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超重神山さんＤＥＳＴＩＮＹ

第３話　少年の決意　前編

マグナはサリアに連れられてアトランティスの全てを管理している中央塔に来ていた。この中にある自衛軍司令室に行くためだ。

「あんまりウロチョロしないでよ、道に迷っても知らないからね」

「ハイハイ、ガキじゃないんだし余計なお世話だよ」
などと会話しつつ、４～５分ほど歩いて司令室の前にたどり着いた。

「失礼します」

そう言ってサリアがドアを開き司令室の中にはいる。

「君がエーギルを動かしていたという民間人か？」

部屋に入ってきたマグナに一人の男が話しかける。

「俺は自衛軍の隊長をやってるアキラ・ラドレスってもんだ、君は？」

「マグナ・ルーヴィル、見ての通りの作業用ＭＳパイロットをしてる民間人っす
よ」

そう言ってマグナは身元証明のＩＤカードを取り出す。自衛軍、民間人にかかわらずＭＳパイロットには所持が義務づけられているのだ。
そのＩＤカードを受け取ったアキラはデスクの上にあるパソコンのカードリーダーに差し込む。これにより身元確認ができるのだ。

「確かに・・・マグナ・ルーヴィル　１７歳　か・・・・・作業用ＭＳのパイロット・・これであってるな？」

「ええ、あってますよ」

確認してからマグナにＩＤカードを返す。

「で・・・・俺はどうなるんですかね？ほとんど成り行き・・・・ってか無理矢理、あのＭＳに乗せられたんですけど・・・」

マグナは今、一番気になっている今後の自分の事を聞いた。事情はどうあれ軍の最新型ＭＳに乗りあまつさえ戦闘をしてしまったのだ。ただではすまないだろう。

「その事なんだがな・・・・・君の戦闘データを見たんだが機体の性能を上手く引き出している、どうだ？このまま自衛軍にはいらないか？」

「ちょっと！待ちなさいよ！！」

アトランティス中央塔の外、市街地区画の中心部の噴水公園。
中央塔から出てきたマグナはそこでサリアに呼び止められた。

「・・・・何だよ？」

「何で・・隊長の誘いを断ったの？」

マグナはアキラからの誘い、自衛軍にパイロットとして入らないか？という誘いを即座に断りそのまま外に出てきたのだ。

「貴方ぐらいの腕なら軍でも十分すぎるほど通用するのに・・・」

「・・・・別に、規律がどうのこうのウルサイ軍が嫌なだけだよ」

そう言ってマグナは歩き出し中央塔から離れていく。

「・・・一緒に戦ってくれないのね」

マグナは一度、立ち止まりしばらく何かを考えるように立ちつくしていたが彼女の方を振り返る、サリアの少し悲しげな表情に一瞬言葉が詰まるが・・。

「・・・悪いがそんな義理はねぇよ」

そのままマグナは振り向きもせず歩き出し中央塔から離れていった。

アトランティス領海の海底、そこにパンゲアの潜水艦が４隻、身を潜めていた。
その潜水艦艦隊の旗艦、ビックホエールの中にある部隊長のオルトの自室。
そこに一人のパイロットが異議を唱えに来ていた。

「何故、さっきの戦闘で撤退したんですか！！納得いきません！！」

異議を唱えている女パイロット、フェル・マーサカスは椅子に座っているオルトに言う。
彼女は先ほどの戦闘で専用にカスタマイズされているイカロスを操りアトランティスのＭＳガルーダを８機落としていた。それにあと一息と言うところまで敵の隊長機を追いつめていたのだ。そんな時に出された撤退命令・・納得がいくはずがなかった。

「フェル・・お前は敵の新型ＭＳを見たか？」

「新型？ああ、確か２機いたそうですね白いのと青いのが、隊長が交戦されたと聞
きましたが」

「あの新型・・・中々あなどれん、あのまま戦えばこちらが不利だったために撤退した」

「すいませんが・・・私はその新型と交戦していないので隊長の言っておられる事を理解しきれません」

そう言ってフェルは隊長室を出ようとドアへむかう。

「どこへ行く？」

「どのみち、もう一度仕掛けるのでしょう？なら・・私が先に出て敵の新型を落としますよ」

そう言い残し部屋を出る。

「・・・・・まったく・・プライドの高いのが部下にいると苦労するな」

そう呟きオルトは別の部屋にいる部下の一人に連絡を取る。

「レオス・・レオス・フルベート、いるか？」

『なんでしょうか？隊長』

「今からフェルが出撃する、お前も出てサポートに回ってくれ」

『はい』

ＭＳ格納庫、サリアはそこで並んでメンテナンスベットに固定されているエーギルとヴァハを見上げていた。

「どうした？サリア？」

そこに同僚のゲイル・ライバートが歩いてくる。

「ゲイル・・・うん、まぁ・・・・考え事」

「もしかして、エーギルに乗ってたって言う民間人の事か？」

「・・・まぁね・・・・そういえば助けてもらったお礼もいってなかったなぁ・・・」

「珍しいねぇ、お前がそんなに考え込むなんて」

普段のサリアはあまり悩んだり深く考え込むタイプではない。
ここまで考え込む事など珍しい事なのだ。

「もしかして・・・その民間人に惚れたか？」

ゲイルが苦笑混じりに冗談半分で言う。
次の瞬間、サリアの鉄拳がゲイルの顔面に突き刺さっていた。

「なわけないでしょ？」

「が・・・・あ・・・ごべんなざい・・・・・」

直撃を食らった痛みで上手く舌が回らないのかマグナは喋りにくそうに謝罪する。

「まったく・・・」

サリアはため息をつきもう一度２機のガンダムを見上げた。
その時だった。敵襲を告げる警報が鳴り響いたのは。

「警報っ！？」

市街地区画を歩いていたマグナは突然鳴り響いた警報に足を止める。

「また、あいつ等か・・・・今日はついてないな・・」

ため息をつき、そのままシェルターへと向かい歩き出した。

「そういえば・・・アイツも出るのか？」

マグナはなんとなくサリアの事を思い浮かべたが。

「まぁ・・・関係ないな」

そう呟きシェルターへとむかう。

「こんなに早く仕掛けてくるなんて・・・ヴァハガンダム出します！！空戦装備、
お願いします！！」

コクピットに飛び乗ったサリアは手元のパネルを操作しヴァハの背中と両肩、両足のハードポイントを開く。
背中にフライングユニット、両肩、両足に機動性をあげるためのスラスターユニットを装着し空戦装備へと換装、そのままガルーダ用のカタパルトから空へと出る。
それに続くようにゲイルのガルーダも出撃する。

「敵はイカロスが７機・・・・一機はカスタムタイプ・・エースがいる！？」

「襲撃するには数が少ないな・・・・先発隊か？」

敵、イカロスのコクピットの中でフェルは出撃してきた２機のＭＳを確認した。

「あれが隊長のいってた新型・・・・もう一機はただの量産型ね・・・・」

彼女のイカロス、通常使用のイカロスに装備されているビームキャノンを取り外しその分を機動性向上のために改造したカスタムタイプは両腰にマウントしてあるマシンガンを構える。

「あの角付きＭＳは私がやる！！お前達は他の量産型を押さえろ！！」

そう言ってフェルのイカロスはヴァハガンダムに二丁のマシンガンの銃口を向ける。

「サリア達はもう出たのか！？」

格納庫でアキラが叫ぶ。

「ええ、２～３分前に！！」

「フォルセティガンダムは出せるな！？使うぞ！！」

そう言ってアキラは赤い人間のような頭部の機体へと乗り込む。

「このっ！！当たれっ！！」

ヴァハが腰にマウントしていたビームライフルをイカロスにむけ引き金を引く。
それはイカロスをかすめる事もなく海面に激突し爆発させる。

「くっ！早い！！」

もう一度、引き金を引きビームを放つ。

「単純な攻撃ね！！」

フェルのイカロスはそれも簡単に避け上空のヴァハにむかって一気に間合いをつめる。

「なっ・・・・」

「遅い！！」

突撃の勢いに乗せてヴァハの腹部を蹴り飛ばす。

「きゃああああっ！！！」

「もう一発！！」

さらにそのまま踵落としの要領でヴァハの胸部に再び蹴りを入れる。

「あうっ！！」

そのままヴァハはたたき落とされるが海面スレスレで背中のフライングユニットを全開にし激突を免れた。

「くっ・・・・強い・・・実力が違いすぎるの！？」

ビームライフルを三度放つ。しかし、当たらない簡単に避けられてしまう。
イカロスは回避しながら背中からミサイルを放ちヴァハを狙う。

「んのっ！！」

海面スレスレを滑るように飛びミサイルを回避、海面に辺りミサイルが爆発する。
しかし、イカロスは背中からさらにミサイルを２発、撃ち出す。

「っ！！」

サリアはヴァハを方向転換、ミサイルの方を向く。その際に両足で海面を蹴り一時的に海水の壁を創りそれでミサイルを受け止め防ぐ。

「お返しよ！！」

そのまま上昇、イカロスにむけて上昇しながらビームライフルを撃つ。

「そんなものっ！！」

ビームを軽く避けマシンガンを連射する。

「サリア！！」

押されているヴァハガンダムの援護にむかおうとゲイルのガルーダがスラスターをふかしむかうがその前に２機のイカロスガ立ちはだかる。

「くそっ、ジャマするな！！」

マシンガンを構え連射、敵もそれを避けながらマシンガンを同じく連射。
それは敵イカロスを一機蜂の巣へと変え撃墜するがもう一機のイカロスが放った背中のビームキャノンに左腕を撃ち抜かれる。

「うあっ！！んなろぉっ！！」

右腕のマシンガンをむけ弾丸を連射、残り一機のイカロスも撃墜する。
しかし、さらに残りのイカロスのうち２機が迫る。

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