思い立って竹田城址を自転車で訪ねて来た。と言っても勿論自宅から自転車というのではない。電車で出かけ駅から自転車を組み立てて・・である。何年か前の秋に一度訪ねているから、今回が二回目。竹田へは姫路から播但線に乗り換えて約1時間半かかる。ということで、日帰りも可能ではあるが、慌ただしいことになるので姫路に一泊して、初日は夢前(ゆめさき)川を走ることにした。
夢前川 は、昨年の夏(本ブログ2007年8月17日の記事参照)に書写山まで走って引き返しているので、もっと上流まで行ってみようというもので ある。

(水尾川)
前回と同じに水尾(みお)川自転車道を下り、汐見橋から夢前川自転車道に入って上流へ向かうコースをゆく。途中で左岸から右岸にコースを変えたので、また菅生川の方に入ってしまうミス。両川の合流点まで引き返して再び夢前川を遡上。程なく書写山のロープウェイ乗り場が見えて来る。夢前川は書写の手前までは左岸を走った方が無難ですな。
書写から山陽自動車道の高架をくぐって夢前川を更に上流へ、あてもなく走る。大きな蟹の爪のオブジェが右手に見えて来る。ヤマサ蒲鉾の工場である。この辺りまで来ると車の通行も少なくなり、山峡ののどかな風景が広がり、心地よく走れる。とは言え炎天下の夏の昼下がりである。やはり暑い。汗が目にしみる。こういう時は自動販売機が本当に有難い。何本目かのペットボトルが空になったので補給。冷たいお茶が熱い体にしみてゆく。白鷺がゆったりと舞う。空はひたすらに青い。
前方に「固寧倉発祥之地」という大きな看板が見えた。固寧倉(こねいそう)とは江戸時代に、この地の藩主(酒井忠道)が飢饉や災害に備えて藩内各所に設置した非常食貯蔵庫とのこと。姫路市他に数か所が文化遺産として復元されているらしい。
そこから少し行くと「 置塩城登山口 」の石碑。地図では城山と表示されている山の登山口である。

置塩城とは初めて見る名であるが、嘉吉の変で敗れた赤松家を再興した赤松政則(後期赤松氏)が築城し、以後赤松氏五代の本城となった城だとのことである。これは「あと知恵」にて、その時はそんなことも知らず、登山口に誘われて何となく登ってみることに。しかし、これがなかなかの曲者。自転車をかついでの九十九折りの山道は難渋極まりない。途中で自転車を木にくくりつけ、置き去りにして登ることに。蝉の声しきり。登るにつれてヒグラシの声も。

夏草や 兵どもが 夢のあと (置塩城跡)
二日目は朝8時43分発の電車で姫路を発ち竹田着10時8分。駅で自転車を組立て、 竹田城址 へ。登山道は6コースある。うち4コースは徒歩コース。南登山道(1.3km)と西登山道(2.2km)は迂回となるが車でも行ける舗装道路になっている。自転車も一応車なので、南登山道を登ることに。

(竹田駅・後方の山の頂に城の石垣が見える。)
さすがに坂道は自転車にはきつい。途中で息が上がって、押してゆくことに。乗ったり、押したりしながら、少しずつ登る。滴る汗。暑い。それでも木陰になっている道に入ると風がひんやりして、熱した体を癒してくれる。30分位で竹田城址大手門跡前に着く。眼下には円山川の流れ。対岸の立雲峡も一望できる。とにかく眺めが素晴らしい。感動する眺めである。

( 竹田城址 )
数年前に来た時は秋であったが、人影も全く無かったのに、今回はお盆休みということでもあるか、何人かの人と行き会った。「日本のマチュピチュ」とか言って朝日新聞に紹介されたことや、平成18年に「日本名城100選」に選ばれたことなどで、来訪する人も増えているのだろうか。そう云えば、前回来た時、竹田駅は確か無人駅だったと記憶するのだが、今回は女性の駅長さんがおられました。優しそうで上品な、笑顔の素敵なご婦人でした。二の丸跡では、姫路から車で、写真を撮りに来たという男性がいらしたので、しばし閑談。
竹田城 は、別名「虎臥(とらふす)城」と呼ばれるらしいが、室町時代中期、15世紀中頃に、但馬守護であった山名持豊(後の、宗全)が築城したとのこと。堂々たる石垣が織りなす眺めは、地元の方が「日本一の山城」と云うのも納得されるというものである。
下山は、駐車場のある西側から北側へとぐるり山を廻る舗装された道、西登山道を走ることに。登山道の入口にある「山城の郷」内のレストランで昼食をという目論見がこのコースを選択させたのであるが、お盆で休館。されど山間を下るこの道はなかなかいい。とりわけ「山城の郷」から円山川対岸の国道312号線に出る広い道路は爽快である。途中、バイパスを通すための洒落たアーチ型の高架橋の下の影で自転車を止め、涼と水分を取るべく休憩していると、二の丸で言葉を交わした男性が車で通りがかり、クラクションで挨拶をして行かれた。小生も手を挙げて応える。何かほのぼのとしたものが胸をよぎる。「さて、ゆくか。」
駅近くの、明治時代の旧医院を改修した建物の「あったかプラザ」で昼食にありつく。
昼食後は、竹田の古い町並みの面影を残す旧道や円山川沿いの道を自転車で散策。
(円山川)

かき氷が食べたくて国道沿いの喫茶店3軒に当ってみたが、何処もやってない。「画竜点晴を欠く」ですな。姫路に帰ったら「かき氷」絶対に食うぞ。
午後2時31分発の電車で帰途に。電車は1時間に1本だ。昔のままの懐かしい待合室でTシャツを着替え、ホームを吹き抜ける涼しい風に身を委ねて、のんびりと電車の来るのを待つ。オハグロトンボが一匹駅に迷いこんで来て、飛び去って行った。
姫路の手前、野里駅で下車。方向だけを頼りに姫路城を目指して再び自転車を走らせる。置塩城、竹田城、姫路城の「三城廻り」である。(勿論、姫路城大手門前の店で「かき氷」にありつきました。夏は麦わら帽子とかき氷と蝉の声、それに西瓜かな。そう云えば、西瓜ソフトクリームなるものが姫路城の前で売られていましたな。)
国宝・世界遺産、姫路城、さすがに観光客でいっぱいである。しかし、偐家持には似合わないのだ。
人間は多くなるとよそよそしくなる。少ないと声のひとつも掛けてみたくなる。都会と田舎の違いですな。

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