謎は、トリックと謳うほどのものではないが、逆にいえばその当たり前のことが盲点となり、今回の作品のトリックを生み出したのかもしれない
話の展開的には惹きつけられるものはなかったが、ラストの運命の悪戯とでもいうべき事実が発覚し、さあこれから…というところで思わせぶりに終わっているところが、ダラダラと続くよりは潔くていいかなと

という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです



◆この原作のドラマ化作品◆
ありません




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