偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2020.05.27
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カテゴリ: 犬・猫・鳥など
​  ​銀​ 輪散歩で出会った猫の数もそこそこになりましたので、本日は第2回ヤカモチ的ネコ歩きであります。
 まずは、花園中央公園で出会った猫たちから。
 茶色の猫なので「一茶」という名がいいかと思いましたが、イマイチなので、「麦茶」としました。まあ、「むぎちゃ」と読んでいただいてもいいのですが、「いっさ」から来ていますので「ばくさ」または「ばくちゃ」と読んでいただく方が適切かと。

(茶色猫の花園麦茶)
 声をかけると振り返りました。
 シロツメクサの咲き群れる中で、絵になる姿であります。
​麦茶「うん?ワシのこと呼んだか?」
ヤカモチ「小林一茶とはどういうご関係ですか?」
麦茶「あれは、ワシの弟子や。」
 麦茶氏によると、一茶が柏原市の玉手山で詠んだ句は麦茶氏の句を真似たものだそうな。
 猫折々 振り返り見る 花の園 (麦茶)

  雲 折々 ( をりをり ) ( まさ ) ​​に青葉見ゆ 玉手山   (一茶)​

​ 初夏や 猫も木陰を したふ哉 (麦茶)

  初蝉や 人松陰を したふ ( ころ ) ​     (一茶)​

 小林一茶のこの句碑は玉手山公園内にある。

 かなり前に撮影したものだが、ブログ未掲載のままとなっているようなので、ついでに掲載して置きます。

(玉手山の一茶句碑)

(同上・副碑)
 桜広場とプラネタリウムのある建物「ドリーム21」との間に、小さな竹林がある。その中に虎ならぬ猫が居た。

(お前はジャックナイフか?)
 どんな顔をして虎を気取っているのか、と見ると。
 その顔は見覚えがあるぞ。
 前回のネコ歩きで見かけたジャックナイフ君ではないか。
ジャックナイフ「また、お前か。うるさい奴やなあ。今日は何の用や?」
ヤカモチ「いや、別に用はありません。通りすがりです。」
ヤカモチ「石原裕次郎の歌に『花園の 藪の前を通ったら おゝきな顔して ジャックナイフが 寝ていたよ~』というのがありましたかね。」
ジャックナイフ「ワシに喧嘩売っとんのか、お前。」
ヤカモチ「いえ、そんなつもりは。ちょっとした冗談です。」
 こちらの三毛猫は通路に寝そべっていましたから、大きな顔して、というのなら、こっちの方かもしれません。後ろ姿にてその大きな顔を拝見することは叶いませんでしたが、噂では、三毛猫ホームズの助手で三毛猫ステイホームズという名の猫だそうな。
 彼女も今は、緊急事態宣言解除で、あちらこちらと出歩いていて、行く先々で「ゴーホーム」と言われているのかも。

(三毛猫ステイホームズ)
 花園ラグビー場の近くでは、美形の猫と目が合ってしまいました。
 うん?楊貴妃?と思いましたが、よく見ると右の耳が桜耳。オス猫であることに気づきました。
 さては、お前があの有名な「三毛紫田舎源氏」なのか。

(三毛紫田舎源氏)
 目が合うと彼は固まってしまった。
たづねても われこそとはめ 道もなく
             深き蓬の もとの心を
          (光源氏 源氏物語「蓬生」)

(訪ねて行って私の方から問おう、深き蓬にうもれているあなたの心を)

(同上)
 台本にない田舎家持が現れたので、どういうアドリブで切り抜けるべきか決めかねて固まってしまったようであります。カ~ット!!
 物語の展開や人の(いや猫の)恋路を邪魔するは野暮の骨頂、無礼千万と言うもの。
 「始めから其処に居なかったかのようにヤカモチは立ち去った。」
 猫紫田舎式部さんは、急遽このように書き加えました。
 ヤカモチはそっとその場を離れます。
さりとても 心残りの この道の 末摘花の 末は知らずも (田舎家持)
 かくて猫源氏物語も原作通りに進行することとなりました。
 桜広場に戻ります。

(寅女<とらめ>ちゃん)
 こちらで会ったは、まだあどけない感じの少女・寅女ちゃん。
 何やら周囲を気にしている。キョロ、キョロ、キョロ。
 そして目が合った。

(同上)
ヤカモチ「こっちへおいで。」
とらめちゃん「知らないおじさんから声をかけられても、近づいてはいけないの。」
 トラ猫なので「寅さん」と思ったが、何年か前に「寅さん」猫は当ブログに登場しているので、そして何やら幼い感じもあったので「寅ちゃん」ということにしたが、耳を見ると左が桜耳、メス猫でした。
 ということで「寅女」として「とらめ」ちゃんとしました。
 とらめ、というのは役行者、小角の母親の名前と同じですな。
 役行者の母親は、渡都岐比売
(とときひめ) ​、白専女 (しらとうめ) ​などとも呼ばれるが、都良売または刀良売 (とらめ) ​である。
 いつであったか、友人の偐山頭火氏と「とらめ」さんの墓を訪ねたことがある。調べてみようと、右欄のキーワードリサーチに「とらめの墓」と打ち込んで検索してみると、それは11年前の3月のことだと判明いたしました。
<参考> 飛鳥から大和高田へ ​ 2009.3.20.
 既にさくら猫となってしまっているから、彼女が子猫を産むことはないが、もし、さくら猫になっていなければ、将来、きっと、「役小角」ならぬ「役小猫」の母親になっていたことでしょう。
 さて、次は池島神社の猫たちです。

(池島神社の猫たち)
 どなたかが与えたエサを3匹の猫が食べていて、もう1匹のやや小柄な猫はこれに加わる様子がなく、こちらを見ている。
 花園中央公園に居る猫たちは殆どみな避妊去勢手術を受けたさくら​​​猫であるが、こちらの猫たちはそうではないようで、耳が桜耳になっていない。

(同上)
​ 一番太った猫が先ず立ち去り、2匹が食べる。

(同上)
​ 2匹が食べ続け、小柄な1匹は相変わらずこちらを見ている。
 猫にも順位があって、順位の上の猫が食べ終わるまで下位の猫は待たなくてはならないのだろうか。

(同上)※耳が完全な形なので所謂「さくら猫」ではない。
​​​​​​​​​​​​​ こちらを見ているばかりのこの猫。左目はこちらを見ているが、右目は違う方向を見ているようでもある。

(池の島子)
​ これも池島神社に居た猫であるが、上の猫たちを見た日には見かけなかったので、彼らのグループには属していないのだろう。
 この猫も桜耳ではないので、雌雄の別は不明。池の島子と名付けることとしました。
 浦の島子を文字って「池の島子」である。
 浦の島子とは、ご存じ「浦島太郎」のことであるから、こちらは「池島次郎」とでもして置くか。
 万葉集にも浦島伝説を詠んだ歌がある。
 「水上の浦の島子を詠みし一首」とある高橋虫麻呂の長歌1首と反歌1首である。
 長歌は一部略して引用すると、次の通りである。

春の日の 霞める時に  住吉 ( すみのえ ) の 岸に出で ( ) て  釣船 ( つりぶね ) の とをらふ見れば  ( いにしへ ) ​の こと​そ思ほゆる  水上 ( みづのえ ) の 浦の島子が  ( かつを ) 釣り  ( たひ ) 釣り誇り  七日 ( なぬか ) ​まで 家にも来ずて ​ 海坂 ( うなさか ) ​を 過ぎて漕ぎ行くに わたつみの 神の 娘子 ( をとめ ) ​に たまさかに い漕ぎ向​かひ・・(中略)・・ 住吉 ( すみのえ ) に 帰り来たりて  ( いへ ) 見れど  ( いへ ) も見かねて 里見れど 里も見かねて 怪しみと・・(中略)・・玉くしげ 少し開くに  白雲 ( しらくも ) の 箱より出でて  常世辺 ( とこよへ ) に たなびきぬれば 立ち走り 叫び袖振り こいまろび 足ずりしつつ たちまちに 心 消失 ( けう ) せぬ 若かりし 肌も ( しわ ) みぬ 黒かりし 髪も ( しら ) けぬ ゆなゆなは  ( いき ) さへ絶えて  ( のち ) つひに  ( いのち ) 死にける  水上 ( みづのえ ) の 浦の島子が  家所 ( いへどころ ) ​見ゆ (高橋虫麻呂 万葉集巻 9-1740
  反歌は、「常世の国でずっと暮らしていられたのに、自業自得、馬鹿な奴だなあ」という歌である。

​​​常世辺​ ​​ ( とこよへ ) に 住むべきものを  ( つるぎ ) 大刀 ( たち )


( )
が心から おそやこの君 (同上 巻 9-1741
(注)この歌の浦島伝説伝承地については色々説があるようだが、京都府与謝郡伊根町本庄浜、同竹野郡網野町水之江浜、大阪市の住吉の浜、など。

​​
(同上)
 池の島子さん、左目が、眼病でも患っているのか、何やら泣きはらしたようになっている。故郷に帰って来たら、家も村もかき消えていて、知る人もなく、どうしていいのかわからず、悲しみ、泣いている浦の島子の目もこんな風であったかも。そして、玉手箱を開けて、たちまち白髪の老人となってしまったというのを思わせる白い毛。そんな姿から浦の島子に掛けて「池の島子」という名が思い浮かんだのでありましたが、さて、池の島子さんは、実のところ、どんな境遇でありますのやら。
 何やらびくびく、おどおどしている風であったのが気にかかりました。

​​
(同上)
樫の実の ひとり行く子や うらぶれて 池の島子も 悲しきろかも (池家持)
 以上、本日は、ヤカモチ的ネコ歩き記事第2弾でした。
<参考>過去の犬、猫関連記事は​ コチラ から。





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最終更新日  2020.05.27 10:36:24
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