あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

恋の寺殺人事件

恋の寺殺人事件 ~恋の寺殺人事件~


京都・桃山城近くのマンションで、若い女性の死体が発見された
青酸カリが入ったコーヒーを飲んで死亡していたのは、鍵谷美和子という23歳の女性
その被害者の名前を聞いたとき、京都府警の狩矢警部は、あることを思い出した
それは、昨日の新聞記事である

市民のために設けられた広告欄の頁には、ペットや子供服を譲りますといった記事が並んでいる
そのなかに、ちょっと一風変わった記事が載っていた
内容は「一週間前に嵯峨野の祗王寺近くでフィルムを拾ったので、心当たりのある方は連絡をください」というもの
記事の横には、現像したという、若い女性が手を上げている写真が載っていた
その記事の主が鍵谷美和子だったのである
珍しい苗字だったので、狩矢は覚えていたのだ

美和子の交友関係などを調べてみたが、事件性に関係あると思われる情報は得られない
拾ったという写真のフィルムなどは見つからなかったものの、部屋が荒らされた形跡もなく、現場は鍵がかかった密室状態だったことから、自殺という見方で落ち着きそうな気配だった

そんななか、事件の一報が入った
祗王寺の傍の竹林のなかで、死後十日程経過した若い女性の絞殺死体が見つかったというものだった
現場に急行した狩矢と橋口警部補は、死体を見て驚く
というのも、その女性は、鍵谷美和子がフィルムを拾ったという記事に載せていた写真の女性だったからである

フィルムを拾ったという記事を見つけた犯人が、罪の露見することを恐れて美和子を殺害し、フィルムを奪い取ったのだろうか?
祗王寺の事件を捜査すれば、美和子の死の謎の解決の糸口を掴めるかもしれないと思った狩矢は、殺された藤田ルミの身辺を捜査する

ルミは大阪に住んでいるが、夫婦仲は冷え切っていたという
夫の明夫の話によると、ルミは浮気をしていて、相手の男性のことを「先生」と呼んでいたことから、かかりつけの医師の池川進一、藤田が経営する会社の顧問弁護士の山下光一、ルミが卒業した大学の助教授をしている星野次郎の3人が捜査線上に浮上する
そのうち弁護士の山下は、東京にいたという完璧なアリバイが立証され、捜査から除外される
ルミは以前星野と結婚を約束した仲にあったので、浮気をしているとすれば星野が一番疑わしいのだが、その星野にもアリバイがあった
3人のなかで唯一アリバイがハッキリしない池川に捜査の目は向けられた
そんななか、事件当日は大阪にいたという夫の藤田が、実は京都にいる愛人と会っていたことが判明し、藤田にもルミ殺しの容疑がかかる

祗王寺で殺された女性、そして、その事件現場近くに落ちていたフィルムを拾った女性の謎の死
ふたつの事件は同一人物による犯行なのだろうか?
地道な捜査のなかで辿り着いた事件の真相とは…



~感想~
いつもは脇の役柄を担っている京都府警の狩矢警部が活躍する一編
素人探偵任せにしている密室トリックも、本作品では見事に解明している
狩矢の部下で、いつもは勤勉実直なキャラクターの橋口だが、本作品では女に滅法弱いという一面が描かれているのはなかなか興味深い
ただ、捜査中に恋人とデートしちゃ駄目でしょ
物語は、アリバイがあるこの人が怪しい!と思ったら、その通りだった
アリバイのからくりは解けなかったけど…

という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです



◆この原作のドラマ化作品◆
ありません




© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: