偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2012.06.29
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カテゴリ: 銀輪万葉

承前

  雨晴海岸にやって来たのも久しぶり。自転車のタイヤに不安はあるが、何とか高岡駅前まで持ってくれれば、と走り始める。
  先ずは義経岩に立ち寄る。義経にまつわる伝説は下の説明板をご参照下さい。偐家持としては、大伴家持が愛したこの海岸の眺めを堪能すれば、それでよしつねなのであります。

( ) めて いざ打ち行かな  渋谿 ( しぶたに ) の 清き 磯廻 ( いそみ ) に 寄する波見に
                     (大伴家持 万葉集巻17-3954)

雨晴岩 (2).JPG

雨晴岩.JPG (義経雨晴岩)

雨晴岩 (5).JPG

雨晴岩 (4).JPG

  義経岩の前にはホタルブクロの白い花が咲いていました。蛍が雨宿りするという花が義経らの雨宿りの岩の前に咲いているのも、何やら駄洒落っぽい。

雨晴岩のホタルブクロ.JPG (ホタルブクロ)

雨隠 ( あまごも ) り 蛍もすなる 花なれば 添ひて咲くらし 義経岩に (偐家持)

  義経岩の傍らには小さな祠がり、義経社とあった。

義経社(V.2012_06_25__12_46_27).jpg (義経社)

義経社 (2).JPG (同上)

  この後、伏木方面など万葉歌碑を廻る予定であったが、越中国分駅への国道415号線の坂を登っている最中にまたしても後輪の空気がプシュプシュと抜けてしまい、走行不能に。

この先は  ( のち ) にせよとか  雨晴 ( あまはらし ) タイヤの割れて  徒歩歩 ( トホホ ) なりけり
                                   (徒歩麻呂)

  不安的中。自転車を押しながらの徒歩。まさにトホホのお手上げであります。越中国分駅までともかくも歩いて行く。
  事前の調査では越中国分駅の近くの高みに万葉歌碑があるとのことであったので、それだけは見て行くこととする。
  国分駅前の道路を渡り、ゆるやかに右に上って行く坂道を行く。道端で草刈りをして居られたご婦人に歌碑の在り処を尋ねると「山道ですよ」と言いつつ教えて下さった。教えていただかねば見落としてしまう山道への入口である。「家持山石雲寺・・」と刻された石碑のある処から細い坂道を草掻き分けながら上って行くと、ありました。

石雲寺跡の万葉歌碑 (4)(V.2012_06_25__12_42_41).jpg

石雲寺跡の万葉歌碑 (2).JPG (石雲寺跡万葉歌碑)

・・海行かば  水漬 ( みづ ) ( かばね )  山行かば 草 ( ) す屍 大君の  ( ) にこそ死な
め 顧みは せじと
言立 ( ことだ ) て・・    (大伴家持 万葉集巻18-4094)

  この歌は、大仏造営のために大量の金を必要とする中で陸奥国にて金が発見され、それを喜んだ聖武天皇が「出金詔書」を発するのであるが、それを受けて大伴家持が作ったものである。金の産出を祝うと共に、天皇が詔書に於いて「大伴氏は古来よく忠誠を尽くしてくれた」として、大伴氏の言立てにも言及したことに感激して作った歌である。その長歌の一部が軍歌となってしまって、多くの人が記憶してくれたのは良いが・・と家持殿も複雑な心境でしょうな。まあ、GHQも大伴家持までは戦犯とは致しかねたようですが。

石雲寺跡の万葉歌碑(V.2012_06_25__12_43_40).jpg (同上)

  家持歌碑への往復でひと汗かいて、越中国分駅まで戻って来た。「大君の辺にこそ死なめ」ではないが、「この駅の辺にこそ ( )

越中国分駅.JPG (越中国分駅)

  こんな無人駅でのお別れとなりましたが、どちら様もお気をつけてお帰り下さいませ。最後まで高岡銀輪散歩にお付き合い賜り有難うございました。次はタイヤ交換をして、かかる頓挫のなきよう相努めまする。<完>

<参考>​ ​銀輪万葉・北陸篇 ​​






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最終更新日  2019.10.09 10:27:00
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こと、偐山頭火  
河内温泉大学名誉教授 さん
何時か出てくると期待していましたら、義経が出てきました。確か歌舞伎でも見たことのある場面だったような。

長旅(?)ご苦労様でした。私も一緒に旅したような気分にならせていただきました。

旅は道連れ 今はネットで ウエッブ連れ  偐道連 (2012.06.29 07:47:49)

Re:高岡銀輪散歩(その7)(06/29)  
英坊3 さん
おはようございます。肌理の細かい万葉の里の探訪の記に至極感服いたしております。有難うございました。

 「越の旅 銀の輪駆けて 風を受け

        万葉の里に 今の家持」

のお姿が浮かびますよ。まだまだ越の国です。またの来高を
お待ちしています。
(2012.06.29 09:00:17)

Re:こと、偐山頭火(06/29)  
けん家持  さん
河内温泉大学名誉教授さんへ
 「如意の渡し」ですね。今回初日は庄川べりを走ったこと、2日目はパンクで途中から電車となってしまい伏木方面は廻れませんでしたので、立ち寄れませんでしたが、小矢部川畔の跡地には山伏姿の弁慶が扇子で義経を打擲する像が建っています。「義経記」では、ここで弁慶が義経を打ちのめすのですが、歌舞伎や文楽の「勧進帳」では、安宅の関で打ちのめされる形に変形されていますね。
 義経一行がこの雨晴海岸で雨宿りをしたとすれば、「如意の渡し」への到着は雨が上ってここを出発してから数時間後ということになりますな。
 楽天ブログの1記事1万字という制限の所為で7回にも分割されましたので、まるでい1週間の長旅のようにもなってしまいました。実際の走行よりもブログ上の走行の方が疲れます(笑)、お付き合いする人はもっと疲れる(?)かも。ウェブ連れ、ブロ連れ、どうもお疲れでございました。
(2012.06.29 10:05:17)

英坊3さんへ  
けん家持  さん
 キメ細かくご説明致したくも、1万字という字数制限の壁がそれを阻みますな。パンクがなければ、アト3回分記事が増えていたかも知れず、読者からすれば、パンクよしよし、であったやも知れませんですね。

>越の旅 銀の輪駆けて 風を受け 万葉の里に 今の家持

追和、お返しの歌です。

しなざかる 越に銀輪 パンク旅 切り上げ別(わか)る 惜しき午後かも (銀輪家持)

(元歌)しなざかる 越に五年 住み住みて 立ち別れまく 惜しき夕かも (大伴家持 万葉集巻19-4250)

 そのうちにまたお邪魔させていただきます。
(2012.06.29 10:25:45)

おはようございます  
義経ですか・・・

義経のお話の中に義経は実は平泉では死んでおらず、海を渡ってジンギスカンになったというのがありましたね・・・

歴史の謎の中から生まれた伝説・・・真偽のほどは別としておもしろいものですね。 (2012.06.30 07:41:45)

Re:おはようございます(06/29)  
けん家持  さん
ふぁみり~キャンパーさんへ

>義経のお話の中に義経は実は平泉では死んでおらず、海を渡ってジンギスカンになったというのがありましたね・・・

 そうですね。成吉思汗という字の「思」は、静御前のことを思っていることを表している、というようなことを、授業中に、高校か中学かは定かではありませんが、先生がその伝説に関連して話して居られたのをかすかに記憶しています。話の全容は忘れました。
 まあ、人は死んで欲しくないと思う人物については、そういった願望を抱き、それが伝説となって行くのでしょうね。
 昔の人にとっては生と死はそれ程断絶したものではなく、ドラえもんの「ドコでもドア」で行ける程のものではないけれど、次の世界・ステージへと進むような感じでもあってみれば、死と生の境目にあるハードルはかなり低いものであったのかも・・ですね。
(2012.06.30 18:43:20)

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