偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2015.08.11
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 本日は1日に続いて今月2度目の墓参。
 墓へと向かう坂道で今年初めてツクツクボウシの鳴く声を耳にしました。立秋を過ぎればこの蝉も鳴き出す、というのが小生の季節感であるが、猛暑は夏のそれなれど、蝉の声や咲く花などに「秋」の気配は無きにしも非ず、であります。
 わが家の墓は墓石背面に刻まれた処によると昭和10年建立である。祖父とその弟達(祖父は男ばかりの6人兄弟の長男であった。)の名が建主として刻まれていて、横左面には曾祖父梅吉・曾祖母ノブの名が刻まれている。曽祖父の梅吉さんは昭和10年に亡くなったということであるのだろう。梅吉さんは小生が生まれるはるか前に亡くなって居られるので如何なる記憶も存しないが、曾祖母のノブさんは、小生が3~4歳の頃まで生存され同居していたこともあって、ぼんやりとその面影を記憶している。
 ということで、この墓に入っている方は、曽祖父母、祖父母、父、父の妹(この女性は小生が5~6歳の頃、若くして亡くなっている。)、小生の妹(小学1年で水の事故で死亡)、小生の長女(生後6か月で死亡)の8名ということになる。まあ、彼らは千の風になって吹き渡って居り、「其処にわたしは居ません。」と言っているのかも知れませんが、小生が彼らを偲ぶ場所はやはり此処ということになる。
 墓参恒例の今日の言葉は、月替わりのようですから、1日の墓参で見たのと同じにつき省略です。ということで、墓参の行き帰り恒例の花散歩と致します。

ハナトラノオ (2) (ハナトラノオ)

 先ず目にしたのはハナトラノオ。ハナトラノオの「オ」は「尾」であるが、「ハナ」は「花」であって「鼻」ではない(笑)。
 近くにはカラスウリが実を付けていました。秋が深まると赤く熟すのであるが、今は葉の陰にてその準備に余念がないといった処か。一つ目の秋の気配発見です。

カラスウリ (カラスウリ)

 カンナの色も鮮やかな黄色にて、1日に目にした赤い燃えるようなカンナと比ぶれば、何やらやさしくふくよかな感じがして、こちらも秋支度といった風情に感じられなくもない。

やはらかきカンナの花は夢うつつ (カンナ)

やはらかき カンナの花は 夢うつつ 揺れて咲きたり 風立つ秋に (眩家持)

ノブドウ (2) (ノブドウ)

「おっ、ヤブガラシ」とその花と実から一瞬思ったが葉が異なる。ノブドウでした。これにも実が既に生っている。秋には青や紫など複雑な色に色付き目を楽しませてくれるのでもある。二つ目の秋の気配です。

ノブドウ (1) ヤブガラシ
(左:ノブドウ、右:ヤブガラシ)

 つる草と来れば、ヘクソカズラも健在。沢山の花が咲き出しています。

ヘクソカズラ (1) (ヘクソカズラ)

ツユクサ (1) (ツユクサ)

 可憐なツユクサも忘れないで撮って置きましょう。

つき草の 移ろひやすく 思へかも わが思ふ人の 言も告げ来ぬ
                         (坂上大嬢 万葉集巻4-583)

ツユクサ (2) (同上)

 そして、ブロ友のビッグジョン氏が畑の邪魔者とされるスベリヒユです。こちらでも畑から追い出されたのでしょうか、アスファルトの割れ目から芽を出して広がり始めています。黄色の小さな花を咲かせるが、これは未だ若造にて花を付ける余裕がないのだろうか。

スベリヒユ (スベリヒユ)

 この畑の嫌われ者のスベリヒユも実は万葉花なのである。万葉集の東歌に出て来る「いはゐつら」がこれだという説がある。

入間路 (いりまぢ) の 大家 (おほや) が原の いはゐ蔓 (つら)
 引かばぬるぬる 吾 (わ)
にな絶えそね (万葉集巻14-3378)
上野
(かみつけの)  可保夜 (かほや) が沼の いはゐ蔓
              引かばぬれつつ 吾
(あ) をな絶えそね (同巻14-3416)

クサギ(臭木) (クサギ・臭木)

 クサギもその独特の花を付けていました。しかし、葉などには触れずに置きましょう。その名の通り臭いのである。
 さて、秋の気配と言えばやはりこれでしょう。三つ目の秋の気配です。

尾花が末を (1) (尾花)

人皆は 萩を秋と云ふ よしわれは
         尾花が末
(うれ) を 秋とは言はむ (万葉集巻10-2110)

尾花が末を (2)

 尾花が既に秋を演出していますが、ヨウシュヤマゴボウの方は未だ「支度中」のようです。カタバミは我関せずとニュートラル、秋でも夏でもいいと言って居ります。

ヨウシュヤマブドウ カタバミ
(ヨウシュヤマゴボウ)     (カタバミ)

 こちらは「アメリカで囲碁」ではなく、アメリカデイゴです。
 コチラは「夏」に限ると言っているようですな。

アメリカで囲碁ではなくアメリカデイゴ(1) (アメリカで囲碁ではなく、アメリカデイゴ)

アメリカで囲碁ではなくアメリカデイゴ(2) (同上)

 そして、最後はヒョウタン。
 自宅近くまで帰って来ると目に飛び込んで来たのがこれ。

瓢箪も ぶらりお盆の 朝の風 何の糸瓜と 人の世渡る (瓢箪家持)

瓢箪もぶらりお盆の朝の風 (瓢箪もぶらりお盆の朝の風)






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最終更新日  2015.08.11 17:40:34
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Re:墓参・花散歩・我が待つ秋は(08/11)  
cementman77  さん
日曜日に墓掃除してきました。
お盆ですね。まだ暑さは続きます。
体調管理気をつけてくださいね。 (2015.08.11 17:57:58)

cementman77さんへ  
けん家持  さん
  >日曜日に墓掃除してきました。
 そうですか。小生も現役の頃は土曜日・日曜日など休日に限定でしたが、サンデー毎日の身分になってからは、曜日に関係なくの墓参です。毎月上旬に墓参するのが習慣ですが、お盆の8月と暮れの12月だけは、その直前にもう一回墓参をすることになっています。春秋のお彼岸は省略です。
 貴兄もそろそろお盆の夏休みでしょうか。会社でも責任のあるお立場、気苦労も多いことと推察致します。ゆっくり休養なさって、英気を養って下さいませ(笑)。

(2015.08.11 19:33:23)

Re:墓参・花散歩・我が待つ秋は(08/11)  
こんばんは(^^♪

あちこちで『秋の花と実』を見付けられましたね。
尾花の穂が もうこんなに出ているのですね。

地蔵盆の時には 夏と秋が混在して、喧嘩。
そのうち、夏が負けるのが早く来ますように。。。

花も今は、夏と秋のものを見られて楽しいですね。 (2015.08.11 22:48:13)

ひろみちゃん8021さんへ  
けん家持  さん
野辺見れば なでしこの花 咲きにけり
        わが待つ秋は 近づくらしも (万葉集巻10-1972)

撫子の花は見付けられませんでしたが、尾花や野葡萄や烏瓜に「わが待つ秋の近づくらしも」でありました。

 最近は、銀輪散歩もサボりがち、近場をちょろちょろっと走って誤魔化しています。
(2015.08.11 23:06:05)

Re:墓参・花散歩・我が待つ秋は(08/11)  
小万知 さん
立秋を過ぎたからでしょうか、夕風は心なしか涼やかさが感じられるようです。
数日前からツクツクホウシの声も聞き、秋の花オミナエシやクズの花も見られるようになり、暑さも峠を越えたのであれば嬉しいのですが、残暑はまだまだというところでしょうか?
スベリビユも万葉の時代からある花だったとは知らなかったです。
クサギもヘクソカヅラも花の姿は良いのに葉っぱなどの香りから気の毒な名前ですね。
沢山のお花の写真有難うございました。
遅ればせながらアクセス数444444夏の海にぴったり、おめでとうございます。 (2015.08.11 23:51:35)

小万知さんへ  
けん家持  さん
 クマゼミ、ミンミンゼミが夏の蝉ならツクツクボウシは秋を感じさせる蝉。秋を迎える準備をせよと、子供たちには夏休みの宿題を早く仕上げよと告げて回ってもいるか。
 しかし、まだまだ、クマゼミの方が優勢、そう簡単には夏は引き下がってくれそうもありません。

秋はまだ 気配のみにて 鳴く蝉も 遠慮がちなり つくつく法師 (熊蝉丸)

 しかし、花たちは猛暑ものかはしっかり秋へと歩を進めているようです。
 万葉の「いはゐつら」については諸説あるようで、スベリヒユ説の他にジュンサイ説やミズハコベ説や「い這ひ蔓」で地に這う蔓草という普通名詞説もあるようです。
 上の東歌の「引かばぬるぬる」「引かばぬれつつ」の「ぬる」は「ほどける」という意味の古語「ぬる」ですが「寝(ぬ)る」とも掛けているのでしょう。
 クサギもヘクソカズラも余り有難くない名を頂戴しましたが、そういう花は雅な歌には不向きで題材となりにくく、従って愛される花にはなりえない。名付けた人の責任は重い(笑)。
 有難うございます。444444のヨット6艘並びも一瞬にして、夏の海はもうごちゃごちゃのカオスとなっています。次は450000、500000、550000、555555の順でアクセス数を話の種にすることとなろうかと。


(2015.08.12 10:51:03)

Re:墓参・花散歩・我が待つ秋は(08/11)  
10日の間に野の花も変わりましたね。
スベリヒユのこと、よく憶えていただいてましたね。
すごい記憶力!

暦の立秋は確実に季節の変わり目を指しているようです。経験からくる先人の知恵は素晴らしいですね。

我が家の周りでツクツクボウシを聞くのは例年、8月の終わりですが、昨日の小野アルプスで聞いてきました。

「アメリカで囲碁」は爆笑。
先日知人へのメールで、以後の付き合いと書くところを、囲碁の付き合いと書いてしまいましたが、身内周辺には愛好者がいて・・・と、見事にフォローしてくれました。 (2015.08.12 23:11:55)

ビッグジョン7777さんへ  
けん家持  さん
 立秋を過ぎても暑さは相変わらずで、残暑とはよく言ったものですが、目を凝らせば、其処此処に秋の気配あり、ですね。
 はい、貴兄のブログ記事の中であったか、こちらの記事へのコメントの中であったかは定かではありませんが、スベリヒユは、畑にはびこる邪魔物、どんどん抜いている、というようなことを書いて居られたことをたまたま思い出したという次第。
 確かにツクツクボウシが盛んに鳴き始めるのはお盆を過ぎて学校の夏休みも終盤に入った頃ですね。今でもこいつの声を聞くとサボっていた夏休みの宿題の処理に追われていた小学校時代のことが思い出されるのか何か心急かされる気になります。
 「アメリカで囲碁」とか「アメリカ不要(芙蓉)」とか、パソコンの文字変換ミスは駄洒落の宝庫ですね。「囲碁(以後)のお付き合いもよろしく」はどちらも意味が通じますから「尾も白い」ですね。
 「以後も囲碁のお付き合い」なら「囲碁も以後のお付き合い」とミスしても相手の目を白黒させることもないでしょうな(笑)。
(2015.08.13 10:16:38)

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