Yabu's Essence

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2006年09月29日
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カテゴリ: 薬膳の普及活動
北京中医薬大学
中国に数ある中医薬大学のなかで唯一の国立大学。

権威ある中国の超一流大学で薬膳研修を受けてきました。

北京中医薬大学内の校舎の一つ
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研修内容は
「季節と健康・秋」「乾燥綜合征の薬膳」
「消化性潰瘍の薬膳」「風湿性関節炎の薬膳」

講師をしていただいた盧長慶教授は薬膳の第一人者で中医学だけではなく現代医学の観点からも薬膳を説明していただいたため、かなりハイレベルな内容でした。
一緒に参加された皆様は栄養士や薬剤師の方々が多く、料理人は僕一人。
中医学的な説明も難しく理解するのに必死でしたが、現代医学の観点からの説明には全然ついていけませんでした。



入り口の看板
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「中薬総合展庁」入り口の李時珍の像
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中薬総合展庁にはありとあらえる生薬が展示されていました。

薬効別で並べられている中薬
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海星(ヒトデ)やカエル、ムカデの標本も
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大きな葛根
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烏骨鶏の剥製
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この他に虎、麝香、鹿、蛇、熊の剥製もありました。


中国医学史展庁には北京原人から現代までの中国医学の歴史の説明、骨董品などが展示されていました。

中国医学史展庁入り口
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石碑に書かれた古文献の模写
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経絡の書かれた人形
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「傷寒論の著者」として知られる医聖・張仲景
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中国国内の中薬市場の地図
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北京中医薬大学で研修させていただいて感じたことがあります。
それは「薬膳」は紛れもない文化であり、まぎれもない医学であるということです。
ふとすれば料理人や飲食業経営者は、営業戦略上の武器として、流行のブランドとして考えてしまいそうな「薬膳」。十数年前の「薬膳ブーム」はそういった考えが先立っていたから日本の地に根付くことなく廃れていってしまったのでしょう。
今も料理人で「薬膳」を勉強したいと思っている人の中にそういった考えの人達もいる事だと思います。いや、はじめはそんな気持ちから勉強していく事も悪いことではないのかも知れません。

しかし医食同源の国「中国」では「薬膳」は立派な医学であり、中国が誇る食文化なのです。

悠久の歴史の中で培われた中国伝統医学。
その中国伝統医学を発端として、同じく長い歴史の中から生み出された食文化が融合して出来た「薬膳」という考え。
生命を維持するということから考えれば医学も食も同じ。


帰国前日のパーティーで現役の北京中医薬大学の学生達と話をしました。
日本語がペラペラで日本が大好きと言う彼女達にこんな質問を受けました。
「いくらチャングムが人気でも小柴胡湯問題のことを日本人は忘れてはいないでしょう。中医学や薬膳の浸透にはまだまだ時間がかかるのではないですか?」

本場北京で真剣に中医学を学んでいる学生達は今の日本の薬膳ブームを浮かれた目では見ていないのです。
だから、日本で中医学・薬膳を勉強し普及していこうとしている僕たちも決して浮ついた気持ちで活動してはいけないのです。


薬膳は難しい考えではありません。
健康を維持する、未病を防ぐのが薬膳の基本です。
生薬を使わなくても「薬膳」は組み立てられますし、季節や体質に合った食材を選んで食べていけば健康を維持する事が出来ます。

ただ、奥が深いのです。
奥深い薬膳料理を作るには奥深い知識が必要なのです。

中医師や中医薬膳師の方が診断して処方を決めるならまだしも、今の日本のレストランにいる料理人で中医診断学に基づく「治療薬膳」を作れる人はたぶんいないでしょう。
「~に効く薬膳料理」「~を治す薬膳料理」などと書いてあるレストランがありましたら十分注意してください。

「中途半端な知識で薬膳を汚さないこと」
それが、本場中国の人達に対する礼儀だと僕はこの研修を通して思いました。

料理人は一生が修行。
さらに、薬膳まで勉強するのであれば・・・寝ている暇はありませんね。

現役の北京中医薬大学の学生達
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最終更新日  2006年09月30日 05時47分02秒
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