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2005.09.23

夢幻紳士怪奇編 1～3/高橋葉介/徳間書店

カテゴリ：漫画

夢幻紳士怪奇編

　数ある夢幻紳士シリーズの中でも、私が最も好きなのがこれ。
　作者曰く「３人いる」らしい夢幻魔実也氏のうち、最も年嵩（20歳前後くらい。第1夜では大学生ですが…年取ってるのかな？）で、物語そのものも青年向けの猟奇・耽美色の濃い短編作品集です。
　おそらくこの魔実也氏に連なる作品として「夢幻外伝 1～3/朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス」が発表されたものと思われますが、こちらは雑誌が少女向けであるだけあって、今一つ吹っ切れていない感じがしたものです。
　さて、その吹っ切れた感じの本作。時は昭和初期、共通点は魔実也氏が関わっているというだけの、オムニバスというより短編集なのですが、1作1作が実に濃いです。
　エロくてグロくて怖くて切なくて美しい。
　単なる恐怖ではなく、また単なるエロでもなく。グロは美しく、切なさと冷たさが綯交ぜになった読後感は、ちょっと類を見ません。時代設定とその雰囲気もまた秀逸。
　子供向けからＳＭ誌まで、その非凡な発想力で多数の作品を発表している氏が生み出した「夢幻魔実也」という語り手も、また実に魅力的なキャラクターです。
　不思議な力を持ち、謎めいていて、ストイック…かと思いきや、女好きでちゃっかりした一面も持ち合わせていて。闇に沈む黒尽くめの服にタバコがよく似合い、一体何人のをとめのハートを射抜いた事やら（笑）

　他に「学校怪談全15巻/秋田書店チャンピオンコミックス」にも、主要人物のご先祖様としてマミーがでてます。ちょっとだけ。こっちは完全に子供向けホラー漫画ですが、面白いです。
（2001/10/27）

地殻変動（笑）で押入れの一番手前に出てきました、「高橋葉介全集」&「夢幻紳士」。A5サイズなんだよね…文庫版全集「ヨウスケの奇妙な世界」に買い替えようかとも思ったんですが、やっぱ高橋葉介のグロ絵はおっきいので見なきゃです。

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