小説家わかつきひかるのブログ

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2013年02月15日
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沼田まほかる氏は57歳デビュー
黒田夏子氏は75歳デビュー。
加藤廣氏も75歳デビュー。
応募資格を60歳以上に搾った ベテラン新人発掘プロジェクト というのまであります。

ジャンプの漫画家漫画である で、50歳の漫画家が持ち込みに来たところ、編集者があからさまに迷惑そうな顔をする、という話がありましたが、小説家は年齢が関係ないのでしょうか?

いえいえ、小説家も、デビューは若いほうがいい、というのが、今までの常識でした。


黒田氏も、沼田氏も、加藤氏も、十年前だとデビューできなかったかもしれません。

だったらどうして、ここ数年、遅咲きデビュー作家が相次いでいるのでしょうか。

昨年夏、東下りをして、うち合わせしたとき、編集者は口を揃えて言いました。
「新しい作家が欲しいんです。わかつき先生、どなたか知りませんか?」
いま、出版業界は大不況です。閉塞感が蔓延している業界です。この閉塞感をうち破ってくれる、まったく新しい作家が欲しい。

今まで年齢だけで敬遠してきた、お年を召した作家志望者のなかに「新しい作家」がいるかもしれない。出版社はそう考えているのですね。

でも、欲しいのは、「ベテラン新人」。小説の基礎があり、文章力も構成力も確かで、豊かな社会経験と人間洞察力を持った新人作家です。

お年を召した方の場合、若い人のように「未熟だけど将来性を買って」デビューというのはありえない。お年を召した作家志望者には、即戦力としての高い技術が求められます。

私は遅咲きデビューの方は「のびしろがない」とか、「センスが古い」とは思いません。
黒田氏の「abさんご」無茶苦茶新しいですよ。とんがってますよ。他にないです。誰もマネはできないです。
センスは年齢とともに摩耗して減っていくものではなく、年ごとに新しくすることができるのでしょう。



私は「編集者が未熟な作家を鍛えて一人前にする」という旧来のやり方は、問題があると思っています。というのは、編集者のレベルはまちまちで、未熟な編集の「思いつきの魔改造」ほど、たちの悪いものはないからです。

もちろんすばらしい編集者もたくさんいらっしゃっいます。今、私の担当をしてくださる編集者は全員がすばらしい方ばかりです。

ですが、ゆとり世代の編集者は、打ち合わせの間中ペンネームを間違えまくったり、お友達と携帯電話でお話しまくりだったり、ある日いきなり会社に来なくなったりする方もいらっしゃるのです。
(若い人が未熟なのは仕方がないのかもしれませんが……)

お年を召された作家志望者は、今が作家デビューのチャンスです。不況だからこそ生まれたチャンスを、ぜひ生かして欲しいです。






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最終更新日  2013年02月15日 13時19分06秒


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