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2020.10.29

ＪＲ北海道の地方交通線・日高本線（苫小牧～様似間）のうち、鵡川（むかわ）～様似（さまに）間１１６．０ｋｍについて、来年２０２１年１１月１日付けでの鉄道事業廃止が届け出られました。ただし、後述の理由により、２０２１年４月１日付となることも考えられます。

　そもそもこの区間について、現在列車は走っていません。
　というのも、２０１５年に厚賀（あつが）～大狩部（おおかりべ）間、豊郷（とよさと）～清畠（きよはた）間で高波による盛土流出が発生したことがきっかけで、鵡川～様似間が運休したことが始まりと言ってよいでしょう。一時期は仮復旧して、静内～様似間については運転を再開したものの、その後も災難が立て続けに降りかかることになります。
　同年秋の台風でさらに土砂流出が進行したり、次の２０１６年には豊郷～清畠間にある慶能舞（けのまい）川橋梁が台風被害により流出、２０１８年も胆振東部地震で損傷を被った区間があるなどなど、仮に全線復旧するとした場合の費用がどんどんとかさんでゆくという不運もありました。同時にもともとローカル線で乗客も多いとは言えず、ＪＲ北海道の経営問題とあいまって存続が厳しい状態が続いていました。
　それでも比較的被害の軽い鵡川～日高門別間については復旧の動きも模索されましたが、年間の維持費の負担などの問題もあり、結局復旧かなわず廃止となります。

　ただ、こうした被災してそれほど時間が経たないうちから地元自治体で話し合いが続けられてきたものの、なかなか廃止ということでまとまらず、ようやく廃止することで合意に至りました。たしかに鉄道のメリットは少なからずあるわけですが、維持管理していく費用等々、ＪＲ北海道の経営問題を抜きにして考えたとしても、現状では赤字垂れ流しは避けられない厳しい現実もあって廃止はやむを得ないでしょう。
　なお、たとえ全区間バス代行であったとしても、こうした旅客営業している鉄道路線の廃止については、「廃止日の１年以上前に届け出る」と規定されており、それに沿って２０２１年１１月１日付での廃止が届け出られたわけですが、「公衆の利便を阻害するおそれがない」と認められれば繰り上げも可能となります。今回地元自治体との合意に基づいている以上、繰り上げられる可能性が高いと言えるでしょう。

　長らく問題となってきた路線区の廃止ということで決着がつき、それはそれで前進とも言えるでしょう。

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