あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

毎月の脅迫者

毎月の脅迫者 ~毎月の脅迫者~


葬儀屋はいつ仕事が舞い込んでくるかわからないので、決まった連休というものはないのだが、今年に限ってはゴールデンウィークは葬儀の予定が一つもなく、明子は、東京に住む恋人の黒沢秋彦と連休を満喫していた

のんびりとしたなか、秋山だけは面白くない顔をしていた
葬儀が一件もないことに危機感を募らせていたのだ
事務所で何気なくテレビ番組を見いていると、不動産会社を経営している松井伝吉という男性が、滋賀唐崎の別荘で死亡したというニュースを報じていた
それを見た秋山は、早速住所を調べ上げ、唐崎の別荘へと向かった
葬儀を取りに行ったのである

数時間後、秋山から葬儀が取れたという連絡を貰った明子は、京都にある自宅へと向かった
伝吉には妻や子はなく、唯一の肉親は、甥の石田陽一、姪の松井留美の二人だけ
この二人が葬儀の喪主を務めることとなった
葬儀には費用がかかるので、預金通帳はどこにあるのか陽一や留美がお手伝いの加代に聞くと、金庫の中に仕舞ってあるという
ただし、鍵と暗証番号はわからないとのこと
そこで、陽一は、預金を預けている銀行に問い合わせたのだが、預金は一億円ほどあるのだが、伝吉は、二年前から毎月一千万円を誰かに送金していたという事実を聞かされる

明子が会社で、葬儀のための準備をしていると、顔馴染みの京都府警の狩矢警部と、滋賀県警の梨田警部が尋ねてきた
松井伝吉の葬儀を石原葬儀社が取り仕切るということで、顔を出したということだった
そこで明子は、伝吉が、2年前から毎月一千万円という大金を誰かの口座に振り込んでいたという事実を告げる
その情報の見返りとして、明子は伝吉が亡くなった時の状況を教えてもらう
伝吉は睡眠薬を飲んで浴槽で溺死していた
その日は、愛人の三沢理絵と一緒に別荘で過ごしていたが、理絵の母親の体調が悪かったので、理絵は夜には三条にある自宅に帰宅して母を看病し、伝吉の死亡推定時刻には、丁度医者を呼んで診てもらっていたので一応アリバイはあるとのこと

その後の捜査で、伝吉が毎月一千万円振り込んでいた口座が判明した
名義人は“五江万里”
二年前から振り込みが始まり、一千万円というお金は、一ヶ月の間にキャッシュカードで分散して引き出されていたという
その送金は三ヶ月前で途切れている

伝吉は、一体何のために、五江万里という人物に毎月そんな大金を振り込んでいたのか?
何か弱みを握られていて、脅迫でもされていたのだろうか?
三ヶ月前の振込みが最後ということは、脅迫者から再びお金を要求され、それを拒否したために殺害されたということも考えられる
事件の鍵は伝吉の過去にあるのでは?と探ってみると、謎の多い人物であることは判ったが、特にこれといって事件と結びつくような事実は掴めないでいた

陽一と留美は、幾度となく伝吉に金の無心にきていて、その都度言い争っていた
愛人の理絵も、伝吉と言い争っているところを、お手伝いの加代に立ち聞きされていることから、それぞれが伝吉を殺害する動機はあるということになる

そんななか、明子は無理を言って、事件現場である伝吉の別荘を見学させてもらった
伝吉が亡くなったという浴槽は、水が抜かれることもなく、事件当時そのままの状態になっていた
そこで明子は、浴槽に沈んでいるある手がかりを見つける
そこから伝吉を殺害した犯人が判った明子ではあったが、依然として伝吉が振り込んでいた口座の持ち主“五江万里”の謎は解けないでいた

果たして故人は、誰に、何の理由で毎月一千万円を振り込んでいたのか?
五江万里とは誰なのか?
そして、その大金の行方は!?


~感想~
犯人の謎解きは意外にもあっさりとしていて、殺された被害者が毎月一千万円振り込んでいたという金額の行方に謎解きの重点は置かれている
そのからくりの真実が、ちょっと意外だった

という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです



◆この原作のドラマ化作品◆
平成15年年6月13日放送
赤い霊柩車17・毎月の脅迫者金曜エンタテイメント
山村美紗サスペンス
『赤い霊柩車17~毎月の脅迫者・大資産家の遺産を巡る骨肉の連続殺人…・突然消えた1億8千万円の驚愕の謎』
出演/石原明子…片平なぎさ/黒沢春彦…神田正輝/狩矢警部…若林豪/秋山隆男…大村崑/内田良恵…山村紅葉/三沢理絵…渡辺典子/松井伝吉…寺田農/森田加代…沖直未/石田陽一…倉田てつを/松井留美…仁藤優子 ほか




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