小説家わかつきひかるのブログ

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2016年12月15日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
小説の新人賞で、一次選考を通過しない、あるいはごくたまに一次選考は通過するがそれ以上いかない、という場合は、二つの理由が考えられます。

1.カテゴリーエラー
2.未熟

1は、そもそも投稿先を間違えている場合です。
大江健三郎(敬称略)が乙女系にあのままで投稿したら一次か二次で落ちます。賞は取れません。
村上春樹が美少女文庫にあのままで投稿したら一次か二次で落ちます。賞は取れません。
石原慎太郎がライトノベルにあのままで投稿したら一次か二次で落ちます。賞は取れません。
太宰治がBLにあのままで投稿したら一次が二次で落ちます。賞は取れません。断言します。

ジャンル小説の場合、そのジャンルの読者に向けて書く必要があります。


小説の新人賞は、上手な小説を探すコンテストじゃないんです。
そのレーベル(ジャンル)で書いてくれる作家を探すイベントなのです。

なんで私は一次選考通過しないんだろう? という人は、投稿先を変えてみませんか。
あっさり賞を取れるかもしれませんよ。

2にはトレーニング方法が二つあります。
ひとつめは、本を一冊丸写しすること、ふたつめはエピソードに分解することです。

人は小説を読むとき、文章を全部読んでないんですよ。描写を読み飛ばして、台詞を読んで、キャラクターのイメージを脳内で作って、映像を思い浮かべ、キャラになりきって読んでいます。

でも、小説家は、地の文(台詞以外の文章)で、情景描写(景色の情報を描き写すこと)をしたり、心情描写をしたり外見描写をしたりしています。その読み飛ばしている部分が、イメージの助けになっているんです。

なろうは描写していない小説が多いですが、異世界という言葉で描写している(共通イメージがあり、思い浮かべることができる)。

初心者の小説は描写がないんです。登場人物がどんな姿形をしてなんという名前で何歳でどういう学校に通っていて、どこにいて、どういう状況にいるのかがわからないままお話が進行する。とくにライトノベルは一人称で書く人が多いのですが、主人公の名前が出るのが遅い。50枚ぐらいしてからやっと出て来る。

漫画にたとえると、キャラが線と○で書かれていて、フキダシだけで、名前がなくて、背景の書き込みがないんです。



手間がいるように思えるかもしれませんが、一日がんばれば入力できます。

クセの強い文章を書く作家さんの小説は写経向けじゃないです(劣化コピーになりかねないから)。西尾維新や新井素子(敬称略)を写経するのはやめたほうがいいです。圧倒的な個性を持つ作家さんの小説は、教科書にしないほうがいいです。

クセのない文章を書く作家さんで写経向けの小説をいくつか紹介しておきます。


(引用はじめ)
華やかでモテる女子高生・愛が惹かれた相手は、哀しい眼をした地味男子。自分だけが彼の魅力に気づいているはずだったのに、手紙をやりとりする女の子がいたなんて。思い通りにならない恋にもがく愛は、予想外の行動に走るーー。身勝手にあたりをなぎ倒し、傷つけ、そして傷ついて。

短いのですぐに入力できます。文章力はさすがの純文学。愛の暴走っぶりにドキドキしながら読みました。おもしろいですよー。


(引用はじめ)
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。
(引用おわり)
芥川賞受賞作はおもしろくない小説が多いのですが、これはおもしろかったです。すごく売れてるそうです。恵子はずれてる女の人なんですが、恵子に共感してしまう。短くてすぐに入力できます。


(引用はじめ)
「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心の内は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!
(引用おわり)
芥川賞受賞作にしては異例のおもしろさで、健斗の前向きさに笑ってしまいました。
短いのですぐに入力できます。

ライトノベルだと、
がおすすめ。
人類は衰退しましたは写経向けではありませんが、こちらは写経にぴったり。一巻完結です。

トレーニング方法のふたつめは、読んだ小説や観た映画のあらすじを書き出すこと。
一行であらすじを書き、起承転結で一行ずつ書き、章ごとに書き、最終的にはエピソードまで分解する。
あらすじを書くのは、お話を分解してお話の作り方を覚えるためです。
私は戦隊ものを見ながら、創作ノートにあらすじを書いていました。

エピソード分解には、ライトノべルだと

が向きます。
エピソードの積み上げ方がうまく、起承転結がきちんとまとまっていて職人芸のようです。ベテラン作家の迫力に圧倒されてください。

比較的購入しやすい本を紹介しました。





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最終更新日  2016年12月16日 09時53分56秒


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