ポケットの中にいつも少女

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2005.11.11

蟲師 1/漆原友紀/講談社アフタヌーンコミックス

(2)

カテゴリ：漫画

蟲師（1）

人や動植物の進化の途を遡り、更に生命の原生に近い存在である「蟲」。様々な性質を持ち、形や存在も曖昧なそれら蟲をめぐる一話完結の物語です。
物語は、一人の「蟲師」ギンコの視線を通して描かれます。蟲師…というのが一体どういう存在なのか、正直本巻でははっきり描かれていないのですが、単に蟲退治をする訳ではなく、時に人と蟲との協和を図り、時に現し、滅し、常に追っています。
世界は闇と人とが共に侵し難く在ったかつての日本の様であり、手書き感の強い線で良く描き込まれた繊細ながらも良い意味で泥臭い画面と、えもいわれぬ蟲の造形に魅惑されます。
物語のまた良く練られた事に感嘆しつつ、しばしば背筋に走るものがありながら、第1話より釣り込まれるように読まされました。
１巻の収録作品は、その手で描いた物に命を吹き込んでしまう不思議な手を持った少年と、その守り人たる祖母と蟲の関わりを描いた「緑の座」、音を喰う「吽」とその吽の作り出す無音を喰う「阿」に憑かれた少年の「柔らかい角」、予知夢を見る男の「枕小路」、目の中の第二の瞼が閉ざされ光を失った少女の「瞼の光」、緑の少女を乗せて出没する「旅をする沼」の五編、いずれも佳作です。
語り手である蟲師ギンコについては、本作では殆ど何も明かされていません。しかし、蟲を見る鋭い妖質を持ち、全て込む世界を慈しむような姿勢に、作者の自然や異形のもの達への想いを感じさせられ、また彼自身についても大変興味深く、惹きつけられるものを感じます。

ごたくはともかく、これは文句無しに面白い!です。あ、でも虫とか苦手な人には相当気持ち悪いかも…だって、蟲の集合体がウゴウゴしてますから。

ギンコさん初登場のコマを見て、「…サンジ?」（（c）ワンピース）と思ったのは私だけではあるまい…

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