あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

京舞妓殺人事件

京舞妓殺人事件 ~京舞妓殺人事件~


鞍馬の火祭りの夜、祇園の芸妓の市加代が焼死体となって発見された
事件当夜、市加代と大川社長が一緒に歩いているところを、さらにはその2人を尾行していたサングラスの女性を目撃していた、舞妓の小菊と恋人で日本画家の沢木潤一郎は、どちらかの人物が事件に関係していると睨む

芸妓の焼死というショッキングな事件から日が経たないうちに、今度は、舞妓の豆花の水死体が、鴨川に浮かんだ
警察では事故として判断しているようだったが、豆花が大事に持っていた財布が無いことなど、不自然な点が多いことから殺人事件と断定される
市加代と豆花の死には、何か関係があるのだろうか?

事件がなかなか進展を見せないなか、今度は大川社長の愛人と噂されていたホステスのマリが、密室状態の自宅で服毒死体となって発見される
次々と死んでいく被害者たちの唯一の接点は、輸入品のブランドを扱っている会社社長の大川
折りしも、世はブランドブームで、ニセブランド問題は大きく世間を賑わせていた
焼死した市加代の財布の中から、“ニセモノ”と書かれたメモが入っていたこと、鴨川で水死した豆花はニセブランドにとても興味を持っていたことから、一連の事件はニセブランドが絡んでいるのでは?と、小菊は推理する

そんななか、今度はニセブランド品を製造していた皮革会社社長の梶田の刺殺体が自宅で発見される
梶田は誰かに頼まれてニセブランドを製造していたのだが、誰からの依頼かは一切口外することはなかった
製造を依頼した人物が口封じの為に殺害したのだろうか?
ニセブランド品に絡んで次々と起こる殺人事件
持ち前の好奇心から事件を推理する小菊の身にも犯人の魔の手が迫る!



~感想~
次々と事件が起こり、怪しい人物も沢山登場してきたわりには、結末がアッサリとしていたのが残念
意外な人物が犯人だっただけに、犯罪に至るまでの経緯がもう少し丁寧に描かれていれば、作品に奥行きが増していたと思う
ただ、偽ブランド品のカラクリなど、興味深い話題が盛り込まれており、読んでいて勉強になった
このような作品を読んでしまうと、何がホンモノで、何がニセモノなのか判らず、ブランド品を購入するのが怖いように思えた

という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです



◆この原作のドラマ化作品◆
平成元年8月1日放送
京舞妓殺人事件火曜スーパーワイド
『京舞妓殺人事件・舞妓さんは名探偵2・祇園祭の夜、ニセブランド品が死を招く!』
出演/小菊…酒井法子/沢木潤一郎…田村亮/狩矢警部…横内正/栗原麗子…二宮さよ子/大川社長…小坂一也/雪千代…蜷川有紀/葉子…山村紅葉/泉社長…出光元/大和田国弘…小林勝弘/長田マリ…松井紀美江/橋口警部補…伊庭剛/市加代…神津友子ほか


…ドラマの内容
祇園祭の夜、八坂神社で、芸妓の市加代の焼死体が発見された
舞妓の小菊と日本画家の沢木潤一郎は、事件当夜、八坂神社で市加代の姿を見かけていたので、事件の報道に驚く
市加代が大川社長と一緒にいたこと
さらには、その2人のあとを尾行しているサングラスの女性を目撃していた小菊たちは、2人のうちのどちらかが市加代の死に関係していると睨む

数日後、祇園の舞妓豆花が、何者かに襲われるという事件が発生する
たまたま現場を通りかかった小菊は、現場に漂う香水の匂いが気にかかる
その香水は、大川社長の愛人の長田マリ、祇園の芸妓の雪千代が愛用しているブランドだった

マリに接近することができた小菊は、彼女が特徴的なサングラスをかけていることに目がいく
そのサングラスは、八坂神社で市加代と大川社長を尾行していた女性がかけていたものと同じことに気づいた小菊は、マリを問いただしたが、彼女は否定するだけだった

数日後、マリが密室状態の自宅で服毒死体となって発見される
マリの自宅からは、大量の偽ブランド品が発見された
殺害された市加代が持っていたブランドものの財布の中からは、“ニセモノ”というメモが残っていたことから、京都府警は、偽ブランド品にまつわる連続殺人として、2人の被害者と関係していて、輸入商品を多く扱っている大川を容疑者としてマークする

次々と起こる事件に、持ち前の好奇心で推理する小菊
密室トリック、偽ブランド商品、次第に明らかになっていく複雑に入り乱れた人間関係
事件の真相を暴いたとき、真犯人として浮かんできたのは、意外な人物だった…


…ドラマの感想
原作に比べて、人間関係や事件などは、だいぶ簡略化されていたが、ほぼ原作に忠実な作り
出演している俳優さんたちは、ほぼ原作に近いイメージかな?
原作では事件を犯すに至るまでの犯人の心情が描かれていなかったが、ドラマではその点が描かれており、作品にちょっと深みを与えていた



◆この原作のドラマ化作品・2◆
平成20年1月26日放送
月曜ゴールデン
山村美紗十三回忌特別企画
『狩矢警部シリーズ5~京舞妓殺人事件・祗園芸妓が毒殺!完全密室殺人に隠された最大のミステリー』
出演/狩矢荘助…船越英一郎/菊乃…有森也実/皆川悠子…雛形あきこ/橋口健太…黄川田将也/狩矢澄江…山村紅葉/小菊…大塚ちひろ/狩矢和美…前田亜季/田原雄一郎…三浦浩一/大和田幸造…津田寛司/泉正春…白井晃/桃山秀良…市川春猿/小岩井捜査一課長…浅野和之/友美…市田ひろみ/佐久間朗…渋谷天外/橋口大吾…石田太郎/鶴見徳次郎…河西健司/市加代…岩間沙織 ほか


…ドラマの内容
鞍馬の火祭りの夜、芸妓の市加代が崖から転落して死亡した
自殺と他殺の両面で捜査したところ、事件当夜、市加代が男性と会っていたいたところを舞妓の小菊が目撃していたことと、市加代が最近恋愛関係に悩んでいる様子だったことが判る
繊維会社社長の田原、国会議員の大和田、観光会社社長の泉、茶道家元の桃山と華やかな交遊があった市加代
それぞれの人物は社会的地位があるため、男女関係のもつれから事件は起きたのだろうか?

市加代の死が自殺か他殺かいまいち決め手が見つからないなか、小菊が拉致されかかるという事件が発生する
続いて、市加代と噂のある男四人が出席したお座敷で、舞妓の豆花が踊りを舞っている最中に謎の死を遂げてしまう
踊りに使っていた手拭いに毒が仕込まれていたのだ

それを知った小菊が「豆花は私のせいで死んだ」と叫んだ
毒を仕込まれた手拭いは、手拭いを忘れた豆花のために、小菊が貸したものだった…
先日の拉致未遂といい、小菊が狙われているのだろうか?
考えられる理由は、市加代が死ぬ直前に会っていたという男との密会現場を小菊が目撃していたこと
犯人は、その口封じを狙っているのか?

豆花の事件が起きる直前に、支度部屋に泉の姿が目撃されていたことから、泉に疑いの目が向けられるが、その泉が東山の別荘で服毒死体となって発見される
しかも死体発見現場は完全な密室状態だった…
一連の事件は泉の自殺によって終決したのだろうか?
納得のいかない狩矢警部は、捜査を進める


…ドラマの感想
原作の匂いをほんの僅かだけ残しつつ、殆どオリジナルの脚色になっている
原作を知っている者としては納得がいかないが、ドラマとしてはそこそこ楽しめた




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