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ALL TOMORROW'S PARTIES
晩餐
その大きな館は城下町をかなり下った鬱蒼とした森の奥に、ただ一軒
だけ聳え立っていた。
こんなところに家があるとは・・私は少し驚いてその館を見上げた。
古色蒼然とした、どことなく陰気な感じのする館だった。
「こっちよ。」
バーバラがその眼前の大きな門を押し開けて私を手招きした。
ここで、私は少し緊張しはじめた。
今日はバーバラの両親との晩餐会に招待されているのだ。
もちろん、そのときに私はバーバラとの結婚の了承を求めるつもりだ。
私は深呼吸をした。今日のために新調したスーツが窮屈であった。
バーバラに案内されて中へ入ると、そこは昼間だというのにほとんど
日差しも指さず真っ暗でさらに陰気な雰囲気であった。
「ごめんなさい、暗くてよく見えないでしょう?
うちには電気が通っていないの。それに皆、光があまり好きじゃないのよ。
足元に気をつけてね。」
バーバラが玄関から蜀台をとるとマッチで蝋燭に火をつけた。
私はバーバラのそばを離れないようにそっと寄り添って歩いた。
「おかえりなさいませ。」
その時突然声がして、暗闇の中から異常に背の低い
目の落ち窪んでぎらぎらした老婆が出てきて私たちに声をかけたので、
私はびっくりして思わず声をあげそうになった。
「お父様たちは?」
「はい。もう皆さんおそろいで二人をお待ちしておりますよ。」
「そう。」
老婆は私を見て上から下までじろじろと眺めると、
意味ありげに微笑んだ。
(なんと気味の悪い屋敷だろう・・・)
私の緊張はまた増した。このような屋敷に住んでいるとはきっと
気難しい両親に違いない、そう思い始めた。
バーバラに続いて長い廊下を渡るとやがて広い大きな部屋に到着した。
そこは、なるほどこの一家のダイニング・ルームであるらしかった。
長い大きなテーブルが中央に据えてあって、彼女の両親と
弟が既に座して私たちを待っていた。
テーブルの上には蝋燭が3台置いてあって、3人の顔を不気味に揺らしてた。
本当に、その顔は不気味としか言いようが無かった。
母親は中年の女性らしくでっぷりとふとっていて、その丸く大きな顔には満面の笑みが張り付いて動かなかった。
その横の弟は対照的に痩せこけており、
落ち窪んだ大きな目がぎょろぎょろと気味悪く辺りを見回していた。
また父親は大きな鼻と立派な髭をもっており、
威厳と冷ややかさに満ちた目で私たちの方を睥睨していた。
そして3人とも一様に青白く死人のような形相をしていた。
「遅くなってごめんなさい。この人がこの前話した方よ。」
「はじめまして。ジョン・スミスといいます。バーバラさんとは・・」
バーバラの紹介を受けて私はにこやかな笑顔で右手を父親に差し出しながら
そう言いかけると、
「まあ、座りなさい。」
と父親が私の挨拶を遮って言った。
そこで私はひとまず言われたとおりに母親の目の前の席に腰をかけた。
隣にはバーバラが座った。母親の隣には弟がすわり、父親は向かって
右側の特等席に腰を掛けていた。
「君は少しせっかちなところがあるな。」
と、父親は言った。
ペースを崩された私は戸惑ったが、
また後で言い出す機会もあるだろうと自分をなだめた。
「じゃあ、早速食事にいたしましょう。」
母親が妙に甲高い声でそう叫んだ。
しかし、食卓には蝋燭のほかに何も用意されていなかった。
「待ちなさい。・・・その前にこの男がそれにふさわしいかどうか
見極めなきゃならん。それからだ。」
私はとてもお腹が空いていたので(思ったよりバーバラの家に着くまで
時間がかかったのでもう9時をまわっていました)
それを聞いて少しがっかりしたが話は先に済ませてしまったほうが
やりやすいだろうと納得した。
「そうね・・それもそうだわね。」
母親が笑顔を崩さずにうなずきながらそういった。
「なんだぁ、早く食べたいのになぁ・・・。」
隣の弟がよだれを拭きながら私を恨めしそうに見た。
「ところで。」
父親が弟を目で制止しながら、言った。
「君は・・・何をやっている人なんだね。」
早速の質問に私は身を固くして答えた。
「はい。私は詩を書いております。」
それを聞くと父親は顔をしかめた。
「なんだって?詩を?じゃあ、君は詩人というわけだな。」
そう言われて私は少し小さくなって答えた。
「・・・はい。」
父親の気に入る職業ではなかったらしい・・・
その辺をバーバラによく聞いておくんだった・・と私は後悔した。
「まぁ!詩人だなんて!素敵じゃない!」
すると母親が目を輝かして叫んだ。
「彼の詩はとっても素敵で、人気があるのよ。」
とバーバラも言ったので、父親はますます苦々しい表情をした。
「それなら詩をひとつ朗読してもらいましょうよ。ね?」
そういって母親は皆を見回した。
「そうだな・・・ひとつやってみろ。」
父親がそう促したので私は仕方なく立ち上がった。
「それでは・・失礼して・・・・・。」
私は軽く咳払いをして、次の詩を朗読した。
闇の帳が静かに町を覆う頃
君は旅立った
まるで鳥のように軽やかな足取りで
誰も届かない夜へと飛び立った
その時確かに天使たちの囁きが君には聞こえたのだ
それは歌声となってあたりに鳴り響き、
皆の目を覚ます子守唄となった・・・
私が朗読を終えて席につくと、けたたましい拍手が起こった。
・・・しかしそれはバーバラと母親だけのものだった。
父親と弟は表情も変えず冷ややかに私を見つめていた。
「・・・お気に召しませんでしたか。」
私が父親に向き直ってそう尋ねると、父親はただ一言
「けしからん。」といった。
「けしからん。」もう一度言った。
「あら、とっても、素敵だったわ。私、気に入ったわ。」
母親が私に笑顔を向けながらそういった。
「いや、私はこんなものは詩とは認めない。詩とは・・・。」
そういいながら私をの目を覗き込んだ。ぞっとするほど冷たい目であった。
「君、詩とは一体なんだね?
現実の忠実な模写かね。現実の誇張かね。それともただの言葉遊びかね。
え?君は一体どう考えているんだ?」
私は突然の質問にびっくりして考え込んだ。
「・・・・わかりません。ただ・・・その全てでもあると思います。」
苦し紛れにそう答えた。
「ふん。詩とは本来自由なものである・・・、
そう言いたいんだろう。」
父親はそう吐き捨てるように言うと、ゆっくりと立ち上がった。
「よろしい。では私の詩を君に聞かせてあげよう。
本物の詩とはどんなものか、よく聞いているがいい。」
そういって次のような詩を朗読した・・・。
おお、りんごよ!君は赤い
だから君は美しい
おお、りんごよ!
どうしてそんなに赤いのか?
君は私に幾何学の数式を思い起こさせる
なんとも不可解だ!君の美しさは!
おお、りんごよ!・・・
朗読を終えて父親が席に着くと今度は場の全員が拍手をした。
もちろん私もそれに加わった。
バーバラが拍手をしながら私の耳元に
「お父様ったら3日に一度はあの詩を朗読するのよ。」
と憎憎しげに囁いた。
「どうだね?」
父親が私に向き直っていった。
「とても・・・いいと思います。」
「本当にいいと思っているのかね?」
「はい。」
「・・・そうか。それじゃあどこがよかったんだね?」
「はっ。」
「どこがよかったのか言ってみろ。本当にいいと思ったんなら
答えられるだろう。」
父親は相変わらずの冷たい目で私をじっと見据えていた。
私は咳払いをした。
「・・・そうですね。りんごの美しさを幾何学の数式に例えた所は・・・
とても感心しました・・・。」
いつのまにやら私の背中は汗でぐっしょり湿っていた。
詩人だと言ってしまったことを後悔した。泣きたくなった。
父親はしばらく私をそのまま見つめていたが、やがてやや表情を崩して、
「ふん・・・少しはわかっているようだな。」
と静かに言った。
私は全身の力が抜けたような気持ちになった。
いつのまにか外では雨が降り出し、やがて嵐となった。
強い風が吹き、窓が雨に叩かれて大きな音を上げていた。
先ほどの一件で多少場が和み、私たちはしばらく談笑をした。
そのうちバーバラと私のなれそめにまで話がおよび、
結婚の話を持ち出すまであと少し、というところだった。
「ところで、バーバラ。あなた達もうアレは済ませたのかしら?」
突然、母親がそう言って笑顔のまま私たち二人を見回した。
バーバラは真っ赤になって俯いた。
「まぁ、お母様ったら!」
それを見て私はあわてて弁解した。
「そういったことはまだ何もしておりません!」
母親は驚いて私を見た。
すると弟がにやにやと笑いながら言った。
「うえっへっへ・・、違うよ・・・
母さんの言ってるのは・・・つまり健康診断のことさ。」
今度は私が真っ赤になった。
そういえば数日前バーバラに説得されて健康診断を受けたのだ。
結婚するなら健康な人でないといけない、というのはなるほど
道理が通っているように思えた。
「健康診断では何も異常はなかったのよ。」
バーバラがそういうと母親はほっとした顔をした。
「父さん、こいつ今いやらしいことを考えたよ。」
弟がそう告げ口すると父親は身を固くして私を睨んだ。
「何。・・・本当かね?君は今いやらしいことを考えたのか?」
「ち、違います!いやらしいことなんて考えていません!」
私は真っ赤になりながらそう否定した。
こんなことで全てが台無しになるのは嫌だった。
「こんな時にいやらしいことを考えるなんて・・・
とんでもないやつだな・・・。」
父親の顔が険しくなった。
「お父様!この方はそんな人じゃありませんのよ!」
バーバラがそうフォローしたので私は余計に恥ずかしい気持ちになった。
「どうだかね・・・。」
父親はまた元の冷たい目に戻り、私を見据えた。
「詩人というのは嘘つきだと聞いているからな・・。いくらでも嘘を言うのさ。」
私はがっかりした。もう駄目だと思った。
バーバラがその様子を見て突然立ち上がっていった
「お父様!この方は健康で若くて、才能のある申し分の
無い方よ。そろそろお許ししていただいてもいいんじゃないかしら・・。」
私はびっくりした。
こういうことは自分が切り出すべきだと思っていたので
私もあわてて後に続いた。
「お父さん、私からもお願いします。
バーバラさんとの仲を認めてください!」
父親はしばらく眉間に皺を寄せて考え込んでいた。
「お父様!私はもう我慢できません!」
とバーバラは叫んだ。
すると、父親はゆっくりうなずくと口を開いた。
「仕方が無い・・・
私も認めよう。君は記念すべき100回目の我が家の晩餐の
主役にふさわしいよ・・・・。」
外の雨はますます強くなっていた。雷鳴が一瞬部屋を明るく照らし出した。
「それでは、いただこうとしようかね・・・。」
突然、私の身体は震えだし、止まらなくなった。
雷鳴で一瞬照らし出された部屋の隅に以前の「犠牲者」たちであろう
人骨がうずたかく積み上げられているのが見えたのだ。
母親と弟がよだれを垂らして私を見つめていた。
・・・なんということだ。私はまんまとはめられたのだ。
その証拠にあの美しかったバーバラももはや死人のような形相に
なって私を物欲しそうに見つめているじゃないか!
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