あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

京都・神戸殺人事件

京都・神戸殺人事件 ~京都・神戸殺人事件~


クイズ番組に参加したことが縁で、嵯峨秋子、明石夏子、伊勢次郎、志摩信一の4人は、京都・奈良の旅に出かける
男女2人ずつということで、夏子は伊勢と良いムードになっていたが、志摩を異性として魅力を感じていなかった秋子は、どこか余所余所しく接する

京都に着いた2日目の朝、秋子はニュースを見て驚く
嵐山で石上洋子という女性が死体となって発見されたことを報じていたのだが、その女性に、秋子たちは昨日会っていたのである
嵯峨野の落柿舎で、4人一緒のところを撮影してもらおうと、通りすがりの女性に写真撮影をお願いしたのだが、その女性が洋子だったのだ
他のメンバーもニュースを見たらしく驚いていたが、さらに驚いたのは、志摩が警察から事情聴取を受けているということ
洋子が、志摩の名刺を持っていたことが理由のようだったが、それは、落柿舎で撮影をしてもらったお礼に、志摩が洋子の写真を撮影し、写真を送るからと、名刺を交換したものだった

志摩に疑いの目が向けられるなか、4人は神戸へと旅立つが、その日の夜のうちに志摩が姿を消してしまう
心配する秋子
しかし、悪い予感は的中した
翌朝、京都府警の狩矢警部から、志摩の死体が京都の東寺の境内で発見された連絡を受ける
洋子と志摩は、同じ青酸化合物による服毒死であることから、洋子を殺した志摩が自殺したという考えも成り立つが、志摩は自分の手のひらに“な”というダイイングメッセージを残しており、現場の状況など不自然な点も多いことから、連続殺人と断定される

秋子は、狩矢警部からある男性の写真を見せられる
その男は、秋子が住むマンションの近くに住んでいる男で、何度か顔を見かけたことがある程度
男の名は、中川のぼるといって、嵐山で殺害された洋子とは愛人関係にあったという
さらには、志摩と中川、そして洋子は、なんと同じ製薬会社に勤務していた!
妻子ある身の中川が、愛人の洋子を殺害し、そしてたまたま京都旅行に来ていた志摩に犯行を目撃され、殺害したのだろうか?

自分たちには完全なアリバイがあると主張する伊勢と夏子の二人は、中川に疑いの目を向けている
秋子も中川を疑いつつも、心のどこかで男性として惹かれるものを感じていた
中川のアリバイを証明してくれるのは、同じ研究室に勤める芦田進のみ
中川から、「自分の無実を証明するために芦田に会ってほしい」と頼まれた秋子だったが、その芦田も自宅で服毒死体となって発見されてしまう
しかも部屋は密室状態だった…

次々と不審な死を遂げていく、中川の身近な人物たち
やはり犯人は中川なのだろうか?

偶然知り合った4人組が訪れた京都・神戸の旅から始まった、謎の連続殺人!
真犯人は一体誰なのだろうか?
警察、そして仲間から疑いの目を向けられた秋子は、愛と疑惑に揺れながらも、事件の真相に迫る
そのなかで突き止めた意外な真実とは…



~感想~
登場人物が少人数に限られたなかで話が展開していくので、「この人が犯人では?」「あの人が犯人では?」と、仲間内で疑ったり信じたりの繰り返し
人間誰しも、人に対して疑うということはあるかもしれないが、疑心暗鬼になると、こうも嫌な人間になってしまうのだろうか
人を信じることは、簡単なようで難しい
疑うことは簡単だが、そのなかで人間関係を築き上げるのは難しい
疑うという行為が、どれほど人を愚かにさせるのか考えさせられた

密室、アリバイ、ダイイングメッセージと、トリックが詰め込まれているが、ただ作品のなかに盛り込んだだけのような、とってつけた感じ
犯行の動機は意外だったが、話の流れに無理な展開が多々見られ、作品的にはかなりご都合主義になっている

という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです

この作品は、「京都・神戸殺人旅行」を改題したものです



◆この原作のドラマ化作品◆
昭和63年7月9日放送
京都神戸殺人事件土曜ワイド劇場
『京都神戸殺人事件・誘われて4人旅、この中に真犯人がいる!?』
出演/嵯峨秋子…浅野ゆう子/中川登…藤岡弘/狩矢警部…山城新伍/伊勢次郎…尾藤イサオ/明石夏子…島村佳江/志摩信一…並木史朗/橋口警部補…伊庭剛/石上洋子…伊藤美由紀/志摩加代子…林美里/芦田進…鹿島信哉 ほか


…ドラマの内容
クイズ番組に出演した嵯峨秋子は、番組で知り合い意気投合した、伊勢次郎、明石夏子、志摩信一の3人とともに、番組で得た賞金を持ち寄って、京都と神戸を旅行することにした

嵯峨の二尊院を訪れた一行は、4人揃った写真を撮ってもらおうと、通りすがりの女性に声をかける
その翌朝、秋子はニュースを見て驚く
嵐山で、女性の遺体が発見されたことを報せるものだったのだが、その女性、石上洋子は、昨日二尊院で撮影を応じてくれた女性だったからである
同じニュースを見たのか、夏子が興奮した様子で部屋を訪れてきて、志摩が警察に事情聴取されていることを聞かされる
昨日、二尊院で、志摩は洋子の写真を撮ってあげて、写真を送ることを理由に名刺交換していたからだ

恋のもつれから、洋子を殺害したのでは?
そう疑いの目が志摩に向けられるなか、4人は神戸へと向かう
警察に疑われているせいか浮かない表情を浮かべる志摩だったが、翌朝、その志摩が六甲で服毒死体となって発見される
洋子と同じ青酸化合物による死であることから、洋子を殺害した志摩が自殺したという見方も考えられたが、洋子の死亡推定時刻に、志摩にはアリバイがあったことが判明し、一連の事件は連続殺人と断定される

神戸から連れ戻されるようにして京都に戻ってきた3人は、京都府警で事情聴取を受ける
そのなかで、秋子は、狩矢警部からある男性の写真を見せられる
その顔に秋子は見覚えがあった
隣のマンションに住んでいる男性のようで、ジョギングの時に何度かすれ違ったことがあるからだ
その男性は、中川のぼるといい、嵐山で殺害された石上洋子と付き合っていたという…

偶然知り合った4人組が、旅先で巻き込まれた謎の連続殺人
その渦中に巻き込まれた秋子が、事件の真相を追ううち、意外な事実を突き止める…


…ドラマの感想
ほぼ原作通りの展開
原作自体、話の流れにやや無理があるためか、ドラマの展開も強引さが見受けられた
が、原作から無駄な枝葉を切り落としたせいか、スッキリとした仕上がりになっていた
それにしても、昔のドラマとはいえ、ファッションセンスの古さには驚いてしまった
これも時代の流れか…




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